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日本各地の「どこそこ」と言われがちな地域にも人が来る仕組みを

株式会社おてつたび 代表取締役CEO 永岡 里菜

皆さんは、日本の事をどれだけ知っていますか? 47都道府県に足を運んだことはありますか?「意外と日本の事を知らないな..」という方も多いのではないでしょうか。私も未だ勉強中の身ですが、全国へ足を運ぶ中で、一見何もなさそうに見えてしまう地域にも、その地域にしかない素敵な魅力がある事に気づきます。私たちは、そのような日本各地にある「どこそこ」と言われがちな地域にも人が訪れる仕組みを作りたいと思い、短期的・季節的な人手不足で困っている地域の方々(農家や旅館など)と、お手伝いしながら地域を旅したい方をマッチングするwebサービス『おてつたび』を展開しています。特徴としては、お手伝いをすると報酬(アルバイト代)が得られるため、地域に行く際のボトルネックになりがちな旅費交通費を軽減できます。お手伝いという共同作業を通じて地域の方と関係性ができ、第二・第三の故郷ができていく..そんな世界を目指しています。
なぜ、『おてつたび』を運営しているのか。原体験は、自分の出身である三重県尾鷲市(おわせし)でした。尾鷲市は三重県南部に位置する漁業と林業の町ですが、上京してからは「どこそこ」と言われてしまうことも多く、尾鷲に足を運んだ事がある方は周りにほとんどいませんでした。その事実に半分諦めながら社会人になり、地域活性化関係の仕事をしながら全国を飛び回る毎日を送っていたのですが、その際に尾鷲のような地域が日本には沢山あることに気づきました。一見「どこそこ」と思えてしまう地域にも、行ってみると素敵なものが沢山あり魅力に溢れている。ただ、行くキッカケがないだけ。いても立ってもいられなくなり、当時勤めていた会社を退職しました。どうやったら人が来て魅力を理解してくれるのか…東京にいても答えは見つからないと思い、東京の家を解約し、半年間かけて貯金を切り崩しながら夜行バスで全国を巡り作り上げたのが『おてつたび』です。様々な方の声を聞く中で気づいたのが、皆さん「どこそこ」と言われがちな地域へ“行きたくないわけではない”という事実でした。そういった地域ほど、知り合いや出張等の目的がないと行くキッカケがないことや、著名な観光名所がない地域ほど交通の価格競争が起きにくく旅費が高騰しがちで選択肢にあがりにくい。そういった課題を解決するために、「お手伝い」を旅の目的(キッカケ)として地域を訪れ、お手伝いして得られた報酬で旅費交通費を軽減できる『おてつたび』のアイデアが生まれました。あえて"お手伝い"という可愛いワードを使っていますが、地域の人手不足の現状は深刻です。お手伝い自体は大変であることは参加者の方にも事前にお伝えし、お客様ではなく仲間として一緒に本気でお手伝いしてほしいと伝えています。おてつたび後は、訪れた地域とつながり続けている方も多く、そのまま移住・定住した方も増えてきています。
地域に惚れ込み自分の人生を地域に捧げたいと覚悟を決めた26歳の時から、気づいたら5年経ち一人で始めた『おてつたび』にも仲間が増え、現在は全国47都道府県に約600箇所のおてつたび先と、1.8万人ユーザーが登録しています。コロナ禍でユーザー登録数は3倍に増え、地域への注目度が高まっていることを実感しています。日本には愛おしいほどの素敵な地域が沢山あります。そのような地域にスポットライトを当てられるように、「どこそこ」と言われがちな地域に人が訪れる仕組みを作りファンになる世界を目指して駆け抜けたいと思います。