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今月も「ファイナンス」をご覧頂き、ありがとうございます。
いまから10年余り前。当時、私はニューヨークにいましたが、ウォールストリートにある大手証券会社が破綻し、留学先の大学院では先の見えない世界経済の話題でもちきりでした。しかし、世界のリーダーや英知が米国に集まり、世界経済の危機に立ち向かう勇姿が報道され、危機の中にも一筋の希望を感じたのをいまでも覚えています。
先月、IMF世銀春会合に出席する大臣の随行のため滞在したワシントンDCでは、ウクライナの要人を乗せた車列が市内を走り抜けるたびに、街中を歩く人々が声援を送る姿が印象的でしたが、2008年に感じた希望とはなにか違う、表しようのない不安が心残りとなりました。
コロナ、地球温暖化、食糧危機に難民問題。人類が団結して解決しなければならない問題がただでさえたくさんあるというのに、戦争などしてる場合ではない。DCからの帰途、国境線のない大地を機内から眺めながら、改めてそう感じました。
(財務省広報室長 伊藤 拓)