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金利先物およびTIBOR入門―ユーロ円金利先物を中心に―

東京大学 公共政策大学院 服部  孝洋*1

1.はじめに
本稿では金利先物の仕組みを説明することを目的としています。金利先物は短期金利を原資産とした先物になりますが、各国通貨に基づいた金利先物は活発に取引されており、特にユーロドル金利先物は世界で最も流動性がある先物の一つとされています。もっとも、「金利指標改革入門」で説明したとおり、LIBOR(London Interbank Offered Rate)不正操作を発端として金利指標改革が始まり、LIBORの代替的な指標が採用されました。これに伴い、ユーロドル金利先物など世界中の金利先物が変更を迫られています。
本稿では金利先物の基本的な設計を説明した後、我が国で取引されている金利先物であるユーロ円金利先物について説明を行います。ユーロ円金利先物の有する最大の特徴は、原資産がユーロ円TIBOR(Tokyo InterBank Offered Rate)である点です。TIBORの算出方法はLIBORと基本的には同じですが、LIBOR消滅以降も存続することからLIBORの代替金利として現在注目を集めている金利指標といえます。そのため、本稿ではTIBORの歴史的な流れや制度に加え、近年の指標改革など包括的な説明を行います。海外の金利先物については紙面の関係上、次回の論文で解説します。
なお、筆者がこれまで執筆してきた一連の債券入門シリーズについては金利指標改革などを含め、筆者のウェブサイトにまとめて掲載してありますので、そちらもご参照いただければと思います*2。

2.金利先物とは

2.1 金利先物の仕組み
金利先物とは、短期金利を原資産とする先物です。先物の仕組みそのものは筆者が記載した「日本国債先物入門」などで説明しましたが、先物は基本的には予約取引であり、先渡取引(フォワード取引)と類似した取引といえます。両者の最大の違いは、先渡取引が相対取引である一方、先物は取引所取引という制度的な違いでした。先物は上場することで流動性を高めることが可能である一方、商品の標準化や証拠金など制度的な工夫がなされています。日本国債先物では7年国債と交換される仕組みが用いられていますが、金利先物との大きな違いは、金利先物の場合、原資産が債券そのものではなく、「短期金利」である点です。
先物取引が予約であることを考えると、短期金利を原資産とする金利先物は短期金利を予約する取引だというイメージを持つことが大切です。例えば、金利先物が現在マーケットで3%で取引されている場合、金利先物を購入(ロング)または売却(ショート)することで、将来の金利を短期間(典型的には3か月間)3%で予約しているというイメージを持つことが大切です*3。

2.2 IMM指数方式
金利先物の最大の特徴は、クオート(価格の提示)の仕方にあります。先ほどは3%という例を用いましたが、実際には3%という形で価格が付されてはおらず、97という価格が付されています。実は、金利先物では「100-金利」という指数を作り、その指数でクオートがなされます。例えば金利先物に97という価格がついていた場合、これは先物金利が3%(=100-97)ということを意味します。このようなクオート方法を「IMM指数方式」といいます(「100-金利」をIMM(International Monetary Market*4)指数といいます)。
例えば、9月に決済を迎える金利先物(9月限*5)の価格が97であったとします。この場合、先物金利が3%(=100-97)になりますから、この価格で金利先物を購入した場合、9月からの一定の短期間(典型的には3か月間)の金利を年率3%で予約できるというイメージを持つことが大切です。注意すべき点は、この表示方法は単なる慣習にすぎない点です。タックマン(2012)でもIMM指数は「慣習的な表示方法以上の意味はない」、「割引債の価格を示すものではない」(p.353)と注意を促しています。
このような独特なクオートが用いられている歴史的経緯は次のようなものです。そもそも債券の初学者にとって、金利と価格が逆の動きをすることは理解しにくいとされます。国債先物の場合、原資産が国債ですから価格の動きと損益が一致しますが、金利先物については原資産が短期金利ですから金利の動きと(価格の動きから決まる)損益が逆になります(国債先物の場合、150円などの価格がついていますが、これはクーポンが6%の仮想的な証券が上場しており、先物価格はその架空証券の価格でした*6)。そこで、金利先物の価格を「100-金利」とすることで先物価格の上昇(下落)が利益(損失)と一致することとなり、直観的な解釈ができるわけです。
金融先物のいわば創始者ともいえるシカゴ・マーカンタイル取引所(Chicago Mercantile Exchange, CME)のレオ・メラメド氏は自身の著書(メラメド(1997))で、金利と価格が逆に動くことが投資家にとってわかりにくいことから、専門家で構成される委員会を作り、討議を重ねたとしています。当時は政府短期証券先物を設立するうえで議論がすすめられたのですが、その過程でIMM指数が提案されました。メラメド氏は上述のわかりやすさの観点から金利先物においてIMM指数が採用されたと説明します。メラメド氏は「このIMM指数の方式は、政府短期証券ばかりか、譲渡性預金証書(CD)や、ユーロドルについても適用され(中略)、世界中の金利先物取引の標準型となった」(p.22)としています。

2.3 金利先物とフォワードの関係
前述のとおり、先渡(フォワード)と先物の本質的な違いは前者が相対取引であり、後者が取引所取引であるという点でした。そのため、再度強調しますが、フォワードと先物は将来を「予約する」という観点では違いはありません。フォワードについては服部(2019)で比較的丁寧に説明しましたが、ここでは改めてフォワードの価格(金利)がどのように形成されるかについて具体例を用いて確認します。
例えば、読者が3か月後に資金調達をする必要があり、そこから3か月間の金利を予約したいとします。その際、現在の3か月金利が1%であり、6か月金利が2%であるとしましょう。この場合、3か月後スタートの3か月フォワードの価格(金利)は次のようなロジックで決まります。まず、読者は利回り2%の6か月債を100円で発行するとします*7(図表1 3か月後スタートのフォワードのキャッシュ・フローの複製の左上)。もっとも、読者は3か月後に資金が必要であるため、最初の3か月はその資金は必要ありません。そこで、その資金を1%の3か月債で運用するとします(図表1の左下)。これを組み合わせると、図表1の右側のようなキャッシュ・フローが生まれます。すなわち、(100円調達してすぐに3か月債で運用するため)今から3か月間はキャッシュを持っていませんが、3か月後に3か月債が100円償還することで100円のキャッシュが得られます。このことは3か月後に100円資金調達をした事と同じ意味を持ちます。一方、6か月債を発行していたことを考えると、6か月後に100円を返済することになります。これらを考えると、(1)6か月債を100円発行すると同時に、(2)3か月債で運用することは、3か月後に3か月間100円調達するキャッシュ・フローを複製できていることになります。
このポジションを作るために読者は金利負担が発生しますが、このコストがこの予約取引のためのコストと解釈することが自然です(ここで複製したキャッシュ・フローとフォワードのキャッシュ・フローは同一ですから、両者のコストに差があると裁定機会が発生します)。この事例では6か月債の発行により年率2%でコストを負担する一方、3か月債への運用により1%の利回りが得られますから、(6か月債を発行して3か月債で運用するというポジションは)年率3%のコスト負担が発生します*8。このコストは3か月後に3か月間100円調達するキャッシュ・フローを作るうえで必要となるコストですから、3か月後の資金調達を予約した場合の金利(3か月先3か月間のフォワード・レート)は3%と解釈できます。このことからフォワードのプライスはイールドカーブの形状により決定されることがわかります。
前節で3%で予約する事例をあげましたが、(3か月後スタートの事例ではありますが)このケースも将来の短期間の調達コストを3%で予約できるという取引です。繰り返しになりますが、フォワード契約と金利先物は前者が店頭取引、後者が取引所取引という制度的な違いはありますが、その違いを捨象すれば金利先物を購入することは、上述のポジション(6か月債発行+3か月債ロング)と同じキャッシュ・フローをもたらすがゆえ、先物のプライスも(フォワードと同様)イールドカーブの形状(この事例では3か月金利が1%であり、6か月金利が2%)で決定されると理解することが大切です(繰り返しますが先物価格はあくまで「100-短期金利」でクオートされていると意識することが大切です)。実際に先物を買った際にどのように予約できているかはユーロ円金利先物を用いた事例で後ほど説明します。
ちなみに、ここでは先物とフォワード(先渡)の違いについて焦点を当てていませんが、両者には証拠金の有無などの違いがあります。先物と先渡の違いについては服部(2020a)で詳細に説明していますので、関心がある読者はそちらを参照してください。

図表1.3か月後スタートのフォワードのキャッシュ・フローの複製

2.4 金利先物のその他の特徴
長期にわたる限月の設定
金利先物が有するその他の特徴を確認します。まず、金利先物の大きな特徴は、長期にわたり限月が設定されており、その限月に流動性がある点です。典型的には、3,6,9,12月を満期していますが(毎月設定されるケースもあります*9)、例えば、ユーロドル金利先物などは5年後など満期が遠い限月についても活発に取引がなされています。この事実を初めて知った筆者は非常に驚いたことを今でも覚えています。例えば、3年後の金利先物に流動性があれば、実際の投資家が3年後の短期金利についてどのような予測をしているかを直接観察することができますから、例えば中央銀行の金融政策に関する予測など、多面的な分析ができます(もっとも、後述するとおり、日本の金利先物は流動性が低い点には注意が必要です。海外の金利先物については次回の論文で取り上げます)。
多彩なストラテジー戦略
満期が遠い限月まで売買されている金利先物の特徴として多彩なストラテジー取引が挙げられます。例えば、カレンダー・スプレッド取引は任意の二つの限月の買いと売りを組み合わせた取引です。また、金利先物では、連続する4限月(1年分)をまとめて取引するパック取引や、連続する8、12、16、20限月をまとめて取引する(例えば直近の限月から2年後や4年後までの先物をまとめて取引する)バンドル取引などのストラテジー戦略もあります*10。
満期については年ごとに配色コードが付されています*11。具体的には図表2 金利先物の配色コードと年限のように満期が1年未満の先物については白、満期が1年以上2年未満は赤などの形で配色が付されています。配色コードは実際の取引やブルームバーグの機能など様々な場面で用いられます(実務家の資料などでも説明なく配色コードがでてきます)。前述のパック取引でも用いられており、例えば、ホワイト・パックであれば第1から第4限月をまとめて売買することを意味します。

図表2.金利先物の配色コードと年限

差金決済
金利先物は差金(現金)決済である点も特徴です。日本で取引される国債先物では、残存7年から11年の国債の中から先物の売り手が選んで受け渡す現物決済でした。もっとも、金利先物では、短期金利を原資産としているため、そもそも受け渡すことができません。そのため、金利先物では、日経先物などのように最終取引日の時価で決済を行う差金決済がとられています。金融先物において差金決済が初めて用いられたのはユーロドル金利先物とされています*12。
金利先物には、その他にも証拠金や値洗い、サーキットブレイカーなど通常の金融先物が有する特徴を持っています。ただ、これらの制度的な背景は基本的に国債先物と同じであるため、筆者が記載した「日本国債先物入門」などを参考にしてください。

3.ユーロ円金利先物

3.1 ユーロ円3ヵ月金利先物(ユーロ円金利先物)とは
日本においては現在、東京金融取引所(Tokyo Financial Exchange, TFX)においてユーロ円3ヵ月金利先物(いわゆるユーロ円金利先物)が取引されています。この先物の最大の特徴は原資産が3か月のユーロ円TIBORである点です(実務家はユーロ円TIBORを「ZTIBOR」といいます)。歴史的には1980年代後半に、東京金融取引所(当時は東京金融先物取引所(Tokyo International Financial Futures Exchange, TIFFE))でユーロ円金利先物が作られましたが、当時は他国において円LIBORを原資産とする金利先物が取引されていたため、その差別化という観点で我が国の金利先物はユーロ円TIBORが原資産とされました*13。TIBORにはユーロ円TIBOR以外にも日本円TIBOR(実務家はこちらを「DTIBOR」といいます)が存在していますが、TIBORそのものについては4節で詳細に説明します。
図表3 ユーロ円3ヵ月金利先物の商品性がユーロ円3か月金利先物の商品性です。原資産(取引対象)はユーロ円TIBOR(3か月)であり、想定元本は1億円です。金利の計算のデイカウント・コンベンションはAct/360*14です。最小変動幅(価値)は0.005円(0.5銭)ですが、想定元本が1億円であるため、読者が1枚ポジションを持った場合、1bps動くと2,500円の損益が発生します(表では1,250円と記載していますが、最小呼値に基づいたTFXの記載を用いています)。
この関係を簡単な数値例で確認します。例えば、現時点で先物金利が1%であったとして、読者が1枚だけロングしたとします。翌日、仮に1.01%へ金利が上昇した場合、(金利と価格は逆の動きをするため)先物の買い手は損失を計上することになります。具体的には、ユーロ円金利先物の場合、将来の3か月間を予約する取引でしたから、3か月後において、本来は1%であった金利が、1.01%に上昇したと理解できます。ユーロ円金利先物の想定元本は1億円であり、金利の計算がAct/360であることに注意をすると、
という形で1bps金利が動いた時に2,500円だけ機会損失が発生することが確認できます。金利が固定される期間が3か月であることから、デュレーションを0.25とすれば、金利が1bps上昇した場合、1億円×0.25×1bps=△2,500円という形で確認することもできます(デュレーションやこの計算の詳細については筆者が記載した「金利リスク入門」を参照してください)*15。
最終取引日は限月の第3水曜日の2営業日前です*16。限月の設定については3、6、9、12月ですが、20限月(5年間)設定されています。例えば、2022年3月限については、取引開始日は2017年3月14日であり、取引最終日は2022年3月の第3水曜日の2営業日前になります。取引時間については、「8時45分から11時30分」および「12時30分から15時30分」に日中取引があり、「15時30分から20時00分」が夜間取引になります。
前述の取引最終日まで転売又は買戻しが行われなかった場合は差金決済がなされますが、その際は「最終決済価格」が用いられます。最終決済価格は、「100-TIBOR」で定義されます*17。例えば、取引最終日のTIBORが0.12786%であれば、ユーロ円3ヵ月金利先物の最終決済価格は、99.872(100-0.128%=99.872)になります*18。
筆者の「日本国債先物入門」で記載したとおり、値洗い(Mark to Market)は金融先物の重要な特徴ですが、ユーロ円金利先物では取引日ごとに清算価格を定め、その清算価格に基づき、すべての建玉を時価評価します。清算価格はその日の約定価格と取引数量で加重平均した値が用いられます。
実務家はブルームバーグを使うことが少なくありませんが、ユーロ円金利先物についてはYEというコードがあり、限月であるH(3月限)、M(6月限)、U(9月限)、Z(12月限)と組み合わせて用います*19。例えば、2019年6月限であるとYEM19、2021年12月限であるとYEZ1というティッカーがあります。YE1は中心限月を繋いだティッカーです*20。なお、ブルームバーグ端末で「YEA Commodity CT」を叩くと、限月一覧で色分け(前述の配色コード)されて表示されます。

図表3.ユーロ円3ヵ月金利先物の商品性

3.2 ユーロ円金利先物を用いた予約の事例
ここから、ユーロ円金利先物について数値例を用いて考えてみます。例えば、現時点が7月1日であり、9月限のユーロ円金利先物を購入するケースを考えます。現時点での金利先物の価格は98円とします。この場合、先物金利は2%(=100-98)であることを意味しました。前述のとおり、先物とは予約取引ですから、ここで98円で先物を買うとは2%で、(満期である)9月から3か月間運用することを確定させることと理解できます。ユーロ円金利先物は1枚1億円でしたから、読者がユーロ円金利先物を1枚購入した場合、50万円(=2%×1億円×0.25年)の利息収入を9月からの3か月の運用で得ることができます。
ここでその後、最終取引日までに金利先物の価格が変化した場合、どのような形で50万円の利息収入が確定されるかを数値で確認します。ここでは最終取引日を9月20日とし、9月20日に投票のメカニズムでZTIBORが1.5%に決まったとします(投票のイメージは服部(2021a)を参照してください)。この場合、最終決済価格は98.5円(=1.5%)となり、1bps動いた場合、2,500円の損益が動くことを思い出せば、1枚ロングしていた読者は12.5万円の利益(キャピタル・ゲイン)を得ることができます。一方、読者は9月20日のTIBORである1.5%で運用できると想定すれば、元本1億円を3か月運用すれば、37.5万円(=1億円×1.5%×0.25年)の利息収入(インカム・ゲイン)が得られます。この結果、読者が得られる利益はキャピタル・ゲインとインカムゲインを合わせて50万円(12.5万+37.5万)となり、前述した50万円と一致することがわかります。
この例からユーロ円金利先物を98円で購入した場合、最終取引日以降の3か月間の金利を2%に固定できることがわかります。すなわち、金利先物を購入した場合、その先物金利が(最終決済価格を決める)TIBORと乖離した場合、それを埋め合わせる(相殺する)利益を先物を通じて得られるため、当初予定した予約効果が得られるわけです。もっとも、この例からもわかるとおり、先物の決済は契約の満期になりますが利息はその3か月後に支払われるなどの特徴があり、実務的にヘッジに用いる場合、そのヘッジ効果が完璧に得られない可能性がある点については注意が必要です*21。

3.3 ユーロ円3ヵ月金利先物はどの期間の予約(予測)をしているか
詳細は後述しますが、TIBORはLIBORと基本的には同じように定められるため、TIBORは「前決めターム物金利」という特徴を持ちます。服部(2021a)で説明した通り、前決めターム物金利とは、現時点で将来にわたる(例えば3か月間の)金利が確定するという特徴を有しますから、9月限のユーロ円金利先物を購入するとは、(原資産が3か月ZTIBORであることを考えると)9月からの3か月間の金利を予約することになります。そのため、3月限であれば3月から始まる3か月金利、6月限であれば、6月から始まる3か月金利を予約した取引と解釈できます。言い換えれば、金利先物の場合、各限月が特定の3か月の予約になっており、その予約期間が重複しないという特徴があります(図表4 各限月と予約(予測)期間の関係を参照)*22。そのため、予約金利を「予測」と解釈すれば、金利先物の価格をみるだけで、長期にわたり、特定期間の3か月金利に関する投資家の予測を直接観察できることができます。
このことから海外の市場では金利先物の価格に立脚して中央銀行の利上げ・利下げ予測をする傾向があります(金利先物を利用した利上げ・利下げ予想については次回の論文でフェデラル・ファンド金利先物(いわゆるFF金先)の事例を用いて説明します)。もっとも、円金利の利上げ予想については後述する流動性の観点からユーロ円金利先物は用いられずオーバー・ナイト・インデックス・スワップ(OIS)のカーブに基づいてなされる傾向にあります(OISや金利スワップについては筆者が執筆した「金利スワップ入門」や「リスク・フリー・レート入門」を参照してください)。

図表4.各限月と予約(予測)期間の関係

3.4 ユーロ円3ヵ月金利先物の流動性
ユーロ円金利先物の特徴は、日本国債先物やユーロドル金利先物などに比べて流動性が低い点です。たとえば日本国債先物の場合、一日あたり2兆円を超える売買がありますが、ユーロ円金利先物の場合、ほとんど取引がなされない日も少なくありません(したがってユーロドル金利先物やFF金先とは異なり、長期の限月について流動性があるわけではありません)。制度的にはユーロ円金利先物のオプションもありますが、こちらについては全く流動性がありません。
ユーロ円金利先物の流動性が上がらない(と筆者が考える)最大の理由は、日本では長年低金利政策が実施されていることから、そもそも短期金利に変動がなく、それをヘッジするニーズが相対的に少ない点です。図表5 ユーロ円金利先物および同オプションの取引高(枚)の推移はユーロ円金利先物の1日の平均取引高(枚)を示していますが、ユーロ円金利先物の導入以降、数年間は売買が拡大していきましたが、低金利政策に伴い売買が低下していきます。量的緩和解除以降、再び売買が増加していきますが、2009年以降再度低下していき、足元ではほとんど売買がされていない状況が続いています。
我が国の金利先物の歴史をみると、様々な先物の上場を試すものの流動性が向上せず停止することが少なくありません。例えば、6か月円LIBORを原資産とする「LIBOR6か月金利先物」を2012年1月に上場させていますが、その後取引高がゼロの状態が続き、2014年から売買を停止しています。円金利スワップ先物も、2003年に上場しましたが、2007年に休止しています*23。我が国で先物の流動性が生まれないことは金利先物だけでなく、国債先物でも見られています(例えば超長期国債先物は日本取引所グループが度々上場を試みるものの流動性がない状況が続いています)。国債先物に比べ、金利先物の場合、特に短期金利を原資産としているため、2000年以降、基本的には緩和的な金融政策が続いている中、短期金利が変化するリスクは少なく、金利先物を取引する需要は相対的に低い状況が続いています。そもそも上場した先物の流動性が上がらないこと自体は様々な国で見られています(海外の事例は次回の論文で取り上げる予定です)。
ユーロ円金利先物の別の問題は、価格そのものが短期的にデジタルな動きをするなど特徴的な動きをすることがある点です。確かに長期的なトレンドをみると国債の3か月金利とユーロ円金利先物の間には高い相関がありますが、短期的には不規則な動きをする傾向が見られます。そのため、証券会社のトレーダーなどマーケット・メイカーにとってユーロ円金利先物は、例えば短期国債のマーケット・メイクや入札時におけるヘッジ手段として使いにくいと考えることも少なくありません。
このように流動性に問題を抱える我が国の金利先物ですが、我が国では無担保コール翌日物金利(Tokyo OverNight Average rate, TONA)がLIBORの代替金利として特定されたことから、TONAを原資産とした金利先物(無担保コールオーバーナイト金利先物)の活発化が中長期的に求められているともいえます(TONAの詳細は筆者が執筆した「リスク・フリー・レート入門」を参照してください)。TONA金利先物については、TFXにおいて2017年7月に取引は停止された一方で、取引のニーズが見られ始めた場合には速やかに取引の再開を検討するとしています*24。

図表5.ユーロ円金利先物および同オプションの取引高(枚)の推移

4.TIBOR(Tokyo InterBank Offered Rate)とは

4.1 TIBORとは
ここからユーロ円金利先物の原資産であるTIBORについてより詳細に考えていきます。そもそもTIBORとは、Tokyo InterBank Offered Rateの略であり、円LIBORと類似した投票に基づく金利指標です。TIBORが近年注目を集めている背景には、LIBORが(ドルの一部テナーを除き*25)2021年末をもって公表を停止するなか、2022年以降も継続して公表されることがあります。円LIBORと基本的に同じ構図をとるため、TIBORは「前決めターム物金利」というLIBORと全く同じ特性を有することから、実務的に使いやすいといえます(後決め金利が実務的に使いにくい点は、服部(2021b)で詳細に説明しました)。
TIBORについてもLIBORと同様、レファレンス・バンク(パネル行)が金利を提示することで算出されます。TIBORの場合、呈示されたレートのうち、最も高いレートを呈示した2社の値、および、最も低いレートを呈示した2社の値を除外したものを母数として、単純平均したレートを公表しています。その意味では、LIBORと若干算出方法が違いますが、一部をカットした平均(トリム平均)を用いている点は共通しています。TIBORについては1週間物、1か月物、3か月物、6か月物、12か月物の5つの期間(テナー)が算出されています。
前述のとおり、TIBORの特徴は、「日本円TIBOR」と「ユーロ円TIBOR」という二種類ある点です(実務家は前者を「DTIBOR」、後者を「ZTIBOR」と呼びます)。両者の違いは図表6 日本円TIBORとユーロ円TIBORの比較にまとめられていますが、大きな構造は同じであるものの、前者は国内で決定される一方、後者は「ユーロ円」という名称のとおり、日本国外(オフショア)で金利が定められます。歴史的にはユーロ円TIBORが1980年代、金利スワップ市場が拡大する中で作られます。もっとも、かつては通信社などが独自に算出しており、その値がバラバラであるなどの問題を有していました。これらを背景に、1998年から全銀協が一本化して公表することとなりました。一方、日本円TIBORは1995年から全銀協が集計して公表しています。
ユーロ円TIBORは図表6にあるとおり、360日ベースになっていますが、もともとは他の円金利のように365日が用いられていました。もっとも、この慣習は当時、短期金融市場の国際的な取引実態にそぐわないと指摘されていました。1990年代は日本における金融ビックバンが進められており、国際基準に従うという機運もあったことから、1998年から全銀協が一本化して公表するタイミングで、全銀協の算定方式を360日基準に見直しています(日本円TIBORについては今でも365日ベースが用いられている点に注意が必要です)*26。
ちなみに、後述するTIBOR改革の結果、現在はユーロ円TIBOR、日本円TIBORともに全銀協TIBOR運営機関(JBATA(ジャバタ))が算出を行っています。また、ユーロ円TIBORは将来的に廃止し、日本円TIBORに一本化する方向で検討することとなっています(こちらも詳細は後述します)。

図表6.日本円TIBORとユーロ円TIBORの比較

4.2 TIBOR改革
TIBORにおいて重要な点は、前述のとおり、国際的にはLIBORが(ドルの一部テナーを除き)2021年末をもって停止する中、TIBORは2022年以降も継続して公表される点です。その意味で、LIBORとは異なり、2022年以降も、TIBORを活用することができます。しかし、服部(2021)で指摘してきたとおり、LIBORの公表停止は構造的な問題であり、LIBORの算出方法と本質的に同じことを考えると、LIBORが公表停止されるにもかかわらず、TIBORがLIBORの代わりとして活用されるとすれば、読者からすれば不思議な気がするかもしれません。
その一方で、LIBORに似た指標金利が存続するという現象は我が国だけではない点にも注意が必要です。例えば、欧州では欧州銀行間取引金利(EURo InterBank Offered Rate, EURIBOR)が存在していますが、EURIBORはTIBORと同様、2021年以降も残ります(EURIBORはEuroのLIBORより流動性があるとされています)*27。LIBORについては改革を実施した上でも公表停止し後継金利への移行を目指すべきとの判断がなされた一方、TIBORやEURIBORでは改革を行って頑健性を向上させた上で公表を継続するという異なるアプローチがとられたと言えます。
TIBORについても、LIBOR同様、国際的な議論*28を踏まえた改革が進められてきました。具体的には、2013年に金融庁が「金利指標の規制の在り方に関する検討会」を実施し、国際的な議論の動向も踏まえ、2015年5月、金融商品取引法に「金融指標に関する規制」が導入されました。LIBORについては英国銀行協会 (British Bankers Associations, BBA)からインターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange, ICE)へ算出機関が変更しましたが、TIBORについても、TIBORを算出していた全銀協が全銀協TIBOR運営委員会を立ち上げ、利益相反を防ぐために、前述のJBATA*29という独立機関が設立されました。それに伴い、TIBORを構築するうえで順守すべき諸々の規定が作られました。2017年7月から全銀協TIBOR改革の実施がなされています。
服部(2021a)でLIBOR改革において「ウォーター・フォール構造」の導入がなされた点を説明しましたが、TIBORについても同様の措置がとられています。図表7 TIBOR改革後におけるTIBOR算出のイメージに記載しているとおり、各レファレンス・バンクごとに、ウォーター・フォール構造に基づき、市場の実勢に反映したレートを算出します。そのレートを各行がJBATAへ提示し、そこからトリム平均をとることでTIBORを算出するわけです。
ウォーター・フォール構造は、服部(2021a)で説明したとおり、実際の取引に近い値から採用してく方法です。日本円LIBOR(DTIBOR)について詳細は図表8 日本円TIBOR(DTIBOR)のウォーター・フォール構造に記載されていますが、順位1から順位3まで順番にみていき、データが存在するところで提示レートを決定します。順位1から順位3の値が得られない場合に限って、専門家判断が利用されることになっています*30(一方、服部(2021b)で強調したとおり、東京ターム物リスク・フリー・レート(Tokyo Term Risk Free Rate, TORF)では専門家の判断がない点が特徴でした)。JBATAは、「呈示レートの算出・決定において、実際の取引データをはじめとした各種データを優先順位に沿って参照する『ウォーターフォール構造』を導入することで、恣意的なレートの操作を行う余地を極力排除した、客観的なプロセスを実現しています」*31と説明しています。

図表7.TIBOR改革後におけるTIBOR算出のイメージ
図表8.日本円TIBOR(DTIBOR)のウォーター・フォール構造

4.3 日本円TIBORとユーロ円TIBORの違い
前述の通り、TIBORには日本円TIBOR(DTIBOR)とユーロ円TIBOR(ZTIBOR)がある点も大きな特徴です。基本的に同じ設計がなされていますが、若干違う点に注意が必要です(後述しますが、値そのものは近年その乖離が拡大しています)。前述のとおり、DTIBORは国内の無担保コール市場の実勢を反映すると解釈される一方、ZTIBORの場合、オフショア市場の実勢を反映していると解釈されます。
これ以外の点でも両者には違いがあります。例えば、DTIBORとZTIBORではレファレンス・バンクが若干異なります。レファレンス・バンクは変化しうるものですが、2020年度についてDTIBORは15行、ZTIBORは14行であり、前者に比べ、後者は外国の金融機関がより多く含まれるなどの特徴があります*32。
DTIBORは国内の無担保コール市場、ZTIBORはオフショア市場の実勢を反映すると説明しましたが、これに伴い、ウォーター・フォール構造も異なります。具体的には、第1層で参照している市場が、DTIBORの場合、無担保コール市場を参照する一方、ZTIBORは本邦オフショア市場を参照しています*33。図表8はDTIBORのウォーター・フォール構造を示していますが、ZTIBORのウォーター・フォール構造を図8を用いて説明すると、第1層と第2層が入れ替わるイメージです。
DTIBORとZTIBORのどちらが良く活用されるかはケース・バイ・ケースです。邦銀の貸出という意味では、DTIBORの方が良く使われるという意見もありますが、前述のとおり、ZTIBORは我が国で取引されている金利先物の原資産になっており、市場参加者の注目はこちらの方が高いと見ることもできます。
その一方で、前述のとおり、JBATAは、ZTIBORを廃止し、DTIBORに一本化する方向で検討を進める予定です。JBATAは、証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions, IOSCO)が2013年に公表した金利指標に関するIOSCO原則の遵守状況について年次で自己評価を行っており、同原則を遵守している一方、原則7(データの十分性)および原則13(移行)に関して一部課題を認識しており、これらの項目に関する改革の検討を進めています。このデータの十分性の観点から、本邦オフショア市場の長期的な縮小傾向も踏まえて2018年10月にはZTIBORとDTIBORの統合について市中協議を実施し、2019年5月にはDTIBORへの一本化を最も有力な選択肢として検討を進めることとしています。なお、具体的なZTIBOR廃止の時期としては、現時点では2024年12月末が想定されています*34。

図表9.ユーロ円TIBOR(ZTIBOR)、日本円TIBOR(DTIBOR)およびユーロ円LIBORの推移がDTIBORとZTIBORの実際の値の推移を示したものですが、値そのものは似ているものの近年乖離幅が大きくなっています。DTIBORとZTIBORのスプレッドは国内と国外の需給の差などで解釈されます。図表9では、円LIBORの推移も記載されており、オフショアという意味でZTIBORと似た概念ではありますが、その動きは大きく異なる点に注意が必要です。円LIBORとZTIBORを比較すると、1998年にその乖離が大きくなっており、かつて「ジャパン・プレミアム」と解釈されることもありました。もっとも、2010年以降、両者には解離が生まれている点に留意が必要です(2020年以降、両者のスプレッドは縮小しています)。

4.おわりに
本稿では金利先物の概要について説明をしました。金利先物についてさらに勉強したい読者はタックマン(2016)やハル(2012)など標準的なファイナンスの教科書に加え、一般社団法人 金融先物取引業協会による各種教材*35等を参照していただければ幸いです。
次回は海外の金利先物について解説することを予定しています。

参考文献
[1]服部孝洋(2019)「イールドカーブ(金利の期間構造)の決定要因について―日本国債を中心とした学術論文のサーベイ―」ファイナンス10月号、41ー52.
[2]服部孝洋(2020a)「日本国債先物入門―先渡と先物価格の乖離を生む要因―」『ファイナンス』3月号、37ー41.
[3]服部孝洋(2020b)「金利リスク入門―デュレーション・DV01(デルタ、BPV)を中心に―」『ファイナンス』10月号、54ー65.
[4]服部孝洋(2021a)「金利指標改革入門―店頭(OTC)市場とLIBOR不正操作問題について―」『ファイナンス』11月号、10ー19.
[5]服部孝洋(2021b)「リスク・フリー・レート(RFR)入門-TONA,TORF,OISを中心に-」『ファイナンス』12月号、14ー24.
[6]服部孝洋・日本取引所グループ(2021)「国債先物入門」
[7]ブルース・タックマン(2012)「債券分析の理論と実践(改訂版)」東洋経済新報社
[8]ジョン・ハル(2016)「フィナンシャルエンジニアリング〔第9版〕―デリバティブ取引とリスク管理の総体系」きんざい
[9]レオ・メラメド(1997)「エスケープ・トゥ・ザ・フューチャーズ―ホロコーストからシカゴ先物市場へ」ときわ総合サービス出版調査部
[10]Burghardt, G. (2003)“The Eurodollar Futures and Options Handbook” Irwin Library of Investment & Finance.

*1)本稿の意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織の見解を表すものではありません。本稿の記述における誤りは全て筆者によるものです。また本稿は、本稿で紹介する論文の正確性について何ら保証するものではありません。本稿につき、コメントをくださった多くの方々に感謝申し上げます。
*2)下記をご参照ください。
     https://sites.google.com/site/hattori0819/
*3)本文では運用サイドの視点で説明をすることが少なくありませんが、調達サイドのヘッジとして活用されることもあります。「金利先物の買い」は、裏を返すと、資金調達サイドにおいて、固定化の逆の「変動化」として利用されます。例えば、固定金利調達をした人が、金利先物を買うことで、金利低下(価格上昇)時にプラスが発生し、金利上昇(価格下落)時に、マイナスが発生することで、実質的な変動金利の調達に変換することができます。
*4)IMMとは米国のシカゴにある通貨先物市場であり、1972年に創設されましたが、この指標はIMMで作られたため、IMM指数と呼ばれています。
*5)「9がつぎり」と読みます。
*6)詳細は服部・日本取引所グループ(2021)などにゆずりますが、一定の計算式により残存7-11年の国債と満期日に交換できる仕組みがとられています。
*7)読者が6か月債の発行ではなく、6か月間100円を借りて、6か月後に返済する借入れをしたと読み替えても問題ありません。
*8)100円を2%で半年調達すると、2%×100/2=1円の金利の支払いが発生します(利回りは年率で定義されているため、1/2を掛けている点に注意してください)。一方、100円を1%で3か月運用すると、1%×100/4=0.25円の金利が得られます。この場合、3か月分のコストとして0.75円支払うことを意味しますが、これは年率で3%の利払いに相当します。円金利の利払いは半年に1度であるため、複利を考える必要はありません。
*9)フェデラル・ファンド金利先物(いわゆるFF金先)のように1か月毎に限月が設定されているものもあります。
*10)これらの具体例を知りたい読者はBurghardt(2003)などを参照してください。
*11)ホワイト・パック(第1から第4限月)、レッド・パック(第5限月~第8限月)、グリーン・パック(第9限月~12限月)、ブルー・パック(13限月~16限月)、ゴールド・パック(17限月~20限月)というように、パック取引において、どの年限のパックを取引するかを指定するために、配色コードが使われています。
*12)メラメド(1997)では「1981年、マーカンタイル取引所は、最初の差金決済の先物商品として、ユーロドル金利先物を上場して、世界の先物市場の歴史に一頁を加えた」(p.140)と説明しています。
*13)後述のとおり、ユーロ円TIBORは1990年代半ばに全銀協が算出するようになりますが、ユーロ円金利先物についても商品性を変更しており、現在の形になっています。
*14)Act/360とは、金利の計算を考えるため、年間を360日とするという慣習です。タックマン(2012)では、「一般にマネー・マーケットにおける単利はactual/360(実日数/360)という慣行に基づいて計算されている」(p.59)としています。ちなみに、ハル(2016)に記載しているとおり、利子計算のコンベンション(デイカウント・コンベンション)は、(1)Actual/Actual、(2)30/360、(3)Act/360に分かれます。日本の場合、30/360は社債などで用いられます。
*15)Bloombergを用いてユーロ円金利先物のDV01(BPV)を評価すると、1枚当たりのDV01(BPV)は2,500円と表示されます。1枚1億円であることを思い出すとデュレーションは0.25になります。デュレーションやDV01は服部(2020b)を参照ください。
*16)国債先物(ミニ取引を除く。)の取引最終日は、受渡決済期日(各限月の20日(休業日に当たるときは、順次繰り下げる。))の5日前(休業日を除外する。)の日となります。
*17)最終決済価格は小数点以下第3位(0.1ティック)まで計算されます。計算にあたっては、TIBORの小数点第4位を四捨五入し、100から引いた値が最終決済価格となります。
*18)この例はTFXのWebサイトに記載されている例を用いています。
*19)先物では限月についてF(1月)、G(2月)、H(3月)、J(4月)、K(5月)、M(6月)、N(7月)、Q(8月)、U(9月)、V(10月)、X(11月)、Z(12月)が用いられます。
*20)YE2 Comdtyは直近限月の翌期を繋いだジェネリックのティッカーになります。
*21)ハル(2016)ではヘッジ量の調整などで対応する事例が紹介されています。詳細はハル(2016)の第6章などを参照してください。
*22)筆者の意見では、このように重複しない仕組みになっている理由が様々な限月の流動性が生まれていることの一因です。
*23)「円金利先物、3年後までの価格を提示 東京金融取引所」(日本経済新聞、2013/12/24)を参照。
*24)「金融取、翌日物金利先物の取引を停止」(金融ファクシミリ新聞、2017/6/23)を参照。
*25)ドルLIBORは一部テナーを除き2023年6月末に停止予定です(1週間物、2ヶ月物は2021年12月末に公表停止)。
*26)ここでの記述は「TIBOR、『360日基準』に変更、金融界方針――指標性確立を狙う」(日経金融新聞、1997/8/20)を参照しています。
*27)EURIBORは、欧州の主要銀行が欧州時間午前11時に公示する銀行間貸出スポットレートを基に算出しており、欧州マネーマーケット協会(European Money Markets Institute, EMMI)が公表しています。
*28)2013年7月には証券監督者国際機構(IOSCO)が金融指標に関する原則(「IOSCO原則」)を公表したほか、2014年7月に金融安定理事会(FSB)が公表した報告書では、LIBOR、EURIBOR、TIBORといったIBORについて頑健性・信頼性を高めるための取組みを進めるとともに、リスク・フリー・レートの構築も進め、それぞれの金利指標を金融商品や取引の性質を踏まえて利用していく「マルチプル・レート・アプローチ」を提言する等、IBOR改革が国際的な潮流となっていました。
*29)全銀協TIBOR運営機関は「特定金融指標算出者」として指定を受け、2015年11月、業務規程について、内閣総理大臣の認可を取得しています。
*30)なお、全銀協TIBOR改革実施後、「専門家判断」によって呈示レートが決定された実績はありません(全銀協TIBOR運営機関「金利指標改革を踏まえた全銀協TIBORの現状および今後の展望(2021年3月)」を参照)。
*31)JBATA「金利指標改革を踏まえた全銀協TIBORの現状および今後の展望」より表現を抜粋しています。
*32)具体的にはDTIBORはみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、横浜銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、新生銀行、あおぞら銀行、BNPパリバ銀行、信金中央金庫、商工組合中央金庫、農林中央金庫の15行である一方、ZTIBORは、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、横浜銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、JPモルガン・チェース・バンク・ナショナル・アソシエーション、ドイツ銀行、BNPパリバ銀行、信金中央金庫、商工組合中央金庫、農林中央金庫の14行です。
*33)DTIBORおよびZTIBORのウォーター・フォール構造の詳細は一般社団法人全銀協TIBOR運営機関による「全銀協TIBOR行動規範」を参照してください。
*34)全銀協TIBOR運営機関「『金融指標に関するIOSCO原則(19原則)』の遵守状況等について」(2021年3月)を参照。
*35)例えば下記をご参照ください。
      https://www.ffaj.or.jp/investors/education/