このページの本文へ移動

各地の話題/「ファイナンス」令和3年8月号

徳島県
吉野川のめぐみと阿波おどり 徳島
徳島税務署 総務課長 有満  正登

1.はじめに
徳島税務署は、全国に税務署が設置された明治29年11月に徳島税務署として設置され、昭和22年3月に現在の地の徳島市幸町に庁舎が設置されました。
現在の庁舎は、昭和37年に完成し、平成になり、バリアフリー設備整備工事、耐震工事を行い、令和の現在、まもなく60年を迎えようとしています。
管轄区域は、東部を紀伊水道に臨む徳島市、小松島市、吉野川南岸下流域の石井町、四国山地に源を発する勝浦川流域の勝浦町、上勝町、四国山地に接する神山町、佐那河内村の2市4町1村であり、総面積は660.66km2、人口は約33万人となっています。

2.管内の特色
〔吉野川〕
かつては、日本三大暴れ川と謳われ、四国三郎の異名をもつ、吉野川のめぐみなくしては語れません。
吉野川は、石鎚山系の亀ケ森を水源に総延長194kmにものぼる一級河川です。河口は幅1.3kmにも及び、思わず海と勘違いしてしまうほどのスケールですが、その昔は、毎年のように洪水が発生し、災害に悩まさていました。しかし、その川の氾濫によって流域に肥沃な土が運ばれ、沖積平野を形成し、江戸時代から藍作を中心とする職業的農業が発展してきました。
今はもう藍畑をほとんど見ることはできませんが、これに代わって、野菜や果物などの農業生産が盛んに行われており、「関西の台所」とも呼ばれています。徳島県でみると、春夏にんじんや生シイタケ、すだちなどの出荷量は全国1位となっています。レンコンや洋ランも全国上位となっていますし、阿波牛、阿波とん豚などのブランド肉も有名です。
特にすだちは、さわやかな酸味と緑色の皮をもつ、徳島原産の香酸かんきつで、全国シェアの9割以上を占め、食卓に欠かすことのできない農産品です。
徳島県のマスコットキャラクターも「すだちくん」になっています。すだちは食べ物に添えて酢やレモンと同じような使い方をしますが、ジュースやお酒にもなり、皮は薬味として使えます。すだち酒、すだち酎はおすすめです。
他にも徳島で誕生した地鶏の阿波尾鶏は、身がしまって適度な歯ごたえがあり、脂肪が少なくうまみとコクのある味が特徴です。名前の由来は地鶏の尾羽の美しい姿を阿波おどりと掛け合わせて命名されたとか。
〔阿波藍〕
徳島は、江戸時代から天然染料「蒅(すくも)」の全国一の産地です。徳島産の蒅は阿波藍とよばれその高い品質から他の藍と区別されたほどです。
江戸時代、阿波藍は質、量ともに日本一を誇りました。藍以外の染料が乏しかったことからも阿波藍は全国の染料市場を席巻し、地元に莫大な富をもたらしました。そして隆盛を極めた藍商人から上納される運上金(各種産業に対し一定の税率で貸した税金)や冥加金(特定の営業免許などの代償として支払う金銭)で潤いました。徳島市藍場浜には、藍倉が立ち並び、年に一度の市は全国から商人が集結したことで交流人口が増大し藍商人をスポンサーとした人形浄瑠璃や阿波おどり等の文化の発展もありました。
天然藍の藍染は美しさだけではなく、肌にも優しく、抗菌・防虫効果もあります。保湿効果もあり冷え性にも良いとされています。また、その色合いは、神秘的なブルーと世界から賞され、ジャパンブルーと呼ばれています。藍の濃淡だけで表現される藍染はシンプルだけど奥深い模様となっています。なお、東京オリンピックのエンブレムは日本の伝統色として藍色で描かれています。
〔阿波おどり〕
昔、藍倉があった藍場浜で行われる阿波おどりが壮大なスケールで観る人を魅了します。
阿波おどりは、日本3大盆踊りに数えられる日本を代表する盆踊りで400年の歴史があります。人々のくらしに根付き時代の変化を巧みに取り入れながら継承し洗練されてきました。魅力は、芸術的で美しいこと、三味線、太鼓、鉦、横笛などの鳴り物による生演奏で踊ること、観客も踊りに参加できることが魅力です。県内各地で開かれますが、徳島市の阿波おどりが最も規模が大きく、毎年8月12日から15日の4日間開催され、100万人以上の人出で町は熱気に包まれます。阿波おどりは古くから「手をあげて、足を運べば阿波おどり」と言われるほど初めての人にも親しみやすいのが特徴です。「よしこ(阿波おどり特有のお囃子)」リズムを感じ、熱気の渦に飛び込んでみませんか。だれでも阿波おどりに参加できる「にわか連」もあり、気軽に阿波おどりを体験することができます。
また、徳島市のシンボル眉山のふもとにある阿波おどり会館では、毎日、昼夜に踊りの実演があり、年間15万人もの人が来場し、観客も一緒に踊って楽しんでいます。
〔眉山〕
「眉の如雲居に見ゆる阿波の山かけてこぐ舟泊知らずも」万葉集にも詠まれている「眉山(びざん)」は徳島市のシンボル。どの方向から見ても美しい眉の形をしているため、この名前で呼ばれています。標高290mの山頂にある「眉山公園」は桜の名所としても知られており、展望台からは市内を流れる数々の川はもちろん、広がる徳島市街地や紀伊水道の大パノラマが堪能できます。山頂までは、ドライブコース、ロープウェイ、ハイキングルートが整備されており、気軽に訪れることができます。
〔徳島ラーメン〕
徳島を代表するご当地グルメの一つです。豚骨ベースに濃厚しょうゆを組み合わせた茶系のスープに豚バラ肉、生卵をトッピングして、白ご飯と合わせるのが鉄板の組み合わせです。茶系の他にも白系、黄系の計3種類のスープがあり、どれも濃厚で深い味わいです。徳島市内だけでも100軒を超えるお店があると言われています。

3.管内の話題
〔ゼロ・ウェイスト〕
管内の上勝町では、ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言を行っています。ゼロ・ウェイストとは、無駄・ごみ・浪費を無くすという意味で、ごみをどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さない社会を目指す考え方で、町のごみをゼロにしようと、地域資源を活用した、ごみを出さない仕組みづくり、人づくりを行っています。ごみになるものがほとんどなくて、快適でストレスなく暮らしていける、資源を循環して美しい地球がいつまでも続いていくという社会、ゼロ・ウェイストな社会をめざしています。その考えを象徴する施設、「ゼロ・ウェイストセンター」は、不思議な形(上からみると「?」の形)をしていますが、町内の人が持ち込み、自分で分別(45分別)するごみステーションと、自分には不要だけど、まだ使えるものを持ち込み、無料で持ち帰ることのできるリユースショップ、交流スペースやオフィス、ゼロ・ウェイストアトラクションを体験できるホテル等が備わっており、アートで機能的な建物となっています。
また、上勝町では、山の樹木を生かし、町で採集した植物の葉などを、料理店で使用される料理を引き立てるための「つまもの」として販売を行う「葉っぱビジネス」を事業化しました。今では、露地やハウスで自家栽培し、高品質・安定供給を維持し、約300種のつまものを商品化し、全国の市場の8割のシェアを誇り、海外への輸出も始めています。
葉っぱビジネスは高齢者がパソコンを使って生き生きと働ける仕組みづくりが魅力で、「人生、いろどり」というタイトルで映画にもなりました。
自然を生かし、自然と共存し、地方ならではの特色を生かした産業の発展を行っている町で、地方で生まれ育ち、都会で働いた人がUターンしたり、都会からIターンする人も増えています。高齢者も生涯現役で働くことができ、医療費も少ないといった、地方のモデルケースを見ることができる地域でもあります。

【写真提供】
徳島市にぎわい交流課、上勝町

西条市
水の循環が感じられるアウトドアのまち
伊予西条税務署 総務課長 大沢  勇人

1.はじめに
伊予西条税務署は、陣屋町として栄えた旧西條藩の武家屋敷跡に税務署発足の年(明治29年11月)に西條税務署として設置され、昭和23年に伊予西条税務署に改称、昭和41年に現在の地に庁舎を移転しています。
管轄区域は、当初2郡でありましたが、その後、署の統廃・分離や市町村合併を経て、現在は西条市1市となり、総面積は約510km2、人口は約11万人となっています。
〔陣屋跡から望む税務署と石鎚山〕
西条市は愛媛県東部に位置し、南は西日本最高峰の「石鎚山」、北は瀬戸内海の燧灘に面して、気候は温暖で豊かな自然と清らかな水の恵みに育まれた歴史と伝統が息づくまちです。
良質で豊富な水資源により、日本一の生産を誇るはだか麦や愛宕柿など農産物の一大産地であるとともに、飲料や機械など様々な企業が立地し、四国最大規模の工業地帯となっています。

2.管内の名所・話題
〔西日本最高峰 石鎚山〕
石鎚山(標高1,982m)は日本百名山で、日本七霊山の一つです。古く奈良時代から修験道の地として知れ渡り、あの弘法大師(空海)も修行したとされています。山頂までの登山道には、全国でも珍しい4カ所の鎖場がありますが、う回路もあります。
石鎚山を中心に個性的な山々が連なる石鎚山系には広大な笹原の高原や白骨林・原生林、石鎚特有の高山植物など特徴的な自然が広がり、桜、新緑、紅葉、雪景色と四季折々の手つかずの自然に触れることができ、また、多様のトレッキングルートも楽しめるのもこの山の醍醐味です。
〔UFO(雄峰)ライン(町道瓶ケ森線)〕
石鎚山系の標高1,300m~1,700mの尾根沿いを縫うように走る全長27kmに及ぶ町道は、UFOラインと呼ばれ、天空へと続く四国のてっぺんからの絶景はツーリングコースとして人気があります。
〔うちぬき(水の都西条市)〕
市内は全国的にもまれな被圧地下水の自噴地帯が広範囲にわたって形成されています。一帯では15~20mの鉄パイプを打ち込むだけで、良質かつ豊富な地下水が自然に湧き出し「水の都」とも呼ばれています。その自噴井は「うちぬき」と呼ばれ、飲料水としての利用はもちろん利水産業の興隆を促してきました(この自噴井は市内に約3,000カ所!)。
この「うちぬき」の水は石鎚山系からの伏流水のことで、「昭和の水百選」に認定され、全国きき水大会で2年連続日本一おいしい水に選ばれています。
〔西条まつり〕
毎年10月に開催される「西条まつり」は、市内の嘉母神社、石岡神社、伊曽乃神社、飯積神社の四社の祭礼を総称したもので、その歴史は古く、江戸時代から300年以上受け継がれています。特徴は彫刻や装飾が施されただんじりにあり、奉納されるだんじりの数は110台以上に及び、市内全域を併せると150台を超えています。
かき夫が威勢の良い掛け声とともに太鼓と鉦に併せて担ぎ上げ、また練り歩くさまは圧巻で豪華絢爛。
最も規模が大きな伊曽乃神社祭礼の「川入り」は、まさに水の都西条を象徴する名場面です。
〔アクティビティ〕
市内には、「アウトドアオアシス石鎚」、四国最大級の自然共生型アウトドアパーク「フォレストアドベンチャー西条」、「クライミング」、ロープウェイで標高1,300mまで夜の空中散歩「石鎚山スターナイトツアー」、スキーやスノボーなどアウトドアが楽しめる場所がたくさんあります。更に市内の「水めぐりツアー」、川や海でのカヤックなど、海抜0m~石鎚山頂までの広大なフィールドを活用した多くのアウトドアアクティビティが楽しめます。

3.名産品
〔西条のうまいもん〕
「うちぬき」は市内の各所で自由に飲めますが、その水を使用した多彩な特産品が作られています。6カ所の蔵元がある日本酒、新鮮野菜、豊富な魚介類もあります。
また、愛宕柿に日本一の大きさの「太天柿」、キウイなどもあります。

4.おわりに
株式会社宝島社が発行する「田舎暮らしの本」(2月号)2021年版の「住みたい田舎ベストランキング」で、西条市が全部門(総合・若者世代・子育て世代・シニア世代)で全国1位を獲得しました。
魅力的なスポットや名所など紹介できていないものがまだまだ数多くあります。
「鉄道の聖地」としても人気があり、遺跡や史跡、温泉など、自然と文化と歴史も楽しめます。
ぜひ、これらを見て、食べて、体験してみて、楽しみが尽きない西条の魅力を満喫してみてはいかがでしょうか。

【資料・写真提供】
西条市役所

安芸署
自然豊かな歴史の里
安芸税務署 総務課長 阿部  ひとみ

1.はじめに
安芸税務署は、明治29年に設置され、安芸市、室戸市及び安芸郡4町3村の9市町村を管轄しています。管轄区域は高知県の東部に位置し、署が所在する安芸市は、高知市から東へ40Kmの位置にあり、東部の拠点都市として、国・県の出先機関が設置されています。
冬・春なすの施設園芸野菜栽培、ゆずなどの柑橘栽培及び漁業(遠洋・近海・サンゴ)といった第一次産業が盛んです。近年では、ゆずの加工品や室戸海洋深層水を使用したコラボ商品が次々と開発され話題になっています。

2.管内の名所・話題
〔土居廓中・武家屋敷〕安芸市
土居廓中は、江戸の風情が今なお残る、歴史的建築群です。昔のままの街並みに竹やうばめ樫の生垣に囲まれた武家屋敷があり、今もひっそりと当時の風情を残しています。現在唯一、一般公開(無料)されている野村家住宅は現存している建物の中で最も古く1830年ごろに建築されたと推定されています。武者隠しという3尺程度の壁をもち、玄関脇の平次門を入ると小さな庭があり、その先は菜園となっています。
〔伊尾木洞〕安芸市
国道からわずか数十メートル入ったところに突如あらわれる空間。まるで数万年前の時代にタイムスリップしたかのような神秘的な景色が目に飛び込んできます。
足元を浸すほどの水が流れるうす暗い洞内を進むと、急に空が開け、シダの群生と木漏れ日が美しい、幻想的な景色が広がります。シダの生い茂るこの天然の洞穴は、周辺が海だった頃、波の浸食することにより出来た天然のものです。
洞の壁には貝の化石がみられるところもあり、高さ約5m、幅約3m、延長は約100mに及びます。この洞周辺の壁面と、その先の渓の岸には熱帯性シダ類を中心に、確認されているだけでも約40種類ほどのシダが自生しています。
1ヵ所に多くの種類のシダが共生しているのは、とても珍しいとされており、シダ群落すべてが国の天然記念物に指定されています。
〔むろと廃校水族館〕室戸市
旧椎名小学校を改修した「むろと廃校水族館」は、平成30年4月26日にオープンしました。
旧校舎の教室に設置した水槽や旧手洗い場、屋外プールには、ウミガメや魚がゆったりと泳いでいます。このウミガメや魚の大半は、地元の定置網にかかったり、職員が自ら釣ったりしたものだそうです。
〔モネの庭〕北川村
北川村「モネの庭」マルモッタンは、印象派の巨匠クロードモネが43歳から生涯の半分を過ごした、フランス・ジヴェルニーで丹精込めて作り上げた「モネの庭」を再現した庭として平成12年に開園しました。
「モネの庭」には、フランス・ノルマンディーの庭園から株分けされたものを中心に、およそ260株のスイレンが植えられており、今年も赤や黄色などの温帯性のスイレンに続いて熱帯性の青いスイレンが咲き始めました。
この青いスイレンは、モネが自宅の庭に咲かせたいと願いながらも気候が合わずに、咲かせることができなかったとされています。
フランス国外で「モネの庭」という名称が許可されているのは、ここだけです。世界に2つしかない庭園で、季節とともに移ろう花の色彩が楽しめます。

3.管内の特産物
〔なす〕
安芸市は、園芸王国・高知県において、温暖な気候や長い日照時間そして地味肥沃な土壌を生かした、生産性の高い「施設園芸の先駆けの地」として知られています。
中でも、施設園芸の主要作物である「なす」は、日本一の冬・春なすの生産地として、京浜地区を中心に全国の大消費地に出荷されています。
なすを使った商品や料理もたくさんあり、「ナスのたたき」や「焼きなすのアイス」などが人気です。
〔ゆず〕
高知県は、全国シェアの約半分を占める柚子生産県(全国1位)ですが、その中でも北川村・安芸市・馬路村はトップクラスの生産量を誇ってきました。柚子酢や調味料、ジュースなどに加工されて全国に出荷されています。

4.管内の名物料理
〔釜揚げちりめん丼〕
安芸市の特産品である「ちりめんじゃこ(しらす)」を使用したご当地グルメ「釜揚げちりめん丼」で地域おこしを行っています。
炊き立てのご飯に釜揚げちりめんをのせ、海苔、大根おろし、ゴマなどの薬味を加え、柚子の酢をたっぷり使った特製タレをかけて食べます。
〔キンメ丼〕
室戸でとれた新鮮な金目鯛照焼きと地魚の刺身をのせたご当地グルメです。
室戸沖には金目鯛の漁場があり、1年を通して水揚げがあります。日戻りで新鮮な金目鯛を味わえるのは地元ならではです。
甘辛い照焼きのタレと分厚くふっくらとした刺身が食欲をそそります。
半分くらい食べたら、お好みで金目鯛からとった出汁をかけて食べるのもおすすめです。

5.おわりに
安芸税務署管内には、海、山、川と自然が豊かで、まだまだ紹介しきれていない魅力的なスポットが、たくさんあります。全国的にも名が通った酒造場も多くあります。
人情味あふれる「自然豊かな歴史の里」で心と体をリフレッシュするとともに、美味しい料理を堪能するために、是非お越しください。

【写真提供】
安芸市、室戸市、北川村