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開発金融機関の財務構造・譲許性について―パンデミック対応を受けた開発機関のバランスシートの変化

世界銀行 シニア・ファイナンシャル・オフィサー 倉澤  辰一郎*1

1.はじめに

筆者は直近3年間をワシントンDCにある世界銀行で過ごす機会に恵まれた。今回機会をいただいたので、開発に携わる金融機関にはどういった国際機関(マルチの機関と言われる)があり、またどういったバイの開発機関(政府機関)があり、それぞれどのくらいの規模を持ち、どういったファイナンスツールで事業を行い、今般のパンデミックを受けどのようにバランスシートを変化させたか、概観してみたい。
資金需要(受益国)側から見れば、コロナ禍以前から、途上国が持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の2030年までの達成に向けて必要とする資金と比べて、ODAとして供給される資金にはギャップがあるとされてきたが、パンデミック対策で先進国の財政余力が少なくなる中、さらにODA資金の希少性が増している中で、特に規模感、譲許性などに関心があろう。
資金供給(マルチ・バイの開発機関へ出資・拠出する政府・国民、債券投資家)側から見れば、今般のパンデミックを受け(どの機関がどういった対応を行ったかの質的な面は専門家に譲るとして)純粋に財務の面でバランスシートがどの程度拡大したのか関心があろうし、いまだパンデミックの影響は続いており、開発機関の年次報告書、財務諸表の公表時期のずれがあり簡単ではないものの、現時点での最新情報に基づき情報の棚卸を行う。
途上国への援助は、多くの場合譲許的(贈与も含め低利)である。各機関がどういった財務構造でどの程度譲許的な資金を供給しているのか、ファイナンスツールのメニューも可能な限り比較してみたい。
今回取り上げるのは、協調の機会の多い政府向け融資を行っている機関で、マルチの機関から世界銀行(国際復興開発銀行(以下IBRD)、国際開発協会(以下IDA))、アジア開発銀行(以下ADB)、米州開発銀行(以下IADB)、また規模は小さいが協調の機会の多いアジアインフラ投資銀行(以下AIIB)、同様に主要援助国のうち融資を行うバイの開発機関として国際協力機構(以下JICA)、フランス政府系開発金融機関Agence Française de Développement(以下AFD)とする。これに加え、欧州投資銀行(以下EIB)、ドイツ政府系金融機関Kreditanstalt für Wiederaufbau(以下KfW)、中国政府系開発金融機関・国家開発銀行(以下CDB)についても、途上国政府向け融資を行っており対象に加える。
なお、本文中意見にわたる部分は筆者の個人的なものであり、新旧所属機関とは一切関係ない。数字は各機関の年次報告書、財務諸表によるが各機関の報告対象期間のずれや頻度の差、データの定義が異なるため、一覧にしていても必ずしも各機関同士の比較に適さない場合がある。記載に誤りがあればご指摘いただければ幸いである。

2.規模の比較
開発金融機関の規模を比較しようとすると、総資産、資本金、職員数、年間のオペレーションの規模、ローン残高など様々な指標が思い浮かぶ。また総じて業務上の通貨(オペレーティングカレンシー)としてはドルベースの融資が主である一方で、財務諸表の報告通貨(レポーティングカレンシー)は、ユーロ建て、人民元建て、円建てが存在し、比較に際しては為替レートの問題がある。こういった背景のもと、世界銀行グループ以外にも、世界最大の開発金融機関(または国際開発機関)を名乗る機関もある*2。
またそもそも開発機関は融資以外にも技術協力やグラントの支援を行っているし、米国の援助機関であるUSAID*3や英国の援助機関であるDFID*4はグラントを中心とした支援を行っている。グラントというのは資金が返済されないということであり、供与する側からすれば毎年の政府の予算から支出し、毎年新たに歳出を立てる必要がある。受益国からすればグラント支援は表面上の資金面での自己負担がなくありがたいが、ここでは国際的な援助協調がより求められる巨額なインフラ投資向けを含む、融資を扱う開発金融機関をメインに取り上げることとする。

(1)総資産規模
バランスシートの高さを表す総資産の比較は以下の通り*5。
2020年の年次報告書がまだ発行されていないためチャートには載せなかったがCDBの2019年におけるドル建てに換算した総資産額は23,707億ドルである。実にEIBの3.7倍の規模となっている。(参考:MUFGの総資産は約3.3兆ドル(2020年12月末)。)
ここで一度「開発」の定義について整理する。狭義には政府開発援助(ODA)であり、ローンについてはDACリストに載る途上国へのグラント・エレメント*7 25%以上の譲許性が求められる。広義には経済的な開発の促進全般が含まれ、すなわち開発途上国向けの融資以外に、EIBは加盟国の、KfW、CDBはそれぞれ自国の、経済開発を促進するローンをを含めた事業を行っており、自らを「開発」機関と呼んでいる。
これらの開発金融機関は、欧州ではプロモーショナル・バンクと呼ばれ、総じて(CDBを含め)譲許性の透明性が低い。各機関の年次報告書から読み取れる範囲で、DACリストの途上国向けと考えられる対象を切り出した貸出残高は以下の通り。
チャート1 総資産で、総資産、一位、二位を占めたEIB、KfWは、それぞれ加盟国向け、ドイツ国内向けの業務が大宗を占めるため、純粋な(可能な限りODA向けを抽出した)貸出残高の順位では6位、8位となる。なお、CDBは開発途上国向けという括りでは貸出内訳を特定することはできないが、中国が進めるBelt and Road Initiativeに深くかかわり、外貨建て貸出残高を公表している。その額2,456億ドル相当(2019年末)と、IBRDの貸出残高(2020年末)を超える。
コラム EIB、KfWの事業量について
EIBとKfWのチャート1と2における順位の差はどのように生じるのか、年間の事業量の内訳から読み解く。EIBの年間事業量の内、域外国向けは13%、KfWの年間事業量の内、開発業務が9%となっている。これらが積み重なっていくことで、全業務を含むバランスシートの総資産額を表す「チャート1 総資産*6:EIB、KfWが1位、2位」と、域外国向け・開発業務のみを抜き出した貸出残高「チャート2 途上国向け貸出残高:EIB、KfWが6位、8位」という順位の差が生じている。

図.チャート1:総資産*6
図.チャート2:途上国向け貸出残高
図.チャート2-1:EIB年間事業量661億ユーロの内訳について*8 *9
図.チャート2-2:KfW年間事業量1,353億ユーロの内訳について

(2)資本金、借入額
マルチの開発金融機関も、バイの政府系開発金融機関も、基本的な財務構造は、株主たる各国政府が投入した資本に、(信用力が劣る途上国より)有利な条件で発行する債券による資金調達を加え、さらに貸出からの金利収入から一般管理費等の費用を引いた額を加え、これら*10を原資とし、途上国に融資するというものである。すなわちグラントエレメントが25%より低く、ODA適格でない貸出であったとしても、途上国にとっては自身で債券発行するよりは低利で資金調達できる仕組みである。
これに加え、マルチの開発金融機関においては応募資本の一部を請求払いとすることで、株主たる各国政府からの実際の資本金の払い込み額を低く抑えつつ、高い格付けを維持する仕組みとなっている。市場における安定的な債券発行においては、財務が健全であることとともに、定期的かつタイムリーで、質の高い情報開示がされていることが重要である。
テーブル1 資本金・借入額*14に並べてみると、MDBs、EIB、AIIBというマルチの機関において存在する請求払資本額は、実際には手元にキャッシュとして入ってこないため、市場借入を活用して実際に貸し出しをする際に必要なキャッシュを調達している姿が見える*11。株主側から見れば、資本金として実際に入金した資金額と比べ市場借入を利用することで開発金融機関が大きな貸出能力を持つこととなっている。
最貧国に資金を提供する世界最大規模の援助機関であるIDAには請求払資本は存在せず、IDAのバランスシート全体の中でグラントを含む譲許性貸出を主に資本金に基づき、非譲許的貸出*12を主に市場借入*13に基づき、実施している。
また、KfW、AFD、JICAというバイの政府機関においては請求払資本は存在せず、実際に入金される政府出資に市場借入を加えた額が貸し出しに回っていることがわかる。この構図はCDBでも変わらず、2019年末の数字で資本金605億ドル、市場借入1.4兆ドル(13,985億ドル)となっている。

(3)職員数
実際に途上国で開発プロジェクトを行う際には借入国政府との交渉等を含む準備(プレパレーション)と、プロジェクトが始まってから、調達やコンサルタントの選定・管理、資金の管理を含めた定期的な監査(スーパービジョン)を適宜適切に行うことが重要である。開発機関同士の協調を考える際、ある国のあるセクターで当該機関が実際にプロジェクトを組成する能力があるのか、実施する力があるのかを把握することは、協調の成否、費用分担の面で極めて重要である一方、それらを定量的に示す指標は存在しない*15。単に年間のオペレーション額を見ても、ほぼ全額を、実施能力がある機関との協調融資としてコミット、支出している開発機関も存在する*16。そういう中で、職員数と年間事業量を見ても、必ずしも業務の効率性や、プロジェクト組成能力の参照とならないが、参考としての年間事業量とともに、開発機関の規模についての最後の項目として職員数を一覧としたい。

図.テーブル2:職員数*17

3.COVID-19パンデミックを受けた各機関の事業量、バランスシートの状況

(1)バランスシート全体の状況
テーブル3 各開発機関の事業量、総資産、借入額と前年比に挙げたすべての開発機関は大きくバランスシートを膨らませてパンデミックに対する対応を行った*18。多くの国が不要不急の外出を抑制し、開発機関の多くも2020年3月以降リモートワークに移行し、現地への出張が停止し、職務環境として前例のない状況に陥る中で、それぞれが株主、クライアント国の要請に基づき、貧困削減や危機対応(カウンター・シクリカル)のため粉骨砕身の努力を行った、テーブル3 各開発機関の事業量、総資産、借入額と前年比は財務面から見たある一時点(2020年12月末時点)のスナップショットである。
額としてはKfWの663億ドル相当の事業量増加、市場借入401億ドル相当の増加が最大であるし、IBRD、ADBの前年比+76億ドルの事業量増額も実に巨大である。額に加え前年の事業量を二倍する事業量を承認したIDA、AIIBも目に付く。他の機関との比較でこの表の中では小額に見えるかもしれないが、事業量ベースでIADBの13億ドルの増加、EIBの32億ドルの増加、貸出残高ベースでのAFDの前年比47億ドルの増額も全くもって小さくない*19。
チャート3 前年比事業量増加幅は、前年からの事業量の増額幅を抜き出したもので、KfWの増額が圧倒的に大きいこととなるが、チャート2-2 KfW年間事業量1,353億ユーロの内訳についてで見た通り、そもそもKfWの年間事業量1,353億ユーロの内79%がドイツ国内向けであり、途上国向けは9%、124億ユーロである。年間事業量の増額幅580億ユーロの内、開発関連業務の増額は18億ユーロとなっており、基本的にKfWのバランスシート拡大はドイツ国内向けがほとんどであったことがわかる。
加盟国向けが多くを占めるEIB、ドイツ国内向けが多くを占めるKfWを除き、MDBsと狭義の開発を実施するバイの機関を貸出残高の増加幅で一覧とすると、IBRDが前年比+199億ドル、IDAが前年比+180億ドル、ADBが前年比+151億ドルとなっており、以下IADB+80億ドル、AIIB+60億ドル、AFD+48億ドルとなっている(2020年末時点と前年の比較)。

図.チャート3:前年比事業量増加幅
図.チャート4:前年比貸出残高増加幅(EIB、KfW除く。)

(2)ヘルスセクター等の規模・増加幅
今般のCOVID-19パンデミックを受け、各開発金融機関がそれぞれ年間に承諾したヘルスセクター事業の規模を、それぞれの機関ごとに前年と比較するとテーブル4 ヘルスセクターにおける各機関の事業増加のようになる。世界銀行グループ(IBRD、IDA)は、2020年6月までの一年間の承諾額を前事業年度と比較しており、ADB、IADB、EIB、AFDは2020年末までの一年間の承諾額を前年と比較している。またEIBはヘルスセクターと教育セクターを合算してヘルス・教育セクターとしている。時点と範囲が異なるため機関同士の比較には適さないが、一覧にすると以下のとおり、それぞれパンデミックを受け大幅にヘルスセクター向けの事業を組成、承認した姿となっている。

4.譲許性について

(1)譲許性ローンの条件比較
開発の文脈で譲許とは、譲許性ローンのように用い、長期間、低利で貸し出しを行うことを指す。貸出期間(Maturity)、返済猶予期間(Grace period)が長く、金利(Interest rate、ただしサービスチャージを含む)が低く、元利の返済が後ろ倒しになればなるほど、そして、コミットメントフィーなどの手数料が低いほど、譲許性が高いローンとなる。
譲許性を比較する指標がグラントエレメント(貸出額を100とした場合「貸出額」と「元利返済キャッシュフローの現在価値*20」の差と考えると分かりやすい。グラントエレメントが60%とは、100の貸出に対して現在価値で40しか返済されず、すなわち贈与部分が60ある、というイメージ*21)である。実際の貸出においてはプロジェクトの進捗や成果に応じて資金が供与されるため、あくまで期初に一括で資金供与されたと仮定した場合の参考値としてテーブル5 譲許性ローンの供与条件比較(満期、返済猶予期間(年)、金利、グラントエレメント(%))をご覧いただきたい。
譲許的なローンを供与している機関の内、グラントエレメント計算可能となる上記の要素を公表している組織は、マルチの開発金融機関ではIDA、ADB、AfDB、IADB、バイの開発金融機関としてはKfW、JICAがある*22。一定の条件*23のもと、供与条件の比較を行うと以下の通り。

(2)ローン供与条件の透明性について
本稿で取り上げた開発機関のうち、EIBを除くマルチの開発機関は、それぞれローンの供与条件を公表していた。バイの開発機関においては、JICAは詳細な供与条件表を公表している。KfWは経済開発協力省(BMZ)のホームページなどで基本的にIDAと同様の条件でローンを提供している旨の記載を確認できた。AFD、CDBのローン供与条件は、年次報告書やホームページからは確認できなかった。EIBは4-20年のローンを提供するとしつつ、実際の満期、金利、返済猶予期間などの供与条件は通常、守秘義務の範囲に入るとし、意図的に公表していない。
実際のプロジェクトにおいては、グラント資金とローンの組み合わせや、様々な譲許性のローンが組み合わされて提供されることは多い(テーブル6 協調融資における供与条件の例*24参照)。各機関の供与条件がそもそも公表されていることが望ましいが、あるプロジェクトで複数の開発機関が協働するためには、少なくとも資金を提供する開発機関同士がお互いの供与条件を承知し、納得していることが重要である。
世界銀行が関与した協調融資の案件について、承認のための評価書や実施後の完了結果報告書を見ていくと、数は多くないが協調融資における供与条件が記載されている。これらは公表資料であり、テーブル6 協調融資における供与条件の例*24として例示する。グラントエレメントは一定の前提の下で計算した参照値である。
テーブル5 譲許性ローンの供与条件比較(満期、返済猶予期間(年)、金利、グラントエレメント(%))のIDAレギュラー(グラントエレメント53.8%)と比べて、テーブル6 協調融資における供与条件の例*24におけるIDAのグラントエレメント(62.1%)が高く出ているのは、総額200百万ドルのうち、計算上、返済不要の資金として扱われる技術協力を37百万ドル含んでいることによる。
協調融資先のうち、AfDB、KfWのグラントエレメントはIDAと並ぶレベルの譲許性となっている。
EIB、イスラム開発銀行、AFD、クウェート・ファンドは、IDAの半分以下のグラントエレメントとなっている。
西アフリカ開発銀行は、ベナン、ブルキナファソ、コートジボアール、ギニアビサウ、マリ、ニジェール、セネガル、トーゴを主な株主(合計のシェア93.7%)とする地域の開発機関である。先進国等の株主も存在するが、そのシェアは6.3%と低く、格付けはBaa1(ムーディーズ)、BBB(Fitch)で、資金調達先を見ると、AFD、KfW、IDAからの借り入れも存在するが、債券発行がメインの資金調達手段となっている(2019年12月現在の財務諸表より)。
当該機関の直近の債券発行(2021年1月)で、スワップレートへの上乗せスプレッドは300ベーシスポイントとなっているが、2015年時点の調達金利にプロジェクトのリスクを加味した貸出金利は、結果としてグラントエレメント算出の際に使用する割引率5%を超過しており、本稿ではグラントエレメント0と表現した。貸出金利は、資金を貸し出す機関の調達金利にリスク等を加味したスプレッドを上乗せして決まってくるものであり、そもそも国際資本市場へのアクセスが自国単独ではできなかったり、出来たとしてもより高い金利でしか債券発行できない場合も存在し、グラントエレメント0とした貸し出しに何か問題があるというような趣旨ではないことを付言する。
最後に、本稿を書くにあたり、世界銀行、IMF、財務省の、上司、先輩、同僚、友人の皆様から貴重なご意見をいただいたことに深く感謝して本稿を終える。

*1)執筆時(2021年6月)現在
*2)欧州投資銀行:世界で最も大きく、最もグリーンな国際開発機関であり債券発行体(IR資料より)。中国開発銀行:世界最大の開発金融機関(CDBカルチャーマニュアルより)
*3)U.S. Agency for International Development。国務省の外交政策上のガイダンスを受けつつ、開発、災害支援を行う。
*4)2020年9月以降、DFID(Department for International Development)はForeign and Commonwealth Officeとともに、UK Foreign, Commonwealth and Development Office(FCDO)に置き換わっている。
*5)JICAは2020年9月末、CDBは2019年12月末、その他は2020年12月末のデータ。
*6)EIB、KfW、AFDは1ユーロ=1.1425ドルで換算。JICAは1ドル=106.73円で換算(以上2020年)。CDBは1人民元=0.143641ドルで換算(2019年)。以下、脚注を省略するがすべて同じ為替レートで換算。
*7)ローンの譲許性を示す指標。「貸出額面」と「利子を含む返済額の現在価値」の差を、貸出額面に対する割合で表したもの。利子が低く、猶予期間、返済期間が長ければ利子を含む返済額の現在価値が小さくなり(貸出額面との差は大きくなり)グラントエレメントは高くなる。
*8)EU加盟国向け以外には、英国、EU加盟候補国、候補見込国を含む(チャート2の途上国向け貸出残高においては、英国等先進国向けの貸出を除外している)。
*9)EIBの2020年署名された業務量661億ユーロの内、93億ユーロを占める域外国への貸し付けについては、そのほとんどについてEUの域外貸出権限(External Lending Mandate)に基づくEUの保証、またはCotonou条約に基づくEIB加盟国の保証を裏付けとしている。
*10)過去の融資に対する返済、IDAの場合IBRDからの純益移転も原資となる。
*11)EIBは、要求払資本の額を市場借入の額が超過しているが、払込済資本と準備金を合わせた自己資金合計(Total own funds)が721億ユーロ(前年737億ユーロ)存在。また域外国への貸付の一部には加盟国、EU予算から保証が付与されている。
*12)参照金利であるLIBORの移行を控え、2021年4月以降、IBRD固定スプレッド変動ローンの提供は停止された(連動してIDAの非譲許的貸出のうち該当する部分も停止)。
*13)2018年4月、初めてのIDA債が発行された。
*14)JICAは2020年9月末時点の有償資金協力勘定、CDBは2019年12月末時点、その他は2020年12月末時点。
*15)非営利のシンクタンク、グローバル開発センターが「公的開発援助の質」レポートにて、バイ、マルチの援助機関49について、実施する援助がニーズに対応しているか、支出が透明でタイドではないか、結果に基づく管理システム、評価の質が高いか、被援助国がオウナーシップをもって取り組めているかという4つの評価軸でランク付けを行っている(1位IFAD(国際農業開発基金)、2位AfDF、3位IDA)。レポートはhttps://www.cgdev.org/sites/default/files/QuODA-brief-2021.pdf
*16)プロジェクトの組成、実施能力が低くとも機関として重要でないという趣旨ではない。むしろ資金の出し手は多様であることが開発界のエコシステム上、一般的に望ましい。
*17)IBRD、IDAは2020年6月、JICAは2020年3月(為替レートは1ドル=109.0459円を使用)、CDBは2019年12月時点。その他は2020年12月時点、ただしIADBの職員数は計画ベース。
*18)AFDは当初計画に基づく減少に加え、パンデミック、マクロ経済環境の悪化を受け事業量としては貸出、グラントともに減少となったが、バランスシート上の貸出残高は増加している(2020年末時点の数字含め、EU規則に基づくRegistration Documentによる)。
*19)非営利のシンクタンク・グローバル開発センターが、リーマンショック(GFC:Global Financial Crisis)時のMDBsのコミットメント増加率(+76%、2005-2007年と2008-2009年の平均コミットメント額比較)と、今回のパンデミックを受けたMDBsのコミットメント増加率(+39%、2019年と2020年のコミットメント額比較)の比較及び危機の程度(GFC時が途上国、新興国のGDPは減速であったが、2020年はマイナス成長)を重ね、危機対応としても、SDGs目標達成のためにもMDBsの対応は十分ではないとするレポートを出している。https://www.cgdev.org/publication/mdbs-rescue-evidence-covid-19-response
*20)割引率は5%(IMF、世銀の理事会は、2013年10月、個別ローンにおけるグラントエレメント計算に際して、統一の割引率を適用することとした)。
*21)本質的な理解のための表現。譲許性の比較におけるグラントエレメントの計算は、OECDワーキングペーパー第339号に記載ある定義等に基づいて行った。
*22)AFDにおいては、資金調達先として、仏政府から30年(うち10年繰延)金利0.25%のローンを受け、事業に活用している旨の記載があるが、AFD自体が途上国へ供与するローンの譲許性は明らかにされていない。2020年末におけるAFDが借り受けているローン残高は21.8億ユーロ(Borrowings from French Treasury)。
*23)計算上、以下の仮定を用いた。
      ・ローンの貸出は当初一括で行われたものとし(OECDワーキングペーパー第339号「ローンの元利返済の現在価値はディスバースごとに計算する」)、各種手数料もこれに合わせる。
      ・ローンの通貨は、米ドル(ただしAfDBはUA(Unit Account=SDR)、JICAは円)。貸出通貨は、調達コストに直接関係する重要な要素である。
      ・LIBORベースの貸出においては、将来金利は、それぞれの通貨の2020年9月時点における6か月ものインプライド・フォワード・レートを用いた。
*24)    プロジェクト評価書(2015年4月6日、レポート番号89594)より。