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シリーズ 日本経済を考える113

銀行勘定の金利リスク(IRRBB)入門―バーゼル規制からみた金利リスクと日本国債について―
東京大学 公共政策大学院/財務総合政策研究所 服部  孝洋*1

1.はじめに
筆者は「金利リスク入門」や「コンベクシティ入門」など、これまで複数回にわたり金利リスクの基礎について説明してきました。金利リスクの概念は様々な場面で用いられますが、本稿ではその応用編として、特に銀行の有する金利リスクについて、金融規制の観点から議論を深めます。我が国では家計金融資産の半数を預金が占めていることからもわかる通り、銀行が金融システムにおいて大きな役割を果たしています。銀行は企業への貸出を主要業務にしていますが、1990年以降、日本経済が低迷する中、貸出ではなく、主に国債への投資を中心とした有価証券運用を積極化させました。我が国では国債市場特別参加者制度(プライマリー・ディーラー)に大手銀行が含まれているなど、国債の消化において銀行が長年重要な役割を果たしています。
資金調達を行う政府から見れば、国債の主要な投資家である銀行がどのような環境に置かれているかを理解することは安定的な資金調達を行う上で非常に重要です。銀行にとってリスク管理は安定的な経営などの観点で大切ですが、そもそも当局から課される金融規制という観点でも適切なリスク管理が求められています。特に銀行の場合、預金という決済性を持つ金融商品を取り扱うがゆえ、社会的にみても公共性の高いサービスを提供しており、より一層高い規制が課されています。
本稿では銀行に課されている規制の中でも国債市場と関連性の高い銀行勘定の金利リスク(Interest Rate Risk in the Banking Book, IRRBB)規制に焦点を当てて説明をします。なお、本稿では「金利リスク入門」や「コンベクシティ入門」など筆者が金利リスクの基礎について取り扱った一連の文献を前提とするため、そちらもご参照いただければ幸いです。

2.バーゼル規制における金利リスク規制について

2.1 銀行規制の背景
前述のとおり、我が国では預金が家計金融資産の半分を占めており、日本の金融システムの大きな特徴といえます。このことは、銀行が金融システムにおいて大きな役割を果たしていることを意味しますが、その一方で、我が国では長年、国債の消化において銀行が大きな役割を果たしてきたとみることもできます。1990年以降、銀行は預金に対して貸出を低下させる一方で、国債を中心とした有価証券運用を強化してきました。実際、国債の安定消化において銀行が果たしている社会的な役割は看過できないといえましょう。
銀行は預金と呼ばれる公共性の高い金融商品を提供しています。金融のテキストでも、預金を取り扱う金融機関(いわゆる預金取扱金融機関)とその他の金融機関で大きな区分がなされています。では、そもそも銀行はなぜ殊更他の業態に比べて厳しい規制が課されているのでしょうか。池尾(2010)によれば、銀行規制の根拠は2つに分類されます*2。第一に、銀行は預金という商品を取り扱うがゆえ、一国の貨幣制度・決済制度の担い手であり、これらはあらゆる経済活動の基盤となるためです。例えば、銀行が破綻することにより決済システムが滞ることがあれば経済全体に多大なマイナスの影響を与えることは明らかでしょう。銀行業以外でも、電力など基盤的なサービスを提供している産業は政府による広範な規制を受けていますが、銀行もその意味で健全な運営をするよう規制を課す必要性が生まれるわけです。第二に、預金者は銀行の経営状態を的確に評価する能力に欠ける(あるいはその努力は割に合わない)点です。人々がある銀行を用いている理由は、その銀行を綿密に分析した結果ではなく、その銀行に対する信認に依存していることは読者も実感があるはずです。信認が崩壊した場合、取り付けなどを通じて金融危機が起こることは歴史が示すところであり、政府は預金者の保護を図るとともに、銀行に対する看視者(モニター)としての役割を果たす必要があるわけです。

2.2 バーゼル規制とは
銀行に対する最も重要な規制はバーゼル銀行監督委員会が課す、いわゆるバーゼル規制です。歴史的には預金を取り扱う銀行が破綻した場合、金融システムへ影響が多大となることから、1988年のスイスのバーゼルで国際的な銀行への規制の合意がなされました。世界共通の最低基準となる規制を課すことで、国際的に銀行システムの安定性を向上させるとともに、国際的に活動している銀行の間で競争条件を平等にすることが企図されました*3。
バーゼル規制は、自己資本比率規制を軸にしていますが、同規制は銀行の有するリスクに対して一定程度自己資本で資金調達することを要請するものです。自己資本とは、投資家が主に株式などを通じて銀行へ出資したものです。株式の投資家はいわばリスクを取ってもよいと考えている主体ですから、銀行が株式を通じて資金調達しているとすれば、リスクをとっても良いと考えている主体から資金調達しているといえます。銀行が多大な損失を被った場合、株式で多くの資金調達をしていれば、まずは彼らに責任を取ってもらうことができます*4。
反対に預金ばかりで資金調達を行い、銀行がビジネスを行った場合はどうでしょうか。この場合、銀行は、元本保証を前提とする人々から資金調達をしているわけですから、もし仮にその使途を誤り大きな損失を被った場合、預金が棄損するということが起こりえます。これはほとんどの預金者にとって許容できないことでしょう。そこで、バーゼルの規制では、銀行がとっているリスク量(これをバーゼル規制の言葉ではリスク・アセットといいます)を算出したうえで、このリスク量に対して一定程度、リスクをとってよいと考えている投資家からの資金調達、すなわち、自己資本による調達を要請するという形で、銀行経営の安全性を担保しているわけです。具体的には
自己資本比率=自己資本/リスク・アセット
が一定以上になるような運用が規制当局から求められているわけです。
1980年後半に導入されたバーゼル規制はその後、様々な発展をしていきます。リスク・アセット測定の精緻化や金利リスク規制の導入等は2000年後半から導入されました(これに伴い、バーゼル規制はバーゼルIIと呼ばれるようになります)。バーゼルIIが導入されて間もなく、リーマン・ブラザーズの破綻などを発端とした世界金融危機が起こり、これまでの規制を抜本的に改正する必要性が生まれます。本稿では金利リスクに焦点を当てるため深堀りしませんが、金融危機以降の規制改正の中で、自己資本の定義を見直すとともに、流動性規制やレバレッジ比率規制など新たな規制が導入され、現在はバーゼルIIIと呼ばれています。

2.3 三つの柱と銀行勘定の金利リスク規制
現在のバーゼル規制は3つの軸で構成されており、「柱(pillar)」というバーゼル特有の言い回しが用いられます。第一の柱が「最低所要自己資本比率」であり、これまで言及してきた自己資本比率規制になります。第二の柱が「金融機関の自己管理と監督上の検証」です。金利リスク規制はこの第二の柱に含まれるのですが、第一の柱で捕捉できないリスクについて規制当局がモニタリングするものです。第三の柱は「市場規律」(情報の開示)であり、銀行に対して開示を求めることで市場規律を働かせることが企図されています(この3つの柱はバーゼルIIの時に導入されましたが、その時の経緯は後述します)。
銀行が日本国債に投資する場合、第一の柱に相当する自己資本比率規制において日本国債はリスク・アセットがゼロと取り扱われています*5。つまり、銀行がいくら日本国債への投資を増やしたとしても、「自己資本/リスク・アセット(=自己資本比率)」における分母は増加しないため、自己資本比率は低下しません*6。例えば、ある銀行が日本国債への投資を1兆円仮に増やしたところで、「自己資本比率」には何ら影響を与えないことになります。バーゼルにおける自己資本比率規制は、銀行が有しているリスクに対して一定の自己資本を求めるものですから、国債のように安全性の高い資産については、追加的な自己資本は求められていないわけです。
もっとも、服部(2020)で説明したとおり、国債にはデフォルトという信用リスクはないとしても、金利の変動に伴う金利リスクは存在します。例えば、金融機関が10年国債と20年国債を比較した場合、10年国債のデュレーションがおおよそ年限に相当する10であり、20年国債のデュレーションがおおよそ20であることを考えると、20年国債は10年国債に対して、おおよそ2倍の金利リスクを有するといえます(正確にはそれぞれ10と20から乖離するのですが詳細は服部(2020)を参照してください)。もっとも、第一の柱において国債はリスク・アセットがゼロという取り扱いがなされていることから、第一の柱においては、10年債に投資しても、20年債に投資しても、結局リスク・アセットはゼロとなります。
強調したいことはバーゼル規制において銀行が国債を保有することに係る金利リスクを無視しているわけではなく、金利リスクについては第二の柱で別途捕捉されているということです。その意味で、日本国債にかかるバーゼルの規制の主軸は第二の柱だといっても過言ではありません。後述しますが、第二の柱では、一定のルールで金利リスク量を算出したうえで、その金利リスクが自己資本の一定割合に入るよう要請する一方、その基準から外れた場合は当該金融機関に対しワーニングを発する形で規制がなされています。

2.4 銀行勘定の金利リスクの歴史的経緯
このように規制の主軸である自己資本比率規制では銀行勘定の金利リスクに対する規制が存在しませんが、それに対して疑問に思う読者もいるかもしれません。服部(2020)で記載したとおり、投資する国債の年限が異なれば、金利リスクは異なりますから、それも自己資本比率規制に含めるべきだという議論も正しいように思えます。そもそも自己資本比率規制の中に金利リスクを含めるかどうかは歴史的にも様々な形で議論されてきました。バーゼル規制導入時において、氷見野(2005)は「バーゼル委員会が『ある程度の金利ミスマッチは銀行業務の正常な姿である』として、自己資本賦課不要との結論に達した基本的な理由は、信用リスクと金利リスクの逆相関に関する監督者としての経験にあった」(p.121-122)としています。また、預金の金利リスクの測定など、金利リスクを「自己資本比率の分母に盛り込むことは技術的にも困難だった」(p.122)としています。
その後のバーゼル規制は改正が繰り返されてきましたが、金利リスクを自己資本比率規制に盛り込むかは度々議題に挙がっています。バーゼルIIについても、氷見野(2005)は、「『過大な金利リスクを負っている銀行には自己資本を賦課する』という構想は、6年後、新BIS規制(バーゼルⅡ)の第1次案(99年)で再登場するが、2001年の第2次案では再び『極端な金利リスクをとっている場合には何らかの監督上の対応が必要だが、対応は追加的な自己資本の賦課に限られるものではない』というラインに戻る」(p.122)と指摘しています。
2008年の金融危機を受けてバーゼル規制が大幅に見直される中で、再度、銀行勘定の金利リスクについても第一の柱に含められるという議論がなされました。事実、バーゼル委員会による2015年6月の市中協議文書では、銀行勘定の金利リスクが自己資本比率規制に含まれる「第一の柱」案と、あくまで監督上で取り扱う「第二の柱」案の両論が併記されました*7。2015年当時は、銀行勘定の金利リスクを第一の柱で取り扱うことに伴う弊害が多いとの懸念が邦銀等から示され、大きな話題となりました。最終的には銀行勘定の金利リスクは第一の柱ではなく、第二の柱で取り扱われることとなり、現在に至っています。

3.第二の柱と銀行勘定の金利リスクの考え方

3.1 第二の柱とは
前述のとおり、第二の柱とは、第一の柱では捉えられないリスクを捕捉するイメージです*8。3つの柱はバーゼルIIから導入されたのですが、バーゼルIIの特徴の一つはリスク・アセット計測に内部モデルを認めた点にあります。1990年代から2000年にかけて金融機関のリスク管理の技術が大幅に向上したわけですが、当時導入されていた画一的な規制は、実態に即していないだけでなく、リスク管理の高度化を阻害する可能性を有していました*9。服部(2021)ではバリュー・アット・リスク(VaR)について触れましたが、1990年代から、VaRが金融機関のリスク管理において普及し始めました。デリバティブなど金融の技術革新が大幅に進んだ時期も1990年代です。このような高度化を受けて、バーゼルの規制は内部モデルの使用を一定程度認めることでリスク・アセット測定の精緻化を図る一方で、第2の柱で、内部モデル仕様にかかる監督上の検証、さらに第3の柱で情報開示を促すことで市場規律が働く仕組みが導入されたわけです。
佐藤(2007)では、第二の柱について、「各銀行が自己資本比率規制という当局が設定するミニマム・スタンダードを遵守するだけでは足りない」(p.191)としたうえで、「各々の銀行が自行のリスクを包括的に把握して的確なリスク管理を行い、その状況を当局がタイムリーに検証する、という組み合わせが必要」(p.191)と説明しています。佐藤(2007)では、監督上の検証が必要な具体例として、銀行勘定の金利リスクや信用集中リスクを指摘しています。

3.2 銀行勘定の金利リスク規制とは
第二の柱で規制されている金利リスクについては、「『銀行勘定』の金利リスク」という独特の言い回しが用いられます。筆者の実感では、銀行に対する金利リスク規制に関し、この表現が当初理解しにくい部分です。というのも、銀行勘定とは「伝統的な預貸金取引や投資有価証券取引等を行うための勘定」(p.201、佐藤 2007)と定義されており、短期的な売買差益の確保を目的に行うトレーディング勘定に対比した表現です。もっとも、実際的には、銀行によって時には短期的な売買がなされる国債のトレーディングも銀行勘定として取り扱われることがあります。また、有価証券運用において(資産サイドに係る)銀行勘定の金利リスクといった場合、実務家は会計区分である「満期保有目的債券」と「その他有価証券」で保有する有価証券を指すことが少なくありません。
筆者がまず強調したい点は、「銀行勘定における金利リスク」といった場合、「銀行の伝統的なビジネスに関し、資産サイドだけでなく預金などの負債サイドも含めた金利リスクをみている」という印象を持つべきだということです。服部(2020)で記載したとおり、金融機関は単に資産サイドだけでなく、負債サイドの金利リスクも考えてリスク管理をしています(これをAsset Liability Management(ALM)といいました)。そのため、単に資産サイドの年限(デュレーション)が長いからといって、ただちに金利リスクが大きいということにはなりません。銀行の場合、主に預金で調達しているがゆえ負債サイドの年限が短い構造にありますが、例えば、仮に満期の長い定期預金ばかりで調達する銀行があれば、その銀行の負債サイドのデュレーションは長いと解釈できます。その意味で、銀行の有する金利リスクを正しく判断するには資産サイドだけでなく負債サイドのデュレーションも考える必要があるわけです。
図1が銀行の伝統的なビジネスを行う際、金利が上昇することに伴う銀行のバランス・シートへの影響を示しています。金利が変化することによって国債などの資産価格が変化することは服部(2020)で説明しましたが(その際、金利変化のデュレーション倍価格が動くわけですが)、仮に金利が上昇すると、右図のような形で資産および負債の現在価値が低下することになります。銀行は基本的に資産サイドのデュレーションが負債サイドのデュレーションより長いため*10、金利が変化した場合、資産サイドの価格の低下(図では10%の下落)の方が、負債サイドの低下(図では8.3%の下落)より大きく、金利の上昇により資本が棄損(図では「資本の現在価値(経済価値)」に相当。この詳細は4節で説明します*11)することになります。
逆に言えば、資産側と負債側のデュレーションがぴったりと一致していれば、金利の(パラレルな)変化に伴う資産と負債の変化は同額になりますから、図1における資本の現在価値(経済価値)の変化はないということになります。現実的に資産と負債のデュレーションが完全に一致するということはほとんどありませんが、資産と負債のデュレーションのミスマッチから発生するバランス・シートの変化に対して、当該銀行が十分な自己資本で調達していれば金利リスクに対して健全な対応がなされていると解釈することができます。第二の柱では、詳細は後述しますが、銀行勘定で有する金利リスクの一定以上を自己資本で資金調達することを銀行に求めることで、金利リスクに対して健全な運営を担保しているわけです。

3.3 銀行の負債サイドのデュレーションの推定:コア預金の考え方
前述のとおり、銀行勘定の金利リスクとは資産と負債に係る金利リスクでしたが、これまで筆者による金利リスクの文献(服部(2020)など)を読んでくださった読者にとって、(国債を保有するなど)資産サイドの金利リスクについては比較的にイメージしやすいと思います。一方、銀行の場合、主に預金で資金調達を行いますが、預金のデュレーションはどのように考えればよいでしょうか。例えば、定期預金のように、年限が決まった預金はデュレーションの算出が簡単ですが、問題はすぐに引き出すことができる預金(流動性預金)の取り扱いです。
実は銀行の預金の大部分は流動性預金であり、ここのデュレーションの算定が負債サイドのデュレーションを見積もるうえでのポイントになります。素朴に考えれば流動性預金はいつでも引き出すことができるため、デュレーションは0と考えることもできます。しかし、実際にデータをみると、たとえ金利が上昇したとしても直ちに預金が引き出されることはなく、その意味で、流動性預金はある程度の期間滞留した預金とみることもできます。実際に読者も金利が動いたとしてもすぐに預金を引き出したりしないことに実感があるはずです。
第二の柱では、「コア預金」と呼ばれる概念を導入してこの預金のデュレーションを考えます。「コア預金」とは「明確な金利改定間隔がなく、預金者の要求によって随時払い出されうる預金のうち、実態としては引き出されることなく長期間銀行に滞留する預金」(佐藤 2007,P.205)と定義されています。第二の柱では、コア預金という概念を導入したうえで、それを一定の計算式で推定することで、そのデュレーションを算出しています。本稿では「コア預金」の詳細については立ち入りませんが、バーゼルのルールではコア預金を算出するうえで、シンプルな方法(標準的手法)とモデルを使ってデュレーションを推定する方法(内部モデル法*12)が用いられています*13。実際には標準的手法と内部モデルを用いている銀行が併存しているのですが、コア預金の詳細を知りたい人は日本銀行(2011)などを参照することをお勧めします。

4.銀行勘定の金利リスク(IRRBB)規制の概要

4.1 基本的な考え方
ここから銀行勘定の金利リスク(IRRBB)規制*14の具体的な内容について考えていきます。前述のとおり、銀行勘定の金利リスク規制の導入は第二の柱が導入されたバーゼルIIからです。銀行勘定の金利リスク規制については、当初、「アウトライヤー規制」と呼ばれていました。アウトライヤー規制では、一定のルールに基づき算出した(資産サイドだけでなく負債サイドも加味した)金利リスク量が自己資本の20%に収まっているかどうかをモニターするというものでした。すなわち、
金利リスク量/自己資本≤X
というルールであり、X=20%のケースが用いられていたわけです。例えば、自己資本が1000億円の場合、その20%である200億円以下になるよう金利リスク量を抑えることが求められていました(以下では、金利リスクの金額について記載する際、「金利リスク量」と記載します)。
再度強調しますが、この規制のアイデアは、リスクをとってもよいと考えている投資家から調達した資金を自己資本と解釈したうえで、金融機関が有している金利リスク量がその20%に収まっているのであれば、金利リスクに関して健全な運営をしていると評価するというものです。アウトライヤー比率規制では、もし仮に金利リスク量が自己資本の20%を超えた場合、当該銀行を「アウトライヤー行」としたうえで、規制当局からワーニングを発するという運用がなされていました。直近では、銀行勘定の金利リスクに関する規制を指す場合、IRRBB規制という表現を使うことが多く、アウトライヤーという表現はあまり使われなくなっていますが、規制の骨格に変化はありません(本稿でIRRBB規制と書いた場合、現在の銀行勘定の金利リスク規制を念頭に議論をしています*15)。
前述のとおり、金利リスク量が自己資本を一定程度超えた場合は、当局はワーニングを発するわけですが、IRRBB規制では、国際統一基準行と国内基準行で分けた運用がなされています(両者の違いについてはBOX1を参照)。国際統一基準行の場合、自己資本の定義にTier1資本を用いたうえで、「金利リスク/Tier1資本≦15%」というルールが採用されています(Tier1資本についてはBOX2を参照)。一方、国内基準行に対しては自己資本に対して、Xを20%としています。これらのルールはIRRBB規制において「重要性テスト」と呼ばれています。
なお、金融庁は、金融機関の健全性をチェックするため、「オンサイト・モニタリング」と呼ばれる立入調査に加え、ヒアリングや資料提供である「オフサイト・モニタリング」を行っています。IRRBB規制では、上記の規制に抵触すると、「オフサイト・モニタリングデータの追加分析」の対象となります。「追加分析」では、金利ショックが自己資本に与える実質的な影響等について様々な観点で検証が行われ、銀行と深度ある対話を行う必要性について判断がなされます*16。さらに改善計画を確実に実行する必要があると判断された場合には業務改善命令が発出される形式がとられています*17。

4.2 IRRBB規制で想定する金利シナリオ
IRRBB規制において大きく変わった点は、金利リスク量を算出する際に用いられる金利シナリオです(これを「金利ショック」と呼んでいます)。バーゼルIIにおけるアウトライヤー規制では、直観的には金利が200bpsパラレルにシフトしたときの金利リスク量、あるいは、過去5年に発生した金利変化をベースに金利リスク量を算出するものでした*18。
一方、IRRBB規制では6つの金利シナリオを用いて金利リスク量を算出します。具体的には、(1)上方パラレルシフト、(2)下方パラレルシフト、(3)フラット化(短期金利上昇+長期金利低下)、(4)スティープ化(短期金利低下+長期金利上昇)、(5)短期金利上昇、(6)短期金利低下、というカーブの変化を想定しています。服部(2020)や服部(2021)では、デュレーションは金利変化のパラレルシフトに基づく金利リスク指標と説明しましたが、実際の金利変化はパラレルにシフトするとは限らず、イールドカーブがスティープ化やフラット化した場合、グリッド・ポイント・センシティビティなどでとらえる必要があることを指摘しました。IRRBB規制では単なるパラレルな動きだけでなく、多様なカーブの変化から金利リスク量を算出し、その中で最も大きな金利リスク量を用いた上で、(国際統一基準行については)Tier1資本の15%以内に収まるよう規制がなされています。
図2は、縦軸を金利変化幅(bps)、横軸を年限としたうえで、IRRBB規制において金利リスク量を算出するうえで、どのようなカーブを想定しているかを示しています。ここでは円金利についての金利シナリオについて紹介しています。例えば、(1)と(2)については上下に100bps変化した結果を示しています。(3)フラット化については短期金利が50bps程度上昇し、長期金利が50bps程度低下するシナリオである一方、(4)スティープ化は短期金利が50bps程度低下し、長期金利は100bps程度上昇するシナリオです(この部分の算出方法についてはBOX2を参照してください)。ここでは円金利について紹介していますが、ドル金利やユーロ金利では(1)と(2)については200bpsが採用されるなど、過去のヒストリカルデータを参照し、通貨ごとに異なる水準が用いられている点に注意が必要です*19。

4.3 △EVEと△NII
IRRBB規制のもう一つの特徴は、金利が上昇した際、単に国債に与える損益だけでなく、銀行に与える影響を多面的にとらえている点です。IRRBB規制では、具体的には、△EVE(Economic Value of Equity)と△NII(Net Interest Income)という概念が導入されています(実務家は「デルタEVE」、「デルタNII」と呼びます)。△EVEとは、金融庁の監督指針において「銀行勘定の金利リスクのうち、金利ショックに対する経済的価値の減少額として計測されるもの」と定義されており、一見すると直観的な理解がしにくいかもしれません。△EVEはバーゼルの文章*20において数式で定義されていますが、その意味するところは、銀行が将来得られる収入(貸出や運用等)と費用(調達コスト等)のキャッシュフローを書き下したうえで、金利が変化した前後で、その現在価値を計算し、両者の差を金利変化に伴うリスクとしてみなそうというアイデアです(数式の説明はBOX3を参照してください)。
直観的には、△EVEとはいわば仮に4.2節で想定した(6種類の)金利の変化が起こった場合に発生するバランス・シート上の自己資本の毀損額を算出しています。図1では金利上昇に伴い、資産と負債のデュレーションが異なることから発生する資本の毀損のイメージを示していましたが、△EVEはこの図のイメージに相当します。△EVEについては、先ほど指摘した6つのシナリオが用いられ、それぞれの金利変化シナリオごとに△EVEを計算することが求められています。△NIIも基本的に同じ発想に基づきますが、金利の変化に伴う金利収益の変化*21が算出されます(△NIIについては、パラレルシフトである2つの金利変化シナリオが用いられます*22。△NIIには、△EVEにおける15%(ないし20%)のような数値基準は設けられていません)。
図3は日本政策投資銀行の開示の事例を示しています。前述の6つの金利変化シナリオに基づき、△EVEと△NIIが示されています。そのうえで、その最大値が示されるとともに、Tier1資本の額が示されています。ここでいえば、492億円が金利リスク量の最大値であり、Tier1資本の額が33,346億円ですから、金利リスク量が資本の額の15%以内に収まっていることが確認できます。


BOX1 国際統一基準行と国内基準行
日本におけるバーゼル規制の特徴は、国際統一基準行と国内基準行という区分が存在する点です。簡単にいえばグローバルで活動をする銀行を国際統一基準行としたうえで、海外と整合的な金融規制を課す一方、国内での活動にとどまる銀行を国内基準行としたうえで、国際統一基準行に対する規制と整合的でありつつ、相対的に緩い規制を課しています。IRRBB規制に関しては、国際統一基準行については2018年3月期から適用が開始された一方、国内基準行については2019年3月期から開始されました。国内基準行については、3つのシナリオ(上方パラレルシフト、下方パラレルシフト、スティープ化)のみについて計算すればよいとされており、15%が20%に緩和されているなど、国際統一基準行対比で、相対的に緩い規制内容になっています。
国内基準行に対して相対的に緩い基準が課されていることについて批判的な意見があることは事実ですが、そもそも制度の目的は、グローバルにビジネスを展開する金融機関に統一的な規制を課すことや、破綻することで金融システムに大きな影響を与える金融機関に対して規制を課すというものです。その意味で日本の場合、賛否両論はありますが、海外でビジネスを行う金融機関にはグローバルで整合的な規制を課す一方で、主に国内でビジネスを行う銀行に対してはグローバルな規制と基本的に同じ設計にしつつ、日本固有の事情も考慮した規制を実施していると解釈することもできます。
BOX2 Tier1資本と自己資本比率規制
Tier1資本とは、通常の会計で出てこないバーゼル規制特有の概念です。バーゼル規制は前述のとおり、金融システムの安定性に資することを目的としていることから、いわゆる会計上の資本とは別に、金融危機が起こった際のバッファーとしてどの程度機能するかという側面に着目し、自己資本を再定義しています。Tier1資本とは、具体的には資本金・法定準備金・利益剰余金などから構成され、ファイナンスの教科書で想定される株式に近い性質のものです。バーゼルIIでも、Tier1資本が求められていましたが、劣後債などもバーゼルが定義する自己資本に(一定の条件で)含まれていました(これらをTier2といいます)。例えば劣後債は負債と資本の中間的な資金調達手段といえますが、通常の株式であれば金融機関が多大な損失をした場合、配当の支払いの停止や場合によっては減資などを実施できるところ、劣後債などはそうもいきません。その意味で、普通株式などTier1資本は損失吸収力の高い資本といえます。バーゼルIIIでは、2008年に経験した金融危機の反省を経て、損失吸収力の高い株式などから構成されるTier1資本による調達をより一層求める形で、規制改革がなされました。IRRBB規制についても、国際統一基準行についてはTier1資本の一定割合に金利リスク量が収まるような規制を課しているわけです。
ちなみに、図4がバーゼルIIとバーゼルIIIで比較した自己資本比率規制におけるTier1とTier2を見たものですが、バーゼルIIIではTier1資本がより一層求められていることが確認できます。この意味で、バーゼルⅢでは、損失吸収力という観点でみた資本の質の向上が求められていると解釈できます。図4の右側では、資本保全バッファーが含められていますが、国際統一基準行については、最低比率である8%に加え、危機時における社外流出等に対応するため、さらにTier1資本による調達が求められていることがわかります。なお、ここでは記載していませんが、カウンターシクリカル資本バッファーとG-SIBsサーチャージなどがさらに求められるケースがあります。図4における各種概念の説明は割愛するため、詳細が知りたい読者はバーゼルの書籍をご覧ください。
BOX3 IRRBB規制に係る数式の説明
図2で想定される金利の変化については数式が公表されています。例えば、スティープ化については、∆Rsteepner,c(t)=-0.65・(R̅short,c・e)+0.9・{R̅long,c・(1-e)}で算出します。ここで、tは時点、cは通貨、R̅short,cは「短期金利に関する金利変動幅(ベーシス・ポイント)」、R̅long,cは「長期金利に関する金利変動幅(ベーシス・ポイント)」を示します。円金利の場合、「短期金利に関する金利変動幅」と「長期金利に関する金利変動幅」は100bpsと想定されるため、例えば、20年金利については、t=20を考え、∆Rsteepner,jpy(20)=-0.65・(100・e)+0.9・{100・(1-e)}=90という形で算出されます(xは4と指定されています)。図2の(4)はこの式の年限部分に、各年限に相当する0.25から20を代入して算出しています。一方、フラット化については∆Rflattener,c(t)=0.8・(R̅short,c・e)-0.6・{R̅long,c・(1-e)}で算出されます。
また、△EVEとは、「銀行勘定の金利リスクのうち、金利ショックに対する経済的価値の減少額として計測されるもの」でしたが、数式で表現すると下記のように記載できます*23。
△EVEi,c=CF0,c(k)・DF0,c(tk)-CFi,c(k)・DFi,c(tk)+CAOi,c
これはIRRBB規制に関する文章でよく目にする式であり、一見複雑にみえますが、本文で記載したことを数式で記載しているだけです。金利変化前に銀行がビジネスを行うことにより生み出すキャッシュフローを{CF0,c(1),CF0,c(2),…,CF0,c(K)}と記載すると、これを現在価値にするため、ディスカウント・ファクター(DF0,c(tk))を掛け合わせて、さらに足し上げることで、銀行がビジネスを行う上で発生するキャッシュフローの現在価値の合計(∑CF0,c(k)・DF0,c(tk))を算出しています。一方、金利変化後の銀行が生み出すキャッシュフローは{CFi,c(1),CFi,c(2),…,CFi,c(K)}であり、∑CFi,c(k)・DFi,c(tk)は、そのキャッシュフローから現在価値を計算しています(この際の金利変化のシナリオは本文で言及した6つのシナリオを用います。ここでiは金利変化のシナリオを指しています)。△EVEはその差分で計算しているわけですが、重要な点はCAOi,cというオプション価値の変動も考慮している点です。オプションの詳細は筆者が2020年に「ファイナンス」で記載した一連の債券オプションの文献(「日本国債先物オプション入門」)などを参照してください。△NIIは紙面の関係上省略するため、他の文献をご参照いたただければ幸いです。

5.おわりに
本稿では銀行勘定の金利リスクおよびその規制の概要について説明をしました。実際のバーゼル規制では自己資本比率規制に加え、流動性規制やレバレッジ比率規制など、様々な規制が課されています。本稿ではIRRBB規制以外については解説を省きましたが、バーゼル規制についてはすでに膨大な書籍があるため、IRRBB規制以外に係る内容にご関心がある読者は他の書籍を参照していただければ幸いです。次回はスワップションを解説する予定です。

図1.金利上昇が銀行のバランス・シートに与える影響
図2.IRRBB規制における金利シナリオ
図3.開示の事例(日本政策投資銀行の事例)
図4.バーゼルIIIにおける自己資本の量の強化

*1)本稿の作成にあたって、黒崎哲夫氏(日本銀行)、毛利浩明氏より有益な助言や示唆をいただきました。本稿の意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織の見解を表すものではありません。本稿の記述における誤りは全て筆者によるものです。また本稿は、本稿で紹介する論文の正確性について何ら保証するものではありません。本稿につき、コメントをくださった多くの方々に感謝申し上げます。
*2)ここでの記述は表現を含め、池尾(2010)のp.70-76を参照しています。池尾(2010)は前者を外部不経済、後者を情報の非対称性という経済学の観点で、政府介入の正当性を議論しています。詳細な議論は池尾(2010)を参照してください。
*3)ここでの記述は佐藤(2007)などを参照にしています。佐藤(2007)は、「1988年に国際統一基準が合意された背景としては、銀行業務の自由化・国際化の進展、金融市場の国際的相互連関の強まりの中で、各国銀行監督者の間に以下の2点について共通の問題意識が広がったことがある。第1は、国際的に銀行システムの安定性を向上させる必要性である。また第2は、国際的に活動している銀行の間で競争条件を平等にする必要性である」(p.24)と指摘しています。
*4)日本語ではしばしば「自己資本を積む」という言い方をしますが、筆者は適切ではないと思っています。なぜなら、自己資本は資産サイドではなく、調達サイドに相当するからです。アドマティ・ヘルビッヒ(2014)は「『キャピタル(自己資本)』という言葉を誤解している人は多い。メディアの報道にも、新たな規制を満たすために、銀行は自己資本を『とっておく』必要がある、という表現が目立つ。『自己資本を蓄えておく』といった表現からは、自己資本規制は銀行に対して、現金を経済の役に立てず、無駄に遊ばせておくよう義務付けるような印象を受ける。(中略)こうした誤解が有害なのは、現実には存在しないコストやトレードオフがあるかのように見せかけ、政策議論をゆがめるからだ」(p.9)と指摘しています。
*5)現在、銀行の自己資本比率に係るバーゼル規制において、自国通貨建ての国債は、格付にかかわらず、信用リスクをゼロにすることができる(各国裁量)ことになっています。また、ここでは銀行が国債を銀行勘定で保有することを想定しています。トレーディング勘定においては、金利リスクは「マーケット・リスク相当額」として第一の柱で捕捉されています。
*6)標準的手法では信用リスク・アセットの額の算出に当たって、「与信等の額×所定のリスク・ウェイト」という取り扱いがなされていますが、日本国債のリスクウェイトは0という取り扱いがなされています。
*7)詳細は吉藤(2020)などを参照してください。
*8)佐藤(2007)では、「第2の柱の下では、第1の柱のプロセスによっては十分に捉えられないリスクを取り扱うことが適しているとしており、具体的には、銀行勘定の金利リスクや信用集中リスクなどを、主要なリスクとして例示している」(p.192)としています。
*9)このあたりのバーゼルIIに至る問題意識については、佐藤(2007)が3章で詳細に説明しています。詳細は同書を参照してください。
*10)後述のコア預金の考え方を取り入れた場合には必ずしもこうとは限らない点に注意が必要です(下方パラレルシフトが最大の△EVEを生むシナリオとなることもありえます)。
*11)この図における「資本価値から負債価値を引いた資本の経済価値が下落」が△EVE、「バランスシートから得られる金利収益が増加し、資本が増加」が△NIIに相当します。△EVEと△NIIは、4.3節で詳細に説明します。
*12)実務的には、伊藤・木島(2007)のモデル(いわゆるAA-Kijimaモデル)などが用いられています。
*13)金融庁の指針では、「銀行が、銀行勘定の金利リスクを計測する際には、重要性に応じて、いわゆる行動オプション性(流動性預金の滞留、固定金利貸出の期限前返済、定期預金の早期解約、個人向けの金利コミットメントラインの実行等、金利変動に対する顧客の必ずしも経済合理性のみに基づかない行動変化がキャッシュフローに与える影響)を、内部モデルの使用又は保守的な前提の反映により適切に考慮することを求めるものとする」としています。
*14)実務的には、IRRBBだけで「銀行勘定の金利リスク」に対する規制を意味することが多いのですが、IRRBBは「銀行勘定の金利リスク」そのものを指すため、本稿ではIRRBB規制という表現を用いています。
*15)国際統一基準行について、2018年3月期から、銀行勘定の金利リスクが「Tier1資本の15%」を超えていないか、国内基準行については、2019年3月期から、銀行勘定の金利リスクが「自己資本の20%」を超えていないかモニタリングがなされています。
*16)詳細は金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」などをご参照ください。
*17)金融庁の監督指針において「重要性テストに該当したことをもって、銀行が過大なリスクテイクを行っているとみなされるものではない。また、オフサイトモニタリングデータの追加分析を通じて、健全性の観点から深度ある対話を行う必要があると認められる場合であっても、改善対応が自動的に求められるものではない。改善が必要とされる場合でも、金融市場への影響等に十分配慮し、改善手法や時期等が適切に選択されるよう、留意して監督を行うものとする」とされています。
*18)具体的は、銀行は標準的金利ショックとして、「(1)上下200ベーシス・ポイント(2%)の平行移動」と「(2)保有期間1年、最低5年の観測期間で計測される金利変動の1パーセンタイル値と99パーセンタイル値」のどちらかを選択することになっていました。
*19)吉藤(2020)は「各通貨の2000年から2016年までの時系列データをもとに設定されたものであり、今後、定期的にレビューされる」と説明しています。
*20)△EVEの定義については、バーゼル銀行監督委員会(2016)「基準文書 銀行勘定の金利リスク」(全銀協事務局仮訳案)を参照してください。
*21)吉藤(2020)では、「金利上昇時には利鞘の改善により期間収益は増加する」としています。
*22)△NIIは銀行勘定の金利リスクのうち、金利ショックに対する算出基準日から12ヶ月を経過する日までの間の金利収益の減少額として計測します。詳細は金融庁の監督指針をご参照ください。
*23)この式はバーゼル銀行監督委員会(2016)「基準文書 銀行勘定の金利リスク」(全銀協事務局仮訳案)における「標準的なEVE手法によるリスク計測値」を参照しています。

参考文献:
[1]池尾和人(2010)「現代の金融入門」ちくま新書
[2]伊藤優・木島正明(2007)「銀行勘定金利リスク管理のための内部モデル(AA-Kijima Model)について」、『証券アナリストジャーナル』45(4),79-92.
[3]日本銀行(2011)「コア預金モデルの特徴と留意点─金利リスク管理そしてALMの高度化に向けて─」BOJ Reports & Research Papers
[4]服部孝洋(2020)「金利リスク入門―デュレーション・DV01(デルタ、BPV)を中心に―」ファイナンス10月号、54-65.
[5]服部孝洋(2021)「グリッド・ポイント・センシティビティ入門―日本国債およびバリュー・アット・リスクの観点で―」ファイナンス3月号、80-88.
[6]氷見野良三(2005)「検証 BIS規制と日本」金融財政事情研究会
[7]吉藤茂(2020)「図説 金融規制の潮流と銀行ERM―続・金融工学とリスクマネジメント」きんざい
[8]アナト・アドマティ、マルティン・ヘルビッヒ(2014)「銀行は裸の王様である」東洋経済新報社