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片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田日本銀行総裁共同記者会見の概要(令和8年5月19日(火曜日))

【冒頭発言】

大臣)本日行われたG7財務大臣・中央銀行総裁会議の二日目の会議とバイの面会の概要をご報告いたします。G7の会議は朝9時から約4時間行われて、植田日銀総裁と私が出席し、グローバル・インバランス、国際的パートナーシップ、世界経済について議論しました。本日はG7以外に招待国であるブラジル、インド、ケニア、韓国の各財務大臣と中銀総裁も招待国として参加されました。まずグローバル・インバランスについては、過度なインバランスを放置すれば、急激かつ無秩序な調整が発生して、経済と金融の安定に悪影響を与える可能性があること、新興国をはじめ各国の雇用・物価・産業に悪影響を与える、中国の歪曲的な産業政策を控えるようにG7と招待国がG20やIMF等の場で一致して訴えていくべきこと等を申し上げました。国際的なパートナーシップについては、要するに援助のことですけれども、まさに国内資金の動員について、国際課税の分野や、脆弱な国、小さな島しょ国への支援が必要であること、日本は昨年末に続きまして、今年の12月12日にも、世銀とWHOと共催でユニバーサルヘルスカバレッジのハイレベルフォーラム2026を東京で開催すること等を発言しました。世界経済につきましてはカタールとUAEの財務大臣が来られて議論いたしまして、私からは原油やLNGの多くを中東に依存するアジア地域の影響を特に注視すべきこと、中東に由来する肥料の供給の停滞が、アフリカなどの地域に食糧危機を招かないようにG7としてMDBsとも提携して対応する必要があること等を申し上げました。以上が発言ですが、2日間の議論の結果をまとめた共同声明が発出されました。4月に続いて出ないんじゃないかというご懸念がありましたが、今回は作る気満々でございまして、大変ボリュームのあるものになりまして、細かいところは事務方から説明しますが、主要な成果は以下の通りです。まず世界経済についてはエネルギー・食料・肥料のサプライチェーンへの圧力等により、世界経済の成長下押し、または、インフレ率の上昇のリスクが高まっていて、これらが最も脆弱な国に特に影響を及ぼすことを認識すること、またこれらの悪影響が緩和されるために、自由で安全なホルムズ海峡の通航の迅速な回復、持続的な紛争の解決が不可欠であること、中東の紛争が金融市場に与える影響を緊密に注視するとともに、必要に応じて機動的に情報交換の場を設けることを等に合意をいたしました。グローバル・インバランスについては、非市場的政策及び慣行がグローバル・インバランスの要因となりうること、G7各国が具体的な政策を通じて均衡ある成長及びマクロ経済の安定を促進し、各国に対してもこうした行動を奨励すること、IMFに各国の対応のモニタリングを求めること等について合意いたしました。重要鉱物については世界のサプライチェーンを混乱させる、恣意的な輸出制限に引き続き懸念を有すること、安全で持続可能かつ強靭なサプライチェ―ンの強化に向けて投資の拡大やリサイクルの取組、適切な調達基準の採用などを目指すこと、重要鉱物に関し官民双方の資金動員の必要性を認識し、2023年のG7日本議長下で立ち上げたRISEパートナーシップの強化を含むMDBsのより深い関与を歓迎すること等に合意しました。金融セクターにおける新興技術については、Mythos等のフロンティアAIの最近の進展を踏まえ、G7の専門家の間での情報交換を強化し、ベストプラクティスを特定する取組を進めること等で一致しております。G7に続いて、本日の午後にはNo Money for Terror会合に出席し、テロ資金対策について議論を行いました。金融新技術の悪用防止のセッションでは、私が冒頭スピーチを務めました。バイ面会については、ドイツのクリングバイル大臣、イタリアのジョルジェッティ大臣、ブラジルのドゥリガン大臣、韓国で先月着任されたシン韓国銀行総裁、シリアのバルニエ大臣とのバイ面会を行いました。私からの発言は以上となります。

総裁)私からは、簡潔になりますけれども、まず2日間を通じまして、大臣から今お話がありましたように、中東情勢を受けた経済・物価等への影響を含め、世界経済、金融情勢について議論が交わされたほか、金融システムやグローバル・インバランスに関する議論も行いました。また、中東情勢の影響に関して、中央銀行として、エネルギー価格等の上昇圧力が物価上昇率や予想物価上昇率、経済活動および金融市場に与える影響を注視していくことについて、参加者間で認識が共有されました。その中で私からは、日本経済について4月の展望レポートの線に沿って、また、私どもの金融政策についても4月の決定会合の際の考え方について説明をさせていただきました。

【質疑応答】

問)財務大臣と日銀総裁、お二人それぞれ1問ずつお願いします。片山大臣はG7の共同声明の中で、為替についてコミットメント、2017年のものを確認したとありますが、これというのは日本の為替に対するの姿勢というのを理解されたという風にお考えでしょうか。
 植田総裁には、今おっしゃったように、中央銀行、原油価格、一次産品がどのように物価、インフレ期待、金融市場など経済活動も含めてですね、影響あるかみていくということですけれども、今日、日本ではGDPの数字も出ていて、そこまで4月会合から多くのデータが出ているわけではないんですが、今足元で経済、インフレと物価の上振れリスクについてどういうふうにお考えになっているかお願い致します。

大臣)コミュニケにも2017年5月の為替相場についてのコミットメントと出ておりますし、またベッセント長官が植田総裁とお会いになったあとXで、為替のボラティリティはundesirableであったとおっしゃっていただいて、私と対談した後もおっしゃっていて、総じて当然理解していただいたと我々は理解をしております。

総裁)私からは、まず今朝のGDPについてはまだ精査しておりませんが、概ね私どものみていた姿に近いデータが出てきたかなというふうに思っております。そのうえで、中東情勢のわが国経済・物価へのこれまでの影響ですけれども、影響が徐々に出てきているかなというふうにみています。例えば中東向け輸出のところは非常に弱い姿となっていますし、石油、化学等で設備の稼働率を下げてという動きが出たり、あるいはマインド面で弱い指標が出るというようなことが目につきます。また、物価面では川上から川中くらいにかけて、石油、化学あるいはプラスチック製品のところ辺りへの価格転嫁がやや早めであるなというふうに、企業物価指数等をみて思っております。それから、インフレ期待のところについても、まだ確たることは申し上げられませんが、少し古くなりますが、短観の企業の物価に対する見方とか、あるいは足元のブレーク・イーブン・インフレ率の動きとか、ちょっと上振れているところがありますので、これは注視してみていきたいなと思っております。

問)植田総裁に二点お伺いしたいんですけれども、長期金利の上昇についてお伺いしたいんですが、足元、長期金利が上昇傾向にありますが、この状況を今どうみられているのかというのと、6月の会合でも国債買入れの減額についての中間評価を控えていますが、現状どのように考えて対応していくとお考えでしょうか。
 二点目は、ベッセント米財務長官との会談があったとベッセント長官がXでツイートしていますが、どのような会談だったのか少しお話を聞かせてください。

総裁)まず長期金利ですけれども、これは速いスピードでこのところ上昇しているというふうに認識しております。背景としてはやはり一番大きいのは、市場参加者の間の認識ですけれども、中東情勢を背景としたインフレ懸念の高まりが世界的に長期金利の上昇をもたらしているということだなと思います。加えて、わが国の先行きの経済・物価情勢、金融政策、財政政策等に対する見方なども影響しているという声をよく聞きます。国債市場の動向については、政府とも緊密に連携しつつ、しっかりとみてまいりたいと思います。それから、6月の国債買入れ減額計画の中間評価に向けてですけれども、これはいつも申し上げていますように、市場動向あるいは市場の機能度について、確かこれから開催予定の債券市場参加者会合、この場も活用しながら、しっかりと点検してまいりたいと思っております。
 ベッセント長官とは、以前より、あるいは長年よく知っている間ですので、機会をとらえて会うということにしてきた中で、たまたま今回はお会いするチャンスがあったということでございます。議論の内容について具体的にコメントすることは、申し訳ありませんが差し控えさせて頂きたいと思います。

問)大臣に質問します。本日グローバル・インバランスが議題になって、財政健全化についても議題に上がっていたかと思いますが、今朝レスキュール大臣がぶら下がりで、例えば補助金については困窮している家庭や企業に絞ってやることが大切だというお話をされていました。今回の会期で例えばガソリンの補助であったりとか今検討されている補正予算の電気・ガス料金の議論があったのか、もしくはなかったとしても、こういったコミュニケ等を踏まえてどうお考えなのか教えてください。

大臣)日本については、ちょうど総理からリスクの最小化の観点から万全の備えを取るべく、補正予算の編成も含め、資金面の手当てを検討するように、パリに行く私に指示がありました。リスクの最小化という観点では、当然我々は金融市場を所管しているわけですから、そういうことも含めて、二兎を追っておりますと説明して、それについてはいろんな意味でよく考えてやっているんだねということが、大臣同士の会話とかいろんな人からの質問で、批判であったり注文であったりはありませんでした。というのもフランスも多分これを終えた後に、エネルギー補填の対策をやるようでして、ドイツの大臣ともお会いしましたけれども、程度の差はあれやっております。それも一定の方だけではなくある程度入れていると、ということでこの状況に至っては、価格ショックを抑えることを主要国はほぼやっております。主要国だけではなくて中進国もやっておりますので、これについては批判は無いし、レスキュール大臣も一般論をおっしゃったということと理解しております。

問)大臣と植田総裁それぞれにお伺いしたいのですけれども、先ほどベッセント財務長官が弊社の記者とのインタビューの中で、植田総裁は優れた中銀総裁で、もし総裁が必要なことを実行するための十分な裁量が政府から与えられれば、日本は優れた金融政策を実現できるだろう、と発言されています。この発言の受け止めについてそれぞれコメント頂けますでしょうか。

総裁)私としては、普段から申し上げているとおり、持続的・安定的な2%のインフレ率の達成を目指して、適切な金融政策運営を実行していくということに努めるということに尽きます。

大臣)ベッセント長官は、日銀法ですとか、財務省と日銀の関係をよくご存じですから、我々は日銀法に基づいた関係を尊重しておりますので、これは高市総理ももちろんでございますので、その線に沿って、適切な運営がなされることを期待すると総理もおっしゃっておりますから、その線であれば全く正しいことをおっしゃっているのではないかと思います。

問)片山大臣にお伺いします。今回のG7の共同声明を見ていると、中国への対抗ということを軸にG7が結束を示したと評価しています。今回振り返って、結束を促した背景に何があったとお考えか、また、この点は踏み込み不足だったな、足並みがそろわなかったなというのがあればお教えください。

大臣)ここから1か月後のエビアンの首脳会議に向けて、やらなければならにことがあるんですけれども、その中には、グローバル・インバランスでおそらく、全ての国が、中国が産業政策上の問題とか、歪曲的・非市場的行動とか色々あって、自ら改める気はないのではという認識で一致して、先般の米中の会談の結果でもあったと思います。そのことについて、まさにこれからマクロン大統領がリーダーとしてどういうことをしていくかという、グローバル・インバランスもずいぶん長くやっておりますから、その決断を含めて、これから1か月我々も貢献して、立派な首脳コミュニケが出るようにしなければならないと思っておりますし、背景としては、その最近の認識ではないかと思います。
 重要鉱物についても、まさに同じようなことでございまして、これは6月10日にB7という金融機関とか、クリティカルミネラルに関係する民間主体の機関もパリで集まって、実際にどうするのかということをやって、具体的な調達の多角化に踏み込むということですから、これも非常に大きなことでございますので、首脳会談の時までにどこまで書けるかどうかというのがあると思います。また、準備段階では、財務大臣会合が圧倒的に多くの部分で首脳のコミュニケの準備会合になるので、それについて記者さんがおっしゃったような方法である意味進展したということが今回の会合の意味で、それはあくまでも現実認識を踏まえてのことであったのではないかと思います。

問)足並みがそろわなかったということは今回は感じられない。

大臣)方向性は完全に一致していたと、ただどこまでそれをやれるかという、それは開催国であるフランスのトップであるマクロン大統領の判断と、あるいはそこに影響を持つであろうトランプ大統領とか、そのレベルに行くであろうと思います。

(以上)