ASEAN+3議長国共同記者会見における日本側の発言(日英同時通訳を媒介)の概要は以下のとおり。
【冒頭発言】
大臣)皆さん、こんばんは。日本の財務大臣を務めております片山さつきでございます。私の方から説明させていただきます。本日フィリピンと日本の共同議長のもと、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議を開催いたしました。会議では4時間、1時半から約4時間会議が行われまして、率直かつ建設的な世界経済・地域経済見通し、また地域金融協力につきまして率直かつ建設的な意見交換を行いました。
まず私から議論の概要及びその成果についてご報告させていただきます。先ほど会議において採択されました共同声明は皆様方のお手元にお配りしているかと思いますし、インターネットベースでも入手可能になっているかと思います。まず世界及び地域の経済状況等につきまして中東情勢の影響も含めて意見交換を行いました。ASEAN+3は原油・LNGの多くを中東に依存していることから、実体経済や金融市場への影響に留意する必要があるとの認識を共有いたしました。また調達先、ルートの多角化、そしてエネルギーの多様化の重要性を確認いたしました。域内各国のサプライチェーンが密接に結びついている中、原油・石油関連製品の供給不足を避ける観点からであります。私からは日本の取組といたしまして先月高市総理より発表されましたパワー・アジア、アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ、通称パワー・アジアについて説明いたしまして、日本としてこうした支援を実施することで地域経済への安定確保に貢献していく旨、申し上げました。これに対して多くのメンバーから日本の取組に対する感謝の言葉を頂戴いたしました。
次に、地域金融協力についてでありますけれども、ASEAN+3財務プロセスの中長期的な方向性を示す戦略文書に合意いたしました。同文書では地域金融協力の4本柱であります、まずはチェンマイ・イニシアティブ=CMIM、2つ目がAMRO=ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス、そして3つ目がABMI=アジア債券市場育成イニシアティブ、そして4つ目、DRF=災害リスクファイナンス、この4本柱における取組に加えまして、今後注力すべき分野といたしましてクロスボーダー・デジタル決済を含む金融システムの統合などを盛り込みました。CMIMにつきましては、チェンマイ・イニシアティブですけれども、地域を取り巻く不確実性が高まる中、対外資金ニーズが生じた場合に機動的に活用できるよう、その実効性をさらに強化していく必要性を共有いたしました。また、2024年に設立に合意をいたしました緊急融資ファシリティ=RFFの早期発効の重要性も確認いたしました。AMROは本年、国際機関化から10周年であります。これまで地域金融・経済の安定と発展に果たしてきたその役割を歓迎するとともに、渡部CEO兼事務局長のもと、サーベイランス、CMIMの実施支援、技術支援などの機能を一層強化していくということを確認いたしました。ABMI=アジア債券市場育成イニシアティブについては、域内の現地通貨建て債券市場の育成を通じてアジア通貨危機の一因となりました資金調達における期間と通貨のダブルミスマッチの問題が大幅に緩和されてきたことを確認いたしました。その上で引き続き債券を取組の中心に据えつつ、より幅広い金融仲介手法の検討を進める観点から来年スタート予定の次期ロードマップよりABMIをABFMI、アジア債券金融市場育成イニシアティブへと発展させることに合意をいたしました。災害リスクファイナンス=DRFにつきましては、災害保険等の金融商品の活用を通じて域内の自然災害に対する財務強靱性を一層強化するため3年間のロードマップに合意をいたしまして、ADBを本取組の恒久的な事務局とすることで一致をいたしました。域内クロスボーダー・デジタル決済の強化についても議論を行いました。ステーブルコインやデジタル通貨等、様々なツールのメリット・デメリットや実用化に向けた課題を整理したAMROの報告書を土台に今後リテール及びホールセール決済の接続の在り方やステーブルコインに関する規制アプローチ等について議論を深めてまいる予定であります。
そのほか、昨年に引き続きまして財政政策対話を開催し、各国財政当局が共通して直面する課題について議論を行ったほか、今回初の試みといたしまして中央銀行政策対話も開催し、クロスボーダー決済について議論を行いました。
私からは以上です。ありがとうございます。
【質疑応答】
問)フィリピンと日本の議長から回答をいただければ幸いです。最初の質問はどのように評価するんでしょうか、現在の経済協力、中央アジアの国々との経済協力をどのように評価されているか教えてください。そして2つ目の質問ですが、アジアの経済は外的なショックからどのような影響を受けているんでしょうか。例えば債務のプレッシャーの上昇ですとか不確実性が高まることによってどのように対応を各政府がされているのか教えてください。
大臣)ご質問ありがとうございます。今日の参加者の個別の発言については、私は議長ですけれど、ご紹介はできないのですけれども、目下中東情勢を受けてエネルギー価格、あるいは需要の対策を実施している国もかなり多くて、各国のこうした政策対応については当然マクロ経済にも影響が出ると思います。それにつきましてもかなり現状をお互いに今日は共有したと思います。ただ、いずれにしてもこの中東危機のデュレーション、いつまでに終わるかというのが確実な答えが現在でもないです。私はG7のファイナンスミニスターとしてやったりしていますが、G7でもG20でも確実な見通しはない状況の中で、多くの当局がいろいろな判断を保留しています。それは恐らくこの中央アジアも同じなんじゃないかと思います。中央アジアの方が大きなエネルギー産出国もあり、インパクトは恐らく我々よりも少ないんじゃないかと思いますが、いずれにしても世界中が影響を受けています。そのことについてはやはり地域協力が非常に必要だということはある意味で一致したと思います。そこで先ほど申し上げたように地域でお互いに助け合いながらサプライチェーンを多様化したり、エネルギーの転換をしたり、あるいはそのためのテクニカルアシスタント、ヒューマンリソースを助けたり、そういうこと、あるいはリージョナルという、そういうストラクチャも必要だと。もちろんこれは短期間でできることではないけれども、同じアジアですから、そして、同じだという意味では共通の理解があったのではないかと私は感じました。
問)本日は中銀総裁間の対話があり、クロスボーダー決済が主な内容だったということですが、中東情勢を受けて金融政策について何か意見交換はあったのか、また日銀の政策について、金融政策決定会合後に円安が進む動きがありましたが、今後の金融政策運営に関する姿勢をお聞かせください。
副総裁)頂いた質問は、今回の会議が初回となる中央銀行政策対話についてであり、金融政策についてわれわれが議論したか問うものです。本日、私はデ・レオン氏と同対話の共同議長を務め、クロスボーダー決済の接続性に焦点をあてて議論を行いました。このため中央銀行政策対話においては、特に中東情勢への対応としての金融政策については議論していません。しかし、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議においては、地域の経済動向について議論を行い、メンバーの中には自国の金融政策運営について発言する人もいました。個別の発言については申し上げられませんが、当該地域は相対的に強固な状況のもとで2026 年を迎えたことについて合意がありました。しかし、中東における紛争により、成長は減速し、インフレ率は上昇する可能性があり、その影響は紛争の継続期間やメンバーのエネルギーや主要一次産品への輸入依存度によって左右されると思われます。メンバーの中銀はこの点の違いに応じて自国の対応を行うことになるでしょう。これが本日の議論から私が受けとめた内容です。
問)片山財務大臣にお聞きします。共同声明の中で中東情勢を受けて地域が結束することが重要だという一文があります。こういった地域の協力をしていく中で日本としてどうやって協力していくかお考えをお聞かせください。
大臣)まさにパワー・アジアを発表いたしまして、今日もASEAN+3の場でもしっかりと説明をさせていただきまして、ご関心を示していただいた国も多かったと思います。総理もベトナムで大分説明をされたようですが、このように金融関係で石油や石油関連資源の調達がこのアジアにおいて難しくならないようにすることはお互いに利益があるので、私たちにも皆さんにもそのような形でまず協力をしていくということで、そのことはIMFでも、もちろんADBでも評価をしていただいておりますし、幾つかの国とはまさにこれからの協力ですね、備蓄や調達の協力出ていますので、近いところですから、それが合理性があるということだと思います。そのように考えております。
問)声明の中で、多国間主義を堅持することという風に書いてありますけれども、大国の力の支配というものがある中で、多国間と書いたところについて、もう少し踏み込んで語っていただければ思います。
大臣)まさに今WTOがどのくらいまで機能しているかとかいろいろなことが言われますように、長年築いてきた多国間の自由で公正なシステムがどこまで機能するかが問われていく中で、このASEAN+3がアジアが一番危機に陥ったときにみんなが協力することの必要性からできた組織でございますので、これをアジアが育てていくということはある意味、次世代にとってある程度、ちょっと口幅ったいかもしれませんから、なかなか言いにくいけれども、手本にならないのかなと、そういう時代が90年代の終わりにあったわけですから、そういう形で協力をしっかりとマルチの地域協力を具体的なすばらしいものにする、それが新たな国際的な協調につながるんじゃないかというふうに考えております。
問)ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議における協力のためのイニシアティブは、ASEAN各国や当該地域の一般国民にとってどのような意味があるのでしょうか。
副総裁)一つ付け加えさせて頂くとすれば、アジア通貨危機では当該地域全体にわたって一般国民が非常に苦しみました。多くのイニシアティブを開始したのはこれを繰り返さないためです。チェンマイ・イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブなどの取り組みはこれら地域の金融の強靭性を大幅に強化し、一般国民を守るためのものであり、この目的を果たすためにわれわれは集まっているのです。
(以上)

