【冒頭発言】
まず令和8年度予算の概算でございますが、今日の閣議で正式に決定いたしましたので概要を申し上げます。8年度予算については、一般会計歳出総額が対前年度当初で7.1兆円増となり過去最大となる122.3兆円となっています。語呂合わせの正式発表はもう全然していないんですが、今日閣議も終わった雑談の中で122という見出しが結構多いんですよね、皆さん。122だと「いい日本に」になるねと。122.3だと「いい日本に、みんなで」となるねというところまではちょっと言ってみたんですけど、その後の数字がなかなか語呂が作りにくくて、私はそこの3,092ぐらいまで入れていたんですけれども、それはもうありません。
令和8年度予算は、先般成立いたしました7年度補正の対応に続いて、切れ目なく強い経済を実現する予算となっております。複数年度の取組、歳出構造の平時化に向けた取組を推進し、重要施策には当初予算を増額させております。具体的には、診療報酬改定、介護報酬改定をはじめ、予算全体について経済・物価動向等を適切に反映しております。また、防衛力強化、いわゆる教育無償化などの重要施策について、財源は確保しつつ予算を増額しております。
新規国債発行額は29.6兆円となり、17年ぶりに30兆円を切りました。令和7年度当初予算に続いて、当初予算としては2年連続で30兆円を下回りました。そして公債依存度は24.2%と27年ぶりに30%を下回った令和7年度当初予算の24.9%よりもさらに低下しております。24.9から24.2に低下しております。このように重要施策について予算を増額させるとともに財政規律にも配慮して、強い経済の実現と財政の持続可能性を両立させる予算案とすることができたと考えております。
なお、特例公債の発行根拠は、今年度末で5年間の期限を迎えます。これまでの枠組みを引き継ぎ、今回も5年間の発行根拠を求める方向で法案の提出に向け、与党とご相談をしてまいります。
財投でございますが、令和8年度財投計画につきましては、不確実性が高まる国際情勢の中で強靭な経済構造の構築、それから官民が連携した積極的な投資促進、物価高への対応などのため、総額19.0兆円となっております。税制は、本日の閣議で税制改正の大綱のほうも決定しております。本日の閣議決定を踏まえまして、今後来年の通常国会への予算案、さらには税制改正法案、特例公債法案等の法案の提出に向けて作業を進めてまいります。
次にでございますが、租税特別措置・補助金の見直しについてでございますが、今ご説明した令和8年度予算・税制改正から早速見直しには着手しております。状況としては賃上げ促進税制について、大企業、中堅企業、中小企業それぞれの状況の違いを踏まえて、一部は廃止を含めた見直しになっています。
また研究開発税制についても、データ分析を踏まえてインセンティブを更に強化する見直しとしております。補助金についても歳出改革を徹底して予算のメリハリ付けを行う観点から、使い残しが多かった地域未来交付金や地域脱炭素推進交付金等について、予算額の削減等の見直しを行っております。これらを含めた見直し結果については、本日開設いたしました内閣官房租税特別措置・補助金見直し担当室のホームページに掲載をしております。
また、ここでも何回か発表をいたしました。既に官邸のほうでの会議もスタートいたしましたが、広く国民の皆様から見直しのご提案を募集する仕組みについてこのたび運用の準備が整ったので発表いたします。具体的にはこのパネルにあるように、内閣官房の担当室のホームページに特設のサイトを設けまして、年明け1月5日の朝10時から、1月5日午前10時から2か月間ご提案を募集させていただきます。特設サイト自身は、今日この記者会見が始まった時刻にオープンとなります。国民の皆様には、できるだけ積極的にお声を聞かせていただければと思っております。この取組は多数決ではないので、お一人の方が1,000件送られてもということはありますが、できるだけ提案はお一人1件ならば1回とさせていただけるとありがたいんですが、それを防止する仕組みはないのでお呼びかけをいただければありがたいなと思います。
次の令和9年度の予算編成・税制改正プロセスは、要求の段階から既にこういうデータが出てきておりますので、一貫した対応を行っていくこととしておりますから、本当に取組の参考となるような幅広い観点からのご提案を期待しております。年末年始はサイバー攻撃を受けたときに、政府も企業も非常に脆弱なので1月5日までオープンにしないのは、その理由それだけでございます。そこからは多少対応能力が増しますから。まあ、なさらないとは思いますけどね。ここにサイバーをかけてもしようがないなと思いますけど、ただ可能性としては官庁でございますから全部備えるということになっておりますので、それが1月5日にしている理由で、ほかにその理由はありません。
最後は金融庁の組織再編なんですけれども、金融庁が資産運用立国の実現、それから一部金融機関に関する不祥事や不正への対応、生成AIなどの新たなデジタル技術を用いた金融サービスの変革への対応など、金融監督上の新しい課題もいろいろ生じておりますので、来年夏に組織再編を行って監督局の所掌範囲が課題にならないよう適正に見直すこと等により、きめ細かく効率的・効果的な監督業務を進めていくための環境を整えることといたしました。具体的に何をするかというと、まず総合政策局ですが、これを資産運用・保険監督局に再編しまして、近年非常に重みが増しております資産運用業及びアセットオーナーでもある保険業に対する監督を連携強化し、監督局は銀行・証券監督局に再編し、銀行業・証券業の実態を踏まえたグループベースでの監督の高度化を図ります。また両監督局の設置に伴い、これまで総合政策局で担ってきた政策調整や人事等の官房機能には、局長級である次長を新設いたしまして、ここで担わせることといたします。
金融庁といたしましては組織体制の見直しも進めながら、金融経済をめぐる環境が目まぐるしく変化して、今日もいろいろ記事が出ておりますというか、記事を書いていただいておりますが、質の高い金融行政サービスを提供し続けられるよう引き続き取り組んでまいります。詳細な部分につきましては事務方にお問合せをいただければありがたいです。
私の冒頭発言は以上であります。
【質疑応答】
問)閣議決定されました来年度予算案ですけれども、強い経済の実現を目指す高市政権として、重点化してメリハリをつけた部分というのはどのようなところだったのか伺えないでしょうか。また、一般会計総額122兆を超えて過去最大となり、新規国債発行額も前年度当初を上回ることになりました。債券市場では高石政権の拡張的な財政政策への警戒もあって、新発10年モノ国債の流通利回りは一時2.1%まで上昇しましたが、今回の予算編成で財政の信任を確保するためにどのように取り組んだのか伺えないでしょうか。
答)メリハリについてですけれども、強い経済実現予算の中で、まず取組としては複数年度の取組とか、歳出構造の平時化に向けた取組というのを推進して重要施策については増額ということなんですが、診療報酬・介護報酬の改定をはじめ、経済・物価動向の反映というのを本格的にした第一年度ではないかなと思っております。これは骨太の方針にも書いてありますけれども、本格化して予算に反映されたのは、官公需とかほかの公的制度の点検とかもございますから初めてだと思います。
また防衛力強化など、従来から財源が確保されて複数年度で計画的にやっているものについては引き続き増やしておりまして、特にGX半導体につきましては日本の稼ぎ頭を期待されておりますし、特会において当初予算を1兆円増額しております。それからいわゆる教育無償化、これは連立を組んでおります維新さんや他党さんとの、本当に年を越えた話合いの結果によっていろいろ出来上がったということでは、これがやはり今回の年度で初めてということもあるでしょう。それから外国人の施策についても、財源も確保しながら、これ言い方が難しいんですけれども、まさに秩序ある共生でないと長続きしませんし、我々国民の納税者の皆様が望む形でないとよろしくないという考え方から、外国人に関わる施策にそういうふうな形で当てられるということでございますから、これも新しい財源確保でございますので、まさに全体にメリハリがついたと思っておりますし、皆様にご取材をいただいた各種の大臣との折衝でも国立大学の運営交付金が、平年度で初めて若干ですけど増えましたしね。それから科研費なんかもそうですから、今まではシーリングがきついんで、今だってきついんですよ、今回もそうですから、そういった中で無理だな無理だなと言われていたのを、やっぱり本来はここで増やすべきなんだという形にしたわけですよ、公共事業も。昨日も業界の方みんな来られましたけど、各団体。そういう部分では、その額自体が巨額ではなくても、そのベクトルを変えられたという意味では、まさに積極財政の部分について本当に動いたんだなというお声は、あちこちからいただいております。
財政規律については、規模は増えるんですけど、それはGDPも今の見込みでいきますと、昨日、一昨日発表ございましたが、名目に直すともう690兆円台なんですよ、日本のGDPって。この間600に乗ったといったら、もう700で、1,000兆円の本を書いた私としては非常にうれしいんですが、それは完全に分子・分母の関係になって大きさをはかるものでございますから、そういったことで当初の見積りの、その時点でのGDPと予算を比べるということを、前からそういうデータがあるんですが、それと比べますとこの3年間は名目GDPに対する当初予算の規模って、ほとんど変わっていないんですよ。いつ大きかったかというと、民主党政権の3年間は我々の今よりも大きいですし、ほかにも厳しいと言われた政権で、財政でですね、結果的には大きいというのがいっぱいありまして、今年の令和8年度は過去の中では12番目なので、経済規模にふさわしくない過大な数字ということはどこから見ても言えないと思いまして、昨日も経団連の会でそれを申し上げたら、もちろん皆さん会社の予算とか、IRをやっていらっしゃるトップばっかりですからね。当然そういう数字でご覧になるので、それはそうだよねということを言っていただけたなと思っていますし、また新規国債発行額が30兆円を切ることができて、公債依存度が24.2というのは私が小泉政権の下で主計官として予算をやっていたときに、このぐらいの数字になればいいなと言っていた数字ってこれですよ。あの頃は30数%だったんですよ。つまり30兆円枠を小泉さんが突然おっしゃって、30兆円にするのが非常に厳しい、現実的にいろいろ義務的経費とかも無理みたいなところでやっていたわけですから、それから考えると財政は引き続き苦しいですし、債務残高も大きいですが、単年度的に見てみると超積極財政論者の方が言うことも分からないではないデータはつくれるんですね。我々は極めて常識的な秩序ある、そして責任ある積極財政論者でやっていますから、いろんなものを360度見ながら、このようにさせていただいているということでございます。
問)税に関連して2点お伺いしたいんですけれども、まず1点目に租税特別措置の見直しについてですけれども、今回の改正を含めて、租特全体で幾らの削減ができたのか、その総額のところを教えていただきたいのと、その見直しの評価、現段階どれぐらい見直しができたとお考えなのか教えてください。
答)額は基礎控除を引き上げておりますよね、当然今回は壁をいじりましたので。それと大胆な設備投資促進税制をつくって、賃上げ促進税制を見直したということで、令和8年度で5,780億円の減収、平年度では390億円の増収になるので行って帰ってでございます、この部分は。だから設備投資促進税制の創設と賃上げ促進税制の見直しで、大きく租特は動いているんですけれども、大胆な設備投資のほうは完全に持ち出しでございまして、賃上げ促進税制のところは、ある程度マイナスができたというところでございます。詳しい数字については事務方からお答えができると思いますので、すみません私ちょっと今持っていませんが一応出していると思います。
問)もう1点、ガソリンの旧暫定税率の廃止と、それから教育無償化の2.2兆円の財源の確保についてお伺いしたいんですけれども、税のところでは1.2兆円の財源が確保できたというふうにご説明があったんですが、税制改正の増減収全体で見ればマイナスになるという中で、このプラスになった項目だけを取り出して1.2兆円確保できたというふうにご説明されているのが適切なのかどうかというふうに疑問に思うんですけれども、この辺り財源確保についてお考えをお聞かせください。
答)ガソリンの当分の間税率廃止といわゆる教育無償化と学校給食とそれから高校、これについて一体的に考えて、できるだけ責任ある財政を確保していこうということは主に連立を組みました維新さんとの間で、お話をお約束している政策ですから、そういう括り方になるので、国・地方を合わせて大体2.2兆円ぐらいの安定財源確保が必要ということで、今般歳出改革の取組で0.24兆円の財源を確保して、税制改正のほうで幾ら幾らということも含めると、租特の見直し等によって平年度で1.2兆円の財源を確保いたしております。その上でなお不足する財源が当然あるんですが、これは税制改正大綱において、令和9年度の税制改正において結論を得ると特にされている部分が地方の財源ですね、軽油引取税とか、そのところについては6党合意、その他の様々な与党間の話合いで書いてありますので、そこに一定の財源をこれから来年末にかけて探していくということになります。その比べ方については今、私が説明をいたしたような形で政策的に暫定税率の引下げ撤廃、それからいわゆる教育無償化をやろうという自民と維新、あるいは今回4党あるいは6党の合意もありましたけれども、その間である程度の政策パッケージの幅が示されているから、その間についてどういう財源にしていこうということも各種の合意に書いてあるので、それに対応してやったということで、私どもがこういう示し方を最初から望んだということではなくて、与党間あるいは各党間で決められたことに従ってお示しをしたということになると思います。
問)1.2兆円というところの数え方なんですけれども、租特の見直しで言えば、例えば先ほどの設備投資減税で4,000億円規模の減収が加わっている中で、プラスになった賃上げ税制をカウントしている、全体でマイナスになっているように、財源として確保できていないように思えるんですけれども、その辺りの1.2兆円確保できたと言えるのかどうか。そこをちょっとお伺いしたいです。
答)法人税の中で見直せるものがこういうものがあったという形であって、前からそういう説明をしているわけですけれども、例えばそれ以外にも設備投資関係にはいろいろと税制の見直しでありますし、それから買換資産の、これはあんまり大きくはないけど特例の見直しとか、租税の特別措置の法人課税って多いですから、その項目はたくさんあって、それにちょっとでもいじれば増減収は立つんですけれども、その中で初めから賃上げ税制と研究開発税制についてはある程度検討をした結果として、来年度、平年度が幾ら、初年度が幾らというように、こちらに資料として配られているような形になってマイナスが立っているところ、大きいところがおっしゃったような設備投資であり、賃上げについてはある程度増収が立っているところがあるわけです、大規模企業のところを切ったから。その切った部分を当てたという考え方が、昔からこの財源の探し方にはあるのであって、要は努力をこちらでしたので、こちらでビルドしているというスクラップ・アンド・ビルドの決め方の問題で、全体としてはどうなるのかというと公債依存度が若干下がったけどこれだけあると。税については税収がどのぐらいになるだろうというのがあると。だから全体のマクロがあって、その後のいろいろな政策課題についてのやり方は、逆に言うとこういうやり方しか今までもしてきていないです。それがいいか悪いかですけど、なかなか取り方が難しいと思います、はっきり言って。
問)地方分の減収について伺います。当分の間税率の軽油と環境性能割の廃止で0.7兆円の地方の税収減となると。その補填のために今回交付税特会の借入金残高を国の一般会計に0.7兆円を移すという対策を取られるようですけれども、様々な対応が選択肢があったと思いますけれども、こういった方法を取られるスキームになった理由と、これは持続可能性はちょっと難しいのかなと思いますけれども、次年度以降の対応についてお考えをお聞かせください。
答)環境性能割は当初の自民党案というか、高市総理が総裁選からずっと言っておりましたのは停止だったんですけれども、そこは国民民主党さんとの折衝によって廃止になりましたので、地方税の減収というのが確定ある程度するわけですから、安定財源を確保するための具体的な方策を検討し、それまでの間は国の責任で手当するということにされました。まさに国の責任で手当するの部分でございますが、そこで地方の安定財源が確保されるまでの間、環境性能割の廃止に伴う減収分等につきましては、地方特例交付金を出すことになりました。この制度は小渕政権で恒久減税か恒久的減税かでもめた橋本政権を引き継いだ後に、だから平成11年ぐらいからあって、いわゆる都道府県で東京都のようなところも含めて、こういう目的に配付できるものなんですけれども、地方特例交付金を措置するというか、そういうためのものなのでそのようにいたしますが、その分自動的に国債発行に頼るということだと両党の合意の趣旨に合わないということで、軽油の分と合わせまして地方特例交付金の相当額の地方交付税交付金の減額を行わせていただいて、同時に今、地方財政というのは非常によくなってまいりまして、プライマリーバランスはもう数年ずっと黒でございますし、臨時対策債ももう2年連続で出さなくてもいい状況になっているんですが、逆に返しているんですが、その返している部分も減らさなくてもいいような形で、つまり債務残高の減少も支障しないでしっかり返す分を増やすぐらいはできるような形にしてというと、借入金残高のうちの同額を一般会計が承継するということが一番合理的なので、このようにいたしましたけれども全く隠しておりませんので、一切こういうスキームで今申し上げたような趣旨で回したということでございます。いずれにしても重要なことは、ここに書いてあるように安易に国債の増発に頼らないで、かつ地方にきっちりと地方が負担を今年負うことにならないような形で措置をするということが目的なので、その目的には完全に沿っているかと思います。どうも本年も大変お世話になりまして、ありがとうございました。
(以上)

