【冒頭発言】
まず1点目、本日官邸で閣議後に租税特別措置・補助金見直しの関係閣僚等及び副大臣会議を開催いたしましたので、その概要をご報告いたします。本日は木原官房長官、維新の遠藤内閣総理大臣補佐官、また林総務大臣、松本行革担当大臣といった関係閣僚及び全府省庁の副大臣と、租税特別措置や補助金・基金の見直しについて第1回目の議論を行いました。私のほうからは、足元の令和8年度の予算編成も大詰めでございます。税制改正これも大詰めではございますが、その作業の中で必要な見直しを実施し、それができるようなものがあれば、直ちに見直し可能な項目に反映していくということ、本格的には次の令和9年度予算編成・税制改正ですが、これは行政事業レビューなど既存の枠組みがたくさんございます。これを活用しつつ要求段階から査定段階まで一貫した対応を行うことで、しっかりと点検・見直しを進めていくということを申し上げました。
さらに国民の皆様に対して政策効果の説明責任を十分果たすために、これまでの会計検査院や行政事業レビュー等における指摘を踏まえた自己点検や客観的な効果検証のための評価指標の整備などの準備を進めて、まず各府省庁において自己点検というか見直しに積極に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げました。それからこの場でも申し上げているところですが、この取組に対して国民の皆様のご期待が、あるいは関心が非常に強いんですね。それを私たち皆実感しておりますので、見直すべき補助金ですとか基金ですとか、いろんな支出がございますが、これについて広く一般の国民の皆様からご意見を募集できるような仕組みの運用を年内にも開始できるように準備を進めること、これを申し上げました。
最後に各府省庁を代表して座っていらっしゃる副大臣におかれても、とにかく政務レベルから自らの府省庁とリードしていただくということを強くお願いしたところです。その後、林総務大臣と松本行革担当大臣からもその取組についてのおのおのの所管分野について強いご発言をいただいて、最後に官房長官から各府省庁の副大臣に対して、歳出歳入両面で強い経済を支える財政構造の転換を図ることが重要でありまして、各事業官庁においては国民への説明責任を果たせるように、要求段階から効果検証を進めるなど、積極的に租特と補助金・基金の点検・見直しに取り組んでいただきたいという旨のご指示がございました。
租特、補助金、そして基金の見直しについても、今日の会議も踏まえ、今後与党のほうともよく連携しながら対応を進めてまいります。先週金曜日に、私、小林政調会長を訪問いたしまして、政調会長室幹部とともに同席していただいて対応を前向きにしていくというお話をしていただきましたので、そういうことになると思います。これが第1点です。
次に、金融犯罪対策に係る官民一体・業界横断での新たな広報についてご紹介させていただきます。
本年の特殊詐欺の被害額が過去最悪となっており、SNS型投資ロマンス詐欺の被害額も引き続き増加傾向にございまして、非常に深刻な状況でございます。こうした詐欺などの被害金の送金先として、不正に売買された預貯金口座が悪用されております。このような口座の悪用を止めるために、今般、全銀協が中心になって、口座の売買は違法であります、金融機関としても売買を行った方に対して、新たな口座の開設を謝絶すると、新たな口座はもう作らせませんよという厳格な対応をするということを、国民の皆様に広く周知するために、こちらの動画コンテンツを作成いたしました。こちらを用いて金融庁、警察庁、各金融機関団体が一体となって、官民一体・業界横断的な広報活動を実施してまいります。具体的には各金融機関の店頭やウェブサイトを通じた発信のほか、若年層にも届くようにショート動画形式でSNSなどの広報媒体を通じて広く呼びかけてまいります。口座の売買を防ぐことが詐欺などの犯罪の被害防止、ひいては国民全体の安心・安全を守ることにつながりますから、ここにいらっしゃるマスコミの皆様におかれても、ぜひご協力をお願いいたします。
3点目として、銀行をかたる詐欺電話についてもお知らせします。11月中旬以降、特定の地域銀行をかたった電話や、自動音声による電話で企業に連絡し、偽サイトへ誘導してインターネットバンキングの情報を盗み取るボイスフィッシングが急増しておりまして、既に複数の企業で被害が確認されております。この銀行が電話やメールでIDやパスワード等の情報を聞くということは、銀行は普通こういうことはしませんから、だからしないんですよ、だからそこでだまされては困りますので、被害防止のため不審な連絡にはそもそも応じないこと、それから銀行をかたる電話があった場合には、一度電話を切って、銀行の代表電話に確認すること。万が一情報を伝達した場合には、速やかに銀行と警察へ連絡すること、この徹底をお願いするということです。以上3点でございます。
【質疑応答】
問)本日、第1回の会議を開かれた租税特別措置の補助金見直し担当室についてですが、大臣11月25日の記者会見で、今日もそうですけれども広く国民の方から意見募集するのがいいというご表明をされております。一方、租特については透明化法があるものの法人税関係の適用企業名が法人コードで匿名公表されるなど、国民にとってはどの企業がどの程度減税されたのかすら分からない状況で、例えば研究開発税制では1位の企業の適用額は約880億円に上ります。大臣は制度そのものが国民にオープンで理解が得られる仕組みであるとお考えでしょうか。また企業名の非公表が政策効果の検証の妨げになっているとの指摘もありますが、大臣はどのようにお考えでしょうか、お願いいたします。
答)まず、この租特の適用企業の公表をどうするかは、一般論としては個別の租特の適用状況を開示すると企業がどの分野にどの程度の規模の設備投資を行っているかの経営戦略上の情報が外に出てしまうということが昔からあって、これが国のほうは一方的にこれを明らかにしてどうなんだと。その企業に競争上の不利益が及ぶということになるとどうすると、及びかねないということがありまして、こうした課題を上回るほどの公益上の必要性があるかどうかについて、ずっと慎重に検討してきているので、今日そういうふうになっているのではないかと考えておりまして、今後この問題も与党の税調において議論を行われていくと承知しておりますので、政府の側としてはそれらの議論の動向を踏まえて対応していくということかなと考えております。
問)日銀の関係ですけれども、昨日植田総裁は名古屋市の講演で、今月の金融政策決定会合で利上げの是非について適切に判断したいと表明されました。市場では12月に利上げに踏み切るという見方が急速に広がっていますけれども、日銀総裁の発言に対する大臣のご所見を伺いたいと思います。
答)何回もお答えしているように、金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきだというのが原則ですし、私もそのように考えておりますので、ご指摘のご発言につきましても、それはそういう部分に鑑みてのことでしょうから、ちょっと私がコメントするのは差し控えさせていただきます。その上で、日本銀行にご期待申し上げているのは、引き続き政府と密接に連携を図って、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、コストプッシュではなく賃金上昇も伴った2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて適切に金融政策運営を行っていただくことを期待しているということで、今のところその期待からいって、私が特に今申し上げることはございません。
問)追加でちょっと伺いたいんですけれども、植田総裁の講演では、日銀は今年1月に利上げした後、トランプの高関税の日本経済に与える悪影響について見極める姿勢を続けてきましたけれども、昨日の講演では関税をめぐる不確実性は低下しているとか、先行きの不透明感は次第に薄れていると、総裁はそういう認識を示されました。一方で7-9月期のGDP成長率はマイナス成長だったわけですけれども、政府と日銀で日本経済、景気に対する認識について齟齬なく共有されているのかどうか。高市総理も植田総裁と会談し、片山大臣も植田総裁と会談していますけれども、これまで日銀と十分な意思疎通ができているとお考えでしょうか。
答)景気認識についてはいろんなところで私も聞かれますが、政府の認識と日銀の認識で景気は緩やかに回復している状況にあるということについては齟齬はないと考えておりますので、そこはそんなに問題ないのではないかなと思っております。
問)今の質問に関連するんですが、齟齬がないということで、それに関しては経済・物価の認識に加えて、金融政策の方向性についても一致している、齟齬はないという理解でよろしいでしょうか。
答)繰り返しになりますけれども、金融政策の運用面というんですか、実際の運営面は日本銀行に委ねておりますので、それが新日銀法における考え方でございまして、高市総理も私もそこは認識は一致しておりますので、という前提において景気が緩やかに回復しているという政府認識と総裁の認識は、そこは齟齬がないと思います。あとは物価上昇の継続がどうか、それから米国の通商政策もまだ進行中でございますから、さらに今、金融資本市場もいろんな変動がございますから、こういうことを見ながら企業の動向がどうかということはお互い注視していくということ、それはここからのフォワード・ルッキングの話でございますね。
問)大臣冒頭でご発言いただいた地銀のボイスフィッシングの件ですけれども、こちら複数の企業で被害が確認されているということで、もし大臣のほうで具体的な件数とか金額とか、あと何かご紹介いただける具体例などありましたら、注意喚起にはなりますのでご紹介いただけますでしょうか。
答)これは今いろいろある状況の中で、今のところこのデータが非公表になっておりますので、ちょっとお許しいただければと思います。
問)冒頭ご発言のあった租特と補助金見直しの関係で伺います。改めて高市内閣、責任ある積極財政と言われる中で、こういった補助金や租特に切り込む狙いといいますか意義について一言お願いします。
答)昨日たまたま我々の大先輩である元衆議院議長の伊吹先生にお話を伺う機会があったんですが、こういう責任ある積極財政を展開して自信を持ってこの道を行くということになれば、ますます無駄は無駄であり、これは財務省と新制度におきましては内閣官房の本来業務でございますね、何もなくてもこういうことはすべきことですが、これをますますしっかりと国民に見える化して、国民にもご参加いただいてやるということが無駄はみんなの努力で排除をして、かつ投入すべきところにはどーんと投入すると。そういうメリハリを示していくことが、あらゆる意味で信認ですね、国家の信認、通貨の信認、市場の信認を維持する上で極めて重要であるというお言葉をいただいて、私どもも日頃からそのように思っておりますので、そういうことが狙いといえば狙いではないかと思いますし、きっかけはやはり自由民主党と日本維新の会の連立合意において明記された、これは公党同士のお約束でございますので、それをきっかけとして責任ある積極財政を運営していく上で、国民とそれから市場の信認を得る上で欠かせない一つの大きな要素と考えております。
問)別件で、物価高に関連して伺いたいんですけれども、そもそも物価高の原因が、いわゆる円安が根本的な原因なんじゃないかという指摘もあると思うんですが、物価高と円安との関連について大臣のお考えを改めて確認させてください。
答)それは直接にほとんどが輸入されていて、取引通貨がドルというものが日本は多いので、その典型的なものはオイル・ガス系ですけれども、それはそうでございましょうが、それに関しては今回の景気対策で直接にそのお値段を下げる政策を別途やりましたから、電気代・ガス代とそれから暫定税率の撤廃ですよね。ただそれ以外にも食料品関係で極めて輸入比率が高く、貿易がドル建てなんだろうということがございます。ですから、私は82年からこの役所で仕事をしているとよく申し上げますが、円の国際化で円建ての取引を増やす努力はしてきましたけれども、一定規模しかないので、日本とかイギリスとかはどうしてもそうなりますから、輸入に比較的長いこと依存していれば、その部分は為替に依存しますから、そこが影響が出るのは今に始まったことではなくて、もうずっと長いことそうでございますが、今サプライチェーン強靱化の努力ですとか、食料も併せた広い意味での経済・安全保障に高市政権として一生懸命取り組んでいるのは、その意味で強い経済構造をつくためにも、できるだけ自律・国内化ということを頑張っているのは、別途頑張っているわけで、それを是認しているわけではないですが、現状ではまだそういう部分はあると思うんですが、流通経路が複雑なのでどのぐらいが今回の、例えば小売価格の値上がりのうち、もともとのボーダー(国境)を通ったときのものかというのは、必ずしもきれいには出ないと思います。その後の流通コストとかも上がっていますから。
問)租特と補助金の会議ですけれども、こちら例えば来年の夏までに何かを取りまとめるとか、そういうスケジュール的なものはあるんでしょうか。それとも各省ごとにそれぞれ見直しをしてもらうという段階なのでしょうか。
答)まず、8年度で議論をしているわけですね。今、佳境に入っているわけですが、恐らくその中にも非常に以前からこれはどうなのというものがあって、それが今回こういった会議体をつくったことによって、各省庁のほうもそろそろ整理のしどきかなということになってくれば、活かされるものが出てくると思います。年末にここでレクをするときに、省によってはそういうものが出てくることがあると思います。そうでないと来年年を越えてから、新予算を国会に出してから、その次の骨太の方針に向けてまとめていくことになりますから、そうすると骨太の方針が5月なのか6月なのか分かりませんが、その手前に、ある程度集計をしていくことにもなるとは思いますが、その部分を考え方に盛り込んだものが概算要求で出てくるというのが、1つのPDCAの半分完成したところになっていくかなと思っておりますから、何回かその前にタイミングはあると思いますね。いずれにしてもスプリングレビューですね、これはね。
問)話題は変わりまして、森友関連文書についてお伺いします。昨日から12月に入りまして、第5回の開示を12月メドというふうに以前案内があったと思うんですが、今後の開示の時期や内容の見通しなど、現時点でお示しいただけるものがありましたら、よろしくお願いいたします。
答)おっしゃったとおりに12月を目途に電子データに含まれていた赤木氏が送受信した電子メールについて、森友学園事案と関連があるやりとりのうち、平成29年3月以降分の開示作業を鋭意進めているところでございますが、まだ12月、今日は2日ですが、具体的にいつまでにということがお答えできる段階にはございませんが、引き続きできるだけ早く丁寧に対応しているということかと思います。
問)先ほどの地銀のボイスフィッシングですけれども、例えば福銀さんはもう被害額を公表されていたりされているので、その全体感とかをもし、もう一回規模とか件数とか開示できるものがあれば、再考いただくことはできますでしょうか。
答)自発的に開示されているところがあるというところは確かに今ここに手元にある資料でも11月28日付で出ておりますが、そのほかの全体をまだ把握しておりませんので不正確になってしまうので、取引を止めていらっしゃるところとか何かそういうところも出ていますから、それは金融庁のほうでこれから検討していくと思いますので、ちょっと含ませていただきます。
(以上)

