【質疑応答】
問)本日この後、大臣と日本維新の会との意見交換が予定されています。主にどんなテーマで議論されるのか、また新たな連立のパートナーになった維新の会と具体的にどのような面で連携していきたいか、お聞かせください。
答)この後、藤田共同代表以下、政策ラインがほぼ全員来られるということで大臣室で会わせていただきますが、まだ先方から具体的に紙が来ているとかそういう話ではないんですけれども、責任ある積極財政で全ての経済・財政運営を行えという指示を受けている大臣のところに来られるわけですから、連立合意を踏まえた経済再生と財政健全化の両立や、維新さんは地域から育たれた政党ですから、必要な施策が国民の皆様に速やかに届くようにということはすごくおっしゃっておりますし、ずっと大阪でやってきたとおっしゃっている無駄削減のための不断の見直しと、こういう両方があると思うんですが、しっかりと連携をしてまいりたいと思います。いわゆる日本版DOGEについては、具体的にいつ頃どうやって補助金と租税特別措置等の見直しをやるかについては、昨日私も予算委員会で答弁いたしましたので、今まさに走って考えていますから、そこについての具体的なお話もいただけるのかなと思っております。
問)先週金曜日の高市総理の予算委員会でのPBの単年度で見ずに複数年度のバランスを見ていくとおっしゃったことについてですけれども、これは単年度で黒字化を達成しなくても傾向としてPBが改善方向に向かっていればよいという方向での見直しをするのか、大臣の所見を伺えますでしょうか。
答)総理がこのところおっしゃったところをある程度整理しますと、中期的に債務残高の対GDP比の引下げを安定的に実現する、まずこの中で必要に応じてプライマリーバランスの目標年度についても再確認を行う、今後の課題として単年度ごとのPB黒字化目標の達成状況を見ていく方針を数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討していると。時期としては来年の骨太方針に向けて中長期試算が1月ぐらいに出てきますから、そこを1月の段階で骨太に向けてより明確化すべく一定の指示を出すということまでの流れは整理されたので、それで我々も含めて政府全体はある程度動けますから、そういうことだと思いますし、おっしゃったようなところまで気にしない、気にするところまでいっているわけではないので、まだあくまでもその時点でどこまでの指示になるかということは予断したわけではないということですが、スケジュールはこういうことかなと思っております。
問)その件で追加で伺います。昨日の総理の発言だと現在25年度から26年度にPBの黒字化を早期に達成するという、その方針は直ちに反故するわけではないとおっしゃっていました。ということはこのPB目標というのは現在も生きているという理解でよろしいのかというのと、そういう理解であれば現在進めている25年度の補正予算編成、また年末にかけての来年度の当初予算、これは現在の骨太のPBの黒字化目標を踏まえて編成するのか、PB目標によって一定の枠がはめられるということはあるのかないのか伺えないでしょうか。
答)もともと今の時点でPBの正確な現時点の見積りをして計算し直すということはできるのかできないのかと。PBを達成したこともないわけだから、そこ自体が非常に難しいので、隙間論というのがあるんですけれども、隙間が現時点で幾らと見て編成するのかということはなかなか難しいですから、私もそれを考えているわけではありません。あくまでも財政についての原則論と高市政権で新たに示された強い方向性ですね、責任ある積極財政ということの中でPBを全く見ないとは言っていないけれども、全体として緩やかに債務残高のGDP比が改善していくということの中には収まるというふうに考えてビジョンをつくっておりますので、まだ編成の交渉も始まったばかりでございますから、いろいろと予測をされる向きはありますけれども、そこまでまだいっていませんから、まだ日が高いので、これからもう少し詰まってきたらそういう議論もできるのかなと思っております。
問)生活保護について2つ質問をさせてください。ご存じのように2013年の生活保護基準の改定について、今年6月最高裁が違法という判断を示して処分を取り消しました。このことについて7日の予算委員会で高市首相が判断の過程及び手続には過去欠落があったと指摘されて、違法と判断されたことについては深く反省しお詫び申し上げますと謝罪されたと。最高裁判決に対応するために厚労省でいろいろ検討が進んでいますけれども、いずれにせよ本来必要のなかった遅延損害金を含めたお金が予算で出ていくということになりそうですと。最高裁判決は給付水準を下げるという行政の手続、プロセスに問題があったと言っていて、一般国民の生活水準との間に不均衡があるというふうに判断したこと自体は違法としたわけではないと。もし政府として反省や謝罪をするにしても、行政内部の過程や手続に問題があったから政府として謝罪、謝るのか、それとも当時メディアも助長した生活保護バッシング的な空気を背景にして当時の自民党が給付水準の原則1割カットを打ち出した、それを受けて厚労省が基準を改定したという経緯を含めて反省や謝罪をするということなのか、このセーフティネットの問題に非常にお詳しい、また当時の空気とか、あるいは議論を主導されていた片山大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
答)まず昨日も議論を聞いておりましたけれども、最高裁で出た判決というのは当然重く受け止めて、行政のトップとして総理が謝罪されたというのは、これは全く適切なことだと思いますし、今ご質問でおっしゃったようにどこまでが適切でどこまでがという判断についても細かく書いてありますから、それについて厚労省がどういう対応をすべきかを多分厚労省も役所の中だけではなくて有識者も交えた会等も使いながら、前例がないことですからね、どういう対応が一番適切なのかも当然難しい判断になるから、そこをやっていらっしゃるので、そこの判断を見ないと、こちらはそれにおいては査定官庁になりますから、私がこの椅子の立場で今軽々とそれ以上申し上げるのは適切ではないかなと思っております。一般論ということになりますと、私が生活保護についていろいろと議論をしたことについて、私は著書を書いておりまして、その著書にベースを置いた議論はあの宇都宮先生とも2時間ぐらいしたことがありますし、長妻昭元厚労大臣とも2時間ぐらいして、もうお互い言うこともなくなって、だから不正不適切なものは不正不適切で、切るべきものもあれば守るべきものもあるということでは一致しているんですよ。それが細かいところになると違うということで、その細かい部分において今回の私が知る限り水準問題については、そこは関わっていないのではないかと私は思いますけれども、本を読んでいただいて何かそういうところがあったらまたご質問ください。
問)もう1つだけ、今後の社会保障改革の文脈でお伺いしたいんですけれども、その本を読ませていただくと稼働層の自立支援とか就労支援をもっと強化したいというふうにずっと強調されていました。この問題意識は生活保護だけでなく、高市首相が掲げられている給付付き税額控除の制度設計にも関係してくると思います。こうした点を踏まえて今後の社会保障改革でどういう視点が大事だとお考えなのか、片山大臣のお考えをお聞かせください。
答)これは本にも書いておりますが、全く私見ですが、私がこの役所から出された留学先がフランス国立行政学院でございます。当時ミッテラン政権では非常に失業率が高く、若者は4人に1人が失業しておりました。路上生活者はセーヌ川の橋の下にあふれておりました。そこで当時大統領候補に出てもおかしくないと言われたコリューシュさんという、明石家さんまさんとビートたけしさんを足してもまだ足りないぐらいの超人気者の方があらゆる有名人に声をかけて冬の間に誰が来ても緊急避難を受け入れる施設をつくったんですよ。つまり一番人が困っているときというのは食べ物と寝る場所がないわけですよ。フランスの場合は本当の行き倒れが目につくようにいたんですね。最近もそれが復活したという噂もありますが、最近パリに行っていないので。当時は本当にいたので、そこに細かい条件とか問わずに全部受けてしまうと。温かい食事を出すと。つまり究極の現物給付なんですよ。それについては当時自民党だけじゃなくて、ほかの党でも識者は一番簡単に救済したいのならばそれではないかというのは多かったです。つまりとりあえず緊急救済で食べ物、寝るところ。もう1つ、フランスで党をかかわらず言われていたのは、やっぱり自立してもらえる、特にハンディとか病気のない方についてはですね、ことが原則なので、働いて得られるものと給付されるもので、働いて得られるものの方が低い、顕著に低いという状況で人が働くのかということは、国立行政学院で脈々と流れている、どっちの政権になっても、あそこはよく政権交代する国ですから、ずっとそれだけは変わらない原則でしたね。ということをよく覚えておりまして、私は究極の現物給付をやるということには非常に賛成で、ごくごく一部がこども食堂なんですが、全くその位置に達していないので、それについてはもっとできないのかなと思ったことはありますけれども、日本であるものとコリューシュハウスというのは全然別物で、コリューシュさんはその後事故で死んだんですけれども、今はフランスでは法律になっていて、EUではまねするところもいっぱいあります。一般制度になったということです。
問)そうすると金銭給付から現物給付の方に移行していく方が、そっちの方を強化することが望ましいというふうにご自身ではお考えに。
答)いえ、移行してどっちがプラマイかという議論までしていなくて、本当に困った人をみんなで助けたいんだったら、そこは一番当てるところだということは言えると思います。
(以上)

