このページの本文へ移動

片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年10月24日(金曜日))

【質疑応答】

問)金融所得課税の強化について伺います。ガソリン減税をめぐる与野党の議論で代替財源の1つにも挙がっているかと思います。高市総理も過去に強化に前向きな発言をしたことがあるかと思いますが、貯蓄から投資への流れに水を差すといった反対論も根強いかと思います。大臣は金融所得課税の強化の是非、課題についてどのように現状お考えでしょうか。

答)本当に今一番の注目の集まるところでございまして、ガソリンの暫定税率廃止ということの与野党間の協議を断続的にやっています。昨日も、今日もやるのかな、ずっとやっていまして、具体的な方策については今そういう状況なので、政府でございますから予断を持ってお答えできる状況にはありませんが、一般論として申し上げますと金融所得課税の検討ということに当たっては、税負担の公平性、それから貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、かつ、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわれないようにするということが重要でございまして、まさにこれらの点を総合的に考えていくということではないかと思っております。

問)財政健全化の関係なんですが、昨日の記者会見においても大臣の方から純債務残高の対GDP比を重視する旨のご発言があったと認識しております。純で何を引くかという議論はさておきなんですが、これまでの政府の健全化目標はソフトフローの2本立て、PBと債務残高対GDP比の引下げという2本立てでやってきたと認識しております。そうすると債務残高対GDP比の引下げをするとなった場合、前者のPBについてはどう扱うことになるのか、昨日の大臣のご発言だとPBについては既にほぼ達成されているのでというお話だったと思います。ただし、大規模な経済対策をやれば今度はPBが悪化することになるので、大臣がおっしゃっておられた前提条件が満たされなくなるのではないかと思います。仮にフローの目標を重視しないということであれば、これは過去の閣議決定事項なので、閣議決定をし直す必要があるんじゃないかと思います。その辺り大臣どうお考えなのか、ご見解を伺えればと思っております。

答)まさに骨太の方針にありますから、これは2026年度を通じて可能な限り早期のPB黒字化の実現を目指す。債務残高の対GDP比をまずコロナ前の想定に向けて安定的に下げる等々の財政健全化目標が掲げられているわけで、現時点でこれを閣議決定し直したわけではないですから、そういったことを申し上げているつもりはございません。複数の指標があるという意味ではいろいろな考え方があるわけで、これは高市総理もいろいろなところで逐次申し上げているわけですが、議論がそういうものの指標の特徴も踏まえながら行われていくということが非常に重要ではないかと思っておりますし、とにかく我が政権のテーマは責任ある積極財政であって、財政健全化、経済あっての財政ですが、財政健全化の旗を降ろしたわけではありませんので、そういうことで考えております。

問)関連して伺わせていただければと思います。債務残高対GDP比、ドーマー条件の話を昨日、あるいは就任されたときも片山大臣おっしゃっておられたと思います。全て大臣ご承知のとおりだと思うんですが、RrとGgの関係が歴史的にどちらが上かどうかということについてはなかなか確定的なことは言えないということなんだと認識しております。ざっくり言えば、過去30年ぐらいで言えば、金利の自由化が行われてから10年前ぐらいまではrがgよりも大きいときが多かった、ただし手前の10年についてはgがrよりもでかかったということが多いのかなと。ただ、その背景にあるのは恐らく白川さん以降の量的質的金融緩和があり、黒田さんの金融緩和、つまりイールドカーブコントロールを含めて中央銀行が金利をある程度コントロールできたという時期についてはgとrの関係はgが高いという時期があったと。しかし現状を見てみるとイールドカーブコントロールがサステナブルじゃなかったことが示すように海外でも金利が上がり、物価が上がる状況になったときに、そのような金融環境がどこまで維持できるのかというのはなかなか不確実性も高いのではないかと思います。という中でgがrよりも高いということを決め打ちする財政運営というのは危うさもはらんでいるように思いますが、大臣いかにお考えでしょうか。

答)申し上げております中でgがrよりもどうかという議論までを確定したという言い方は私はしておりませんし、この話は自民党の中で財政論が大きく2つに分かれているものですから、延々と議論してきて、その中で出ていた議論の一部でもあるわけですが、ドーマーの定理は色々な議論がありますが、それは壮大なものでございますし、世界の様々な財政指標自身が過去どうであったということを考えると、ドンピシャのものがあれば、みんなもうやっていますから、日々それは変化して進歩しているわけですから、大事なことは柔軟性・的確性を持って対応していくということではないかと思っておりますし、日銀につきましては日銀の専権事項がございますので、それ以上のことは私の方から申し上げる立場ではございません。

問)仮にですけれども、高市氏の総裁選のときに金融政策をめぐって金利は成長率の低い状況にしてほしいというような趣旨のご発言をされていたというふうに記憶しております。それをやれば仮に為替が内外金利差によって大きく影響を受けるという前提に立つのであれば円安要因になるだろうと。かつ積極財政によって有効需要が増えれば、日銀・内閣府ともにデフレギャップは既にほぼ解消されているという意味では金融政策を通じた輸入インフレ、需要拡大、内需拡大、積極財政によるホームメイドインフレ、これが2つ重なるということにもなりかねない政策なのではないかと思います。この辺りの危うさについて大臣どのようにお考えなのか、見解を伺えればと思っております。

答)まず総裁選の議論の中で、そこまでのやりとりがあったのか私も全部のメモを取り寄せていないから分からないんですけれども、金利云々の発言については総理自身も前回の去年の総裁選のときにおっしゃったようなことは今年一切言っていないということは聞いておりますので、今そういう状況の議論が何か固まったようなことは私は全く承知していないので、それは少しどうなのかなと思います。私がお答えする状況にも今ないのかなとも思っておりますが、いずれにしても経済運営の重要な要素でありまして、何か決め打ちをしてどうこうということはないです。そこは十分、あらゆる状況に対応できるようにということで常にこの場所に座る人間は考えなければいけないと思っておりますので、ご理解をいただきたいと思います。

問)日銀による市場とのコミュニケーションについてお伺いします。昨年7月に日銀が利上げを決めた後、大臣、当時の党の金融調査会長として日銀に市場とのコミュニケーションの改善を求めたという経緯があったかと思います。現在の日銀による市場との対話についてのご所感と対話そのものの重要性についてどうお考えか、お願いいたします。

答)ご指摘のお話は去年8月に私が金融調査会長でしたが、金融調査会において多くの委員、幹部の中からそういうお声が出たので代表して終了後にそのようなことを申し上げました。この点につきましてはこれまで、この財務省からも金融政策決定会合の場などで金融政策の運営については市場との適切なコミュニケーションを図っていただくようにということを申し上げてきたということを承知しておりまして、党の立場ではあるけど、そののりを越えないような言い方でということで発言したことを記憶しております。現植田総裁も日銀の経済・物価についての見方、あるいは政策運営の基本的な考え方、これが市場参加者を含む幅広い層にうまく伝わるように丁寧かつ分かりやすい説明をしていくことが重要とおっしゃっておられますので、引き続き適切にコミュニケーションを図っていただきたいと考えております。

問)ガソリン税などの暫定税率の廃止について伺えればと思います。廃止に向けた議論が与野党間で進んでいると思うんですけれども、補助金の拡充であったり、暫定税率自体の廃止の開始時期など、どのようなスピード感でこの政策を進めるべきと大臣はお考えか、またその財源についてはどのような考え方で検討すべきとお考えかお聞かせください。

答)本日施政方針演説、正式に決定されて、これから午後高市総理が衆参両院で発表するというか行うわけですが、まず経済対策の指示も出まして、その中で物価というのが一丁目一番地に来ておりますから、ガソリンの暫定税率の廃止につきましても、今国会でというように言っているわけですから、これは至上命題でございまして、そのために精力的に与野党間で財源も含めどういうことを詰めていかなければいけないかということをやっているわけでございまして、そこは私ども実際に所管官庁でございますから、内容についてまだ決まっていないところについては予断を持ってお答えできませんが、前進で内閣としてこれが行われるように努力しているということは申し上げられますが、何しろ今が一番微妙な時期ですので、いつということは申し上げられませんが、今国会の期間が決まっておりますし、総理も時々年内には下げたいということを補助金で言っているわけですから、それもできるだけ下げたいということを言っているわけです。あくまでも実務の現場がついていける形であれば、早い方がいいのであって、そういうことも含みながら全体的な流れをまさに調整しているところではないかと思います。

問)来週にベッセント長官が訪日される予定ですが、大臣としては面談の予定等ありますでしょうか。

答)そもそも電話をすることになっていまして、これはもう主要諸外国G7の財務長官の中では一番最初にお電話をすることになるというのが、この席に座った者の通例でございまして、電話することになっております。これは、Say helloでありまして、来日された際にはそういう可能性もあろうかと思いますが、現時点で発表前でございますので、ご理解をいただきたいと思います。

問)高市首相からは財務大臣に対して、財政の単年度主義の弊害を是正するよう指示があったかと思います。片山大臣は大蔵省、財務省と務められて予算編成のこともよくご存じだと思うんですけれども、どういったところに弊害があって、来年度当初予算の編成、始まっていると思いますけれども、反映させるのかどうか含めて、どういうお考えか方向性などを伺えますでしょうか。

答)これはここ近年言われていることですけれども、もちろん財政規律や整理整頓の関係から単年度予算というのは非常に重要なことですけれども、今例えば年度の予算が始まって、それから手続をとって官公需を発注するにしても、そこでなかなかまとまらないんですよね。ここ近年そういう問題が非常に多くなっていて、単価の問題につきましては、今回は官公需について単価を調整し、現実の単価に合わせていかなければいけないということは、これは骨太でも言っていますから当然そうなるんですが、それ以外の問題でもそもそも人手不足であったり、資材不足であったりで、年度を超えないととてもできないということもかなり多いです。それからその条件として、申請をする企業や対象者の側、あるいは自治体の側の準備作業が非常に整わないのでできないということがあるので、そういった現実も踏まえながら大体ほとんどの場合は繰越明許したり、継続費はあんまりないけれども、という制度がもともと財政法にはあるものですから、ただそれをあまりに非現実的な形で厳しくしてしまうとできないのではないかということで、不用に立ってしまったりするのは、それはそもそも趣旨じゃないですからね。
 問題は本来の趣旨にして、単年度主義の本来の趣旨として大丈夫なものは大丈夫なんですよ。でも、単年度主義が弊害になっているものもやれと。そういうこと、これは以前から言われておりますことですから、そういう理解でございますし、各省庁にもご理解をシェアしていただいてご協力いただきたいと。つまり、国が予定した予算に積んであるような様々な政策がきちんといくようにするということが重要なんですね。

問)兼務されている租税特別措置・補助金見直し担当相の担務について、改めて伺いたいと思いますが、租税特別措置や補助金の適正化が進められるということで、一部でトランプ政権でイーロン・マスクさんが事実上のトップに詰められた政府効率化省となぞらえる向きもありますけれども、今後支出削減に向けた補助金事業の検証について、どのような考え方で行っていくのかというのを改めて伺いたいのと、片山さんはトランプ政権の方々とも親交が深いと聞いておりますけれども、米国のDOGEの知見を取り入れるようなお考えなどあれば伺いたいと思います。

答)今回の高市政権の眼目中の眼目は、責任ある積極財政でございますから、これに基づいて経済・財政運営は全部やっていくと。その結果として経済が再生されるようになるという中で、財政健全化とも両立を図ると、これがこういったものが次々と出てくる理由でございまして、無駄な削減というのはもう不断のことでございます。積極財政においても無駄は無駄なんです。当然なんですが、特に租税特別措置と補助金の適正化ということを見出ししているのは、今般自民党と維新の会の連立合意でも盛り込まれており、両党の間でそこが非常に重要事項になったということもあるものですから、総理からも私を担当大臣に指名いただきまして、関係大臣と協力してこれを進めるようにという指示を受けているわけで、当然しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 DOGEはDOGEでアメリカらしいというか、非常に大胆なやり方ですね、イーロン・マスクさんは選任公務員じゃなかったわけですから、非常に利益相反じゃないかとかいろんなことを言われましたし、協力した人はワシントンに行ったら全員無給だったそうですよ。それはそもそもそういう方々の守秘義務や色々な義務をかけてやれるのかというと、やれるんだけど微妙だということもあるでしょうから、これは日本のような議員内閣制では全く同じことは、まずできないですよね、公務員制度とか立ち位置を考えると。固いことを言っているんじゃなくて、ほぼ無理ですし、そのクラスの人が無給で集まってくることも絶対ないですね。だから同じことができるかと言ったら多分できないんでしょうが、いろいろ批判もあったけれども、彼らが目指したことが全部精神として悪かったのかというと、そういう考えをしてもいけないと思いますよね。無駄は無駄なんですから。
 ただ、今その後色々と訴訟も起きておりますので、こういうことというのは、よく両方の合意ができて、きちんと納得ができてやっていくものではないと、サステナブルではないということもありますが、ものによっては大胆に上から方針を示さないと、進めなければならないこともあるので、それはこれから各論をやっていく上で色々なことがあると思いますが、具体的な対応の在り方は非常に重要な話なので、政府内でも色々と検討をまさに今、し始めたところでございますし、これは与党のお力も必要でございますので丁寧にやってまいりたいと、かように思っております。

問)単年度予算主義の話、先ほど質疑があったと思います。大臣おっしゃっておられたように、これは以前からある課題、それに対しては恐らく国庫債務負担行為であったり、大臣おっしゃられた防衛関係でいえば継続費、いろいろ手段はあると思います。それと同時にどうしても基金をどう使うかという問題が、1つこれから多分いろいろ議論になるんじゃないかと。これは前々政権でもいろいろと首相がやってこられたという中で、今回積極財政という中でどう基金を活用するのか、それと単年度予算主義との関係をどう考えるのか、そこについての大臣のお考えを伺えればと思っております。

答)これは基金の問題というのは、私が主査のときからありましたけれども、結局基金にしておかないと出ていけないものがあるのも事実なんですよ。それによってスムーズに流れてうまくいってきたこともたくさんあるわけです。30年近く前ですからね、私が主査だった頃から。ですから、無駄になってたまってしまって使われていないものがあるのも事実だし、メリットがあるのも事実なので、一刀両断に全部がいいとか、全部悪いということがあるんだったら、とっくに整理できていますから、これはきっちり見なくてはいけないと。誠心誠意きっちり見て、納得していただけるような結論で、いい方向に持っていくと、そういうことでございまして、そのためには方法論もスタッフも色々ありますから、そういったことをきちんと考えなくてはいけないと思っております。
 ただ、ノウハウはどこにあるかというと、やっぱりここの役所なんですよ。ワシントンで1月に聞いたところ、DOGEの面々がやはりOMBが今までにずっとためてきた知見を見て、びっくりしたと。彼らはスーパー企業家だから知らないわけですよ。これだけやっていたんだというふうに言っていましたということですから、そのノウハウがあるのはあるわけですよね、ここに。ただ、それだけでできるかというと、守るほうと攻めるほうがいるわけだから、これは。その辺が難しいんですよ。私も30年ぐらいやっていますからね、いいご提案があったら、メディアの世界からもいろいろ面白い社説もいただいているので、ぜひよろしくお願いします。

(以上)