【質疑応答】
問)先週、公明党が自民党との連立政権からの離脱を決めました。年末にかけての予算編成や税制改正などでは政策協議などで混乱も予想されます。20年以上続いた連立政権の枠組みが崩れることへの影響について大臣としての所感をお願いいたします。
答)連立をめぐるそれぞれの対応について政府としてコメントは控えさせていただきたいというように思います。
その上で今後の予算編成、税制改正に当たっては骨太方針2025など、これまでの与党における議論を経て政府で決定した方針を踏まえつつ、与野党間でも真摯に協議を行い、経済再生と財政健全化の両立に向けて、引き続き取り組んでいくことが重要と考えております。
問)週明けのマーケットですけれども、今株価も下がっていて、そして円は152円、ただ一時153円にもなり、基本的には円安基調です。そして長期金利は1.7寸前までいってきている状況で、トリプル安と言っていい状況だと思うのですけれども、株安、円安、債券安ということで、この状況を2022年イギリスのトラス政権はそういう形で40数日という短命に終わったわけですけれども、この今の状況、高市氏が自民党総裁に選ばれたわけですけれども、日本の財政を所管する大臣として今の状況をどうご覧になっていますか。
答)トリプル安とおっしゃいましたけれども、それぞれ動きはよく見ていかなきゃいけないんじゃないかというように思います。
その中で為替についてはこれまでも申し上げておりますように、具体的なコメントをすることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから差し控えておりますけれども、先週以降、円安方向で、また、急激な動きも見られているところでありますので、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、政府としては為替市場における過度な変動や無秩序な動きについてしっかり見極めているところであると、こういう姿勢で臨んでいるところであります。
また国債の流通利回りも、金利をどう見るかについては我が国の財政運営に対する市場の見方のほか、経済・物価情勢や金融政策の動向、あるいは国債の需給、海外も含めた金融市場の動向など様々な要因を背景に市場において決まるものでありますので、政府として予断を持ってこうした動向について申し上げるのは差し控えているところでありますが、大事なことは市場の動向をよく注視をし、市場参加者との丁寧な対話を行い、適切な国債管理に努めていくことだというように思っております。引き続きそうした姿勢で取り組んでいきたいと思っております。
問)トランプ政権ですけれども、週末にレアアースをめぐってトランプ大統領がいろいろな発信をし、新たな米中の関税、一種の貿易戦争ではないかという観測も出て、また一方でトランプ氏は大丈夫だというふうなメッセージも発信して、行ったり来たりしている状況ですけれども、やや国際金融市場も含めて揺らいでいますけれども、その状況はどうご覧になっていますか。
答)米中間のいろいろなやりとりがあることは我々も承知をしております。そして実際は米中両国は世界1・2位の経済大国でありますし、また我が国の主要な貿易相手国でもあります。そういった意味においても関連の動向について高い関心を持って注視をするとともに、米中間の貿易措置が両国経済、そして世界経済全体への影響等を通じて我が国経済に及ぼし得る影響、これを十分に精査しつつ、対応に万全を期していくことが重要だと考えております。
いずれにしても私どもとして日本銀行等とも協力・連携の上、引き続き内外の金融、また経済、市場の動向、これをしっかり注視していきたいと考えています。
問)最後にもう1点だけ、大臣のご見識を伺いたいんですけれども、私、昨日、公明党の斉藤鉄夫代表のインタビューをしまして、その中でアベノミクスのことも聞いたんですけれども、基本的に斉藤氏、連立離脱、解消を表明したとはいえ、ずっと26年間連立を組んできた、その立場の斉藤氏が円安を招くような政策はよくないと。そしてアベノミクス的な政策については脱却していく必要があるんじゃないかという認識を示されました。加藤大臣としてアベノミクスの功罪、この前もちょっと話しましたが、今の状況も踏まえてその功の部分と罪の部分、そして今後どうすべきかというところをお聞かせいただけないでしょうか。財務大臣としての会見もそんなに長くもないと思いますので、ぜひそのご見解を、政治家としてのご見解を伺いたいと思います。
答)1つ、金融政策に関しては日本銀行が調査・報告を出しておられるというように思っております。それから私自身ということでありますと、あの状況、あの状況というのは2012年、(平成)24年12月に第2次安倍政権がスタートしたときの経済状況、これが前提になるわけで、それに対するアベノミクスの展開であったというように思っておりますし、いろいろなご批判があることは承知しておりますけれども、そういった中で経済の再生ということに対して1つ1つ取り組んできた、ただ残念ながら成長戦略、ここが十分に回ってきたかということ、これは私としてもまだまだ取り組みが不十分だという認識をしています。そして今状況が変わってきていることは言うまでもない、要するにデフレではなく、むしろインフレが課題になってきているという状況でありますから、その中においてはまたそれに応じた政策の展開が求められていくものだというように思っています。
問)それはアベノミクスからは脱却する時期だということですか。
答)アベノミクスというのは、ですから常にこうだというのではなくて、あの状況の中においてつくられた政策パッケージがアベノミクスでありますから、当然経済の前提条件が変われば今度は、今安倍元総理いらっしゃいませんからアベノミクスということにはなりませんけれども、当然それは変わっていく、まさに経済の実体に応じて必要な施策を展開していく、これが私はアベノミクスの真髄だと思っています。
問)先週、情報開示4回目が行われましたけれども、今回元の電子データの情報が初めて出てきました。これはほとんどメールだと聞いていますけれども、今回は赤木俊夫さんのメールが1万2,000通出てまいりましたけれども、遺族はむしろ佐川理財局長や中村実理財局総務課長といった当時改ざんに深く関わった本省幹部のメールを先に出してほしいと要望しています。次の開示に向けて、こういう佐川さんたちのメールを優先して探すというお考えはございませんでしょうか。
答)まず開示請求をなされているご遺族の方々から今お話があったご要望は頂戴をしているところでございます。そもそもこれはご遺族の方からの開示請求に基づいて行っているわけでありますから、そういうご意向というのは十分反映していく必要があるとは思います。
しかし他方で、今回開示させていただいたのも赤木氏が送受信した電子メール、全体で9,000件程度確認され、現時点で15万ページを上回ると。そのうち森友学園事案と関連があるのが3,000件超で4万ページ超、そして10月では3,000件超のうちの1,000件程度、4万ページ超のうちの1万2,000ページを開示したところで、現在は残った部分を12月に開示すべく努力をさせていただいているところでありますが、加えて今のは赤木さんが送受信したものですから、それ以外も含めると全体として、まだ正確に把握できていませんが、数万件程度ということになるわけであります。それをもしチェックするというときに、それというか、電子データの開示というのはどうやってやっているか、ご存じだと思いますけれども、ファイルを1件1件まず開けて、そして添付したファイルがある場合にはそれも開封をし、それをさらにPDF化をした上で、そして森友学園事案との関連ということにおいては関連するかどうか、今の話であればそういう要素を見ながら、機械的にもチェックしますが、最終的には人の目でチェックしなきゃいけないという膨大な作業がかかってくるわけでありますので、そうすると仮にそれを優先したときに今の言ったスケジュールがどうなってしまうのか、そういった中でよくお話も聞きながら、どういうやりとりがあるのか、それを考えていきたいと思っていますが、私ども今の段階で、まず赤木さんに関連している、しかも森友学園に関連しているものをやっておりますから、まずそれを優先させていただく、そしてその上で今お話があった点と、それから全体の開示スケジュールがどうなっていくのか、その辺をよくご遺族の方とお話をさせていただければなというようには思っております。
問)ご遺族とよくお話をするということは、今後開示までの間に改めて財務省の担当者と開示請求者の間で話し合いをするということですよね。
答)そうですね。
問)それと今大臣は今回開示の赤木俊夫さんのメールは森友事案に関係しているものだというふうにおっしゃいましたけれども、開示されたメールは平成27年7月以降とされていますが、赤木俊夫さんが森友事案に関係ある部署に来たのは平成28年7月ですので、27年から28年7月までは基本的に森友事案にタッチしていないはずですし、実際開示されたメールを見るとほとんど、これ、どこが関係あるんだというようなメールが大量に入っています。これもちょっと不信を招くことになっていて、だから赤木俊夫さんの優先というよりも、むしろ真相を知るためには佐川さんとか中村さんとか、そういう本省の幹部のメール、これは今までほとんどというか、佐川さんや中村さんのメールは一切出てきていません。電子データは検索ができますから、佐川・中村で検索できるはずです。そんなに難しいことではないと思うんですが、そういうこともご検討のうちには入りませんでしょうか。
答)おっしゃった疑問、私も持ちました。後でまた必要があったら事務局から、技術的な話だから聞いていただきたいと思うんですが、そうはいかないということなんです。先ほど申し上げたように全部PDFに1回落とさないとできないし、そしてかけてもいろいろな、電子的にチェックすることはもちろんするとしても、それで漏れがないかというと必ずしもそうではないので、最終的には1つ1つ見ていかざるを得ない、これが今の状況だということでありますし、また漏れがあってはならないわけでありますから、その辺の作業の丁寧さ、今お話があった今回出した中で関係ないものがあるんじゃないかというお話がありますけれども、一応関係するのではないかというものを中心に挙げさせていただいておるので、見方によっては薄いものがあるのかもしれませんけれども、そういった意味においてもできる限りお示しをさせていただいて、そしてその中で皆さんに見ていただく、それが大事じゃないかということで私は開示作業を進めさせていただいているということであります。
問)そうすると赤木俊夫さんのメールを全部出し終わった後は、そういったほかの方のメールも出していくというお考えはあるということですね。
答)ですから今の段階で、今の作業スケジュールとしては赤木さんに関わるメールをまず優先、今作業をかなり進めていますので、これをやり切るべきじゃないかと。その上でどうするかについては、やり方をこう変えると全体のスケジュールが当然変わってきますので、その辺も含めてよくご遺族の方のお話も聞きながら、よりよい開示の方法、これを模索していきたいと思っています。
問)加藤大臣は、ちょっと話が変わりますけれども、アイロンをかけるのが好きだということで、ご自分の服だけじゃなくてご家族の服のアイロンもかけていらっしゃると。服にしわが寄っているのはすごく気になるというお話をされていますけれども、この改ざんの調査報告書も開示文書によって大分しわが入ってきたように思われます。そろそろ再調査という名のアイロンを当てた方がいいのではないかと思いますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
答)非常にそういう、何て言うんですかね、しわがどうのこうのという、そういう形のものでこれを答えるのはいかがなものなのかなというようには思っていますけれども、ただ、私自身、基本として赤木俊夫さんが本当にまじめに真摯に取り組んでこられた、そしてその中で自死をされた、そしてそれに向けてのご遺族の思い、これはしっかり受け止めていかなきゃならない、これが基本でありますし、まずそれが、まずはしっかり開示をさせていただいて、そしてそれを皆さんが見ていただいて、そしていろいろなご意見をいただく、そして必要に応じ我々も必要な追加的な説明をさせていただく、これが基本だと思っております。そして今までの流れの中においては、これまでの会計検査院とか検察とか、いろいろなチェックをされているわけでありますけれども、そうした中で森友学園との土地取引に関して例えば新たな調査が、再調査が必要な、こうした状況とは私は考えておりませんが、引き続きまずしっかり公開させていただきながら、そして中身に疑問があれば、あるいは公開の仕方に関していろいろご要望があれば、それに真摯に対応させていただきたいというように思っています。
問)確認ですが、15日から開催予定のG7・G20なんですけれども、大臣、出席のご状況を確認させていただけますでしょうか。
答)G7については前回申し上げましたけれども、私自身の出席については今国内外の諸情勢を総合的に考慮した上で判断させていただきたいということで、調整させていただいている、決定しているわけではないということであります。
問)先ほど話していた中で、当時の佐川局長のメールについて、そういった点についてはご遺族と今後協議してという言い方を大臣されていましたけれども、それは政府として、当然政府のアカウントでメールしていたわけですから持っているわけで、その情報は、佐川氏のメールも、そして中村氏のメールも。サーバーに残っているわけですから、それは政府として持っていて、財務省として持っていて、それを開示することは考えているという理解でいいんですね、今後ですけれども。その考えを伺いたいんですが。
答)私がきちっと今のご質問を受け止めたか、ちょっと自信ないところがありますが、あくまでも今回は検察に提出したもの、それを開示してほしいということですから、そのものを開示する、その作業の中において佐川当時の局長等が関連するものを優先してくれというように私は受け止めているんですけれども、したがってその要望を踏まえた上で、先ほど申し上げたように全体の作業スケジュールということとも関連しますから、そうした状況も申し上げながらどういうやり方がいいのか、よくご相談をさせていただきたいと思っています。
問)検察に提出したものの中に佐川氏のメールはあるんですね。
答)それは分かりません。私は分かりません。それはおっしゃっておられたから、そういったものを優先してということを申し上げているので、あくまでもご質問を前提に答えをさせていただいているだけであります。
(以上)