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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年10月10日(金曜日))

【冒頭発言】

本日、火曜日の会見でご質問された記者さんがいらっしゃっていますので、先日の水曜日の会見においても申し上げましたが、7日の記者会見での質問に対して私の発言に不正確な点があり、お詫びをして訂正をさせていただきたいと思います。今般の国土交通省の地下埋設物についての調査結果について、9月26日の会見時点で知っていたのかという質問に対し、私からは、事前に聞いていたわけではなくて、直前に聞いていたと申し上げました。その後、会見後改めて確認したところ、実際には会見よりも前の時点で当該調査の大まかな概要について事務方から報告を受けておりました。この点、私の認識が間違って答弁をいたしましたので訂正をし、お詫びをさせていただきたいと思います。

【質疑応答】

問)高市早苗氏の自民党総裁就任以降、円安や株高が続いております。円相場は一時1ドル153円をつけました。円安は輸出企業に恩恵がある一方で物価高を悪化させる懸念材料にもなりますが、大臣は今の急速な円安の背景についてどのように見ておられますか。また悪い円安とお考えでしょうか。

答)まず、為替市場の動向について具体的にコメントすることは市場に不測の影響を与えるということで従前から差し控えさせていただいておりますが、足元で一方的な、また急激な動きが見られているところではあります。その上で従前も申し上げましたが、為替相場の動向が日本経済に与える影響について一般論として申し上げますと、輸出物価の変動を通じた企業の海外売上げや利子・配当など海外からの所得等への影響のほか、輸入物価の変動を通じた国民生活・事業活動の負担への影響など、様々な経路をたどりながらプラスの面、またマイナスの面、双方の影響があります。また、そうした影響はその時々の国内や海外の経済の状況によっても異なってくるものと考えております。これまでも申し上げますとおり、重要なことは、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することであります。政府としては為替市場における過度な変動や無秩序な動きについてしっかり見極めているところであります。

問)株高についてですが、国際通貨基金とイングランド銀行がAIブームで株価がドットコムバブル水準に近づき、世界の株式市場は突然の調整のリスクにさらされていると警告を出しました。日本の株高もAI関連銘柄が牽引している側面があるかと思います。日本の株高の現状と国際通貨基金などによる警告についてどのように受け止めていらっしゃるか、ご所感をお聞かせください。

答)IMFのゲオルギエバ専務理事のご発言、またイングランド銀行の金融安定政策委員会の議論は承知をしておりますが、株価は内外の経済状況や企業の活動など様々な要因によって市場において決まるものでありますので、それについてコメントはこれまでも差し控えているところであります。関係省庁、日本銀行と協力・連携の上、引き続き内外の経済・金融市場の動向等については引き続きしっかり注視していきたいと考えています。

問)純債務残高についてお伺いします。自民党の高市総裁が9日のテレビ番組でこの指標をめぐり、日本は86.7%でアメリカやイタリアの方が上だというご発言をされました。加藤大臣、先日触れたIMFベースでは130%台となっておりますが、高市総裁が発言した数字についてのご見解、また数字の差異が生じている要因について教えてください。

答)まず私が申し上げたのはIMFが公表している純債務残高対GDP比で日本は136.0%となっていると。また一方で、高市総裁がたぶん引用されたのはOECDが公表する純金融資産の対GDP比、これは△87.6%となっております。この2つの統計の差異について、精査はしていく必要があると思いますけれども、例えばIMFは社会保障基金が保有する株式等を除く資産を負債から差し引いている一方、OECDはそれらも含めた資産から負債を差し引いている、いわゆるGPIFの資産ですね、その扱いが違っているというところがあるものと承知をしています。

問)来週行われるG20財務大臣・中央銀行総裁会議について伺います。新政権の発足を控える中ですが、大臣の出席の調整状況について教えてください。またG20に合わせてG7財務大臣会合も開催される見通しですけれども、大臣の出席を問わず、G20とG7でどのような議論が中心になると見込んでいらっしゃるのか、また日本政府としてどのような議論を提起したいのか、お考えをお聞かせください。

答)まず来週ワシントンD.C.で世銀・IMF年次総会、G7・G20財務大臣・中央銀行総裁会議などが開催され、世界経済の諸課題などについて議論される予定と聞いております。私の出席については国内外の諸情勢を総合的に考慮した上で判断をしていきたいと考えております。特にG7の財務大臣会合でありますが、これまでもオンライン等で議論をさせてきていただいたことは申し上げているところであります。10月15日にG7が開催され、これは10月1日のG7財務大臣声明にも記載されておりますけれども、ウクライナ・対露制裁に関する議論が行われる予定と認識をしています。

問)今朝、赤澤大臣とラトニック商務長官が面会されましたが、加藤大臣も来週ワシントンD.C.に行かれるようでしたら、そこでベッセント長官とご面会の機会を設けたいと考えていらっしゃいますでしょうか。

答)その前のご質問であるように、現在その出張については国内外の情勢を踏まえて検討しているという状況であります。限られた時間になると思いますけれども、行くとなった場合にはいろいろな方にお会いはしたいと、意見交換はさせていただきたいと思っています。

問)冒頭おっしゃっていただいた件の前に、為替のことをちょっと伺いたいのですが、為替市場ですね、週明けの月曜日に147円から150円までいきなり取引が始まった直後に上がり、3円も円安になり、今朝方も153円台で、今152円90銭台ですけれども、これだけの円安が進んでいて、その要因をどう考えていらっしゃるか、先ほど国内、世界経済ということをおっしゃいましたけれども、今週になって変わったのは高市氏が総裁になったぐらいしか大きな材料がありません。そういう中でこれだけ特に円安が進んでいる原因を高市氏がやはり財政再建に後ろ向きだというふうにマーケットに受け止められているからじゃないかと思いますけれども、それをどう思うか。そして過度であり、無秩序というのは私もG7をずっと取材してきましたが、エクセッシブでボラタイルという、過度で無秩序とおっしゃったじゃないですか。あれはG7で共通の言葉になっているエクセッシブでボラタイルというときに一種為替を介入してもいいようなワードになっているわけですけれども、ですから過度であり、無秩序という言葉を使われたんだと思いますが、これだけ147から150にほぼ一瞬で変わり、月曜日に、そして今や153円ということは、既に6円です、この数日で。これは過度であったり、ボラタイル、無秩序であったりする以外の何物でもないと思うんですが、大臣のお話を聞いていると緊張感が全然感じられないんですけれども、財務省としてそれほどこれを問題視していないということなんでしょうか。これは過度な変動に当たらないんでしょうか。

答)まず円安については、まさにいろいろな要素があるということでありますから、具体的にコメントすることは、そのこと自体が市場に影響を与えるということで、これまでもそのことについては差し控えさせていただいたところでありますが、ただ、先ほど申し上げた足元においては、一方的な、また急激な動きも見られるという認識は先ほど申し上げさせていただいたところでございます。その上で、為替相場についてはファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、また政府としては為替市場における過度な変動や無秩序な動きについては、しっかり見極めているところであるということを申し上げ、このコメントは今の状況を見て入れさせていただいたということであります。

問)見極めているだけで、これは過度であり、無秩序とまでは判断していないのでしょうか。今の足元の状況です。

答)今申し上げたように、為替市場における過度な変動や無秩序な動きについて、今の状況1つ1つどうこうだということは基本的にコメントしないというのがこれまでのスタンスでありますが、ただ今申し上げた為替市場における過度な変動や無秩序な動きという、そうした視点に立ってしっかりと見極めていますよということを申し上げたところであります。

問)円安は高市氏が先ほどもあった、先週火曜日に私も聞きましたけれども、純債務残高などを持ち出して財政再建に後ろ向きであるというふうに捉えられている結果ではないでしょうか。そこに財務省としての懸念はないでしょうか。

答)先ほど申し上げたように為替相場は様々な要因、あるいは経済・金融市場そのものによって影響を受けるものでありますから、これがということは、これまでも申し上げていないということでありますが、ただ我々としては金融経済の動向、そしてそれは当然国民の生活や企業の経済活動に影響を与えるわけでありますから、そうした動向については引き続きしっかりと注視していくということを申し上げているところであります。

問)大臣、冒頭で陳謝いただいたところですけれども、森友文書に絡む話です。ごみがゼロだったのか、そしてその後、大阪航空局から4分の1だったというものが出てきたものですね。私が9月26日に聞いたのは、ごみがゼロだったということが森友側の資料で分かっているじゃないかということをお聞きしたときに、大臣は基本的に既にそういった書類は踏まえた上で財務省は調査をし、判断をしたのだから問題ないという趣旨でした。この前、大阪航空局からごみが4分の1であったという結果が出た後の火曜日の会見では、重く受け止めるという言い方をしていました。真摯に受け止めると。これはなぜ、それが分かっていたんだったら、9月26日の前に、もっとそういう言い方にならなかったんでしょうか。問題ないという趣旨の言い方ではなく、そのときに大阪航空局の4分の1について明らかにするかどうかは別として、もっと別の言い方がある、もしくは大臣の認識としてもっと重い認識があってしかるべきだと思うんですが、なぜ26日の時点で問題ないという趣旨の話を、答えを繰り返したんでしょうか。

答)問題がないという発言を私はしてはいません。

問)問題ないという趣旨と言っています。

答)私が申し上げたのは、財務省は当時、財務省ないし航空局といろいろな情報を入手しながら作業は進めていたものと承知をしていますという事実関係を申し上げただけであります。

問)あのとき私は再調査しないのかも含めて、調査は不十分じゃないのかと。新しいいろいろな資料が出てきている中で調査すべきではないかということも言ったと思いますが。それも財務省の資料で分かっていると。そのとき私は大阪航空局のその資料は知りませんでしたけれども、であれば、そういったこと全般を踏まえれば、もうちょっと認識として、一貫していたのは再調査の必要はないと、処分も既に終わっていると、そこは非常に固い部分だったというふうに私は受け止めました。ですからその部分でもうちょっと認識を変えて、改めて、国民に対して向き合う、より調査しようという姿勢があってしかるべきだと思ったんですけれども、なぜそういったものがなかったんでしょうか。

答)前提として会計検査院からも地下埋設物撤去費用を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていた旨の指摘を受けていますということを申し上げているところでありますし、それを大変重たいものとして我々受け止め、その後における国有財産の売却に当たっては第三者の意見を聞く等の改善というんでしょうか、見直しを図っているということ、これはそのときにも申し上げたんじゃないかと思っておりますので、別に軽いものと考えているわけではなく、まさにその当時からそういうことを指摘されていますし、会計検査院からも当時はある程度幅を持って示されてはいましたけれども、今言った適切な対応になっていないという指摘は受けていたわけですから、そのことは重く受け止めているわけで、全くご指摘のように、もしそのように見えたとするならば、それは私の不徳の致すところでありますが、私としてはこの問題は大変重たい、そもそも改ざんしたことから含めて、一連の問題は大変重たいものであると認識をしています。

問)もう1点だけ、水曜日もあった話ですけれども、今後政権は少なくとも変わっていくわけで、そこで財務省からの森友文書、赤木雅子さんに対する開示が今後どうなっていくか、12月が次回ということは出ていますけれども、今の段階で、加藤財務大臣の段階で、ここまで全部ある程度開示するということは既に確定されているのか、コミットをこの段階で、政権が変わったら開示文書が少なくなるとか止まってしまうとかがないように大臣がされているのかどうか、そういったことをするお考えはないかどうかをお聞かせいただけないでしょうか。

答)次の政権に対して私がここでコメントするというのは難しいことはご理解いただけると思います。特に今いろいろな状況が動いてきていますから。ただ、先日の会見でも申し上げましたが、こうした開示をやっていくということ、それからスケジュール感、これは私個人が申し上げたわけではなくて、政府として一連の訴訟において損害賠償を受け入れますという判断をし、そしてその後こうした対応をとらせていただいているわけであります。ですからこれは政府として申し上げてきたことということは重たく受け止めて、これから後できる政権においてもこうした対応が継承されていくものと私は確信しています。

問)大臣、最初におっしゃっていただいたところで、9月26日の前にレクは受けていたんだけれども、それを認識していなかったのか何なのか、それが間違っていたと、訂正すると、お詫びするとおっしゃっていましたが、それは忘れていたんでしょうか。どういう状況だったのか、いつ頃お聞きになって、なぜ9月26日の段階ではああいう言い方をしたのか。かなり前に聞いていたということなのか、そこを教えていただけないでしょうか。

答)9月上旬に聞いていたと確認しています。それから、なぜかというと、あのときの瞬間のやり取りなので自己弁護的になってしまいますが、あえてそういうご質問だったので、その直前において今回の具体的な一連の発表の説明を受けました。それを踏まえて自分の頭を整理していたものですから、それとご承知のように総裁選等が正直あったことは事実なんですが、そういうことでやや私の頭の中の物の順番の整理がきちんとなっていなかったところでご質問を受けたので、やや不用意に答えてしまったということでございますので、そこは私の認識の誤りでありますので、お詫びを申し上げたいと思います。

問)おとといの会見ではいろいろありがとうございました。特にお手紙、示していただいて、読んだと言ったのは本人も配信映像で見ていて嬉しかったというふうに話していました。実はおとといの情報開示の後に赤木雅子さん、これは本当に偶然ですが、伊藤豊金融庁長官と出会いました。伊藤さんは改ざんの調査報告書を取りまとめた方ですので、雅子さんは調査報告書に書いていないことが開示文書で分かったという1つの例として、会計検査院に赤木俊夫さんが対応させられて、虚偽の対応をさせられていたという話をしたのですけれども、伊藤さんは会計検査院とご主人の関係は知らなかったと答えました。この調査報告書の取りまとめ役が会計検査院と赤木俊夫さんの関係を知らなかったというのは事実なんでしょうか。

答)ご指摘の件について、一昨日、伊藤金融庁長官が偶然赤木俊夫さんのご遺族、奥様とお会いをした際に、当時の会計検査院の対応について突然質問を受けた、すれ違いですからまさに突然だと思いますが、その際に伊藤長官は突然のことであったため、ご遺族の心情への配慮を欠いて、また的確な対応ができず大変申し訳なく思っているという報告を私にも直接ございました。その上で会計検査院による会計検査に対して廃棄されず残された応接録の存在を明かさなかったり、改ざん後の決裁文書を提出したこと、これは不適切な対応であります。そうした会計検査院の対応を含め、一連の問題行為は本省理財局が赤木俊夫さんを含む近畿財務局の職員に対して指示したものであると承知をしておりますが、その旨は平成30年の財務省が取りまとめた報告書にも記載されているところでありますし、そういうことを前提にお会いしているならではありますが、まさに偶然に、しかも彼は今は直接の担当ではなかったということで、今申し上げたように、さはさりながらこれまで彼が扱ってきた仕事の流れからすると赤木俊夫さんの奥様と、いろいろなご心情を持っておられる、そういったことに対する配慮が不十分だったと、それは深く反省しているということでありました。

問)伊藤さんは調査報告書の取りまとめ役ですから2018年10月に一度赤木さんの自宅に行って説明をしているわけですよね。でも会計検査院と俊夫さんの関係を知らなかったと言っているんですけれども、知らなかったのは事実なんですか。

答)私もそうですけれども、パッと言われた瞬間に、まず言葉をどこまで把握できるか、要するに分からないということがあるわけですね。その方が何を前提にお話しされているかというのも、必ずしも今の立場でいうと、彼は承知しているわけではないと思います。例えば文書が開示されて、その日にご遺族の方に示されたということまで、彼は今の所掌からだと知っている立場ではないわけでありますから、その辺の状況、違いの中でポッと言われたということが背景にはあったと思います。ただし、さはさりながら先ほど申し上げたように、彼から報告を受けておりますし、今後ないようにということでもありましたので、そこはしっかり引き続き、今の職ではありませんけれども、やはりそうした中でご遺族とそうした形で接してきたということもありますから、それも踏まえた対応をしっかりしていただきたいと私から申し上げたところであります。

(以上)