【質疑応答】
問)石破総理が7日に退陣を表明しました。財務大臣として石破政権を1年近くにわたって支えてこられましたけれども、今回の退陣表明や政権の実績に関してどのように大臣がお感じになっているか、お聞かせ願えますでしょうか。
答)7日に石破総理が会見をされました。まさに熟慮を重ねながらあのような結論に至られたということだと思います。その中で防災、地方創生等、これまで取り組んでこられた政策に対する大変熱い思いも語っておられたと思っております。まさにそうした中での熟慮に熟慮を重ねた中での結論だったと受け止めております。この間、昨年の10月から石破政権がスタートいたしました。衆議院選挙後は衆議院では少数与党という中ではありましたけれども、補正予算、また当初予算等も成立を図ることができましたし、その中で名目GDP、設備投資など日本経済も明るい兆しがでてきております。賃上げこそ成長戦略の要との考え方のもと、国民所得と経済全体の生産性向上にも取り組んできました。その中で先週出そろった各都道府県の最低賃金が全国加重平均過去最高額の1,121円になり、また7月の実質賃金は7か月ぶりのプラスとなる、こういった成果も出てきていると思っております。さらに令和7年度税制改正を通じて行ったいわゆる103万円の壁の引上げのように今後、これは年末調整で実施されますが、今後成果が、効果が出てくるものがあると考えております。その上で総理から今後について災害対応、また先般最終的な合意がされた日米合意の実行の確保、さらには物価対策、そして安全保障、そうした課題の1つ1つに答えを出していく必要があるわけでありますので、私としても残された任期の中で財務大臣としてその職責を全うしていきたいと考えています。
問)先ほどお言葉にもありましたけれども、総裁選では物価対策が争点の1つになると思います。与党は給付金、野党は消費減税を主張してきました。大臣はどのような物価対策が望ましいとお考えでしょうか。また現在の経済状況や国の借金の状況を鑑みて個人の負担を軽減するような経済対策が必要だとお考えになるかどうかも含めてお願いいたします。
答)経済対策については先般総理からご発言がございました。具体的な柱立ての指示はなされていなかったと承知をしています。政府としては物価対策として給付金に関して与党における検討、野党との協議状況、さらに米国関税措置の実施状況及び我が国への影響など、諸情勢を見極めながら経済対策の検討が行われるものと考えております。政府としてというこの場でありますから、現状我々としてそういう認識をしておりますが、同時に日米の関税に関しては動向、その影響をしっかり分析するとともに、必要な対応をするということも指示をされているわけでございます。そういった意味において、この間においても必要な対策はしっかり講じていく、またそのための検討を進めていくことは必要だと考えています。
問)連日同じような質問になり恐縮ですが、自民党総裁選に向けて立候補の動きというのが相次いでいますが、加藤大臣ご自身、検討を重ねる、熟慮を重ねるとおっしゃっていましたけれども、その検討状況や、意欲というのは現在いかがなものでしょうか。
答)この場は大臣としての会見でありますので、ご質問はまさに大臣以外の個人的なというか、政治家としての発言というのは控えるのかなと思います。一方で、先般の参議院選挙の自民党の総括も含めて今後どういう形で政治のやるべきことを実現をしていくのか、そのために私自身としてどういう役割を果たすことができるのか、そういったことをしっかり考えていきたい、そういうことで熟慮していきたいということを申し上げているところであります。
問)金融庁に関係することですが、昨日公表されました8月の証券口座の乗っ取りの不正について伺いたいと思います。金額ベースで7月から増えているほか、不正アクセスの件数も拡大しております。このことに対する見解と官民での対策をどのように考えているか、教えていただけますでしょうか。
答)まず先日公表いたしました証券口座の不正アクセス、不正取引状況では7月と比較して8月の不正取引件数は減少、他方で不正アクセス件数及び不正取引金額は微増となっており、依然として被害が発生しているという認識であります。まず投資家の皆さんにおかれてはご自身が取引する証券会社が既に多要素認証、これを提供されておりますから、そうした場合には早急に当該多要素認証を適用してセキュリティの強化をまずは図っていただきたいと思いますし、また各証券会社に対してフィッシングに耐性のあるより強固な多要素認証の早期実現、これを金融庁としても引き続き求めていきたいと考えております。一日も早く被害が収束して、やっぱり大事なことは投資家の皆さんが安心して株式等の取引を行うことのできる環境をつくるということでありますので、証券会社における対応状況、これらをしっかり確認していくとともに業界団体、また関係機関とも緊密に連携し、投資家の皆さんへの注意喚起、またセキュリティ対策の強化などあらゆる取組を進めていきたいと考えています。
問)マクロ経済で実質賃金が7月にプラスになったりですとか、4-6月期のGDPが上方修正されたりとか、少し強さを取り戻しているというような指標もございます。相対的には物価高対策の必要性が少し弱まっているんじゃないかという意見もあるように思いますけれども、その辺りについてのお考えをお聞かせください。
答)マクロ経済全体は、先ほど申し上げましたように明るい兆しが確かなものになりつつあるという認識はしているところであります。さらにそれをよりしっかりしたものにしていく必要があると思います。ただ他方で、やはり食料品を中心とした物価の高騰で所得の低い方々を中心として生活に厳しさを抱えておられる方は依然としていらっしゃるわけでありますから、そうした方々も含めた物価対策の必要性、これは変わるものではないと思います。
(以上)