このページの本文へ移動

加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年8月8日(金曜日))

【冒頭発言】

令和8年度予算の概算要求基準が先ほどの閣議で了解されました。今回の基準では、歳出全般にわたり、施策の優先順位を洗い直し、予算の中身を重要な政策に重点化していくとともに、要求・要望は賃金や調達価格の上昇を踏まえて行い、予算編成過程において、物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直しも踏まえ、経済・物価動向等を適切に反映することを明確にしているところであります。この考え方に沿って、従来の取扱いを一部見直すこととしております。加えて重要な政策については、重要政策の推進のための要望や、必要に応じて事項要求もできることとしております。こうした枠組みのもと、各省においては8月末の期限に向けて、施策の優先順位をつけ、要求・要望を行っていただきたいと考えております。その上で、財務省としても、予算編成過程において各省としっかり議論を行い、歳出改革の徹底を図りながら、経済再生と財政健全化の両立を図っていきたいと考えております。

【質疑応答】

問)今、概算要求基準の閣議了解のお話がありましたが、大臣にご説明いただいたように、増額を認めたり事項要求を引き続き可能にしたり、財政規律の緩みが懸念される面もあるかと思います。その点と少数与党ということで、年末に向けての編成について、どのように取り組んでいきたいのかをお願いします。

答)今回の概算要求基準では、今申し上げましたように経済・物価動向などを踏まえ、従来の取扱いの一部見直しを行うとともに、骨太の方針2025に基づき歳出全般にわたり施策の優先順位を洗い出し、予算の中身を大胆に重点化することを明確化しております。各省においてはこうした点も踏まえて、要求の段階から各政策の優先順位をつけ、適切に要求・要望を行っていただきたいと考えております。その上で令和8年度予算編成に当たって全体的なことを申し上げると、例えば物価上昇を上回る賃金上昇の普及定着、地方創生2.0の推進などの重要課題に着実に取り組むことが求められていると認識をしております。財務省としても予算編成過程において各省庁ともしっかり議論を行い、今申し上げたような重要課題に対応するとともに歳出改革努力を継続することでメリハリの効いた予算編成を行っていきたいと考えております。
 なお、少数与党下での対応ということでございますが、総理がおっしゃっておられますように昨年の臨時国会、今年の通常国会での熟議の経験も踏まえ、より真摯に丁寧に他党との議論を深めたいとされているところであります。こうした点も踏まえ適切な対応を図っていきたいと考えています。

問)ガソリンの暫定税率の関係ですが、21日に行われるとされる次回の協議で与野党が財源に対する考え方を持ち寄るということになっております。ガソリンの暫定税率が廃止されれば1兆円の財源が失われることとなります。代わりの恒久財源について考えられることなど、大臣のお考えを伺えればと思います。

答)ガソリンの暫定税率に関しては与野党の実務者の間で協議がなされているものと承知をしております。先日の与野党の合意では財源確保、流通への影響、地方財政への配慮等の課題が指摘されており、政府もこれまでインフラ整備や維持管理等の負担の在り方、あるいは安定的な財源の確保、また円滑な施行を実現するための具体的な方法などの諸課題を解決する必要があるということをこれまでも重ねて申し上げてきたところであります。ご指摘のいわば1兆円の財源が失われるというお話がありましたが、まさに恒久財源の確保という観点でありますが、これに関しても与野党の合意を踏まえ今後与野党協議の中で財源確保を含む諸課題についてご議論されていくものとお聞きをしております。政府の立場から現時点でその結果を予断を持ってコメントするのは差し控えたいと思いますが、政党間のご議論の結果を踏まえて、それに沿って適切・確実に対応してまいりたいと考えています。

問)アメリカの関税の日本経済への影響について改めてお伺いしたいと思います。今朝方、赤澤大臣の方から日本に対する関税は自動車も含めて15%となるということを再確認したと報告がありました。これに関連しまして、例えばトヨタ自動車は1兆4,000億円営業利益が押し下げられると見込んでおりまして、内閣府も昨日年央試算で実質GDPの見通しを下方修正しています。企業業績や賃上げを含めて関税の日本経済に与える影響をどの程度懸念されているか、その上で既に発表されたような資金繰り対策、そういったもので影響を十分緩和できるのかどうか、そして今後特にその影響が大きく出てくるような自動車業界などに対して特別な保証を検討していくのかどうかという点についてお話を伺えればと思います。

答)まず、相互関税に関する新たな大統領令の適用が昨日7日からスタートいたしました。ただ、米国側内部の事務処理に当たって、日本側から赤澤大臣が当初説明していた合意に沿っていない内容となっている、これは大変、極めて遺憾であると考えており、この点に関し今、赤澤大臣が訪米されておりますが、米国閣僚との協議を通じて、米国側の閣僚からも今回の米国側の手続は遺憾であったとの認識の表明があったと聞いております。その上で、訪米中の赤澤大臣に対し、米国側から、今後適時に大統領令を修正する措置をとること、その際には8月7日以降に徴収される相互関税のうち日米間の合意の内容を上回る部分については7日にさかのぼって払い戻すこと、また相互関税に関する大統領令を修正する措置をとるのと同じタイミングで自動車・自動車部品を引き下げる大統領令を発出することにしたいという説明があったと聞いております。政府としては、引き続き米国側に対して可及的速やかに相互関税に関する大統領令の修正の措置、また自動車・自動車部品の関税を引き下げる大統領令の発出、これをあらゆる形で強く申し入れていきたいと考えております。
 ご指摘の米国の関税措置が日本経済に与える影響についてであります。内閣府からは我々が理解している日米間、あるいは先ほど赤澤大臣と先方の閣僚との間で確認された中身を前提にして機械的な仮定のもとでの試算結果として、これは幅を持って見る必要がありますが、米国の関税措置によって実質GDPを平年度で0.3から0.4%押し下げる可能性があります。ただ、これは今般の日米合意によって、当初の米国のいわゆる25%の相互関税等に比べると、0.2%ポイント程度改善した数字になっていると聞いているところでございます。政府としては先般の総理のご指示も踏まえまして、中小企業・小規模事業者の方々の資金繰り等への支援等により、我が国産業や雇用に与える影響の緩和に万全を期しながら、一連の合意や各国の動向を踏まえた我が国への影響を引き続き十分に分析をして、また必要な対応があれば対応していきたいと考えております。

問)先ほど、概算要求基準について、大臣からメリハリの効いた予算編成とのご発言がありましたが、例えば去年までですと、前の年より1割削減すれば削減分の3倍充てられるメリハリ付けの仕組みがあったと思いますが、これがなくされた理由のところについて、その上でどうやってメリハリ付けを確保していくかというところも併せてお考えをお願いできますでしょうか。

答)まず、今回の概算要求基準について、従来との比較で申し上げますと今言われたように裁量的経費については物価高対策を含む重要政策推進のために前年度の裁量的経費の20%まで要望を可能にする。従前は10%削減して30%上乗せするということでありました。また、義務的経費についても各経費ごとの義務的性格に基づき所要額を要求可能とすること、また物価高対策を含む重要政策等については必要に応じて事項のみの要求も可能とすることを明らかにしたところでありますが、基本においては今回の経済物価動向等、これをしっかり反映をしていくという中でどういうやり方がより実態に沿ったものなのか、ある意味では一部簡素化をしているとも言えると思いますけれども、そういったことで実態に合った予算要求をしっかりやっていただく、そういう観点から今回の見直しが図られているところであります。その上で、予算編成過程においては要求内容を精査していくことになりますが、骨太の方針2025に示されたように社会保障関係費については高齢化による増額に相当する、並びに経済・物価動向などを踏まえた対応に相当する増加分を加算する、非社会保障関係費等についても物価上昇に合わせた公的制度の点検見直しも踏まえ、経済・物価動向等を適切に反映するとしております。そうしたことも今回の概算要求基準にも反映されているものと理解をしているところでございますので、引き続きそういう方向に沿ってこれから各省庁で概算要求がなされ、またそれを踏まえた予算編成にしっかり当たっていきたいと考えています。

問)今年で戦後80年となりますが、加藤大臣は来週15日の終戦の日に合わせて靖国神社に参拝するお考えはありますでしょうか。

答)私もこれまで終戦記念日を大臣として幾度となく迎えさせていただいて、同様の質問をいただいておりますが、これについてはあくまでも私的な形でこれまでも対応させていただいているということなので、答弁は差し控えさせていただいているところでございます。

(以上)