【質疑応答】
問)ガソリンの暫定税率の廃止について、本日臨時国会を開会して会期中にガソリンの暫定税率廃止法案が野党から出される見込みとなっております。成立に向け与野党の協議体を設けていろいろ検討していくということですが、特に財源確保についてどういった議論を与野党に求めますか。そして野党からは暫定税率廃止に向けて現在1リットル当たり10円の補助金を増やしていくという考え方も示されています。こちらの財源についても手当てできるのか、大臣としてのお考えをお聞かせください。
答)7月30日に与野党6党間の合意文書が出されたということで、その中で協議をする場が設置されるなど盛り込まれていると承知しています。また、同文書では財源確保、流通への影響、地方財政への配慮などの課題が指摘されておりますので、政府としてもいわゆる暫定税率については、これまでも申し上げましたようにインフラ整備や維持管理費の負担、財源の確保、あるいは円滑な施行を実現するための具体的な方法の諸課題を解決する必要があるということを申し上げてきたところであります。こうした諸課題について解決策を見出すべく与野党合意に沿って真摯に議論が重ねられていくものと承知をしております。ご指摘の野党から補助額を拡大していくというお話については与野党間の協議において今申し上げた様々な課題について議論が行われるということでございますので、政府としてはそうした政党間での議論の結果、これを踏まえて適切に対応していきたいと考えています。
問)アメリカの関税措置について、日本時間今朝、トランプ大統領が大統領令を出されて、日本に対する相互関税というのは7日後に15%になることになりました。この7日間の間の日本の関税、対日の関税率が何%になるのか、情報が入っていたらまず教えていただきたいです。いずれにしても当初想定されていた25%の関税率よりは低いけれども、幅広い品目に対して高関税がかかり続けるということになると思います。そして、自動車関税の引下げというのはまだ発表がございません。アメリカ向け輸出に対して高関税がかかり続けることで考えられる日本経済への影響をどう見ているか、そして政府としての追加対策の必要性についてどうお考えでしょうか。
答)まず、アメリカとは最終的には15%ということかと思いますけれども、その間どうなるかというご質問について、私も詳細を承知しているわけではないので関係するところにお聞きをいただければと思います。その上で、既に官房長官からも記者会見でお話をされていますけれども、引下げ後の関税措置が輸出等に与える影響については引き続き注視していく必要があるけれども、我が国、EUなどと米国との合意により米国の通商政策に関する不確実性が低下し、米国の通商政策が我が国経済や世界経済を下押しするリスクを低下させるものとは考えてはおります。その上で先般総理からもご指示がございましたので、特別相談窓口での丁寧な対応や中小企業小規模事業者の方々の資金繰りなどへの支援、これによって我が国の産業や雇用に与える影響の緩和に万全を期していきながら、一連の合意、各国の動向を踏まえた我が国への影響を引き続き十分に分析をしていきたいと考えております。
問)新生銀行が昨日、公的資金を完済しました。日本長期信用銀行の特別公的管理から27年経ち、とても長い年月がかかりましたが、90年代後半の金融危機の後始末がついに終わったと言えるかと思います。金融行政としての受け止めをお聞かせください。
答)まず、SBI新生銀行についてでありますが、7月31日に公的資金を国へ完済をされました。金融庁としては、長年の課題であった同行の公的資金が完済に至ったことを歓迎しております。今般の同行の公的資金完済をもって、今お話があったように、平成の金融危機時に注入された公的資金がすべて返済されることとなり、一つの節目を迎えたと考えております。日本経済にも大きな影響を及ぼした過去の金融危機、そのときの対応に対する反省も踏まえ、金融庁としては、潜在的なリスクを早め早めに分析・特定することで、個別金融機関の健全性、また金融システムの安定性の確保に引き続き努めていきたいと考えております。
問)栃木信用金庫で国債の含み損を大量に抱えて信金中金が支援するということが表面化しました。長期金利の上昇が続いていて国債の含み損を抱えている地域金融機関は多いと思われますが、この金利上昇局面が金融システムに与える影響についてどうご覧になっているのか教えてください。
答)まず昨日、栃木信用金庫が、財務の健全性をより確実なものとするため、信用金庫業界における資本支援の仕組みを活用し、信金中央金庫から資本支援を受けることとした旨、公表したと承知をしております。また、信金中央金庫が、栃木信用金庫からの申請を受け、経営力強化に向けた取組を全面的に支援していくものと承知をしているところでございます。信用金庫の2025年3月期決算時点において、国内の金利上昇に伴い、有価証券評価損が発生していると承知をしておりますが、個別信用金庫の健全性についてのコメントは差し控えますが、総じて信用金庫全体を見ると充実した資本基盤を有しており、総体としては安定しているものと認識をしております。金融庁としては栃木信用金庫も含め地域金融機関が健全性を維持し、金融仲介機能を発揮できるよう、引き続き有価証券運用の状況などを含め、財務の健全性やリスク管理体制などについて、しっかりとモニタリングをしてまいります。
問)為替と日銀の政策に関連してお伺いいたします。足元、円は対ドルで150円台となりまして3月以来の安値になっています。市場では昨日の日銀政策決定会合と植田総裁の会見を受けて日米金利差縮小に時間がかかるのではないかという見方が広がっていて、それも円安圧力になっているのではないかと言われています。こうした市場の見方に対する大臣のお考えを教えていただきたいです。また、円安傾向が続きますと輸入物価がさらに上昇しまして、国内のインフレが長期化する懸念がありますが、現下の円安の経済・物価への影響についてお考えをお聞かせください。
答)まず、為替市場の動向について、今お話がありましたように市場関係者からは様々な見方があるものと承知をしておりますが、政府としては従前から具体的なコメントは市場に不測の影響を及ぼすおそれがあるということから差し控えさせていただいているところでございます。従前から申し上げていますが、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であると考えております。政府としては投機的な動向も含めて為替市場の動向を憂慮しているというのが今の認識であります。
問)森友文書に関してですが、今月3回目の開示を予定されていたかと思います。これについて何か進捗状況や開示の見通しがあれば教えてください。
答)森友学園事案についてのご遺族への開示については、既に2回開示をさせていただいておりまして、3回目については8月を目途にということを申し上げてきたところでございます。今回は赤木俊夫さん以外の担当者の手控えの一部を開示するということも申し上げたところでございます。現在、開示に向けた作業を進めているところでありますので、具体的な日時についてまだお示しできるという状況ではありませんが、これまで申し上げたように8月には3回目の開示をさせていただくという、それに向けて鋭意作業を進めていきたいと考えています。
問)アメリカの関税措置に関して、トランプ大統領のもともとの問題意識の発端というのが貿易赤字を縮小していきたいということで、その手段として関税を導入したというわけですけれども、今後、日本から見た場合のアメリカに対する貿易黒字というものは、この関税措置の導入で小さくなる方向に作用していくとお考えでしょうか。
答)二国間ということに限定していいかどうか分かりませんけれども、やはりアメリカにおける貿易赤字がかなり積み上がってきている、そうした不均衡というものが持続的な状況ではないというのは共有の認識だと思っていますので、そうしたことを解消すべく今回アメリカから関税の引上げという対応があり、我が国としては関税よりも投資ということで我々の提案を出させていただき、合意に至ったということでありますから、その合意の中身をしっかりと実行していく、これが大事だと思います。
(以上)