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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年7月29日(火曜日))

【質疑応答】

問)昨日、自民党の両院議員懇談会が開催されまして石破首相に辞任を求める声が相次いだほか、森山幹事長からは辞任を示唆する発言もありました。結果を受けての所感を伺います。また、大臣は昨日の講演で自民党は広い意味で刷新しないといけないという趣旨のご発言をされましたが、お考えの真意をお聞かせください。

答)まず、昨日の自民党両院議員懇談会については、今回の参議院選挙の厳しい結果を踏まえて出席された議員の方々から様々なご意見が出され、中には総理や自民党執行部の進退等に及ぶ意見もあったと承知をしております。それ以上について政府の立場においてはコメントは控えさせていただきたいと思いますが、申し上げておりますように今回の選挙結果は、党もそうでありますが、私としてもしっかり受け止めていかなければならないと思っております。その上で、広い意味での刷新と申し上げたのは、まさに今回の様々なご意見、投票行動によって示された、あるいは、選挙中に様々お聞かせいただいたご意見も踏まえて、当然我々として直すべきものはしっかり直していかなければならない、そういった趣旨でもあり、また、ある意味では石破総理からも今回の審判を踏まえて喫緊の政策課題について、すぐれた野党とも真摯に協議を行い、責任を持ってすぐれた政策をつくり上げてまいりたいともおっしゃっておられます。そういったことも含めて今回の選挙結果をしっかり受け止めて、それを今後の政策に反映していくべきだ、こういう思いで申し上げたということでございます。

問)その投票行動にも関連するお話ですが、与党として1人当たり2万円の現金給付を参院選で公約に掲げたわけですが、参院選の結果を受けて給付の見送りなど、そういった判断は選択肢に入るのか、政策の方向性について教えてください。

答)石破総理もおっしゃっておりますように、まず基本は成長への投資を加速し、賃上げを持続的におこなえうる環境をつくっていくということ、同時に物価上昇を上回る賃上げが実現するまでの間に関しては今回の選挙戦の議論、あるいはその際に私どもが提示させていただいた考え方、これらを踏まえて財政に対する責任も考えながら党派を超えた協議を呼びかけ、結論を得たいと言っておられますので、こうした点も踏まえて政府として検討がなされていくものと考えております。

問)関連して中低所得者への対策という文脈では給付付き税額控除を求めている声もありますが、その導入の是非や課題について大臣の見解を教えてください。

答)給付付き税額控除についてはこれまでも議論がされて、そういった案が出されてきているところでありますから、1つの考え方だと思います。ただ、それを実施する場合に当たって、例えば実務面でそれぞれの所得の状況、現行制度では把握していないこういったものをどうするのか、あるいは金融所得の正確な把握をどうするのか、あるいは企業や地方自治体の事務負担といった、まさに事務面での課題、加えて制度面ではそうした場合には当然その分だけの財源をどうするかという問題があると同時に、所得は低いけれども資産を多く持っている方をどう考えるのか、あるいは既存の生活保護などの低所得者支援制度との関係をどう整理するのか、こういった点があるのではないかと思っております。政府としてはこうした課題について丁寧な検討が必要だと考えておりますし、少なくとも現行制度で把握できていないということは、常にこれまでも議論されてきているわけであります。給付付き税額控除だけではなくて給付制度においてもそうした指摘があるということもしっかり受け止めていく必要があると思っています。

問)衆参ともに少数与党の中で政策遂行の難しさが高まっていると思います。野党は今朝、11月からガソリン税の旧暫定税率を廃止する法案を提出するということで一致したということです。また自民党内からは河野太郎議員から参院選の結果を踏まえて消費減税をやらざるを得ないとの発言も出ています。こうした暫定税率の廃止や消費減税の声の高まりに対して、財務大臣としてはどのように対応していく考えかお教え下さい。

答)与党間、あるいは与党・野党等の協議については政府の立場で、また各個人、個々の議員の発言についても、これまでもコメントは差し控えておりますが、いわゆるガソリンの暫定税率については従前から申し上げておりますようにインフラ整備や維持管理等の費用をどう考えていくのか、またガソリンと軽油を合わせるということになりますと1.5兆円という税収減に対して財源面からどう対応していくのか、さらに円滑な施行を実現していくためにどう対応すればいいのか、こういった課題が指摘をされているわけであります。実施に当たっては、そうした問題を解決していくことが必要だと考えております。また、消費税に関しては、これまでも申し上げておりますように全世代型社会保障制度を支える大変大事な重要な財源でありますので、税率の引下げは適当ではないということなどを申し上げてきたところでございます。

問)先日合意した日米の関税交渉の中で出た5,500億ドルの対米投資のことについて教えてください。先般、赤澤大臣はこの中での出資は1~2%程度だという発言をされています。この5,500億ドルの投資のスキームの全体像が分かりにくいので、JBIC所管大臣として現在分かっている範囲での投資のスキームについて少しご説明いただきたいと思います。また、政府は日米間での合意に関する共同の文書というのはあまり出す予定がないという発言が相次いでいます。合意文書がない中でどう履行状況を担保していくのかについても教えてください。

答)まず、前半でありますけれども、今般の合意ではJBICやNEXIが最大5,500億ドル規模の出資、融資、融資保証を提供すること、まずはこれをおこなうということであります。具体的な中身はこれから、あるいはプロジェクトごとに議論されていくものと承知をしております。なお、各案件の組成に当たっては日米双方が負担する貢献やリスクの度合い、これを適切に考慮するということでありますし、利益配分ということになると、これは出資の場合ですよね、要するに融資の場合には金利が返ってきます。それから融資保証の場合には保証料ということですから、出資についてだと思いますが、それについては今申し上げた貢献やリスクの度合いを適切に考慮して配慮して1:9という話になっていると承知をしております。あと赤澤大臣の1%云々については、これは赤澤大臣にお聞きをいただければと思います。何かしかのベースを念頭に置きながらご発言されたのではないかと思っております。
 後半について、合意文書でありますけれども、私は担当ではありませんから合意文書について直接申し上げないですけれども、今回の最大のポイントは関税率をどうするかということでありますから、ということになりますと大統領令がどうされるか、いかに合意文書をつくっても大統領令が変更されなければそれが適用されないということだと思いますので、まずは大統領令がどう変更されていくのか、これをしっかり求めていくということが大事ということを赤澤大臣も言っておられたと承知をしています。

(以上)