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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要(令和7年7月17日(木曜日))

【冒頭発言】

先ほど行われました、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の初日の議論及びバイ面会の概要についてご報告いたします。
 G20では本日、世界経済、国際金融、インフラ、国際課税についての議論を行いました。世界経済及び国際課税のセッションでは、私がリードスピーカーを務めさせていただきました。
 セッションごとに申し上げますと、まず世界経済のセッションでは、私から、世界経済に大きな影響を与えている、ロシアによるウクライナへの不法な侵略を、改めて最も強い言葉で非難をした上で、自由で開かれた多国間貿易体制の維持と、予測可能で安定的な経済運営が重要であること、為替に関する従来からのG20の共通認識の下、引き続き、投機などがもたらす為替市場での過度な変動に注意すべきことを指摘いたしました。
 その上で、各国間の経常収支の不均衡について、関税措置は過度な不均衡の緩衝に当たり適切な手段ではない、米国の一連の関税措置のもたらす不確実性が経済や金融・資本市場に与える影響を懸念していること、過度な経常黒字や赤字を計上している国では自国経済の改革を通じた、国内不均衡の是正が必要であること、G20としても、お互いの政策に関する冷静かつ建設的な対話と協調を通じて内外の格差や不均衡の是正に取り組むべきであること、などを述べました。
 次に、国際金融のセッションでは、MDB改革を支持すること、IMFが加盟国の多様なニーズに応えられるよう、幅広い観点から検討を行い、その機能や組織を一層強化していくべきこと、債務問題について、「共通枠組」に基づく債務再編の実施の改善や、借り手・貸し手双方の努力を通じた債務透明性の一層の向上が重要であること、などを指摘いたしました。
 インフラのセッションでは、質の高いインフラ投資が途上国の持続可能な経済発展に不可欠であることや、インフラ投資に民間資金を効果的に動員するに当たり投資判断に必要となる情報を広く集め提供することが重要であることを指摘した上で、日本がかねてより取り組んできた、国境をまたぐインフラ整備の事例について紹介をいたしました。
 国際課税のセッションでは、「2本の柱」の解決策の議論を最優先かつ喫緊の課題として進めるべきこと、競争上の公平性等を踏まえつつ、「第2の柱」と米国の制度とが共存する制度設計を迅速に行っていくべきこと等を指摘いたしました。
 G20と併せて、本日は、自然災害に係る保険のプロテクションギャップに関する公式サイドイベントも開催され、私から基調講演を行い、自然災害対応に係る日本の取組などについて紹介いたしました。また、7月よりEU議長も務めておられるデンマークのローセ大臣とのバイ面会を行ってございます。

【質疑応答】

問)世界経済について今日セッションがあったかと思いますが、足元の世界経済について、例えば不確実性に直面していることや、リスクが高まっていることについて、どんな認識が示されたのか、米国関税について各国からのどのような意見があったのかについてお願いします。

答)まず多くの国が米国の関税措置については発言をされました。具体的な中身については差し控えたいと思います。私からは先ほどと同様になりますが、各国間の過度な経常収支の不均衡の解消に当たり関税措置は適切な手段ではないこと、米国の一連の課税措置がもたらす不確実性が経済や金融資本市場に与える影響を懸念していること、自由で開かれた多国間貿易体制を維持するとともに、予測可能で安定的な経済運営を進めることにより世界経済の全体の成長実現を図ることが重要であることなどの指摘を行ったところであります。

問)関税政策の物価に与える影響については多分異なった見方があるかと思いますが、足元、過剰資本圧力が和らいでいるという考え方もあります。この辺り、関税と物価についてどのような議論があったのか教えてください。

答)関税と物価といっても、米国の物価についてかと思います。あまり米国の物価についての分析は、若干、国際機関から世界経済全体の中で言及があったかもしれませんが、それ以上の議論がなかったという印象を有しています。

問)私もグローバル経済のセッションに関しまして2点ほどお伺いしたいんですが、アメリカの関税に関しまして、例えばブラジルに50%ですとか、南アフリカ共和国には30%と、どちらかというと低中所得国に対してかなり大きな課税率を賦課しているところがありますが、こういった動きが小国をいじめているようにも捉えられるとの見方で非難されていると思います。大臣はこれに関して何か不均衡な影響について今日議論があったのか、またはなかったとしても大臣はどうお考えになるのか、まず一つお聞かせください。

答)まず米国と他国との関係について日本から特に言及することはしていないところでありまして、米国関税については先ほど申しあげた一連の我が国の立場や考え方について発言させていただいたということであります。

問)もう1点ですが、為替の文言の確認もあったということで4月以降、特に関税が導入されるようになってから非常にボラタイルな状態が続いているかと思うんですけれども、この足元、現状について何か認識の意見交換はありましたでしょうか。

答)特段具体的な議論は為替について行ったわけではありませんけれども、私からは先ほど申し上げた為替に関する従来からのG20の共通認識の下、引き続き投機等がもたらす、市場の過度な変動に注意する必要性の指摘を行ったということでございます。

問)2月に引き続いてベッセント長官が今回も欠席されていると思うんですが、これが全体の議論にどういう影響を及ぼしたかどうかお考えでしょうか。

答)ベッセント財務長官に限らず、必ずしも全ての財務大臣・中央銀行総裁が出席をしているわけではないわけでありますから、それについての具体的な影響というのは特段コメントを差し控えたいと思いますが、ただ本日の会合でも米国も含めてそれぞれ出ておられる方々がそれぞれの国の立場について、あるいは各国と率直な意見交換をされていたと認識しています。

問)関税の影響が深刻化していく中で先ほど、自由貿易の改めて大切さも確認したということだったと思いますが、例えば自由貿易を推し進めていくような協力体制について一部の国の間で何か議論があったというか、提案があったということはありましたでしょうか。

答)特段何か新しいフレームワークをつくる等、そういう意図でしょうか。

問)協力して米国の関税に対応していこうといった点です。

答)どう対抗するか、米国については、具体的に議論があったとは記憶をしていませんが、ただ先ほど申し上げました米国の関税については各国から言及がなされていたということであります。

(以上)