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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年7月1日(火曜日))

【冒頭発言】

まず金融庁発足25周年に際して一言申し上げたいと思います。
 本日、金融庁の前身の金融監督庁と大蔵省金融企画局が統合し、金融庁が発足してから、丸25年が経ちました。
 この間、関係者の皆様におかれては、金融行政へのご理解、ご協力をいただきましたことに心より御礼を申し上げます。
 金融庁のミッションは、手元にお配りしておりますけれども、「国民の厚生の増大」を目指すことであり、行政の優先課題は時代ごとに変化してきたところであります。遡りますと、金融庁が発足した25年前は、金融行政の信頼回復と不良債権処理を通じて金融システムの安定を図ることが優先課題でありました。
 一方、現在、我が国の金融システムは総体としては安定をしているところでありますが、「金利ある世界」への移行が進む中で、国内外の経済・金融市場をめぐる不確実性や経済社会の構造的な変化にも直面しています。
 また、趨勢的な人口減少・高齢化の中で、地域経済を支えていくための「地域金融力」の強化も大変重要な課題となっております。関連施策をパッケージ化した「地域金融力強化プラン」を年内に策定し、強力に推進してまいります。
 また、近年はAIやブロックチェーン等のデジタル技術を用いた金融サービス・取引が急速に広がっており、金融庁に期待される領域が広がっていることも事実と考えております。
 こうした幅広い金融の分野を行政の面から支えることが、まさに金融庁の使命であり、この使命を果たすため、金融庁そして職員全体、引き続き努力をしてまいります。金融行政へのご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

【質疑応答】

問)金融庁の体制見直しに絡んだ質問なのですけれども、旧検査局であるモニタリング部門と監督局の一体化を進める動きがあると承知していますが、こうした動きを進める狙いと位置付けについて教えてください。

答)これまで総合政策局長の下で行ってきた大手銀行等に対するモニタリングは監督局で担当させるということでございます。
 具体的に、まず大手銀行に対するモニタリングは、監督局の銀行第一課の主導の下で、監督と一体で行うようにいたします。また、マネロンやコンダクト等の専門的横断テーマのモニタリングも、監督局長の下で総括審議官に指揮、統括させ、監督の各課とより一体的・効果的な運用を行うようにしていきたいと考えております。監督とモニタリングにおいては、問題意識の共有をはじめとする連携が重要でありますので、監督局長の指揮の下で、より一体的な運用を行い、関係部局の連携を深めることで、個別金融機関との対話も含め、監督・モニタリングがより効果的・効率的なものとなるということを考えて、今回体制の見直しを図っていきたいと考えているところであります。

問)2点お尋ねします。
 まず1点目、近く公表される昨年度の国の決算について、税収上振れの報道もありますけれども、現状の日本経済の成長ですとか、それから財政はどうあるべきかという観点で大臣のご所見を伺いたいのが1点です。
 もう1点は、今日から金融庁に資産運用課という新しい部署が設けられますけれども、日本の資産運用立国実現に向けた現状認識と、あと資産運用課に期待する役割について教えてください。

答)まず税収のお話がありましたけれども、これは現在精査をさせていただいているところでございます。近々公表させていただくことになりますので、そうしたことを踏まえて、それを待っていただければと思います。
 いずれにしても、総理からは今回の給付金について赤字国債を発行しないということで指示が出ておりますので、そうした税収の、決算の見通しなども踏まえた中で、さらには7年度になりますけれども歳出の不用等々を含めて考えていく必要があろうと思っています。
 それから資産運用課でありますけれども、今回の中で特に資産運用立国を進めてきて、先般のNISAを拡大して進めているところであります。
 一方で、金融経済教育も逐次進めさせていただいております。こうしたものをより推進をしていくという中で、今回それを主体的に取り組む課としてつくらせていただいたところでありますので、引き続き我が国の貯蓄から投資への流れ、こういったものをしっかり進めていく、その中心としてその機能を発揮していただくことを期待しています。

問)金融庁の役割の変遷について言及がありましたけれども、最初、金融庁の発足のときは不良債権処理が中心で、当時金融処分庁と言われて揶揄されていた時代があったと思います。近年は金融育成庁というように、当時の麻生大臣もおっしゃっていたかと思うのですけれども、これからの金融庁の役割を考えたときに何を求めていかれるのか、それとあえて名前をつけるとしたら金融何庁とおっしゃるか、お考えを聞かせてください。

答)先程申し上げましたように、その時代時代の課題に対して取り組んできたということでございますので、25年前になりますけれども、まさに当時の金融の状況というのは非常に、ある意味では不安定だった。不良債権処理を含めて、それが喫緊の課題であったと思いますし、最近であれば、そうしたものの安定化を1つ1つ図っていく中で、そして今我が国が、日銀が金利の引上げをしたり、あるいは国債の買入れを減少させたりという点、そうした対応が変わってきている中で、引き続き果たすべき役割、そうしたものを我々金融庁としてしっかり支援をしていくということになりますけれども、もう1つ加えてみると、先程も申し上げましたけれどもAI、ブロックチェーン、デジタル技術等の新しい分野が相当広範に広がってきているわけでありますし、そうした分野に関して参画されている方も、これまでのいわゆる金融機関だけではなくて非金融機関の方たちも相当広がってきている、こういった広がりのある中でトータルとして安定的な金融システムをどのようにつくっていくのか、こういったことがこれから金融庁に求められるのではないかなというように考えています。
 名前をつけるといってもなかなか難しいので、これを乗り越えた中で歴史的に名前がつけられていくのではないかなというように思っております。

(以上)