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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年5月13日(火曜日))

【質疑応答】

問)森友学園の文書をめぐる問題についてお伺いします。
 亡くなった職員のご遺族に開示した文書に一部欠落があることが明らかになったことについて、財務省からご遺族に対し、欠落した文書は廃棄されたと考えられ、その理由として2018年の内部調査報告書と同様に当時紛糾していた国会審議で質問される材料を少なくする目的だった、と回答したとのことですが、廃棄の理由を含めた事実関係についてお伺いしたいのと、国会で質問を避けるために廃棄したということについて、大臣はどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
 また関連で、ご遺族はかねてより文書の改ざんや廃棄が、誰のどのような指示で行われたのか明らかにしたいと希望しておられます。今回も第三者による調査の必要性を指摘しておられるところですが、財務省として再度調査をされる考えがあるのかお聞かせください。

答)まず、4月に開示した森友学園関連の文書における右肩に付されている番号の欠落については、平成29年当時、政治家関係者との応接録を廃棄した経緯があること、欠落部分は、政治家関係者に言及しているものが多くを占めていると推認されることを踏まえれば、大宗はこの応接録の廃棄の過程において欠落したと考えられる旨、これは5月9日にご遺族に回答しております。
 その際、平成29年当時の廃棄については、国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、更なる質問につながり得る材料を極力少なくすることが主たる目的であったと認められる旨も回答しているところでございます。
 応接録の廃棄については、調査報告書においても、国会審議等において各種応接録の存否が問題になった後に廃棄を進め、存在しない旨を回答したことは不適切、としておりますが、私自身もこのような廃棄というものは、まさに公文書は国民の財産でありますから、そういったものを廃棄することは不適切なものと考えております。
 欠落の経緯は、既に調査報告書でお示しをしている内容に沿ったものであることから、再調査が必要となると考えてはおりませんが、森友学園案件については、引き続き真摯に説明責任を果たし、またご遺族等から様々なご質問があれば、しっかりと対応させていただきたいと考えております。

問)来週カナダのバンフで予定されているG7会合についてお伺いします。
 会合期間の周辺で日米関税交渉の一環として、アメリカのベッセント財務長官と2度目の協議をされる予定があるのかどうか、また協議を検討される場合は、どのような内容を話し合いたいと考えておられるかについてお伺いします。

答)まず、来週、カナダ・バンフにてG7財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されることになっております。私自体、出席をさせていただく方向で今、国会等での調整をお願いしているところであります。
 また、先方もどのようなスケジュール感になっているか分かりませんが、私とベッセント長官が参加できる環境が整えば、その機会を活用して、会談を実施し、引き続き為替についての協議を進めることも追求していきたいと考えています。
 その上で、どのようなことになるかについては、まだ具体的な会談自体がセットされているわけでもなく、またそうしたことを事前に申し上げることは、市場の憶測を招き、為替市場に不測の影響を及ぼすおそれもあることなどから、差し控えさせていただきたいと考えております。

問)会談される場合というのは、日米関税交渉の一環として協議されるということでしょうか。

答)協議の一環というその位置付けは、形式的なものとして、基本的には協議そのものは赤澤大臣とベッセント長官他、先方の閣僚とで行われていく。なお、為替に関しては私とベッセント長官との間で協議をすると、このようなスキームになっています。
 それを前提とした上で、今申し上げましたけれども、別にそういうことがなくても、このような機会にこれまでも日米の財務長官・大臣間では協議を行っておりますから、当然そういったときに議論させていただいたこと、そういったことも当然入ってくるのではないかとは思いますが、今の段階でまだ日程が決まっていないということと、また具体的な内容についても申し上げるのは、先程申し上げた観点も含めて控えさせていただいているということでございます。

問)昨日の米中の関税交渉は、一定程度の合意が見られたということで為替が円安方向に振れております。足元の為替の動きに関しての受け止めをお願いできますでしょうか。

答)まず12日に、米中貿易協議の結果、共同声明も出されたことは承知をしております。
 我が国としては、関連の動向を引き続き高い関心を持って注視していくとともに、その影響を十分に精査し、適切に対応していきたいというように考えております。
 なお、為替に関してはいつも申し上げておりますとおり、その動向について具体的にコメントをすることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから、差し控えさせていただいております。

問)先程の米中の関税の交渉についてですけれども、世界第1位と第2位の経済大国が緊張緩和で一定の合意をしたということで、世界経済の下押し要因の軽減につながり、日本経済にどのような影響があるのかというのを伺いたいのと、トランプ政権が高関税の是正に柔軟な姿勢を示した、こういった姿勢を示したことが今後の日米の関税協議に前向きな影響が出てくるのかどうか、その辺のお考えを伺えないでしょうか。

答)まず今回の貿易協議の結果として、結果と言い切っていいか分かりませんが、そのタイミングで様々な市場の動きがあることは承知はしているところでございますので、我が国として、先程申し上げましたけれども、そうしたことも含めて関連の動向について、引き続き高い関心を持って注視していきたいと思っていますし、また、そこから生じる影響を十分に精査しつつ、適切な対応を図っていきたいというのが基本的なスタンスであります。
 なお、本件をもってして米国の対応がどうなったのかということ自体、それを私自身がコメントするのは差し控えさせていただきたいというように思いますが、いずれにしてもあらゆる情報等も含めながら、今これから日米間の本件協議が進んでいくわけでありますから、我が国としての国益が最大限追求できるよう、赤澤大臣を先頭に政府を挙げて取り組んでいきたいというように思っています。

問)今日の日経新聞の報道で、財務省の方から中国政府に対して資本規制の緩和を要請したという報道がありますけれども、この事実関係について大臣お話しできる範囲でお願いできますでしょうか。

答)すみません。そのこと自体、私は承知しておりません。

問)証券会社の顧客口座への不正アクセスについて質問します。
 金融庁の発表によると、2025年1月から4月にかけて証券会社の顧客口座への不正アクセスにより6,380件の口座乗っ取り、3,505件の不正取引が発生しており、取引金額が売却は約1,612億円、買付は約1,437億円に上っています。
 日本政府は岸田政権以来、新NISAなど国民に対して金融投資を大々的に奨励してきましたが、その結果アマチュアレベルの個人投資家が急増し、詐欺集団のカモになっている可能性があると思われます。
 この問題をめぐって、日本証券業協会と加盟10社が約款にかかわらず一定の被害補償をする方針を発表していますが、国民に対し大々的に金融投資を推奨してきた政府・金融庁として、早急に対策チームを発足するなどして、不正アクセスが国外または国内からのものなのかなどを調査・捜査し、不正アクセスを許さないという強い態度で事態に臨むべきであると考えますが、またそれが監督官庁の責任であると考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

答)まず、証券口座のインターネット取引サービスに関して、今お話がありましたように、不正アクセス・不正取引による被害が急増しております。
 金融庁としては、ウェブサイトにおいて、投資家の皆さまに向けた注意喚起を複数回にわたって行っております。
 また、インターネット取引におけるセキュリティの強化、顧客被害の補償の問題に関する顧客に応じた対応をとるよう、業界団体や各証券会社に求めてきたところであり、業界団体及び各証券会社においては、ログイン時の多要素認証の必須化に向けた取組、また、先日2日には、日本証券業協会と証券会社10社が、本件における顧客被害について、一定の補償を行う方針を申し合わせた旨の公表などを行っております。
 加えて、東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)においても不正取引への監視を強化しているものと承知をしております。
 金融サービスに対する信頼の維持は、金融取引の前提となるものであります。金融庁としては、投資家の皆さまが安心して株式の取引ができるよう、本件については、金融庁長官直轄の下で部局横断的な対応に当たっているところでありますが、引き続き関係省庁や業界団体、各証券会社、JPXとも緊密に連携し、不正アクセス・不正取引の被害を防止する、そういった強い決意で取り組んでいきたいと考えています。

(以上)