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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年5月9日(金曜日))

【質疑応答】

問)7日に自民党と公明党の両幹事長の間で、夏の参院選の前に新たな経済対策についてまとめる方針が確認されました。その席で公明党側から、消費税に関して、食料品にかかっている軽減税率の引下げについても検討の対象にしたいという提案があったと伺っています。野党からも消費税減税に関する策が相次いで打ち出されている状況ですが、大臣としてはこの効果や課題についてどのようにお考えでしょうか。

答)まず経済対策でありますけれども、自民党、公明党の両幹事長が、米国との関税協議などを見極めた上で経済対策を検討していく旨の話がなされたとの報道は承知をしております。
 政府としては、6年度補正予算に加え、7年度予算も執行し始めたばかりであるため、新たな経済対策を考えているわけではありません。
 なお、先般与党のご提言を踏まえて取りまとめた、米国関税措置を受けた緊急対策パッケージの施策を着実に実行することで、必要な支援に万全を期すとともに、引き続き与党ともよく連携して対応していきたいと考えております。
 消費税についてでありますけれども、個々のご主張について見解を申し上げるのは差し控えさせていただいていますが、消費税については、急速な高齢化等に伴い、社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられていることから、政府として、その税率を引き下げることは適当でないと考えているところでございます。
 消費税率の引下げについては、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされることとなるため、物価高の影響を最も受けている低所得者への支援という意味では効率性に乏しいということ、また全国の事業者において、新たな税率に対応するためのレジシステムの改修、新たな値段設定の検討、それに伴う値札の貼り替え等、様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要になることなどに留意する必要があると考えております。
 加えて、災害の激甚化や安全保障環境の変化などを踏まえると、国民の安全と安心を預かる政府としては、様々な有事に備え、財政余力を確保するということも重要であります。とりわけ、恒久的な歳出増や歳入減につながる施策を、安定的な財源の確保なしに行うことは慎重でなければならないというように考えているところであります。

問)証券口座の乗っ取りによる不正取引の件数が非常に増えていて、被害額が3,000億円を超えるかなり大きな金額になっていると思います。こうした事例を今後どのように防いでいくのか、この辺りの方針や現状認識について大臣のお考えをお聞かせください。

答) 証券口座の不正アクセス・不正取引事案については、昨日公表させていただいたところでございます。それによりますと、前回の注意喚起以降も、引き続き証券口座における不正アクセス・不正取引の被害が拡大しており、これを受け、昨日金融庁ウェブサイトを更新し、改めて注意喚起を行ったところであります。
 また、先日、2日でありますけれども、日本証券業協会においても、多要素認証の設定必須化を決定した証券会社を公表するなど、セキュリティ対策の強化を促しているところであります。
 金融庁として、引き続き各証券会社に対し、顧客に対するセキュリティ対策の要請や丁寧な顧客対応を行うよう求めていくとともに、業界団体と連携し、不正アクセス防止対策をはじめとする、インターネット取引におけるセキュリティ水準の向上を図っていきたいというように考えております。
 なお、証券口座の不正アクセス・不正取引事案における顧客への補償についても、いろいろとございます。金融庁としては、顧客の立場に立った丁寧な対応を行うよう、日本証券業協会及び各証券会社に求めているところであり、先日、日本証券業協会及び各証券会社が一定の被害補償をする方針を公表したことは、今般の事案に対する顧客の立場に沿った丁寧な対応の一環として、一定の評価ができるものと考えております。
 今後、各証券会社において、被害額の算定や具体的な補償方針の検討が行われることとなりますが、金融庁としては、引き続き顧客の立場に立った丁寧な対応が行われるよう、各証券会社に対応を求めていくとともに、その状況をフォローアップしていきたいと考えています。

(以上)