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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田日本銀行総裁共同記者会見の概要(令和7年4月24日(木曜日))

【冒頭発言】

大臣)本日行われた、2日目のG20財務大臣・中央銀行総裁会議、及び、各国とのバイ面会の概要についてご報告いたします。
 G20では、昨日の議論に続いて、本日は、国際金融、アフリカの開発課題について議論を行いました。
 国際金融の議論では、私から、現在、ブレトン・ウッズ80周年を契機として、IMFの将来に向けたあり方の議論が行われていることに関連して、IMFの基本的役割を維持した上で、長期的かつ既存の制度に囚われない視点でその機能や組織のあり方を議論すべきであること、日本が引き続きMDBsを通じた多国間支援にコミットしていること、及び債務問題について、G20「共通枠組」の実施の改善と、債務透明性の一層の向上が必要であること、などを発言いたしました。
 また、アフリカの開発課題の議論では、アフリカの経済成長の実現に向けて、脆弱な組織、インフラ開発の不足、マクロ経済の脆弱性といった課題に包括的に取り組む重要性、また先般、日本で関連法が成立いたしましたIDA第21次増資の早期発効の必要性、及び、日本として本年8月に、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を開催し、アフリカの成長を引き続き支援していくことなどについて発言いたしました。
 各国とのバイ面会でありますけれども、本日は、世銀のバンガ総裁、EUのドムブロウスキス欧州委員、米国のベッセント財務長官とバイで面会を行いました。
 米国ベッセント財務長官とは初のバイの対面での会談でありました。本日午後3時から3時50分まで約50分間行いました。冒頭、私から、米国による一連の関税措置は極めて遺憾であると述べ、また日米貿易協定との整合性に懸念のあるこうした措置の見直しを強く申し入れたところであります。
 その上で、ベッセント長官とは、二国間の諸問題について、賃上げをはじめ我が国の経済動向について私から話をするなど、生産的な議論を行いました。
 為替については、レートは市場において決定されること、為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることなどについて認識を再確認いたしました。
 さらに、現在進行中の日米の貿易交渉に関連しては、為替に関して引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致をしたところでございます。

総裁)私からは、世界経済に関しまして、足元で不確実性が高まっていて、市場のボラティリティあるいは消費者コンフィデンスへの影響等を十分に注視し、情勢を丁寧に見極めた上で、中央銀行として適切な政策運営に努めていくことが重要であるという点を指摘しました。また、日本の経済動向や金融政策運営についても説明いたしました。

【質疑応答】

問)大臣と総裁にそれぞれ1問ずつお願いします。今日ベッセント財務長官との会談が開かれ、為替も議論されたということですが、今日の議論を今後どのようにフォローアップしていって、来週想定される赤澤大臣が進める全体の関税交渉にどうつなげていかれたいのかという点を伺います。
 植田総裁には、IMFは最新の経済見通しで世界経済の見通しを大幅に下方修正しました。今週ワシントンでG20各国当局との会談で得られた情報も踏まえて、世界経済の先行きやそれが日本経済に及ぼす影響について、現時点でどのようにお考えでしょうか。また、そうした見方を踏まえて、今後の利上げのパスやタイミングについて、どのようなお考えかという点も併せてお願いします。

大臣)今後の話でありますけれども、先程申し上げましたように引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくという、それが今回の一致した点でございました。それ以上について今何か申し上げられることはございません。

総裁)世界経済の先行きですけれども、IMFの見方にコメントすることは差し控えたいと思います。
 その上で、出発前までも何度もこういう点についてお話しする機会がいろいろなところでありましたけれども、特に関税の影響に関わるところでいろいろなメカニズムを想定していた、例えば関税の貿易への直接の影響であったり、不確実性が企業・消費者コンフィデンスに影響を与える。それが支出に場合によっては影響を与える。あるいはマーケットに影響を与える。それが経済に影響を与える。さらにはそういうことの物価への影響、あるいは貿易の影響の中でサプライチェーンの混乱等がさらにまた影響するかもしれない。こういうあたりをいろいろ考えていったんですが、今回様々な方、あるいは様々な会議に出席をして、そういうメカニズムについては各国ほぼ同じようなことを考えているなということを感じました。
 その上で、それぞれの国からそれぞれの立場で、この中のどういうあたりを重要と考えて、あるいはより具体的な話としてどういう情報があるかというような有益な話をいろいろ伺いましたので、これを持ち帰って精査して日本経済の見方を構築するというところにつなげたいと思います。
 その上で、金融政策については、そうした見方に沿って適切に判断していきたいと思っております。

問)加藤大臣に質問です。ベッセント財務長官との会談で、例の為替問題なのですけれども、トランプ大統領が円安ドル高というものを問題視する考えを公の場で明言しています。それを踏まえてなのですけれども、会談の中で現在の円安ドル高の水準というものを問題視したり、あるいは日本が意図的に円安に誘導しているなどといった、そういった問題視するような発言はあったかどうか、これについて確認させてください。

大臣)米国から為替の水準の、例えば目標や、あるいはそれに対する管理する枠組みなど、そういった話は全くありませんでした。

問)冒頭のお話の中で、為替について従来の合意を再確認したというお話があったと思うのですけれども、それは日米で再確認したということでよろしいのでしょうか。

大臣)まさにベッセント長官との間で再確認したということです。

問)加藤大臣にお伺いします。ベッセント財務長官との会談の中で、アメリカ側からは何か具体的に日本に要求するというようなものはあったのでしょうか。 またそれに対して日本はどのように応じたのか、可能な範囲でお願いいたします。

大臣)まさにそれはやりとりの中身でありますから、それについて具体的にコメントは控えさせていただきたいというように思います。

問)加藤大臣と植田総裁に1問ずつお伺いしたいと思います。まず大臣にですけれども、G7の為替の取り決めの中の過度な変動ですとか無秩序な動き、これは実体経済ですとかそういったものに悪影響を与えるというような確認はあったと思うのですけれども、足元の動きについて、まさに過度で無秩序ではないかといったような、そういった認識のすり合わせはあったのかということを1つお伺いしたいです。
 植田総裁にお伺いしたいのは、今回の一連の会合を踏まえまして、いろいろ意見交換があったと思うのですけれども、日銀としては、関税の影響については注視する一方で、経済の見通しが確認できたのであれば利上げを進めていく、調整していくというところに変わりはないか、そして今後の利上げを見極めていく上で、こういったデータ、特に注目したいデータというのは様々あると思うのですけれども、何か教えていただければと思います。

大臣)先程、為替水準の目標について話がなかったということでございます。したがって、今のお話も当然その前提になる話だろうと思いますけれども、そうした話はございませんでした。

総裁)まず、これまで申し上げているとおり、私どもの見通し、徐々に基調的な物価上昇率が2%に収束していくという見通しですが、これが実現していくとすれば、それに応じて金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくという点には変わりはございません。
 ただ、これから入ってくる様々な情報に応じて、こういう見通しが実現するという見方がどういうふうに変わっていくか、そこのところについては予断を持たずに適切に丁寧にデータを見ていきたいですし、それに応じて適切に政策を判断していくということではあります。
 どういうデータを特に見ていくかという点は、これまで申し上げているような様々なデータと特に変わりはありませんが、先程申し上げたような関税の影響に関する幾つかのメカニズムのところに関連するデータについては、当然特に注意して見ていきたいとは思っております。

問)加藤大臣に2問伺います。先程ベッセント氏に対して関税に関して遺憾の意の申入れ、また見直しを申し入れたというようにおっしゃっていましたけれども、具体的にこちらから何か条件を出すとか、こうした妥協はできるとか、そういったお話はされたのでしょうか。
 またG20に関して、今回どのような成果があったのか、議長国総括といったものも出ていないようですけれども、今回G20が、関税の時代、混乱の時代に行われた中で、どういった成果があったか、意味合いがあったか、お考えを教えてください。

大臣)まず冒頭申し上げた点については、前回も赤澤大臣からもそういうお話をされているわけでございますので、そうした我が国の基本的な姿勢ということを申し上げたということでございます。いろいろなやりとりについては、これは先方との関係もありますので控えさせていただくというように思います。
 その上で、G7ないしG20でありますけれども、先程総裁からもお話があったと思いますが、現下の世界経済や国際金融の状況などを含めた諸課題についての、各国のいろいろなご意見を聞かせていただいたというように思っております。
 まさに世界経済が不確実性を増している中にあります。こうした状況の中で、各国が一堂に会して、多国間あるいは今回バイの会談をさせていただきましたけれども、こうした率直な意見交換ができたこと、これは非常に有意義なものがあったと考えています。

問)加藤大臣と植田総裁に1問ずつお伺いします。まず加藤大臣に、日米の会談についてなのですけれども、ベッセント長官から為替の目標については発言がなかったということなのですけれども、そうするとどのようなやりとりがあったのか、明かせないということなのですが、全体の意味合いとしては現状の為替であったり、金融市場の動きについて確認するというか、認識を述べ合うというような意味合いが強い会合だったのかというところと、会談の前にまずは向こうの要求が何かを見極めるというようなことを、そういうような会合というようにおっしゃっていたと思うのですけれども、会談を終えて今後についての道筋が見えてきたのかということについてお伺いしたいです。
 それから植田総裁については、トランプ大統領が、その後否定はしたんですけれども、パウエル議長の解任を要求するといった発言が一時ありまして、独立性が担保されているはずの中央銀行についてそういった発言をしたことについて、どういった所感を持たれているのかというのと、トランプ大統領が日銀の金融政策にまで踏み込んでくるのではないかというような見方もあった中で、日銀の金融政策の独立性についてどういうように考えていらっしゃるか、教えてください。

大臣)まず先程、私の方から賃上げの動向を始めとした我が国の経済動向と申し上げました。あるいはその中では当然我が国の物価動向など、こういったことについても私の方から話をさせていただいたところでございます。それ以上の話になると個々のやりとりになりますので、そこは控えさせていただきたいと思います。

総裁)まずFedの独立性に関するご質問ですけれども、Fedについて特にコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、一般的に、中央銀行の独立性というものは、経済や金融を安定的に推移させるために非常に基本的に重要な要素であるというように考えています。それと関連しますけれども、私どもの目標、物価の2%の上昇率を持続的・安定的に達成するということを目指して政策を適切に運営していくということに集中したいと思っております。

(以上)