【冒頭発言】
まず、G7においては、ウクライナ及び世界経済を巡る議論を行いました。私からは、米国による広範な関税措置の発動は極めて遺憾である旨を述べた上で、米国に対し、WTO協定との整合性に深刻な懸念のある関税措置の一刻も早い見直しを求めたところであります。
また、G7の解決すべき国際的な不均衡として、中国の過剰生産能力の問題を取り上げ、G7は結束して、中国に対しその国内的な不均衡の解消を働きかけるとともに、国際経済システムがより均衡の取れたものとなるよう協働していくべき旨、主張いたしました。
次に、G20でありますが、本日は世界経済の議論を行い、私からは大きく3点申し上げました。
まず、ロシアによるウクライナ侵略等の地政学的問題に加え、米国の関税措置と一部の国の対抗措置や、それがもたらす不確実性が、足元の為替を含む金融市場を不安定にし、実体経済に悪影響を及ぼしていると指摘をいたしました。
また、経済及び金融市場の安定を維持するため、各国は、その動向を注視し、緊密に情報交換を行い、機動的に協力しながら必要な対応を採るべきと指摘をいたしました。
その上で、自由で、開かれた、多国間貿易体制の推進と、国内外の格差や不均衡を是正するための建設的な政策対話が必要である旨、強調いたしました。
なお、両会合以外に、昨日から本日にかけて、ウクライナのマルチェンコ財務大臣、IMFのゲオルギエバ専務理事、米連邦議会のヒル下院議員とバイの面会を行ったほか、IDB(米州開発銀行)のイベントやUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)の大臣級イベントでスピーチを行ったところであります。
【質疑応答】
問)G20の議論で、今回はアメリカの関税措置というのが1つの焦点だったと思うのですけれども、各国からは大臣がおっしゃったような懸念というか、そういったものが多かったのでしょうか、それとも違ったのでしょうか。
答)私以外の発言は原則言及しないということでありますけれども、G20の場においても多くの国が米国の関税措置に関して言及がありました。私からは、先程申し上げたとおり発言いたしました。
問)まず調整中の日米財務会談についてお伺いします。本日ベッセント長官がメディアとのラウンドテーブルで、同協議では為替目標を要求せずとの発言がありました。大臣の受け止めと、大臣からは協議で何をお伝えになりたいか、お話をお聞かせいただければと思います。
2点目ですけれども、一連のワシントンの会合が始まってから、米国の姿勢に一部変化が見られているかと思います。対中関税を引き下げるといったような報道がありましたし、トランプ大統領からはパウエル議長を解任しないとの発言もありました。ベッセント長官からは世銀やIMFに積極的に協力するとの表明もありました。このところフラグメンテーションですとか、国際秩序の崩壊が懸念されていましたけれども、ワシントンに来る前と後で、良い変化を感じていらっしゃるか、その点をお聞かせください。
答)まず、財務対話というよりは財務長官との協議ということになると思います。ベッセント長官のそうした発言は報道では承知しておりますけれども、明日に関して、それとの関係はどうかということについて、今言及するような状況ではないということであります。
明日については、従前から申し上げておりますように、日米間において財務当局同士で緊密な連携を取っていく、協議していくということを申し上げているところでございます。それに沿った協議を行っていきたいというように思っております。
それから2点目の米国の対応でありますけれども、これについて私、日本国政府がそれにコメントするのは適切ではないというように思いますけれども、まさにいろいろ状況が動いてきているということ、それをしっかりと注視しながら今後とも対応していきたいというように考えています。
問)先程、G20で加藤大臣がお話しされた点として、関税政策は実体経済にも悪影響を与えるという話であったり、自由で、開かれた、多国間貿易の実現が必要だというお話がありました。
先程、他国の話はできないというお話ではありましたけれども、他国からもそうした関税に対しての批判的といいますか、そういったような発言は言及があったということなのでしょうか、教えていただければと思います。
答)それがどのような趣旨かということまで私から申し上げるのも適切ではないと思いますので、今申し上げられることは、先程申し上げた米国の関税措置についての言及が多くの国からあったということであります。
問)G20の会議の中で、米国の関税に対しての発言があった中で、米国のベッセント長官の反応というか、どういったような答えがあったのかというのと、もう1つ、G20の中で、今回は共同声明を取りまとめない方針だというのは聞いているのですけれども、こういった米国の関税措置というものがあって、国際的な協調の体制が崩れつつあるような状態で、G20の存在意義としてはどういうものがあると考えていらっしゃいますでしょうか。
答)まず1点目は、他国の発言には言及しないということでありますが、当然各国からそれぞれの立場に立った発言がなされていたということであります。当然、ベッセント長官からも米国の立場に立ったご発言があったということであります。
それから、取りまとめをしないという話であります。それはまさに議長国のご判断だというように思いますので、それについて我々がとやかく言うのは差し控えたいというように思いますけれども、いずれにしてもこうしたG20が開催されて、そしてその場でそれぞれが率直な意見を述べ合い、そしてそれがお互い認識として共有されていくという、こうしたG20の役割、G20財務・中央銀行総裁会議の役割、それは何ら変わるものではないというように思います。
問)日米の財務会談について伺いたいのですけれども、先程、明日24日にということでおっしゃっていましたけれども、これまでずっと調整中というようにおっしゃっていたと思います。今回もう24日に開催ということで固まったということでよろしいでしょうか。
答)もう明日のことでありますから、そういった意味で、日程的には明日やるということでございます。
問)ベッセント長官の、日本との交渉で為替の目標を求めるものではないという報道について、今言及する状況にないとおっしゃっていましたけれども、この報道について、日本側の為替に対する考え方に齟齬はないというようにお考えでしょうか。
答)齟齬があるかないか分かりませんけれども、もともと私は2つの原則を申し上げて、正確には手元にないのですけれども、1つは、為替相場は市場によって決まるものであるということ、そして過度な変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えること、これが基本的な考え方であり、これはG7、あるいは米国との間でも共有しているということは申し上げて、それをベースにして今回の協議にも当たりたいということは申し上げてきているところであります。
(以上)