【冒頭発言】
まず財務省・金融庁において、米国の関税措置に伴う影響を把握すべく、全国の事業者や金融機関にヒアリングを行ったところ、足元では、資金繰りや地域経済への具体的な影響はまだあまり見えていない中で、今後の影響を懸念する声などが一定程度聞かれたところであります。
こうした状況や、与党でも資金繰り支援の強化などの必要性について議論が行われていることも踏まえ、まずは本日、大臣談話を発出し、相談窓口の設置・運営なども通じた状況把握や、一層きめ細かい資金繰り支援の徹底を官民金融機関に要請するとともに、貸付条件の変更などの状況に係る報告徴求・公表の頻度の強化や、金融庁での専用相談ダイヤルの開設、を行うことといたしました。
今後とも、事業者の資金繰りに重大な支障を来すことのないよう、早め早めの対応を進めてまいります。
2点目でありますが、今朝の閣議において、ワシントンD.C.で開催される世銀・IMF春会合、G20財務大臣・中央銀行総裁会議などに出席するため、22日から26日の間、私が海外出張することについて、了解をいただきました。
世界経済の不確実性が高まっている中、各国財務大臣などと関係構築を行いつつ、自由で開かれた多国間貿易体制の重要性を訴えるなど、世界経済・金融の諸課題に関する議論にしっかりと我が国として貢献をしてまいりたいと考えております。
【質疑応答】
問)1点目、日米財務大臣会談でベッセント財務長官が円安ドル高是正を求めるとの観測から、対ドルの円相場が21日に一時140円台まで円高方向に進みました。会談の内容次第では円安・円高のいずれにも急激に相場が変動しかねませんが、ベッセント氏との会談にどのような姿勢で臨みますでしょうか。
2点目、金融庁の関連で、金融庁が証券口座における不正取引の被害が急増していることについて、4月18日に注意喚起を行いましたが、本件に関する大臣の受け止めと、顧客への補償についてどのようにお考えか、お願いいたします。
答)まず1点目でありますが、米国ベッセント財務長官を含め、現地での二国間会談は引き続き調整中でありますが、日米間での為替の議題については、私とベッセント財務長官との間で緊密に協議していくことを確認しているところであり、訪米時にはこうした機会を活用して同長官と協議をしたいと考えております。
なお、具体的な中身については、いつも申し上げておりますように、特に為替に関しては、市場に憶測を招き、不測の影響を及ぼすおそれがあることから、コメントは控えさせていただきたいというように考えております。
また、2点目でありますけれども、証券口座のインターネット取引サービスに関し、不正アクセス・不正取引による被害が急増していることを受け、金融庁のウェブサイトにおいて、4月18日に改めて注意喚起を行ったところであります。
金融サービスに対する信頼の維持は、金融取引の前提となるものであり、金融庁としては、投資家の皆様が安心して株式等の取引を行うことができるよう、引き続き、業界団体や各証券会社とも緊密に連携し、不正アクセス・不正取引の被害防止に取り組んでまいります。
また顧客への補償についてでありますが、各社に対して顧客の不安を解消するべく問合せや相談に真摯に対応し、被害の回復に向けて誠実な対応をとるよう指示したところであります。
各証券会社における検討に加えて、日本証券業協会においても、各証券会社とともに、補償の在り方について検討していると承知をしております。金融庁としては、各証券会社及び業界において顧客の立場に立った適切な対応が行われるか、その検討状況を引き続きフォローしていきたいと考えております。
問)アメリカの関税措置について、今回ワシントンでG20、あるいはG7も調整されていると伺っておりますが、こういったところで、アメリカ以外の国に対してどのような日本の立場を訴えて、どういうような国際世論を形成していこうとお考えでしょうか。
答)まさに現在、現下の世界経済、国際金融の状況に議論がなされると承知をしております。
当然その中においては、今お話のあったアメリカの関税措置、またそれに伴う各国の措置等が世界経済、あるいは各国経済、さらには金融・資本市場に与える影響、こういった懸念は、皆さんも持っておられると思いますので、そういった点についても共有をする。そして大事なことは、不確実性をなるべく低減すべく、しっかりと連携をとっていく。こういったことも含めて、その場々においていろいろなテーマがございますけれども、それぞれに応じて、対応していきたいというように考えておりますし、日本の考え方もしっかりと述べていきたいと考えております。
問)森友関連の文書が4日に開示されましたけれども、通し番号が73か所も欠落しています。
大臣は先週の会見で、理由は確認できていないとお述べになっていますけれども、これは日本という国家、財務省の信頼を損ねる大変問題のある事態だと思っております。
これから日米財務相会談に臨むに当たって、この問題を調査して原因を明らかにする考えはあるのかどうかお聞きします。
答)これまでも説明をさせていただきましたが、今の欠落した部分というのと、今回の開示請求は別であることはご承知いただいているかと思います。
今回開示した文書は、あくまでも検察に出した文書であり、これを開示してほしいという請求に対し、我々は真摯に対応し、具体的なスケジュール、そして第1回目については、先般お示しをさせていただいたというものでございます。
したがって、今回の文書開示に対しては、我々はまさに検察に提出した資料をそのまま開示したものでありますので、意図的にそれを隠すとかそういったものでは全くないということであります。
その上で、欠落した文書はどうなっているのかというお話でございますが、これに関しては、まず平成30年の調査報告書において、森友学園案件に関し、応接録の廃棄が行われたことが認定をしており、国会においても、今回の開示文書に言及した際には、廃棄をしたために欠落が生じている部分もあると考えられる旨を答弁している、これが過去の経緯であります。
その上で、今回そのようなご要望もございますので、現在他の開示作業と並行して、ご要望に対応すべく確認を行っているところであり、できる限りこの点についても早期にご遺族に回答できるよう、真摯に対応していきたいと考えています。
問)応接録が廃棄されているというのは、確かに既に公表されている事実でありますけれども、今回のものは検察に任意提出された文書だと。そこに通し番号が打ってあると。そうすると、通し番号が1番から380番までありますから、そろっているのが当然であり、一部だけ検察が抜くというのも考えづらいので、検察から戻ってきたときには通し番号のまま戻ってきたわけです。ではなぜこの通し番号が抜けているのか、つまり文書が抜かれているのかということは、情報開示制度の根幹を揺るがすような事態で、そもそも国会にも提出されているので、国会に虚偽説明をしたということになりかねない事態ですが、大臣はどのようにこの深刻さを受け止めているのでしょうか。
答)誤解があると思います。私どもは検察にお出ししたものをそのままお出ししているということであります。
問)ということは、通し番号の欠落しているものを検察に出したと。そして検察からは何も言われなかったと、そういうことなのでしょうか。
答)検察との関係についてここで申し上げることではございませんが、その上で、今申し上げたように、検察とやり取りがある中で、文書を任意に提出させていただいた。特にその間に何かを隠しているということは全くないということであります。
問)隠しているということが全くないとなぜ言えるのでしょうか。
答)あるものをお出ししているからであります。
問)それは今現在はそうかもしれませんが、過去にこの任意提出文書は捜査が終わったのが2019年ですから、それから程なくして文書は戻ってきたはずです。
開示請求が行われたのは2021年で、それももう4年前です。その段階で抜き取りが行われていないという確証があるのでしょうか。
答)先程申し上げているように、戻ってきた文書をそのままお出ししているということでございますので、そこは信じていただく以外に私どもとして申し上げることはございません。
問)戻ってきた文書は、通し番号が欠落しているものだったと言っているのと同じですが、そういうことでしょうか。
答)趣旨が分かりかねますが、文書はまさに検察にお出ししたものであり、そして検察は様々なものを見ながら、私どもはいろいろと検察とのやりとりもあった上で、提出をさせていただいているということでございますので、その間に、おっしゃるような、私どもの方でそうしたことをしたということでは全くなく、むしろ任意で提出させていただき、そして今回の開示請求で出してほしいということをしっかり踏まえて、今回開示をさせていただいている、これに尽きるところでございます。
問)先程大臣は、原因を調べて遺族に明らかにするというようにおっしゃいましたか。
答)原因とは申し上げておりません。新たなご要望がございましたので、それに応えるべく対応しているということでございます。
問)新たなご要望の中に欠落の理由を尋ねています。
答)ですから、先程申し上げたことに尽きています。
問)要望に欠落の理由を調べてくださいとあるわけですから、それは調べるということですね。なぜ欠落しているのか説明してほしいというように書いています。
答)欠落の理由ということではなく、そうしたことのご要望がございましたので、それに対してどう対応していくかを含めて今中で精査させていただいているということでございます。
問)分かりました。つまり調査するかどうかは決めていないけれども、精査して対応を考えているということですね。
答)当然お答えをするためには、それなりの対応をした上でお答えさせていただくということであります。
(以上)