【質疑応答】
問)高額療養費についてお伺いします。総理が7日に高額療養費の負担上限額の引上げ見送りを表明したことを受けて、今与党が25年度予算案の再修正を議論しています。実際に参院で修正した予算が成立すれば初めてのケースとなります。
財政を所管する財務大臣として、衆・参両院で予算の修正が議論されるこの現状を、どのように認識されていますでしょうか。
答)まず高額療養費制度については、高額な薬剤の登場など、高額療養費が医療費の増加を上回るペースで増大する中、保険料負担を抑制するとともに、この大切なセーフティーネットを持続可能なものにしていく、次の世代にしっかり引き継いでいくという観点から議論してきたことでありますが、政府として、多数回該当の方の負担据え置きや令和8年度以降の所得区分の細分化の再検討などを行いつつ、制度の見直し自体は実施させていただきたいということを、これまで説明してきたところであります。
その後総理と患者団体が面会をされ、患者団体の方々からは今回の見直しについては、なおご理解をいただくには至らなかった。また、本件の検討プロセスに丁寧さを欠いていたとの指摘もいただいた。
そうしたことを踏まえて、総理から高額療養費の見直しについて、本年8月の定率改定を含めて、見直し全体について実施を見合わせるという決断をされ、本年秋までに改めて方針を検討し、決定するという旨が表明されるとともに、今後の必要な手続きについては、これはもう既に衆議院を通っていますので、政府としてはこれに対して修正等の対応はできませんので、自民党総裁として総理から与党の幹事長、政調会長に検討を指示し、その必要な手続きについて検討し、協力をお願いしているところと承知をしております。現在その検討が進められているということでありますから、我々としてもその検討を踏まえて、適切に対応していきたいというように考えています。
問)長期金利についてお尋ねします。足元、引き続き急ピッチで上昇が進んでいて、昨日経済財政諮問会議でも、総理が長期金利の急激な上昇について万全の備えを行うというような発言がありました。
この長期金利の上昇に対する万全の備えというのは、例えばどのようなことが考えられるのか、その辺り大臣のお考えをお聞かせください。
答)昨日の総理の発言の詳細が手元にないのでありますけれども、まず長期金利は、これはご承知のように、様々な要因によって変動するということですから、これについてコメントするということは、従来から差し控えているところでありますが、現下、特に長期金利が上昇しているということであります。そうした中で、経済への影響としては支払い利子が増える一方で、受取利子が増えるということ、また債券評価が変動していく、こうしたことに加えて、マクロ経済全体にも様々な影響があるものと承知をしておりまして、それは総合的に勘案していく必要があるというように思います。
その中で、総理がおっしゃった趣旨は、必ずしも私も全部承知しているわけではありませんが、少なくともこうした状況の中で、財務省としては、引き続き国債の安定的な消化、これにしっかり取り組んでいくということ、これが大事だというように考えています。
問)金融機関が日銀の利上げに伴って、貸出を増やす動きがあるとかと思うのですけれども、その中でも仕組貸出を増やす動きが見られていまして、これまで金融機関との意見交換などでも、金融庁としても話題になっていたかと思うのですけど、改めて仕組貸出のリスクについて、どのようにお考えかというのをご教示いただければと思います。
答)仕組貸出という制度自体は、金融機関がいわゆるSPCに貸出をし、SPCが国債を買う、あるいはデリバティブ取引をするという一連の仕組みであります。見た目は貸出ということでありますが、実態は貸出とは異なるリスクというのでしょうか、そういったものがあるということで、特に地域銀行において、日本国債リパッケージローンを中心に仕組貸出が増加しているということであります。
こうした動向を踏まえて、金融庁では業界団体との意見交換会などを通じて、地域銀行に対し、仕組貸出の商品性を十分に踏まえたリスク管理態勢の構築、仕組貸出が貸出全体の相当程度を占める場合における株主等のステークホルダーへの適切な説明などを求めてきたところであります。
引き続き仕組貸出の残高が大きいと考えられる地域銀行に対して、ヒアリングを実施すること等により、仕組貸出に関するリスク管理態勢、開示の考え方等をしっかりと確認していきたいと考えています。
問)冒頭質問のあった高額療養費ですけれども、金曜日に総理が患者団体にお会いになられた後、大臣も一緒の場にお立会いになって話合いをされた後に方針を決定されたと思いますけれども、その場でどういったことを大臣からはご意見としてお伝えになったのでしょうか。
答)基本的に総理のご判断をお聞きをしたということでありまして、併せて先程申し上げた、たしかその場には党の方たちもいらっしゃったと記憶をしておりますので、そうした方々に必要な手続きの検討をお願いしていると、我々としてはその手続きの決定を待って、先程申し上げたように適切に対応していきたい、こういうことであります。
問)改めて今回3回の見直しで、そもそも医療費に対しての考え方といいますか、いろいろと財政に対する影響というのも大きい中で、改革が必要だということでの今回の見直しだったと思いますけれども、それがある意味振り出しに戻って、これからもう一度検討ということですが、改めて財政への影響を含めて、財務大臣としてはこの見直しというものにどういった姿勢で今後臨んでいきたいとお考えでしょうか。
答)これも含めて、全世代型社会保障改革の中の工程表がいろいろ決められているわけであります。そのうちの1つの検討課題がこれでございますけれども、これらも含めて、引き続きそれぞれについて厚労省を中心に議論していただく、また本件については、総理がおっしゃっておられるように、この秋を目途にその見直しといいますか、検討していくということでありますから、そうした中で丁寧なプロセスを欠いたという今回の反省も踏まえながら、患者団体の皆さんの声を聞かせていただきながら、一方で保険者の皆さんの声もしっかりと踏まえながら、しっかり議論していかなければならないというように思っています。
(以上)