【冒頭発言】
副大臣)先程閉幕したG20財務大臣・中央銀行総裁会議及び本日行われたカナダ議長下で初回となるG7財務大臣・中央銀行総裁会議について、その概要をご報告いたします。
まずG20について、本日は国際課税、国際保健、金融セクター、サステナブルファイナンスについて議論を行いました。
国際課税の議論では、私から、「2本の柱」の解決策について引き続き政治的モメンタムを維持すること、及び、国内資金動員を強化することの重要性を指摘しました。
国際保健の議論では、国内資金動員に基づく保健財政強化の重要性を指摘し、日本として、世銀・WHOと連携して本年中に東京に設立される予定の「UHCナレッジハブ」を通じて支援していく旨を説明しました。また、パンデミックの発生時に、必要な資金を迅速かつ効率的に提供する「対応」資金の強化が必要である旨を強調しました。
金融セクターの議論では、バーゼルⅢを含む合意された国際基準を適時に実施する重要性を指摘し、ここケープタウンで昨年12月に決定された、保険分野における国際資本基準の最終化を歓迎しました。
サステナブルファイナンスの議論では、民間資金動員の重要性、保険のプロテクションギャップをG20で議論する意義を強調しました。
G7については、その内容等は議題も含め、議長国カナダから公表されておりませんので、私からの発言内容も含めて紹介は差し控えます。
世界経済が高い不確実性に直面している中で開催された今回の一連の会合において、日本としてG20・G7の連携の重要性を指摘し、議論に積極的に参画することで、国際社会における日本への信頼感を高め、プレゼンスを示すことができたと感じております。
私からの冒頭発言は以上となります。
なお、今回のG20会合での議論の概要については、南アフリカ議長国が先程、議長総括として公表しました。詳細については本会見後、財務官から説明させます。
総裁)私からは一部重複しますけれども、昨日から今日の会合において、世界経済の成長が総じて見れば勢いに欠けるものの、多くの地域は頑健性を維持しているというふうに総括されたということをまず申し上げたいと思います。ただし、地域間のばらつきは大きいという認識があったかと思います。
先行きについて、これもちょっとダブりますが、不確実性の高さを強調する参加者が多かったという点が印象的です。一部、上振れリスクの指摘もありましたけれども、地政学的緊張やサプライチェーンの分断など、下振れリスクが顕在化した場合には、強固で、持続可能性があり、バランスのとれた包括的な成長というG20共通の目標達成が阻害され得るとの見方が示されました。
その上で、こうしたリスクに対処するためには、多国間協調の維持、あるいはそれを強化するということが重要であるとの議長総括に支持が集まったところです。
【質疑応答】
問)日銀の植田総裁に質問があります。世界経済についてのG20の総括を先程ご紹介いただいたのですが、トランプ政権の関税政策の不確実性と下振れリスクが高い中、世界経済の今回の議論を経て、植田総裁としては世界経済についての見方、どういうふうに見ていらっしゃって、そうしたリスク、世界経済の先行きが、日本経済および日銀の金融政策にどういうふうに影響を及ぼすのかについてのご見解をお願いします。
総裁)これは先程申し上げたこととかなり重なりますけれども、関税政策を含めまして米国がどういう政策を全体として打ち出してくるか、それに対して他の国がどういう対応をとるかを含めまして、まだ不確実なところが非常に多いという認識を持っております。したがいまして、それを少しずつ見極めつつ、また、トランプ政権であれば、他の重要な政策もありますので、これについても少しずつ新しい展開があるという中ですので、これらを総合的に考えて、まず世界経済にどういう影響があるか、マーケットにどういう影響があるか、それを通じて日本経済、日本の物価あるいはリスクの見通しにどういう影響があるかということを考えて、最終的に日本の金融政策の判断につなげる、そこはこれまでと同じ姿勢でございます。
問)斎藤副大臣にお伺いします。今回の世界経済の見通しの中では、保護主義への警戒感のようなご発言も各国からあったというように聞いています。日本として、そういった保護主義ですとか分断に対して、今後どのような立場で行動していくのかをお願いします。
もう1点ですが、今回のG20、トランプ政権が始まって最初の財務相会合ということもあって、これまで議論したテーマに対するアメリカ政府の出方のようなところも注目されていると思います。今回の会合でどのようなことを感じられたか、お願いいたします。
副大臣)先程、冒頭申し上げましたとおり、世界経済が高い不確実性に直面している中での今回のG20という認識は、各国共有していたと思います。
日本としても、G20やG7の連携の重要性を主張して、議論に積極的に参画をしてまいりましたので、これによって一定のプレゼンスを示したというように感じております。
それから、今回発出された議長総括では、コミュニケに関しコンセンサスが得られなかった旨は記載されており、皆さんご承知のことと思いますが、今回のG20は、世界経済が様々なリスクに直面して、不確実性が高い状況にある中で、G20メンバーが一堂に会して率直な意見交換がなされたと認識をしておりますので、非常に有意義であったというように思っております。
問)アメリカ政権の出方に対して、何か感じることはありましたか。
副大臣)特定の国を想定しての発言ということは控えたいと思いますけれども、様々な不確実性の要因がある中で、マルチで議論ができたということが非常に有意義だったというように思っています。
問)まず副大臣にお伺いしたいのですけれども、コミュニケが出せなかったところについて、もちろん全体的に有意義な会合であったということなのですが、その至らなかった点、要因について副大臣はどのようにご覧になっているか。
植田総裁にもお伺いしたいんですけれども、今後も見ていかれるということなのですけれども、これまでも世界経済の不確実性というのを注視されていくということをおっしゃってきたわけですが、この会合を踏まえて、その見方については引き続き不確実性が高いと見ていらっしゃるのか、思ったよりも高いと見ていらっしゃるのか。あと、その不確実性の高い中で、今後市場の動向というのは1つ鍵になってくると思うのですけれども、先週、長期金利について国会でご発言されていますけれども、あのときは経済・物価の見方を反映しているという見方で、例外的に、長期金利が急上昇するようであれば、国債買い増しということだったと思うのですけれども、少なくとも足元については特に長期金利の動向について問題視されていないという理解でいいのかどうか、お願いいたします。
副大臣)コミュニケの発出に至らなかった経緯については、これは会議の内容に係ることですのでコメントは控えたいと思います。私としては、こういった不確実性が高い状況にある中で、いろいろな国が集まってマルチの議論ができたということが有意義であったということだというように受け止めております。
総裁)私からは、地政学的リスクと申しましょうか、関税政策等を含めまして、それに関する不確実性とか、もしもそれが実行された場合に経済にどういう影響を与えるかという点に関する不透明性・不確実性、これをいろいろな国の参加者が共有していたなということを感じました。
それから、日本の長期金利でございますが、これは先週国会で申し上げたところから変化はございませんで、まず、もちろん短期的に、あるいは今の状況はどうかということについて、具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。
その上で、先週も申し上げましたとおり、長期金利は経済・物価情勢に対する市場の見方、あるいは海外金利の動向等を反映して変動するということは当然想定されるところでございます。
さらに、先週も申し上げましたとおり、昨年7月ですか、決めたことの確認でございますが、こうした通常の市場の動きを超えて長期金利が急激に上昇するというような例外的な状況では、機動的なオペを打つ、あるいは工夫をするということも考え得るということでございます。
(以上)