【質疑応答】
問)日銀の金融政策に関連して1問お伺いしたいのですが、日銀の植田総裁がここ2日間、金融界の集まりで挨拶されて、来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうか議論し、判断したいと発言されました。総裁は判断する際の重要なポイントとして利上げのモメンタムを挙げていて、年初から利上げに関する各界の発言、日銀の支店長会議での全国の状況は前向きな話が多かったと指摘しております。
政府の来年度予算案も、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を掲げていますが、大臣は最近の企業の賃上げの動き、また春闘での賃上げに向けた動きについて、勢いが見られるとお考えでしょうか。
答)今年の春季労使交渉での賃上げについては、昨年11月に開催されました政労使の意見交換の場において、石破総理から、労働者の賃金水準を引き上げるベースアップを念頭に、33年ぶりの高水準の賃上げとなった昨年の勢いで、大幅な賃上げへの協力を呼びかけたところであります。
賃上げ自体は、各企業の支払能力を踏まえながら、個別に労使交渉がなされ、合意をされて決定されるべきものと承知しておりますが、そうした中で今申し上げた石破総理の呼びかけなども踏まえていただき、最大限の賃上げがなされることを政府としては期待をしているということであります。
問)今朝の講演の中で日本経済に関して、物価と賃金が上がって、金利が動くのが本来の姿だというご発言がありました。先程の質問とも少し絡むのかも知れませんけれども、日本銀行が、来週の会合で利上げするかどうか、議論して判断するという意向を表明されていますけれども、利上げを検討する日本銀行とデフレ脱却を目指す政府の姿勢に齟齬はないのかという点と、来週の会合における利上げのタイミングに違和感があるかどうか、この2点をお願いいたします。
答)いずれにしても、先程質問があったことを日銀の総裁が発言されていることは承知をしておりますが、今まだ具体的な方向性を決定されているわけではないと承知をしておりますし、また金融政策をどのような形でやっていかれるのか、これについては日銀がご判断されるということで、政府としてコメントは差し控えるということを従前から申し上げております。
基本的には、引き続き2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けた、適切な金融政策運営を行うことを期待しているところでありますし、日銀におかれても、そうした形の中で対応していかれるものと承知をしております。
問)日本の長期金利が上昇していまして、今週2011年以来の高さとなる1.255%までつけました。長期金利の上昇というのは、統計的に国債の利払費の増加にもつながると思うのですけれども、こうした足元の長期金利の急上昇の受止めをお伺いできますでしょうか。
答)金利の高さについては、あくまでも市場において決めていかれるということで、それについて直接コメントするのは控えますが、予算上はそれよりも高い金利を設定して、たしか2%だったと思うのですが、令和7年度の国債費は算出をさせていただいているということでございます。
足元でそうした動きがあることは十分承知をしておりますので、引き続きそうしたこともしっかり見ていきながら、今後とも対応していきたいと思っています。
問)名目GDPが1%変化したときに税収が何%変化するかを示す税収弾性値についてお伺いします。財務省は歳出歳入の後年度影響試算で、弾性値を1.1としていますが、近年の想定としては低いのではないかとの指摘もあります。国民民主党の玉木氏は、過去28年間の平均を使えば、税収は政府見通しよりも上振れするというように主張していますが、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。
答)2つあると思います。1つは、今の税収弾性値自体は後年度影響試算において使われている試算だというように思っております。同試算においては、仮置きされている経済前提が名目経済成長率などに限られるため、税収を試算する上で税収弾性値の仮定が必要なため、そうしたものを用意し、昨年の後年度影響試算で用いた税収弾性値は、過去の一定期間の名目経済成長率及び税収の伸び率から平均的な数値を計算した結果、1.1となっているというように承知をしているところであります。
玉木議員がどのような数字をベースに定義されているか承知をしておりませんけれども、税収弾性値の見方は、おそらく期間をどのようにとるのかによっても、そこは変わってくるのだろうというように思います。
他方で、政府の税収の見積り、来年度の例えば見積りそのものは所得税、法人税、消費税それぞれについて、様々な要素を加味しながら算出をされているものと承知をしています。
問)三菱UFJ銀行の貸金庫問題なのですけれども、昨日銀行の方で再発防止策について公表しましたけれども、金融庁の方が報告徴求を求めていたということで報告もあったと思うのですが、今後行政としてどのように対応されるのか、お考えをお聞かせください。
答)まず銀行業は、まさに高い信用と公共性が求められている、また三菱UFJ銀行というのは我が国を代表する銀行であると思いますが、そうした中でこうした事案が発生したのは、また元行員が逮捕される事態に至ったことは大変遺憾でございます。
三菱UFJ銀行における再発防止策について、報告徴求を踏まえた報告書は昨日同行からの提出を受けたところであります。現在は金融庁として、当該報告について、発生原因分析が適切に行われているのか、再発防止策が実効性を含めて十分な内容になっているのかといったところから、まさに内容の精査を行っているというのが今の状況であります。
同時に、今後同行において十分な再発防止策が適切に実行されるよう、しっかりとしたモニタリングも行っていきたいというように考えております。
問)その件で、先程半沢頭取が貸金庫ビジネスについて、3月までに一定の方向性を見出すという旨の表明をされたのですが、貸金庫ビジネスを銀行が行うことについて大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
答)多分ご指摘はこれまでも、貸金庫業務と言うのですかね、マネロンとの関係が指摘をされていたと承知をしております。
金融機関には、マネロン対策などとして、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認や疑わしい取引の届出などを適切に実施するとともに、顧客属性やサービスの利用状況等のリスクに応じた顧客管理を行うことが求められております。
こうしたことを念頭に、金融機関の貸金庫サービスの在り方について、金融庁としても検討していく必要があると考えています。
問)その検討というのは具体的に各行に報告を求めるとか、何らかの調査をするとか、そういったことを意味しているのでしょうか。
答)いや、まさに在り方の検討ということでありますので、もちろん検討の中においては、今おっしゃるように実際どのような形で運営がなされているのか等、チェックすることも当然あるのだろうとは思いますが、最終的にはそれらも踏まえた上で、貸金庫業の在り方そのもの自体を検討していくということであります。
問)それは舞台として金融審議会とかそういうところで話し合うのでしょうか。
答)まだ具体的な場所は想定していませんが、中だけではなくて有識者の方々にも議論に参加していただく必要はあると思います。
(以上)