【冒頭発言】
まずウクライナについて、マルチェンコ財務大臣の参加を得て議論をし、同国への支援に対するG7の強い決意を改めて確認をいたしました。マルチェンコ大臣には、今回も含めまして、本年開催した全ての大臣・総裁会合に参加をいただいたことになります。私からはウクライナ向け支援として、今後国会での議論も踏まえて、総額45億ドルの追加支援を行う用意があることを説明いたしました。
次に、日本議長下でのG7の議論の総括と来年の議長国でありますイタリアへの引き継ぎを行いました。私からは本年の総括として、主に以下の点について言及をいたしました。まず1年を通じてウクライナ支援を取り上げ、G7主導のもとで必要な支援を実現するとともに、ウクライナでの改革も着実に進展いたしました。
債務問題については、共通枠組の元での議論が大きく進展するとともに、スリランカについては、日本が主導した債務再編の基本合意も受けて、先週、IMFプログラムの第1次レビューが成功裏に完了いたしました。
国際金融機関の改革につきましては、G7としてMDB改革を主導し、その支援により、世銀では既に350億米ドルを超える貸出余力の増加が見込まれています。IMFでは、SDRチャネリング等による低所得国向け支援の強化を実現したことに加え、日本時間の今朝、13年ぶりのクォータ増資への合意が公表されております。
10月に立ち上げられましたクリーンエネルギー関連製品のサプライチェーンに関するパートナーシップでありますRISEについては、先週、インドで情報共有の会合を開催するなど既に活動が開始されています。
デジタル化等の経済社会構造の変容を踏まえ、GDPのみならず多様な価値を踏まえた人々のウェルフェアを追求する経済政策の重要性も議論いたしました。これまでの議論をまとめた議長ノートを後日公表する予定です。
最後に、日本議長下で多くの成果が上げられたことに対し、私からG7の皆様に感謝を申し上げました。G7議長としての役割は今回が最後となりますが、世界経済が様々な困難に直面する中で、G7等における国際協調の重要性は一層増しております。イタリアが議長となる来年以降も、日本として積極的に議論に貢献してまいりたいと思っております。
冒頭、私からは以上です。
【質疑応答】
問)ウクライナの緊急事態は鈴木大臣が議長を引き継がれてから、ほぼ1年そこに対する支援を続けられてきたわけですけれども、1年前と今とを比べて、その成果というものをどのように総括していらっしゃいますでしょうか。
答)日本議長下でのG7の1年間のアジェンダ・プライオリティの中で、ウクライナ支援、それからロシアへの制裁、これは一番最初に位するものであります。そうしたことの議論を通じて、G7のウクライナに対する揺るぎない支援というものが確認できたと、そのように思っております。日本としてもいろいろな財政事情はありますけれども、できる中でいろいろな工夫をしながらも積極的に貢献することができたと、このように思っております。まだ紛争は続いているわけでありますし、これから先考えますと復旧・復興、こういうものにもやはりそうした財政ニーズがあると思います。これからもやはりG7が結束してこの問題に取り組んでいくことが重要であると思いますし、議長国として、一定の方向性を国際社会やG7の中で固める、そういう貢献ができたのではないかと考えています。
問)2点お伺いさせていただきたいんですけれども、来年イタリアに議長を引き継ぐに当たって、イタリアの議長下でどういった点を重視してG7として議論していこうかというところの一致点みたいなものがあればお伺いしたいのと、ウクライナの追加支援というのは来年度予算に計上するという理解でよろしいのか、確認させてください。
答)まず次期議長国でありますイタリアの優先事項でありますが、このことについては今後、議長国のイタリアから具体的な説明があると思いますけれども、本年の日本議長国下での優先事項を踏まえまして、ウクライナ支援、それからウェルフェア、アフリカ支援などについて、さらに議論が深まるものと、このことを期待しています。日本としても、引き続き積極的に議論に貢献してまいりたいと思います。
それからウクライナ支援の中身でありますが、今日も申し上げたわけでありますけれども、総額45億ドル規模の支援でありますが、これは先般成立いたしました令和5年度補正予算に含まれる10億ドルの支援に加えて、令和6年度予算において、拠出国債による世界銀行融資への信用補完として、35億ドルを措置しようと考えております。35億ドルのうち25億ドルは、ウクライナ向け世界銀行融資を日本の信用力で補完することによって可能とするものであります。残る10億ドルは、世界銀行融資に伴う利払いを元本に加算することで一定期間のウクライナの利払い負担を軽減しようというものであります。いずれにしましても、来年度の予算で行うものもありますので、それについては、まだ予算はでき上がっておりませんが、その方向でやっておりますし、国会の審議でしっかり説明しなければいけないと思っています。
(以上)