【質疑応答】
問)昨日、2024年度与党税制改正大綱がまとまりました。焦点の1つの防衛増税をめぐっては、自民党税調の宮沢会長が当初、今年中に増税開始時期を決定し、大綱に明記したい意向を示しておりましたが、自民党派閥内の政治資金問題などが影響し、増税開始時期の決定は先送りとなりました。大臣は今回の決定をどう受け止め、防衛増税の開始時期についてはどのようにお考えかをお聞かせください。
答)防衛力強化に係る税制措置でございますが、これは令和6年度与党税制改正大綱におきましては、たばこ税について、加熱式たばこと紙巻きたばことの間の税負担差を解消した上で税率を引き上げることとしたほか、令和5年度税制改正大綱及び今回示された方向性により検討を加えた結果に基づいて、適当な時期に必要な法制上の措置を講ずるという趣旨を令和6年度の税制改正に係る法律の附則において明らかにすることとされております。そういう意味では、一定の方向性が示されたのではないかと、そのように思っております。
こうした方針に則りまして、政府・与党で連携しながら、各年度において防衛力強化のため必要となる財源確保に努めるということ、それとともに令和9年度以降、毎年度約4兆円のしっかりとした財源が確保されますように、引き続いて、歳出・歳入両面から必要な措置を講じていきたいと考えております。
問)為替についてお伺いします。ドル円相場が、昨日、一時140円97銭と4カ月半ぶりの円高ドル安となりました。24時間で5円以上動くような相場展開となっています。その受け止めについてまずお聞かせください。背景として、FRBのパウエル議長が利上げ局面の終了を示唆したことがその背景にあるというふうに市場では言われていますけれども、そうするとそれはファンダメンタルズに沿った動きと考えますでしょうか。あるいは投機がその動きを増幅させているのであれば、財務省としてどのような対応をとる覚悟がありますでしょうか。
答)まず原則的な我々の立場を申し上げますと、為替の日々の動きについては逐一コメントすることは控えたいと思います。
いずれにしましても、為替相場は、市場を通じてファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいわけでありまして、政府としては、引き続き、為替市場の動向をしっかりと注視していきたいと思います。
様々なマーケットトークもあるんだと思いますが、財務省としては特にコメントをすることは控えたいと思います。
問)昨日の税制改正大綱の決定について、法人税率の引上げも視野に入れた検討が必要だというふうに明記されました。大臣は法人税の引上げの必要性についてはどのように認識していらっしゃいますでしょうか。
答)令和6年度与党税制改正大綱においては、法人税に触れられたところもありますけれども、それは近年、法人実効税率の引下げを行ってきたわけでありますけれども、必ずしも実質賃金の引上げでありますとか前向きな投資につながらなかったという認識のもとで、我が国企業の賃上げの促進や供給力の強化のための施策が盛り込まれております。
具体的には、先般の経済対策で掲げました賃上げ促進税制の強化、戦略分野国内生産促進税制の創設、イノベーションボックス税制の創設など、対象や目的を絞った企業向けの減税施策の方針が決められております。そうした中で、全体のメリハリづけという観点から、賃上げや投資に消極的な企業に大胆な改革を促し減税措置の実効性を高める観点からも、税収中立の観点からも、今後法人税率の引上げも視野に入れた検討が必要であるとの記載がなされたものと、このように思っております。
まずは経済対策で掲げました、先程申し上げました点などの効果がどう出るかということを見極めなければならないんだと思います。
問)先程の税制改正大綱での防衛増税の先送りのところに戻ってしまうんですけれども、財源確保に向けて具体的に税外収入などとか、何か想定などはありますでしょうか、教えてください。
答)前回の記者会見でもそうしたお話がございました。防衛力強化のための税外収入の確保につきましては、本年6月以降の精査によりまして、令和4年度の一般会計や外為特会におけます決算剰余金の上振れなどによりまして、現時点では1兆円超の、1兆円を少し超える規模の追加確保が見込める状況となっております。しかし、引き続き予算編成過程でさらなる精査を加えて財源確保の努力をしていく必要があるんだと、そのように考えているところでございます。今見込まれるのはその程度にとどまっているということだと思います。
問)防衛増税の開始時期の先送りに関してなんですけれども、これについては昨日も宮沢会長は政治状況が背景にあったとのご発言がございました。今の派閥とカネの問題がこうした生活に直結するような政策決定に影響を与えていることについてお伺いしたいのと、また、財務省内でも清和会に所属されている政務官が交代となっておりますけれども、これについても大臣のご見解を伺えますでしょうか。
答)税調における議論、どうしてこういう話になったのか、宮沢会長がいろいろ記者会見で述べられたと思いますが、それは税調における議論ですので、どういう経過で開始時期を決めなかったのか、そういう判断をしたのか、それは私からはコメントいたしません。
もう1つの面は、これから年末に向けまして予算編成をやらなければいけないという重要な時期に来ていると思います。そういう中で今回、具体的な省で言えば、官房長官を外しますと、3つの役所で大臣が代わった。また副大臣・政務官も代わった方もおられます。そうしたことがこうした予算編成等の決定に影響を及ぼすことがあってはならないと、そのように思っております。しかし、ベテランの方、経験のある方が閣僚に就かれましたので、そこは何とかしっかりと重要な予算編成等にも取り組んでいただけるものと、その影響はないものと、そのように思っております。
問)佐藤政務官の交代も予算編成に影響を及ぼさないためのものだったということでよろしいでしょうか。
答)いや、その結果ですよ。代わったという結果を受けて、それがそういう編成とかそういうものに影響を与えないようにするということですね。
問)防衛増税の関係なんですけれども、今回は先送りという決定になったと思うんですが、既に防衛費の増額は始まっている中で、開始時期を決めることの迅速性といいますか、今後、通常だと来年の年末に議論がもう一度されるということになると思うんですが、そこに向けてどのように大臣は期待している部分があるかというのを伺います。
答)私としては一日も早く開始時期を決めていただきたいと、そのように思います。実際7、8、9が8、9になれば、その分、税収、要するに税制措置以外の財源を見つけなければいけないわけでありまして、今現在では先程申し上げたとおり、1兆円少々が確保できているわけでありますが、今確保できているのはそこまでですから、それだけでは足りないということになるわけでありますので、なるべく早く税制措置の開始時期を決めていただきたいと、このように思っています。
問)損保の件ですけれども、損保ジャパンとSOMPOホールディングスへの立入検査はまだ続いているんでしょうか、確認させてください。
答)続いているということです。
問)行政処分については年内に出そうですか、年明けになりそうですか。
答)今やっているので、それをまず精査しなくちゃいけませんね。十分な精査をして、必要であるならば、しかるべき措置をとると、こういうことだと思います。
問)診療報酬の改定のことでお伺いします。人件費に当たる本体部分を1%程度引き上げる方向で調整しているとの報道もありますが、検討状況をお伺いします。
答)診療報酬につきましては、今現在検討をしている、調整をしているところでありまして、現時点で何ら決まったものはありません。
その上で、今般の診療報酬改定に当たりましては、これまでも申し上げてきましたけれども、政府全体で賃上げを最重要課題としている中で、医療分野におけます現場従事者の処遇改善の課題に対応することが重要であるということは私も認識をいたしております。
その一方で、社会保険料等が増加すれば、診療報酬を上げるかどうかということは別にしましても、診療報酬を上げることについては社会保険料としての負担が増えるわけでありますので、それが現役世代の方々にとっての賃上げ効果を損なう、可処分所得がそれだけ減るということですね。そういうことも片方の面であるわけでありまして、国民負担を最大限抑制する必要があると考えております。
したがいまして、そこのバランスをどうとるかということが重要な論点の1つであると、このように思いまして、引き続き厚生労働省等と調整をしていきたいと思っております。
(以上)