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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和5年12月1日(金曜日))

【質疑応答】

問)自民党税制調査会で浮上している法人税率の引上げについて伺います。内部留保をため込んでいる企業には法人税を多く負担してもらい、代わりに成長投資を行う企業に減税を通じた重点支援を行うべきとの主張が自民党税制調査会から出ています。背景には足元で日本企業の内部留保が膨らんで、特に現預金が積み上がっていることがありますが、企業の内部留保と法人税率の関係について、大臣がどのようにお考えかお聞かせください。

答)法人税に関しましては、近年、賃上げや国内投資を促す観点から実効税率の引下げが行われてきましたが、コストカット経済の下で、投資や賃金まで抑制されてきた中で、結果として、大企業を中心とした高水準の企業収益を背景に、内部留保が増加しており、こうした点につきまして、与党税調の令和4年度税制改正大綱におきましては、累次の法人税改革は、意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ないと指摘をされていたと承知をしております。
 岸田内閣の下での新しい資本主義の実現のためには、企業が内部留保を過度に保有するのではなく、それを成長のために、賃上げ、人への投資、設備投資などの形で未来に向かってしっかり活用していくようになることが重要であると考えます。
 来年度税制改正についても、こうした考えを踏まえて、与党税制調査会において議論が進んでいくものと考えております。

問)防衛費の確保に向けたNTT株の売却について伺います。NTT法の在り方について検討している自民党の作業部会が本日開かれ、NTT法の廃止を求める提言案が示し直される見通しです。もともとは増額される防衛費の財源を確保するために、政府保有株の売却が可能かどうかを検討するところから議論が始まりましたが、最終的には売却益を財源に充てる案は作業部会としての結論は示さないままになりそうです。大臣におかれましては、NTT法の在り方や政府保有株の売却について、今後どのような観点で議論を進めてほしいとお考えでしょうか、お聞かせください。

答)ご指摘の提言でありますが、これまで自民党のNTT法の在り方に関するプロジェクトチームの会合において議論が行われた上で、現在、党において取りまとめに向けて議論をされているものと承知をしております。
 その上で申し上げますと、株式の政府保有義務を含めたNTT法の在り方につきましては、一義的には主務省、これは総務省でございますので、総務省において検討していただくものと考えております。
 財務省といたしましては、党及び総務省における議論、これを注視していきたいと思っております。

問)金融庁の関係ですけれども、全銀システムの障害について、昨日、全銀ネット、そしてNTTデータ社への報告徴求の期限でありましたので報告書が提出されたかと思います。今後の金融庁の対応の方針について教えてください。

答)今ご指摘がありましたとおり、昨日、全銀ネット、それからNTTデータ社から、先般の10月に起きた全銀システム障害に関しまして、金融庁が発出した報告徴求命令に基づく報告書が出され、それを受領いたしました。現在報告書の内容を精査しているところであります。昨日出されたということでございますので、実態把握や真因の分析をこれから進めてまいりたいと思います。
 そして金融庁といたしましては、関係者による適切な対応を通じて、こうした事案が繰り返されないということが一番重要なことであると考えておりますので、そうした観点から報告内容を精査して、今後については、予断を持たずに適切な対応を検討してまいりたいと思っております。

問)ライドシェアと自賠責保険の関係についてお尋ねいたします。保険はリスクを限定することで保険料率を定めています。現行制度のプロドライバーが運転する場合には自家用自動車の割高な料率が設定されています。ライドシェアの検討において、金融庁はライドシェアの自賠責保険の料率に与える影響をどう考えているでしょうか。それとライドシェアを行う運転手を区分することは現実的なんでしょうか、可能なんでしょうか。自賠責保険の観点からご回答をお願いいたします。

答)大変技術的な問題、ご指摘でありますので、事務方にお聞きをいただいた方がより正確だと思いますが、まず、今の議論がどの程度進んでいるかということから申し上げますと、デジタル行財政改革会議などにおきまして、ライドシェアを含め、地域における交通機関に関する議論が行われているところでありますが、まさに現時点では検討段階でありまして、この間の国会でも、そもそもライドシェアの定義がどんなものかというようなことが議論されるような、そういう入り口の議論がなされているということでありまして、ライドシェアの取扱いについて結論が得られているものではない、現時点においてそう思っております。
 したがいまして、ご指摘の自賠責制度への影響については、今の段階では金融庁としてコメントできるものはないと思います。もう少し議論が進展する中で考えていきたいと思います。

問)防衛財源確保のための増税について伺いたいんですけれども、自民党の税制調査会は開始時期を今年決定したいということで意欲を見せているんですけれども、与党内からも所得税の定額減税との兼ね合いなどもあり、今年決め切れるのかという疑問の声も上がっていると思います。政府として、受け止めであったり、要望であったり、何かあればお願いします。

答)防衛力強化に係る財源確保のための税制措置につきましては、その実施時期をどうするのかということも含めまして、昨年末の閣議決定の枠組み及び骨太方針2023に基づいて、与党税制調査会において議論されるものと、そういう整理がされているところです。
 今まさにご指摘のとおり税調が開かれまして、いろいろな段階の会議をしております。議論が行われている最中でございますので、私がここで何かコメントすることは控えなければいけないんだと、このように思います。しかし我々としても、そうした税調での協議、議論、そういうものもしっかりとウォッチしながら、今後とも与党と緊密に連携してまいりたいと、そのように考えております。今の段階ではそういうことだと思います。

問)トリガー条項のことなんですけれども、先日、国会内で事前に聞いてはいなかったといった大臣のお答えというか、ご発言があったと思うんですけれども、本当に発動されれば税収にも関わることになりますが、本来どういう形であるべきとお考えなのか、それから実際に3党協議が昨日行われましたけれども、今後の協議の在り方も含めてどのようにお考えか聞かせてください。

答)国会で事前に総理から何か相談があったかというご質問でありましたが、私の理解では、トリガー条項に関しては、昨年4月に与党と国民民主党で1つの議論の枠が設定されておりました。そしてこの枠組みは何か廃止をされたものではなくて、それはまだ続いていると。しばらく開店休業のようなものでありましたけれども、何かあればその場でまた協議をされるということでありますし、なおかつ総理が国会で答弁されたのは、緩和措置の出口を考えたときにトリガー条項も含めて議論することは有意義ではないかと、こういう答弁だったと理解しております。したがいまして今の段階では、何か従来の状況が変わったわけではありませんので、そもそもこれは総理から事前に相談があるとか、相談がないとか、そういうようなものではないと。従来の流れの中で来ているものと、そのように理解をしているところでございます。
 その上で、ご指摘の3党協議につきましては、22日の予算委員会の後に、総理から萩生田政調会長に対して、与党と国民民主党の政策責任者の下で検討を進めるよう指示をされたと承知しておりまして、その指示によって協議が昨日行われたということでございます。昨日の3党の政調会長による協議でありますが、今後さらに具体的な議論が行われるものと、そのように考えております。
 財務省としては、協議内容を踏まえつつ適切に対応をしていきたいと、そのように思っています。

(以上)