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赤澤財務副大臣就任記者会見の概要(令和5年11月15日(水曜日))

【冒頭発言】

こんばんは。財務副大臣を拝命いたしました、衆議院議員で鳥取2区選出の赤澤亮正と申します。冒頭、本当にまず驚いたのは記者さんの数の多さで、割とお名前を覚えたりしようというタイプなんですが、相当時間がかかるなということを思った次第です。
 自己紹介をさせていただけば、私は運輸省にちょうど20年ほど勤めまして、現在議員が19年目に入ったところなので、まだ役人時代の方がちょっと長いということになります。2005年に鳥取2区から初当選をしたということです。政府においては国土交通大臣政務官を1回、内閣府副大臣を過去3回やって、副大臣は今回4回目ということになります。国会では環境委員長とか原子力問題調査特別委員長などを務めてきております。
 あと1つ、私の職業人としての原体験に当たるものなのでご紹介しておくと、旧運輸省入省が1984年なんですが、航空局配属でした。翌年に大事件があったというのは、皆さんにはピンと来られる方はおられるかと思います。500人以上の犠牲者を出した御巣鷹山の事故が起きたとき、航空局の2年生だったのが私で、そのときは本当に15分おきぐらいにJALの本社から「まだ機体が発見できません」というFAXが入るので、コピーをして幹部に配るのが私の仕事でありました。その後、ずっとご遺族がJALと航空局に足を運ばれ、本当にやむを得ないと思いますけれども、「家族を返せ」みたいなことをすごく言われて、後に事務次官になった春田さんという当時の航空局の総括補佐官、一番偉い総務課の補佐官が、ずっと対応しておられるのを見ていたので、本当に多くの方の命が亡くなるような事故とか、そういうものはつらいことだなと思いました。そのちょうど10年後が阪神・淡路大震災で、このときも国土交通省で災害対応をそれなりに経験しました。そのちょうど10年後に議員になりましたが、自分としてはそういう経験を積んできたので、危機管理がライフワークということで、これまでにある意味一番熱心にやったものを1つ挙げれば、やっぱり防災。それ以外にもいろいろホームページとか見ていただければ書いてありますけれども、防災、危機管理、特に今、デジタル防災、防災DXみたいなことをかなり一生懸命やってきたというのが1つ特徴的なところかなというふうに思います。
 その上で鈴木大臣から、予算編成、それから財投、国債、国有財産、金融政策関係を担当するよう、ご指示をいただいておりますので、矢倉副大臣と共に鈴木大臣をしっかりお支えしてまいりたいと思っております。
 抱負という意味では、これまで、前職が自民党の政調会長代理、それから税調の幹事で、萩生田政調会長、それから宮沢洋一税調会長の下で仕事をしてきました。その立場で国民経済、あるいは国民生活に明るさと自信を取り戻したいということや、デフレからの脱却といったことは常に念頭にあります。あとは、先ほど申し上げたとおり、防災・減災・国土強靱化といったようなことも含めて、かなり力を入れてやってきたつもりです。党の立場から予算や税制の議論に参画をしてきました。先ほど申し上げたように、大臣から言われたのは、予算編成、財投、国債、国有財産、金融政策なので、これからはその分野で少しでも国が豊かになるように、国民の皆様が安全・安心と思えるようにしっかりやっていきたいと思っています。
 まず、経済対策のような話になりますけれども、物価高と、それから賃上げ、消費と投資の力強い循環みたいなものは目指しております。私の頭の中にあるのは、賃上げと少子化対策はすごくリンクしていると思うので、異次元と言うんだったら、いろいろ子ども・子育てにお金をかけるのもいいんですけれども、賃上げして所得を上げて差し上げるというのが、一番即効性があるかなと思っております。その辺も含めて、11月2日に閣議決定いたしました、デフレ完全脱却のための総合経済対策を着実に実行していきたいと思っております。補正予算について、速やかな国会提出に向けて作業を進めて、早期成立を図っていきたいと思っています。また、6年度予算についても、これは党の側で政調会長代理としていろいろ意見を申し上げたりしていましたけれども、潜在成長率の引上げや社会課題の解決といったことに重点を置いてメリハリの効いたものにして、経済の再生と更なる発展ということに尽くしていきたいと思っております。
 とりあえず自己紹介と抱負ということで、冒頭の発言とさせていただきます。
 最後にもう1つ申し上げれば、私は航空局で日米航空交渉とかやっていたんですけれども、そのときに初めて報道関係の皆様と密にお仕事をして、一生懸命やった仕事は皆様の力を借りてちゃんと世の中に説明がされて、理解を得て初めて完結すると思っております。皆様との関係は非常に大事にしているつもりなので、何かしらご質問なり、お問い合わせ等、あるいはご意見等があれば聞かせていただければ、私もしっかり聞く力を持ってやっていきたいなと思っています。よろしくお願いいたします。

【質疑応答】

問)今、抱負と鈴木大臣からのご指示等も伺わせていただきましたが、副大臣就任に当たって総理ともお話しされたと思います。鈴木大臣からもお言葉があったと思います。印象に残るご指示や激励のお言葉などあればお聞かせいただけますでしょうか。

答)まずお二人が共通して、「急なことで申し訳ない」ということを冒頭おっしゃったので、私も「そこは承知しております、全力で職責を果たしてまいりたいと思います」と言ったのが、一番印象に残ったやりとりでございました。

問)冒頭のご発言でも触れられていましたけれども、先日、補正予算案が閣議決定されましたが、その財源の多くが国債に頼るようなものになっています。今回の補正予算の規模感だったり、内容について副大臣のご評価はどのようなものなのかということをお伺いできますでしょうか。

答)これについては総理、それから鈴木大臣も思いはあるんだろうと思いますけれども、議論として割とあるのは規模が大き過ぎないかというようなことなので、それについて言えば、私共の思いとしてはコロナの緊急事態の下で、本当に国家国民が苦しんでおられるのを救わなきゃならんという思いで、かなり大胆に財政出動してきたということがあります。コロナについていえば5類になり、それなりにお客様も飲食店なんかにも戻り、いろいろなところで活気がまた生まれ、インバウンドなんかも調子が出つつある中ですから、じわじわと平時に戻していかなきゃいけないというような思いは当然あります。一方でごく最近ですけれども、マイナス成長が発表されましたね。中身を見る限り、端的に申し上げれば、マイナス成長の中で寄与度というのを見ると、対外プラスな輸出とか、あるいは政府消費以外のものはほぼマイナス寄与と。となると見方によっては総崩れみたいに見えるところもあるわけですよね。ということがあるので、全体としてはマイナス成長の半分以上、民間在庫が減ったことで説明できるので、ヘッドラインで言われているほどの深刻なものではないかもしれないと思いつつも、一方でマイナス寄与したものというのがかなり軒並みなので、私自身としては、GDPギャップがまたマイナスになる可能性もないともいえないですし、そういうことを考えると、規模が大きめだねという議論はあったんですけれども、少しそういう議論にもちょっと変化が見られるような、見られてもおかしくないような状況ではないかなと感じております。

問)副大臣は党でも政調会長代理などを経験されて政策全般にお強いかと思いますけれども、先程、ホームページの方を拝見しまして…。

答)あんまり更新していなくて申し訳ないですが。

問)防災であるとかリスキリング、新しい問題などにも非常に強い関心…。

答)党の幹事長として議連も小委員会もやりました。

問)ということで政策についていろいろ関心の高いといいますか、訴えたい内容が多々あるかと思いますけれども、来週あたりから経済対策を盛り込んだ補正予算、国会での審議が始まる頃かなと思いますけれども、副大臣個人としてはどの辺の政策を強調していきたいとお考えでしょうか。

答)やっぱり国民目線ということで言うと、物価上昇で苦しんでおられる点はどうしても力を入れなきゃいけないなということを思います。ただ一方で、物価上昇に対して手を打つというのは、もちろん短期では、政治ってそういうものなので、いろいろ言う人はいます。ここで手を打たない方がエネルギーについて少しでも化石燃料への依存を減らすチャンスだとか言う人はいるけれども、痛みはちゃんと緩和した上で、だけど中長期的に見れば化石燃料への依存を減らしていくようなところのドライブ、目になるようなものもしっかり手当てしていかなきゃいけないので、バランスのいい予算になっていると思っていまして、物価高についてもそうでありますし、それからいろいろな成長力とかGX、DXといったようなものにも手を打っていますし、人手不足とか、そういうものにも手を打っていますし、当然一丁目一番地の賃上げ、それから安全・安心、バランスのいいものになっているなというふうには思っています。
 大事なのは、とにかく国民が苦しんでおられることはきちっとお支えをすると。生活についても仕事についてもですね。その上で中長期的な国の発展になるようなこと、さっきの化石燃料への依存を下げるとか、そういうことをしっかりやっていかなきゃいけないということで、何か一つやればいいというものでもありませんので、バランスいいものになっているんじゃないかというふうに思っています。

問)2点お伺いしたいと思います。1点目が今回就任された経緯として神田前副大臣の税金滞納問題があったわけですけれども、そういったことがあっての打診を受けた際の率直なお気持ち、どういったお気持ちだったのか伺いたいというのが1点と、あと党の方では萩生田政調会長をトップとするところで防衛増税について検討をされていると思うんですけれども、財源をめぐり検討されていると思うんですけれども、今回党から財務省の方にお立場が変わられて、ご自身としては防衛増税について時期の先延ばしですとか、どういうお考えをお持ちなのか伺えますでしょうか。

答)まず1番目に、受けたときの気持ちは、やっぱりびっくりしたというのが正直なところです。税調の幹事、大事な仕事だと思っていますし、今週からご案内のとおり税調が始まります。なので、最終的にお話をいただいた日は、自分の会館の部屋で主税局の人たちと税についての情報、意見交換を一生懸命やっていた状態だったんですね。結局、それを一生懸命頑張ろうと思っていたらこういうお話だったので、本当に仕事の中身はまるっきり変わってしまうというか、財務副大臣になったら税調の幹事にはなれませんので、そういう意味では本当にびっくりしたということです。お話をいただいたときはまずそういうことでありました。ただ、急だけど申し訳ないねというお話なので、私も党の所属議員でありますから、しっかりお応えしようということが思ったことであります。
 それから防衛増税について言えば、いろいろな議論はあり得ると思います。ただ、政治の一番大事なものとして、安全・安心の確保の中の最たるものが国家を守ると。それは財務省で言えば国家の信用というようなことなんでしょうけれども、もっと生の世界で領土とか、領土・領空・領域、あるいは主権、国民、守るという意味では本当に重要なことなので、これについて極力安定した財源が欲しいということは私としてはよく理解をしますし、国民にも、それは国にとって一丁目一番地のものなんだとご理解いただく、財源の手当をしていく中で、議論の中で国民に理解をいただくというのも一方で大事なことですし、また一方で本当に外敵の侵入を許さないとかということであれば、いざ本当に緊急に必要なときは金を借りてでも手当てをするということもない世界ではないので、そういう意味で私からすると、バランスよく党の中でも議論をし、国会でも議論をして、与野党の理解を得ながら、最終的には国民の皆様がよし分かったと、納得したと言っていただけるようなものに仕上げていくというプロセスが非常に大事かなと思っています。

問)前副大臣からの交代で急なことであったという話があったと思うんですけれども、前副大臣からの引き継ぎや何か言葉などはあったんでしょうか。

答)これは本会議のときのほとんど立ち話ですけれども、たまたま近くにおられたことがあって、神田先生から「迷惑かけて申し訳ない」ということを一言だけおっしゃいました。まだそれ以外に時間をとれていませんので、そういう意味では、本当に彼の気持ちも受け止めて、しっかり、引き受けた以上、職責を全力で果たさなきゃいかんなというふうに思っています。

問)経済対策の柱の1つである所得税と住民税の定額減税についてお伺いします。岸田政権の支持率が高まらない理由の1つとして、柱とされる定額減税の評価がいまいちという話です。給付金は年内に早ければ、法律次第ですが支給されるという一方で、減税は来年6月、かなり遅いタイミングで効果も限定的ではというような課題もありまして、また税収増の還元という、還元の税収自体が既に利用されていて元手となるものがないというような課題もいろいろ指摘されております。改めて副大臣としての定額減税の評価をお伺いしたいのと、今後の、来年度になるかもしれませんが国会審議などでどのような姿勢で説明、理解を求めていきたいのかをお伺いしたいと思います。

答)どこの社だったか、ちょっと思い出せないのですけれども、アンケートで所得税減税を評価しないがたしか60%を超えていて、その理由を聞いているアンケートで、人気取りだからというのが20%だったですかね、それより実は多かったのが後に増税が控えているから40%、これはどこの社だったですかね、うちだという方いますか。それはいいですけど。私自身はそういうご批判があることはもう承知をいたしています。
 これだけの予算をかけて減税と給付をやっていくので、当然ながら我々の意図をしっかり理解していただかないと、我々としてもとっても残念なことですし、最大限理解をいただけるように説明をしていかなければならないと思っています。
 テクニカルな面で言えば、確かに鈴木大臣も税調会長もおっしゃったように、還元という言葉に見合うような何かが取ってあるわけではないという趣旨のようなことを言ったんですけれども、国民の皆様が日々本当に頑張って働かれて税収増がある中で、その税収全体の中で所得税、住民税に見合うものぐらいを、今つらい物価上昇に賃金が追いついていない中で苦しんでおられる方たちに還元策というか、そういう気持ちで渡したいということは、説明を尽くせば、分かっていただける方には分かっていただけるのかなという思いを私は持っておりますので、そういう意味でしっかり伝えていかなければなりませんし、時期の問題にもお触れになったんですけれども、減税は来年のボーナスの時期ということを総理は言われていますが、それよりももっとつらい方たちには早めに年内にもという感じでやっていこうということなので、よりつらい思いをしている方たちからまず手をしっかり打っていって、最終的には来年のボーナス時期に税収増について、それがあったからこういう還元策が講じられているんだなと分かっていただければ大変ありがたいかなというふうに私は思っております。

問)現在、国内外で金融環境の変化というのが非常に大きくなってきていると思います。物価があがったり、円安が進行したり、あるいは日銀が低く抑えられていた長期金利を修正するような動きも見られる中で、金融のご担当ということで金融政策において、この節目で特に力を入れていきたいところなどがあれば、お考えをお聞かせください。

答)まず金融政策について、一番気をつけて発言をしなきゃいけない分野だなということは思っています。具体的な手法については、政府と日銀が連携していろいろやっていくということで、日銀に委ねられるべきところで、ご案内のとおり大筋は共同声明でしっかりすり合わせて共通の認識を持った上でやっていくということです。
 私自身も、政府がいつも出している2%の物価安定目標、持続的・安定的な実現、それも賃金上昇を伴う形でということをやっぱり目指さなきゃならないと思っています。その上でそこに至っておりませんということなので、イールドカーブ・コントロールの柔軟な運用の下で粘り強くやっていくという、日銀がそういう方針、そういう説明をされているということについてはよく理解をしているつもりでありまして、今後とも密接に連携しながら経済、物価、金融情勢、どれも生き物ですので、先程申し上げたように、賃金上昇を伴う形での物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切に金融政策運営を行っていただくということを我々としては期待をしていると。
 私自身は、内閣府の副大臣のときにも実は日銀の金融政策決定会合に出ていまして、2年か3年たって金融政策決定会合の座る席が1個ずれて総裁の方に寄って、今度は財務副大臣として座る、両方の席に座ったことがある人はあまり多くないんじゃないかと思うんですけれども。ということですので、その経験も生かして密接に連携を図っていきたいと思っています。

(以上)