【質疑応答】
問)為替について伺います。円安が進行して33年ぶりの水準に接近しています。足元の動きは急激で投機的な動きと見られるのか、また国民生活への影響についてもご所見をお願いいたします。
答)たびたび申し上げておりますが、為替相場は、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であって、過度な変動は望ましくないというのが基本的な考えです。
為替相場の動向について具体的に私の見解を申し上げること、これは市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることからコメントは控えさせていただいてまいりましたが、政府といたしましては、引き続き、万全の対応を行ってまいりたいと考えております。
そして国民生活への影響ということでありますけれども、一般論として申し上げますと、輸出や海外展開をしている企業の収益は改善をする一方で、輸入価格の上昇を通じまして企業や消費者にとっては負担増となるなど、プラス面・マイナス面双方に様々な影響があると認識をいたしております。
政府といたしましては、今般の経済対策や補正予算におきまして、円安によるマイナス面の影響を緩和しつつ、プラス面の効果を最大化することが重要であると思いまして、まずマイナス面の物価高に対しましては、低所得世帯への給付のほか、燃料油、電気・ガス料金の激変緩和措置の来年までの延長などを講じつつ、プラス面に対応するということで、円安を活かした地域の稼ぐ力の回復・強化として、インバウンドの地方への誘客や、事業者の輸出支援を実施していくこととしておりまして、これらの施策を着実に実施してまいりたいと考えております。
問)ビッグモーター社について伺います。今後金融庁としての対応についてスケジュールを含めて教えてください。
答)ビッグモーター社に対しましては、保険業法に基づきまして、11月30日木曜日ですが、この日をもって損害保険代理店の登録を取り消す方針を固めまして、本日14日、関東財務局から同社にこの方針を伝達するとともに、行政手続法に基づきまして、来週21日火曜日に同社による意見陳述のための聴聞を行う通知を行いました。
ビッグモーター社に対しては、今月10日金曜日まで立入検査を実施してまいりました。金融庁といたしましては、当該立入検査を通じて、保険業法上の損害保険代理店としてのビッグモーター社において、ガバナンス上の不備や顧客保護に欠ける悪質な行為が広がっている実態などがあったかどうかを重点的に検証してまいりました。その結果、同社においては会社法上求められる経営管理態勢が構築されておらず、適正な保険募集を確保するための体制整備も行われていないことが確認をされたほか、今後、保険会社との代理店委託契約が全て解約となる予定でありまして、保険会社からの再建に向けた支援も期待できないものと判断をいたしました。こうした状況に鑑みまして、金融庁として、ビッグモーター社の損害保険代理店登録を取り消す方針を固めたものであります。
問)自動車安全特別会計の繰戻しに関連してお尋ねします。1つは交通被害者の要望対応についてです。救済事業を担う国交省は大臣が要望に応じておりますが、財務省は副大臣がようやく面会に応じるようになったところです。大臣、今年要望に応じるおつもりはあるでしょうか。もう1つは厳しい財政事情が繰戻額に影響すると過去に大臣はお話しされております。財政事情が厳しくない状態とはどういう状態を想定されていますか。経済的な未来予測を聞いているのではなくて、そもそも財政事情が厳しくない状態というのは想定できるのでしょうか。
答)私も過去、自動車事故の被害者の皆さんの会、その方々と2回の機会だったと思いますが、お目にかかりましてお話を伺ったところでございます。そういうような機会を持つことによって、この問題の重要性というものを改めて認識をさせていただいたところでございます。副大臣が代わられたわけでありますが、今後副大臣が関係の皆様方にお会いするかどうかというのは今の時点ではまだ確定していないんだと、そのように思います。私についても、今年の年末については、まだそういう予定は立っていないところであります。
それから財政事情と自動車安全特会への繰戻しに関わる問題ということでありますけれども、まず現状はもうご承知のとおりであります。我が国の財政事情、これは毎年多額の公債を発行しておりまして、また公的債務がGDPの2倍を超える水準まで積み上がっているということで、誠に残念なことでありますけれども、諸外国と比べても極めて厳しい状況にあります。さらに近年、新型コロナや物価高騰等に対して、これまでにない規模の補正予算により対応してきたことから、より一層厳しさを増しているという事実、これは変わりのないものと認識をいたしております。
こうした厳しい状況を、今後厳しくなるのはどうしたらいいのかというお尋ねでございましたが、政府といたしましては、まず足元から一歩一歩進めていかなければいけないと考えます。これまでも骨太方針にあるとおり、2025年度のプライマリーバランス黒字化や債務残高対GDP比の安定的な引下げを目標として、まずこれらの目標を実現すること、これが財政健全化に向けて必要だと考えております。
こうした目標の実現を前提としても、しかし我が国の財政事情についてはその時々の経済情勢などを踏まえ、財政の持続可能性への信認が確保できるか、様々な要素や指標を見つつ評価する必要があるんだと、そのように考えております。道は遠いかもしれませんけれども、財政健全化に向けまして、引き続き努力を重ねてまいりたいと、そのように思っているところでございます。
いずれにしましても自動車安全特会への繰戻しについて、自動車事故の被害者保護等は重要な課題であるということを認識しておりますので、被害者保護等に係る事業が安定的・継続的に実施されるよう、大臣間合意に基づきまして、着実に進めていきたいと考えているところであります。
(以上)