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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣持ち回り閣議後記者会見の概要(令和5年11月10日(金曜日))

【冒頭発言】

先程、持ち回り閣議で令和5年度補正予算の概算を決定いたしましたので、その概要を申し上げます。
 今回の補正予算は、先日閣議決定されたデフレ完全脱却のための総合経済対策等を実行するためのものです。そのため、一般会計に経済対策関係経費として、約13.1兆円を計上しております。その他、所要の補正を行っております。
 今後、速やかに国会提出に向けた作業を進めてまいります。

【質疑応答】

問)今触れられた補正予算の件ですが、先週もお伺いしましたが、政府は新型コロナ対応で膨らんだ歳出構造を平時に戻す方針を示し、2025年にプライマリーバランスを黒字化する目標を堅持しています。補正予算では国債発行額が約8.9兆円、予算全体の7割を占める規模となりました。先程の政権の方針に照らして今回の補正の額が妥当と考えますでしょうか。また今後、歳出構造を平時に戻すための道筋を現在どう描かれているのでしょうか。大臣のご所見をお聞かせ願います。

答)令和5年度補正予算は、経済あっての財政という、財政健全化に取り組むに当たっては、力強い経済成長が必要であるとの岸田内閣の方針の下、急激な物価高から国民生活を守り、構造的賃上げと投資拡大の流れを強化するために必要な政策を積み上げたものであります。
 具体的には、一般会計の経済対策関係経費として13.1兆円を追加計上したところですが、ご指摘のとおり歳出構造を平時に戻すとの観点から、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための予算につきましては、日本経済がコロナ禍の3年間を乗り越え改善しつつあることを踏まえ、真に必要な規模に抑制し、また従来の新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費4兆円でございますが、これを賃上げ促進の環境整備にも活用できるよう、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費、これを2兆円に、要するに2兆円少なくするということでありますが、見直すなどメリハリのある予算編成を行ったところです。
 これらの取組によりまして、国債発行による公債金収入を令和4年度の二次補正予算の22.9兆円から8.9兆円まで抑制するなど、平時の歳出構造に向けた1つの道筋を示すことができたものと考えております。
 ただし、日本の財政状況は過去を振り返っても諸外国を見渡しても、最悪の水準にあることには変わりはなく、年末までの令和6年度予算編成においては、引き続き、役割を終えた緊急時の財政支出を平時の水準に戻していくことに加え、潜在成長率の引上げや社会課題の解決に重点を置いたメリハリの効いた予算編成を行うとともに、重要政策課題についての安定財源を確保するなど、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成に向けまして、政府一丸となって、歳出・歳入両面の改革に取り組んでまいりたいと考えております。

問)税制改正関係の質問です。先日、自民党の宮沢税調会長が報道各社のインタビューで、法人税率の引上げについて、今後の税制改正の中で検討の要素には当然になってくるとの発言をされました。これまでの法人税率引下げについては、経済的な効果が限定的だったとの指摘も一部でありますが、今回の宮沢会長の発言について大臣の受け止めを教えていただけますでしょうか。

答)我が国の法人税に関しましては、近年、賃上げや国内投資を促す観点から実効税率の引下げが行われてまいりましたが、必ずしも実質賃金の引上げや前向きな投資につながらず、累次の法人税改革は、意図した効果を上げてこなかったと言わざるを得ないとの考え方が、令和4年度税制改正大綱に示されているところでございます。
 一方で今回の経済対策では、賃上げ促進税制の強化や戦略分野の国内投資への減税など、ターゲットを絞った減税施策が盛り込まれておりますが、宮沢税調会長の発言はこうした施策の実効性をより強化する観点から、法人税自体の水準を引上げることで減税措置とのメリハリを強化するという考えを述べられたものと私は受け止めています。
 いずれにいたしましても、税制改正の具体的な内容につきましては、年末の与党・税制調査会の場で議論が行われるものと、そのように承知をしております。

問)今回の補正の内容についてお伺いします。財政法では緊要となった経費の支出というような限定をしておりますが、今回の補正の中身には宇宙など必要性はあると思いますが、緊要かどうかというところで判断が分かれるものもあるかと思いますが、その中身などについて改めてご意義のご説明をお願いします。

答)今回の補正に盛り込まれた事業、たくさんございますが、その事業の詳細については事務方や所管省庁に参照していただけるといいと思いますが、よく指摘をされますのは、例えば基金の問題だと思っております。この基金のことについて申し上げるならば、今回の補正予算における基金への予算措置といたしましては、4基金を新たに設置して既存の27基金に対して資金を積み増すこととしておりまして、合計4兆円程度を計上しております。これらの基金事業への予算措置に当たっては、各年度の所要額があらかじめ見込みがたいなどの法令上の要件を満たすことを確認した上で、それぞれの事業の性質を踏まえつつ、真に必要なものに限って計上しているものと考えております。
 一方で基金の執行管理については、適切に執行されているのか、多額の使い残しがあるのではないかといった様々なご批判があることも踏まえまして、今般、予算措置する基金につきましても、その政策効果が最大限に発揮されるよう、各省庁が具体的な成果目標に沿ってPDCAの取組を行い、適正な執行管理が行われることが重要であると思います。
 先月10月11日に総理からもコロナ以降に拡大した基金を不断に見直すよう指示があったところでありまして、引き続き、行革大臣等と連携をしながらしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

問)今回、補正予算の中に剰余金が含まれていると思うのですが、ルールに基づき国債償還ですとか、それと防衛費に回ることが決まっていると思います。例年ですと一般の経済対策に使えたものが防衛費に回っていることで、国債を発行して直接防衛費に充てるわけではないと思うんですが、間接的に国債の発行額が増えているという指摘もあろうかと思うんですけれども、この点大臣いかがお考えでしょうか。

答)剰余金と防衛関係費の関係でありますが、これは既に基本的な部分が決まっているものでありまして、今回の剰余金についてはそうした取扱いをしてまいりたいと思っております。
 具体的に申し上げますと、直近10年間の平均が剰余金として1.4兆円程度あることを踏まえまして、財政法上、公債または借入金の償還財源に充てるべき2分の1を除きます残りの2分の1の0.7兆円程度、これを毎年度の防衛財源へ活用額として見込んだ上で、決算剰余金が想定よりも増加した場合にはこれも活用することを見込んでいるところです。
 こうした枠組みを踏まえまして、今回の補正予算におきましては、令和4年度の決算剰余金2.6兆円のうち公債等の償還財源に充てるべき2分の1を除く1.3兆円について、防衛力強化のための財源に活用することとしております。これは最近10年平均を基に見込んでいた0.7兆円程度に比べて、0.6兆円程度上振れすることになりますが、この上振れ分については防衛力整備計画の進捗状況を踏まえつつ、この0.6兆円のうち0.3兆円を装備品の購入等に活用する、残りの0.3兆円については将来あり得る決算剰余金の下振れに備えまして、防衛力強化資金に繰り入れて、今後の防衛力整備の強化の財源として活用していくこととしております。こうした決算剰余金の使い方とこの防衛財源との関係というのはルールがございますので、それに従ってまいります。
 防衛力の抜本強化ということがない場合は、剰余金が出た場合の2分の1は、これは一般財源として使われている、いろいろな面で使われたわけでありますが、結局これは防衛費に使うということでございます。ですからある意味、防衛費を使うときも公債の発行というものがあったわけでございます。一般財源として使うか防衛費として使うかということで、いろいろ要素があるのかもしれませんが、ご指摘の点もあるのかもしれませんが、今回の処理はそのようにさせていただきたいと思っております。

問)副大臣のことでお伺いさせてください。改めてになりますが、税金の滞納等ご本人も認めている部分がありまして、税を扱う省庁の副大臣としてこうした行いがあることを大臣がどのようにお考えかということが1つ目です。
 それから2つ目、ご本人からきちんと説明をという声が様々上がっていますけれども、どのような場でどのように説明することが重要だと大臣はお考えでしょうか。

答)神田副大臣の問題につきまして、昨日も参議院の財政金融委員会での質問がありまして、私もその場にいたわけでございます。そのときにも申し上げたわけでありますけれども、私としては、政治家としてその活動について疑念を持たれた場合、自らの責任において必要に応じて適切に説明を行うことが重要だと、そのように考えております。特に国民の皆さんから税を納めていただく財務省の副大臣として、自覚を持って説明を尽くしていただきたいと思います。
 どのような場での説明がふさわしいかということでありますが、今日も内閣委員会に呼ばれて、委員会での質問に対して答弁をしておりました。いろいろな機会があると思いますが、あらゆる機会をとらまえて、今精査をしているところでもあるという神田副大臣のお話にもありましたが、そうした精査をした上で、明らかになったことも含めてしっかりと説明をしていくということが大切であると考えています。

問)補正予算の財源の国債発行に関してですけれども、日銀の政策修正もあり、長期金利の水準というのが高い水準になっております。そうすると国債の利払費というのも膨らみます。今後の財政を圧迫する懸念もあると思いますが、この懸念を踏まえて大臣の考えを伺わせていただきたい。特に1,000兆円を超す国債残高というところの懸念も踏まえてお考えをお願いできますでしょうか。

答)10年国債の入札において、最高落札利回りが0.915%、約11年半ぶりの水準に達しました。国債の利回りが上昇傾向にあるということ、これは認識をいたしております。我が国の公債債務残高がGDPの2倍以上に累積するなど厳しい状況にある中、国債金利が上昇し利払費が増加すれば財政状況が一層悪化し、財政運営に影響を及ぼし政策的経費が圧迫される恐れがある、そういうことを認識しているところでございます。
 したがいまして、そういう認識の下、今後ともプライマリーバランスを2025年度に黒字化するということ、そして債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくとの方針の下で、メリハリのある予算編成や重要政策課題についての安定財源の確保を通じて、引き続き責任ある経済財政運営に努めていくことが重要であると考えているところであります。

問)金融庁関連で伺います。今国会での金融庁提出法案として、金商法改正と社債振替法案の改正案というのが継続審議としてかかっております。一方で神田財務副大臣の件もあり、今後参院の財政金融委員会での審議について議事の進行上支障が出ないかという懸念があるかと思うんですけれども、この件について、金商法改正は仮に改正案が通らなければ、民間への影響というのも大きいと思います。この件について大臣のお考えをお願いします。

答)行政府と国会との立法府との関係にもわたるところでありますけれども、金融庁の立場から言えば、先の通常国会で衆議院では承認をいただきましたけれども、参議院で継続審議になっているということを考えますと、中身においても今ご指摘いただいた点もありますし、もう1つはやはりこれから資産運用立国を実現するに当たって、その1つの肝であります金融経済教育を充実させるというような観点、機構をつくろうということも、その法案には含まれておりますので、でき得る限り早期にご審議をいただいて可決をしていただくというのが行政府たる我々の立場でございます。
 一方、この委員会のこの運営等につきましては、これは立法府の方でお考えになるということでございますので、我々の希望はそういう希望ですが、それはきちんと委員会において決めていただきたいと、このように思っています。

問)行政府である神田副大臣の件が、国会の議事進行に影響を及ぼさないかという、この点についてはどのようにお考えですか。

答)先程も申し上げましたけれども、影響を及ぼさないように説明を十分にしていただきたいと、そのように思います。

問)ビッグモーターによる保険金不正請求問題の関連で伺います。金融庁が同社に対して代理店登録取消しの検討に入ったとの報道がありました。現在の検討状況について教えてください。

答)ビッグモーター社への立入検査につきましては、本日終了をいたしまして事務方よりその旨の報告を受けました。
 同社に対する検査では、当社における保険募集等について、基本的な取組に問題がある状態が長期にわたって放置されていた原因などを突き止めるべく検証を進めてまいりました。その検証において確認された事実関係の内容や評価については、今後の行政対応に密接に関係するとともに、現在、いつどのような対応を取るのか、具体的に検討を進めているところでありまして、今の時点で詳細なコメントをすることはできないわけでございます。
 保険代理店としてのビッグモーター社において、ガバナンス上の不備や顧客保護に欠ける悪質な行為が広がっている実態などがあったかどうか、重点的に確認を行ってきたところであります。今後の行政対応やその時期について、予断を持って申し上げることはできませんけれども、保険契約者保護等の観点から法令に基づき厳正に対処するという、そうした方針の下、速やかに対応を決定していきたいと考えています。

問)副大臣の件で伺いたいと思います。今回の税金の滞納問題について、野党からは副大臣職の辞任を求める声がありますけれども、それについて大臣どのようにお考えでしょうか。
 あと、先程の質問と重なりますけれども、議事進行の問題も含めて、こうした野党から辞任を求める声に対して、副大臣はどう対応すべきだというふうにお考えでしょうか。

答)今日の時点においては、繰り返しになるわけでありますが、私としては、国民の皆さんから税を納めていただく財務省の副大臣として、まずはそのことを自覚を持って説明を尽くしていただきたいと、そのように思っております。
 そして法案審議の取扱いを含めた国会日程につきましては、先程申し上げましたけれども、立法府においてご判断いただくものであります。財務省・金融庁としては、なるべく早期の審議入りというものを希望しているところでございます。

問)金融庁関連でビッグモーターの件で先程ご発言がありましたが、同時に損保ジャパンにも立入検査に入っておりまして、さらに今週SOMPOホールディングスの方にも立入検査に入りました。こちらの方の検査は終わっておらず、ビッグモーターだけ検査を終了したのかということと、あと行政処分の発出、こちらについてはまだ何も決まっていないということでよろしいんでしょうか、ビッグモーターに対してですね。

答)まず、後段の方ですけど、ビッグモーターにつきましては、本日立入検査が終わりましたので、そこで収集した様々な事柄、これに十分な検討を加えまして、そしてしかるべき時期に、なるべく早く行政上の措置を取りたいと、法令に則った措置を取りたいと思います。
 それから損保ジャパン、それからホールディングスにつきましては、今まさに検査を行って継続しているという段階でございます。

問)先程のビッグモーターへの行政上の措置、法令上の措置というところ、これは何らかの行政処分を出すという方針自体は固まっているということでしょうか。

答)先程ご質問で、保険代理店としてのビッグモーターを取り消す検討に入ったのかという報道がありましたけれども、そのときにお答えしたとおり、保険契約者保護等の観点から、法令に基づいて厳正に対処するという方針の下、速やかに対応したいと思っておりますが、具体的にまだそこは決まっていないと、これから決めるということであります。

問)補正予算の話に戻るんですけれども、補正予算の規模ですが、ここ数年大きく拡大する中、他の省庁では、当初予算よりも最初から補正を狙った方が予算が取りやすいというような声も聞きます。歴史的な物価高騰の中にあるとはいえ、この13兆円という規模は、本当に大臣がおっしゃるような真に必要なものだけなのか疑問に感じます。補正予算の意味合いというものを大臣はどのようにお考えなのか、改めてお聞かせください。

答)補正予算の方が予算が取りやすいかどうかというのは、それはそれぞれのお考えで、各省庁の思惑は分かりません。どういう思惑を持って、何か膨らませた要求を持ってきたとしても、そこは厳正に査定をして、真に必要なものを積み上げて、この数字になったというふうに思っております。

問)経済対策に盛り込まれた所得税の減税のところについて、改めてお伺いします。過去の税収の増加を国民に還元するとされて、対策に盛り込まれたわけですが、その税収の増加分というのは、既に政策的経費などに充てられているというご発言もあります。この3兆円台半ばという規模について、改めてどう賄っていくお考えでしょうか。改めてお聞かせください。

答)先般の衆議院の財務金融委員会でお答えしたとおりであるわけでありますが、いろいろな条件が変わらなければ、減税をすれば、その分国債の発行は必要となると、そのように考えております。
 ただし、今回の定額減税を含めまして、令和6年度予算については、歳出・歳入両面の観点から、特に歳出改革ついてはどのように徹底して取り組んでいくか、年末に向けた予算編成過程で検討していくことになります。したがって、仮に国債を発行することになったとしても、その規模については具体的な姿をまだお示しすることは困難であると思っております。
 いずれにしても、来年度予算については歳出・歳入両面からの改革、特に歳出改革については徹底して行っていきたいと思っております。

(以上)