【質疑応答】
問)1点目が、来週にも柱立てが示される予定の経済対策についてです。与党内からは15兆円、20兆円といった規模の対策を求める声も上がり始めていますが、財務大臣としての受け止めをお伺いしたいということが1点。
もう1点が為替の状況についてです。再び大きく円安が進むなど動きの激しい状況が続いていますが、足元の水準や円安進行の速度について、過度な動き、投機的な動きと捉えているのか、大臣の現状認識をお伺いしたいと思います。また先日、アメリカのイエレン財務長官が日本の為替介入について、条件次第では容認できるという趣旨の発言があったとも伝えられています。日米間で綿密なコミュニケーションがとられているという印象を受けますが、一方で為替介入の効果についてはあくまで時間稼ぎにすぎないという懐疑的な声も少なくないかと思います。改めて、為替介入の効果や意義について教えていただければと思います。
答)まず、経済対策についてでありますけれども、昨日、総理から発言があったとおり、来週前半にも、改めて具体的な柱立ての指示が総理からあるものと認識をしております。
その上で、経済対策の取りまとめに向けましては、規模ありきではなくて、物価高から国民生活を守り、賃上げと投資拡大の流れを強化するために、真に必要で効果的な政策を積み上げていくということが必要であり、併せて、コロナ禍から脱していく中で、緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させず、歳出構造を平時に戻していく観点からも取り組んでいくことが重要であると、そのように考えます。
今後、来月中を目途に取りまとめられることを目指しまして、与党とも連携をしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
それから為替についてでありますが、足元の為替水準や動きをどう見るかというご質問でありますが、足元の水準でありますとか、それから円安進行の速度などの動きに関する質問につきましては、具体的な見解を申し上げること、これは為替相場に不測の影響を及ぼすおそれがありますのでコメントはいたしません。
また、為替介入の意義や効果ということでありますが、これは一般論として申し上げますと、為替介入には、為替相場の過度な変動に対し、その安定を図るという意義があると、そのように承知をしております。例えば、昨年実施いたしました為替介入は、こうした意義に照らして一定の効果があったものと考えております。
最後に、イエレン長官の発言については、具体的なコメントは控えますけれども、米国等の海外の通貨当局とは緊密に意思疎通を図っております。為替相場の過度な変動は好ましくないと、そういう認識を共有してきているところであります。
政府といたしましては、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視をいたしまして、過度な変動に対しては、あらゆる選択肢を排除せずに、適切な対応をとっていきたいと、そのように考えております。
問)1点目は先ほどの質問と関連しているんですけれども、世耕幹事長の経済対策についての発言に関して、今も歳出構造を平時に戻すことが必要というご発言がありましたけれども、15から20兆の規模というのはコロナ前の規模感とはほど遠いものだと思うんですけれども、この規模について大臣のご所感をお願いします。
もう1点目が、話が変わって、実質無利子・無担保融資のゼロゼロ融資についてなんですけれども、東京商工リサーチによると17か月連続で倒産件数が増加しています。コロナ禍で借りたゼロゼロ融資の返済が本格化する中で、中にはゼロゼロ融資の影響での倒産との見方もあるということなんですが、政府としてどのような支援が適切と考えているか、大臣としてのご見解をお願いします。
答)まず、補正予算を組んだ場合の規模でありますけれども、先程もお答えをしたわけでございますが、今後、総理の指示を待ちたいと思います。
その指示に基づきまして、与党とも連携をしつつ、真に必要で効果的な政策を積み上げていくと。その結果、規模も決まってくると、そういうことだと思っておりますので、そうした政策を積み上げていく中で検討するものであって、現時点で、その水準について、予断を持ってお答えできる段階ではないということはご理解をいただきたいと、そのように思います。
それから、ゼロゼロ融資についてでありますが、足元におきまして、官民金融機関が提供してきたゼロゼロ融資の返済、これが本格化し、また、新型コロナを受けました各種支援策が期限を迎える中で、物価高騰や人手不足の影響等によりまして、依然として厳しい状況に置かれている事業者が数多く存在をしております。そのことは強く認識をしているところです。
政府といたしましては、そうした状況の下、経済環境の変化を踏まえた資金繰り支援や挑戦意欲がある中小企業の経営改善・再生支援の強化、これを図ることが大切であると考えます。
こうした観点から、先般、8月30日になりますが、財務省・金融庁・経済産業省の連名で、挑戦する中小企業応援パッケージというものを策定・公表したところでありまして、官民金融機関に対して、このパッケージを踏まえた更なる事業者支援の徹底をお願いし、促しているところです。
問)長期金利が10年ぶりの高い水準になっております。これは国債の利払いにも中長期的には影響してくる面があると思うんですけれども、現状の水準への受け止めや今後のそういう影響についてはどのように見ているのか、お伺いいたします。
答)長期金利でありますが、これは経済・財政の状況、それから海外市場の動向など、様々な要因を背景に市場において決まるものでありますから、今、その動向について私からコメントすることは控えます。
ただ、仮に長期金利が上昇いたしますと、利払い費が増加をする、財政がそれによって悪化をして政策的経費の圧迫が生じるおそれがあるわけでございますが、しかし、その場合であっても、メリハリある予算編成を通じまして財政健全化をしっかりと進めるとともに、経済成長や国民生活に真に必要な予算については適切に確保していかなければならないと考えております。それが今の状況に対する見解であります。
(以上)