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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和5年8月29日(火曜日))

【冒頭発言】

金融庁関係で冒頭に発言をさせていただきます。
 金融行政における1年間の方針や重点課題を示した金融行政方針につきまして、私から紹介をさせていただきたいと思います。
 これは毎年行っているものでありますけれども、本日午後、2023事務年度の金融行政方針を公表する予定であります。今回の主なポイントは、大きく4つ挙げられます。
 一つ目に、事業者支援に関しまして、重点的なヒアリングを通じて課題を把握し、事業者の実情に応じた経営改善支援や事業再生支援などの徹底を金融機関に促してまいります。
 二つ目でありますが、今年の骨太の方針等でも盛り込まれた資産運用立国の実現に向けて具体的な政策プランを年内に策定するとともに、昨年末に策定された資産所得倍増プランを着実に推進してまいります。
 三つ目に、国内外の情勢を注視しつつ、金融機関による健全性の維持、法令等の遵守の徹底に向けて、深度あるモニタリングを実施してまいります。
 四つ目に、先の通常国会で継続審議となった関連法案につきましては、できる限り速やかな国会でのご審議をお願いしたいと考えておりますが、成立させていただいた場合に、速やかな施行が行えるよう、金融経済教育推進機構の設立・本格稼働、また四半期開示の見直しなどについて前広に準備を進めてまいります。
 金融庁としては、今後の経済環境の変化などにも柔軟に対応しながら、これらの重点課題にしっかりと取り組んでまいります。
 なお、詳細につきましては、本日午後に事務方から説明をいたします。

【質疑応答】

問)自民党の茂木幹事長が26日に党本部で、本格的な経済対策を秋にはまとめて補正予算を実行していきたいと発言されました。財務省として補正予算の編成を検討されているかどうかと、されている場合は時期と規模についての考え方をお伺いできますでしょうか。

答)まず先日、8月22日でありましたけれども、総理から与党に対しまして、ガソリン価格の推移が国民生活や経済全体に与える影響を踏まえまして、ガソリンを始めとする燃料油価格対策について緊急に検討を行い、月内に一定の方向性を提示するよう指示があり、現在、与党において検討が進められていると承知をしております。
 財務省といたしましては、総理からの指示に基づき、与党において検討された方向性を踏まえて、具体的な事業内容等を検討していきたいと考えております。今後、与党や事業を所管する経済産業省と連携をしつつ、必要な対応について検討を進めてまいります。
 そしてお尋ねの経済対策でありますが、経済対策につきましては、この燃料油価格対策の具体的な内容でありますとか、物価の状況等もしっかり見極めつつ、政府として、9月以降、その在り方を含め検討を進めていくものと考えております。現時点ではご指摘の補正予算の必要性でありますとか、その内容について、予断を持ってお答えをする段階ではないと、そのように思っております。

問)2024年度予算の概算要求に関して2点お伺いします。31日で概算要求が締め切られます。既に要求を公表した省庁もありますけれども、これまでに明らかになっている概算要求について、大臣のご所感を伺いたいと思います。
 もう1点、今年も事項要求を認められたものがありまして、予算が肥大化しやすいというふうに考えております。この点についての大臣のご所感と財政健全化との関係についてお伺いしたいと思います。
 あと予算編成に向けての姿勢を改めて伺えますでしょうか。

答)順番にお答えいたしますが、ご指摘のように令和6年度、来年度の予算の概算要求については、8月31日までに各省庁から提出を受けます。そして、その後に財務省において取りまとめることとなっておりますので、総額や要求内容について、今まだその過程でありますので、ここでこんなような私の感覚だということも含めてコメントすることは控えたいと思います。
 そして事項要求でありますが、事項要求はこれまでもあったわけでございますけれども、やはり要求する予算の内容によりましては、概算要求の段階で具体的な所要額を見込むことが困難であるものもありまして、一定程度の事項要求が生じること、これはやむを得ないのかなと、そのように考えております。
 概算要求基準を設けること自体は、年末に向けた予算編成過程のなるべく早い段階から、各省庁において施策の優先順位の洗い直しを行っていただき、予算の中身の大胆な重点化を促す効果を期待できるものでありまして、これは予算編成プロセス上、重要なものとなっております。事項要求があるからといって、それが全体の予算規模の拡大につながるというようなことはなくて、これは個々にしっかりと財務省において、要求されます省庁とよく詰めていきたいと思っております。
 そして来年度予算についてでありますが、やはりここ数年、コロナの関係もあり、財政規模、予算規模が拡大をした、度重なる補正予算というものも、リーマンショックのときに比べましてもかなり額の大きなものがつくられました。しかし、これはコロナウイルスという未知のものに対して、やはり十分な備えをしなければいけないということで、健康面や経済面も含め、あのような措置をとったことはやむを得なかったと思います。しかし、今5類に変わり、そしてまた、コロナウイルスの様々なものも分かってきているわけでありまして、やはり緊急時から平時に移行するということ、これは極めて重要なことだと思っております。そのような平時への移行ということをしっかり基本的なものの1つとして来年度の予算編成に当たっていくことが大切であると、そのように思っています。

問)政府がガソリンの価格について、支援を継続して価格を一定に下げるために補助金を出すという方針を決めたということなんですが、一方でガソリンについて、ガソリン税を取りながら補助金を出すという形を続けるのがいいのか、減税の方をするべきではないかという声がありますが、そこについて鈴木大臣のお考えをお聞かせください。

答)総理指示を踏まえて、これから与党との検討を踏まえて、所管省庁であります経産省とも十分、協議をして決めていきたいと思いますが、基本は今ある激変緩和措置、これの期限をどうするのか、あるいはその内容をどの程度にするのかであると、そのように思っております。
 したがいまして、何か別のものを別のアプローチでガソリン価格の高騰対策を考えるということにはならないのではないかと、そのように考えています。

問)減税について検討すべきでない理由について改めて。ガソリン減税ですね。

答)要するにトリガー条項をということですか。それは再三再四、国会でお答えしているとおりでありまして、トリガー条項につきましては、昨年4月の自民党・公明党・国民民主党による3党検討チームにおいて、補助金と異なりまして、トリガー条項の発動では、揮発油税・地方揮発油税、軽油取引税がかかっていない重油、灯油について対応することができない、それから発動・終了時に大幅な価格変動が生じて、発動前の買い控えでありますとか、終了前の駆け込みでありますとか、それに伴います配送の乱れや品不足といった流通や販売の現場に与える影響が大きい、それからガソリンスタンドと元売りの顧客対応を含めた事務負担が大きいと、こういったような課題が3党の協議の中でも指摘をされて、そしてそれを解決するための具体的な方策について結論を見出すことに至っていないと、こういうことでございます。
 そういうことで、従来も政府としてはこうした課題が解決されない以上、トリガー条項の発動は見送ると、こういうことでありまして、そうした方針は今も継続しているということであります。

問)金融担当大臣としてお伺いします。ビッグモーターや損保をめぐる問題で損害保険ジャパンがビッグモーターの不正の可能性の情報を得ながら取引の再開を決定していて、その際に白川社長も含めた経営の上層部が再開を促す発言をしていたということが報じられていますが、この点について金融庁としてどのように対処するお考えでしょうか。

答)今ご指摘をいただいたような報道があったということは承知をいたしております。
 損害保険ジャパンに対しましては、7月31日、報告徴求命令を発出したところでありまして、今ご指摘のありました取引の再開に関しましては、経営陣の関与を含め、1社だけが顧客紹介を再開した経緯について、報告を求めているところであります。
 現在、金融庁といたしましては、法令による報告徴求命令に基づいて、同社における保険金の不正請求を検知・防止するための態勢について、事実確認を進めている段階であります。まずは今回の事案について、その発生原因を含めて把握・分析することが重要であると思います。
 その報告をしっかり分析をした後に、その結果、一連の不正行為に関連し保険契約者保護に欠ける問題が認められた場合には、法令に基づいて、厳正に対応したいと考えています。

問)ガソリン価格に戻るんですけれども、先程コロナで補助金がかさんで平時に移行しないといけないというお話があったと思うんですけれども、ガソリン価格についても一部で年内まで延長という報道も出ていまして、出口が見えなくなってきていると思います。この点について、財政面から大臣どのようにご認識されているか、お願いいたします。

答)確かに、今財政状況、これは大変厳しい状況にある中で、燃料油費を含む物価高騰に対応するもの、こうしたものを続けていくことについては慎重でなければならないのではないかというご指摘、これはそのとおりあるわけでございます。
 基本的なことを申し上げますと、経済財政運営に当たりましては、経済あっての財政という方針に則りまして、経済成長と財政健全化の両立を図っていくこと、これが重要であると考えております。
 現下の物価高騰に的確に対応をしなければいけない、その状況等を見極めつつ、9月以降、真に必要な経済対策について、その在り方を含め検討していくこと、これが重要であると考えております。
 同時に骨太の方針2023にもあるように、中長期的な財政健全化の旗を下ろさずに、これまでの財政健全化目標に取り組むため、無駄の削減など歳出の在り方について不断の見直しを行っていく必要があると思います。
 つまりは、財政再建という旗は下ろさないわけでありますが、しかし足元の国民生活に大きな影響を与えることについては、やはり、ただただ放っておけばいいというわけではないということでありまして、その辺の兼ね合いはしっかりと踏まえてやっていきたいと思っています。

(以上)