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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和5年1月20日(金曜日))

【質疑応答】

問)自民党の方で、昨日、防衛費の財源に関する特命委員会が開催されました。この中で、国債の60年の償還ルールについて見直すべきだという意見も一部の出席者からあって、今後検討課題となっていく可能性もあります。この論点について、一般論としてでも結構ですので、見直した場合にどのような課題や影響があるか、政府としての考え方を改めて聞かせてください。

答)自民党で特命委員会が開かれて議論がスタートしたということは承知をしておりますが、これからいろいろ議論が積み重なっていくと思いますので、その結論を予断を持って申し上げることは今の段階ではできないと思っております。
 しかし、一般論ということで申し上げますと、ご指摘の60年償還ルールでありますけれども、これを見直した場合、一般会計から国債整理基金特別会計への債務償還費の繰入れは減少するということになり、その分、一般会計が発行する赤字公債は減るということでありますけれども、国債整理基金特別会計が発行する借換債がその分増えることになりますから、60年償還ルールの見直し自体によって、国全体としての国債発行額は変わることはないということであります。
 さらにその分、一般会計において政策的な経費の増加を行えば、政策的経費の追加額と同額の国債を一般会計において発行する必要がありますので、その分、国全体としての国債発行額は増加するということだと思います。そういう点を留意する必要があるのではないかなと考えています。

問)23年度の引下げが了承された自賠責保険の関連でご質問します。この中に国交省で決定された新たな賦課金が含まれるわけですけれども、こちら自賠責保険の運用益の積立金が一般会計に繰り入れられているという点が被害者支援事業の財源不足に関わっているということで、改めてこうした形でユーザーの負担につながっているということと、あと繰戻金の大幅増額が難しいということについて大臣の受け止めを改めてお伺いできますでしょうか。

答)運用益の問題ですね。運用益を一般会計の方に入れていると、それを本来は残すべきであってというご指摘ですか。

問)大幅に増額で繰り戻すということが難しいというふうな現状があると思うんですけれども、それについての受け止めを。

答)先週もご質問で答えたところでありますが、令和5年度予算におきましては、対前年度6億円を上乗せいたしました60億円の繰戻しを行ったということであります。
 そして、先般成立をいたしました令和4年度第2次補正予算におきましても、12億円の繰戻しを行ったところでありまして、全体の額としては、大臣合意に基づいて着実に確実に毎年繰入れをしていきたいと思います。

問)たった今、岸田総理が新型コロナの感染法上の扱いについて5類に移行するよう指示をしたというふうに会見で発表されているんですけれども、公費負担が段階的に縮小されることになるかとは思いますけれども、これまでの新型コロナを含めて公費の扱いについて、例えば検証するであるとか、改めて段階的縮小というフェーズになってきましたけれども受け止めをお願いいたします。

答)今、私も出がけに総理が記者会見している映像を見たところで、その中身を十分把握をしておりませんので分かりませんが、今のお話のように5類への見直しを行うことにしたということであるならば、当然に今までの公費負担の在り方というものも考えていくことになるんだと、そのように思いますが、基本的には他の疾病との公平性の観点などもあると思いますので、今まさにそういう方向性が示されたということでありますので、これから関係省庁と先程申し上げた公平性なども踏まえて議論をしていきたいと思います。

問)防衛費の増額、5年43兆円に絡む部分なんですけれども、今週火曜日、TBSでキャスターをやっていらっしゃる星浩さんが、大臣もご存じだと思いますが、43兆円について実は去年6月とかそれぐらいの段階でほぼ固まっていたんだと。それがアメリカに対して、その43兆円というのが通告をされていたということを言っていて、誰に聞いたというのはおっしゃっていないですけれども、深い官邸中枢とかそういう取材をしていて、どういうルートでアメリカから要望が来ていたのかというのも明らかにしているんですけれども、私もそれで財務省の関係者とかに聞くと、財務省としてはそれを把握していないけれども、官邸のNSCとか木原さんのラインとか、そういうところでアメリカにそういう通告をしていた可能性はあるという見方をする人もいて、そういったことがあるのかどうか。私が聞いているのは、43兆円を政府として決めた閣議決定、正式決定がいつかということではなくて、43兆円ぐらいの額を日本として積み上げるということを去年の早い段階でアメリカに伝えていたということはあるんでしょうか。

答)今、夏の段階というような話をされましたけれども、私はそういう事実は全く承知していません。

問)そういった可能性についてはいかがですか。

答)分かりませんね、承知していませんし。

問)もう1点、昨日、少子化対策の関連省庁の初会合、岸田さんが正月の頭に少子化対策をするというふうにおっしゃったわけですけれども、財務省、岸田政権として来年度予算の閣議決定を12月にして、そこに政府として何をするのかという意思が完全に反映されていると思うんですが、その来年度予算案が通常国会に上程する前の段階で、全く予算に入っていないことを政府として検討し始める、それも大規模にやるんだというのは国民に対して非常に不誠実だと思うんですが、一方で、予算があって、それ自体が具体的な政府の政策なわけですよね、明らかな。それに対してそこに入っていないことを、予算案を出す前に総理が言うというのは、私20年近く予算取材してきていますけれども初めてのことで、確かにイラク戦争とかそういう突発的な事項が起こったとき、それはあり得ますけれども、今回のような別に何も起こっていないときに、予算案を出す総責任者である総理がそういうことを言っているというのは非常に不誠実だと思うんですが、それは国民に対する私は背信行為でもあると思うんですけれども、そういった点についてはどうお考えでしょうか。

答)私の整理では、小倉大臣に3つの論点を中心に、3月までにまずは検討してくれと。それを受けて、それをさらに詰めて6月の骨太の方針に反映させて道筋を明らかにすると。こういうことですから、今、指示をして議論をして、最終的に骨太の方針に反映される、それは令和6年度予算に反映をされるんだと、そのように思います。
 したがって、今、これから国会に出させていただく令和5年度予算については、今回の指示の手前の部分においての検討で予算をやったと。
 ですから、具体的に言いますと、令和5年度予算では、出産・育児一時金を50万円に引き上げるとか、妊娠時から出産・子育てまでの一貫した伴走型相談支援、それから妊婦・子育て家庭に対する経済的支援を合わせたパッケージを継続実施するというところまでは予算化してやっているわけです。それはあくまで令和5年度で、今回の小倉大臣に対する指示、そしてそれをさらに詰めて6月であろう骨太の方針に反映されるということ、これは再来年度の予算に反映されるべきものと、そのように整理しています。私はそのように受け止めています。

問)ただ、総理が言ったのは1月4日で、その10日前に、わずか10日とかそれぐらいの前に政府の予算案が出ているわけですよね。そこまで総理が異次元の少子化対策、当然大臣にも相談があったと思いますけれども、それをやるのであれば10日前に決まった予算案に入れるのが普通で、その予算案に入っていないのに、口だけで予算案を出した後でやりますと。予算化はその先ですというのは非常に不誠実だと私は思うんですけれども。

答)それは受け止め方によるんだと思います。
 これから子ども政策というものは大変大きな課題になってまいりますから、10日やそこらで決められることではないわけで、やるとするのであれば、昨年の今頃からこういうような議論をして、昨年の骨太の方針にのせて、そして令和5年度予算に反映するということだと思います。
 ですから令和5年度予算については、まずその手前のところの部分を、これはほかの施策と同じように検討する中で、やっていくべきものを予算化するということで、あくまで今回小倉大臣に指示したものは再来年度に反映されるものだと。そのためには今からきちっと議論をして、そしてそれが骨太の方針に反映されていくと、こういうことでご理解をいただければと思います。

問)本来は1年前から議論を始めて、この予算に入っておくべきだったとお考えですか、そこからすると。

答)入れるとするならば、そういう1年ぐらいかける議論が十分必要なんだと思います。
 ただ政権として、どういう政策を、優先順位をつけながらしっかりやっていくかというのは、いろいろ流れがあるわけですから。国会が始まりますと総理の施政方針演説もありますけれども、その中でも述べられると思いますが、今、岸田内閣としてこれを大きな重点としてやると。それを前に進めるためにこうした指示を行って、一連の手続、検討が行われると、こういうことだと思います。

問)冒頭あった償還ルールの件について1点追加でお聞きしたいんですが、仮に償還期間を延ばすということになった場合、これは市場の財政に対する信認に影響を与えることにつながると考えているのか、そこの受け止めをお願いします。

答)いずれにいたしましても、60年償還ルールというのは、ある意味国債の償還財源を確実に確保して、それで償還のための財政負担を平準化するといった観点から決められている、ある意味規律をこれで守っている部分があるんだと思います。
 こうしたルールのようなものがあるというのは、外国を見てみましても、やはり形は違いますけれどもあるわけですね。主要先進国、G5・EUにおいては、60年償還ルールのような償還財源の確保に関する特別の制度はありませんけれども、財政規律維持に関する基準を法律等において規定をしていると。こういうことでありまして、現に今日新聞で読みましたけれども、アメリカもいよいよ法定の上限に達してしまったということで、イエレン長官から議会の方に書簡が送られたと、こういうことでございまして、アメリカにおいてもそういうようなものがあると。
 日本においては、この60年償還ルールが、ある1つの規律をこれで担保しているものであると思いますので、これがなくなった場合にどう受け止められるかということは、よく考えなければいけないんだと思います。

(以上)