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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要(令和4年12月23日(金曜日))

【冒頭発言】

私から2つのことについて、冒頭発言をさせていただきます。
 まず初めに、令和5年度予算等について、2つ目は経営者保証改革プログラムについてであります。
 まず、令和5年度予算の概算につき、先程開かれました臨時閣議で決定をいたしましたので、概要を申し上げます。
 令和5年度予算は、先般成立をいたしました令和4年度第2次補正予算と合わせ、歴史の転換期を前に、我が国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くための予算であります。
 具体的には、防衛力整備計画の下での防衛力の抜本的な強化やその裏付けとなる財源の確保、出産育児一時金の引上げや、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援のパッケージの継続実施など、こども・子育て世代への支援の強化等の取組に対応する予算を盛り込んでおります。
 税収につきましては、69.4兆円を見込んでおり、これらの結果といたしまして、新規国債発行額は35.6兆円と、対前年度1.3兆円の減となりました。
 このうち、建設国債の発行額は6.6兆円となります。
 その際、従来、いわゆる建設国債の対象経費の範囲に含めてこなかった防衛関係費について、防衛省・自衛隊の施設整備費や艦船建造費を公債発行対象経費として整理することといたしております。
 これは防衛力の抜本的強化に当たって、国家安全保障戦略等において、自衛隊と海上保安庁との連携・協力、そして公共インフラ整備を含め、平時から総合的な防衛体制の強化を図ることとしている中、安全保障に係る経費全体で整合的な考え方をとることとしたものであります。
 令和5年度財政投融資計画につきましては、新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響も重なって厳しい状況にある事業者への資金繰り支援に引き続き万全を期すとともに、新しい資本主義の加速や外交安全保障環境の変化への対応等に資する分野へ投融資を行うこととしております。
 また、令和5年度税制改正の大綱も本日の閣議で決定をいたしております。
 本日の閣議決定を踏まえ、今後、来年の通常国会への予算案等の提出に向けて作業を進めてまいります。
 2点目のことでございますが、本日、金融庁・財務省・経済産業省の3省庁におきまして、経営者保証改革プログラムをとりまとめ、公表いたしました。
 このプログラムは、スタートアップの創業や早期の事業再生等のネックとなります経営者保証について、金融機関が安易に保証を求めることがないようにするための説明・記録の徹底や、日本政策金融公庫における経営者保証を免除する制度の要件緩和など、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させるための方策が盛り込まれております。
 金融庁・財務省としては、関係省庁と連携をして、このプログラムを着実に実行していくことで、新たな融資慣行の確立を目指していきたいと思っております。
 私からは以上です。

【質疑応答】

問)本日閣議決定されました令和5年度予算案について、今回の予算案の特徴など大臣のご見解をお聞かせいただけますでしょうか。

答)今の冒頭発言でも触れさせていただいたことと重なりますけれども、令和5年度予算、これは我が国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くためのものであります。
 夏の概算要求の段階から、令和5年度予算編成は防衛力の抜本強化、こども政策、GXの推進など、重要課題が山積する難しい予算編成になるということを申し上げてまいりましたが、それぞれの課題に対して必要な予算を措置することで道筋をつける予算となったのではないかと、そのように考えております。
 具体的には防衛分野では、今般新たに策定された防衛力整備計画の下での防衛力の抜本的な強化やその裏付けとなる財源の確保、こども政策では、出産育児一時金の引上げや、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援のパッケージの継続実施など、こども・子育て世代への支援の強化、GXの実現に向けては、カーボンプライシング構想の具体化で得られる将来の財源を裏付けとしたGX経済移行債の発行により、民間のGX投資を支援する仕組みの創設など、現下の重要課題に正面から向き合い、一定の道筋をつける予算になったと考えております。
 今後、予算の提出に向けた作業を進め、年明けの国会において、本予算の速やかな成立を図ってまいりたいと考えております。

問)防衛費増額の財源ですけれど、国有資産の売却などは一時的ですし、決算剰余金の活用はその後の補正予算で赤字国債が増えますし、歳出改革は物価高による歳出増分に頼っていると思います。防衛費増額に見合う安定財源を一体的に確保したと言えるのでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

答)これは歳出・歳入両面について様々な工夫をいたしまして、その財源の確保ということに努めてきたところでございます。
 今回の令和5年度の防衛費について言えば、令和5年度予算において防衛関係費6.8兆円を計上して、昨年度と比較して1.4兆円増額ということでございますが、その増額分の財源につきましては、歳出改革により0.2兆円程度、税外収入により1.2兆円程度を確保し、これらによって増額分の全額を担っているところでございます。
 いろいろな工夫の中には、先程申し上げました税外収入とか、それから増収、上振れの部分とか、それを一般会計の中で区分をして、防衛力強化資金ということで、そこに当年度使う分以外はプールをするということをして、後年度にそれを使っていくということですから、確かに先程おっしゃったように、それぞれ1回だけのものもありますけれども、それで手当して、さらにそれから余ったものについては、そちらにプールをするというような形で、そうしたご指摘に対しても対応できるようにしているということであります。

問)先程、建設国債を防衛費に使うことを認めることにした理由をご説明いただきましたが、政府の有識者会議の報告書も戦時国債を教訓に国債発行が前提となってはならないと指摘していましたし、あと財制審なんかも平時は財政余力を高めて、有事の国債発行に備えるべきというような考えだとは思ったのですけれど、建設国債を認めたことで借金頼み、財政の脆弱性を高めることにはならないのでしょうか。

答)今までの防衛力整備につきましても、建設国債どころか特例公債を使ってきたわけであります。そういうことで、今回は、先程申し上げたとおり、防衛計画を進めるという整合性の中で、例えば海上保安庁は船舶建造費に建設国債を使っているわけでありますので、それとの整合の中で、今回建設国債を使おうと、こういうことになったわけであります。
 そして実態を申し上げますと、昭和41年に建設国債の発行は開始されました。その後も折々に対象を増やしてきております。例えば昭和47年には、官庁営繕費、社会福祉施設整備費、こういうものを対象として追加しておりますし、また昭和52年には、農林漁業構造改善事業費を追加しております。そして昭和53年には、鉄建公団工事費補助金、住宅公団住宅建設費補助金、そして船舶建造費というものを対象を増やしているわけでありまして、過去においても折々に、財政事情に応じてということだと思いますが、対象のものを増やしてきているということがございます。

問)防衛費の大幅な増額ですとか、高齢化による社会保障費の増加によって来年度予算の規模は大きく膨らみましたが、その財源の多くを国債に頼るといった状況です。こうした厳しい財政状況が続きますと、国民の将来の不安も高まっていくと思いますけれども、こちらどのようにお考えでしょうか。

答)まず国民の暮らしを守る、命を守るために必要な財政出動、これは躊躇なく行わなければならないと、こういうふうに思っておりますが、しかし同時に日本の財政に対する市場からの信認を維持すること、これも極めて重要であります。
 また、ただいまご指摘いただきましたような国民の方々の将来不安を解消するためにも財政規律を守るということ、これは大変重要なことであると私も強く認識をしております。
 令和5年度予算におきましては、公債金収入が35.6兆円でありまして、公債依存度は31.1%となっておりますが、令和4年度当初予算と比較した場合には、公債金の収入においても、公債依存度についてもいずれも改善をしているというところであります。
 確かに、これまで新型コロナの対応や累次の補正予算編成によりまして、財政事情がより一層厳しさを増しているという状況は事実でありまして、そのことも強く認識をしております。
 その上で、厳しい状況ではありますけれども、今後とも2025年度におけるプライマリーバランスの黒字化目標、これを達成すべく歳出・歳入両面の改革に粘り強く取り組むことで、国民の皆様のご理解が得られるように努力してまいりたいと思っております。

問)来年度はこども予算倍増の財源も確保する必要があると思います。こども・子育て拠出金ですとか、そういった新たな税を創設すること、また消費税増税といった意見も与党内から聞かれますけれども、どういった財源が今のところ考えられるか、大臣の現段階のお考えというのはいかがでしょうか。

答)こども政策、これは今後強力に進めていかなければならないわけでありまして、必要な安定財源については、国民各層のご理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含めまして、幅広く検討を進めていくこととしております。
 先日16日にとりまとめられました全世代型社会保障構築会議の報告書の中では、骨太の方針2022にもあるように、こども・子育て支援の充実を支える安定的な財源について、企業を含め社会全体で連帯し、公平な立場で広く負担し支える仕組みの検討といった点が盛り込まれておりまして、今後、政府として、財源を含めた諸施策の検討を着実に進めていくこととしております。
 そして来年の骨太の方針、例年でありますと大体6月の下旬ぐらいにとりまとめられるわけでありますけれども、将来的なこども予算の倍増を目指していく上での必要な安定財源の確保を含めた当面の道筋についてお示しをしていくということになっているわけでございまして、今の時点で私として、どういうような税目が財源として考えられるのかということについては、まだお話しできる段階ではないということでご理解いただきたいと思います。

問)防衛財源の部分で先程、歳出改革で2,000億円程度捻出というお話しありましたが、一方でそれも含めて非社会保障の予算としては、対前年度比で1,500億円程度の伸びとなっております。これまでに比べて4倍以上の伸びになると思うんですけれども、大臣ここの部分をどう評価されているか、まずお考えをお聞かせください。

答)非社会保障関係費についてでありますけれども、骨太の方針におきましては、これまでの歳出改革の取組を継続するとされておりますが、その際には、経済・物価動向等を踏まえることとされているところです。
 従来は、物価が非常に安定的に推移をしてまいりました。平成25年度から令和3年度までにおける消費者物価上昇率は、平均0.38%程度でありまして、そういう環境の中にあって、非社会保障関係費は3年で約1,000億円程度の増加に抑えてきたところです。1年当たりにすれば330億円程度ということになります。
 令和5年度予算における、この非社会保障関係費は、防衛関係費について対前年度比で2,100億円程度増額する一方で、その他の非社会保障関係費の一層の効率化を図ることによりまして、全体としては1,500億円の伸びとなっております。
 令和5年度の消費者物価上昇率は1.7%でございまして、先程申し上げましたとおり、骨太の方針には、経済・物価動向を踏まえるとされておりますので、従来の平均0.38%程度と比べますと1.7%程度の物価上昇率が見込まれておりますので、それに合わせて、伸びていると、こういうようなことでございます。
 今般のこのような対応、これは経済物価動向等を踏まえて柔軟な対応を行うということを通じまして、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続するものでありまして、査定が甘くなったということではなくて、骨太の方針にも書いてありますとおり、こうした経済・物価動向を見て、それを反映させた結果であるということでございます。

問)先日日銀がYCCのところの10年の変動幅をプラスマイナス0.5に上げましたけれども、国債費の中の利払い費は1.1%の積算金利で積んでいて、これまでかなり高めに積んで、実際その余りが補正の財源になったり剰余金の一部になってきたんですが、これからその遊びが減っていくという可能性がかなりあると思うんですけれども、ここの部分をどうご覧になりますでしょうか。

 

答)今回の予算におきましては、そこは従来と変えておりません。これはいろいろ検討して1.1%というのは従前のとおり変えていないというところでございます。

問)今回の114兆円に上る予算規模ですけれども、過去最大で、先程前年に比べたら公債費の依存度も下がっているんだというお話でしたけれども、前年度、前々年度はコロナという異常な状態の下の予算で、なおかつ今回は、それに加えて防衛費の話が出てきて、一種たがが外れた部分が私はあると思うんですけれども、今後マーケットから信認を失っていくときには、この予算が非常にメルクマールというか、非常に歴史的には意味を持ってくると思うんですけれども、これだけ防衛費のたがが外れて大きくなった予算について、財政当局として規律を保っていたと言えるんでしょうか。大臣はどう評価しているんでしょうか。

答)足元で、コロナ感染症の拡大によって、それに伴う財政措置がここ数年続いてまいりました。完全に収束して平時に移行するということになって、コロナ感染症が始まる前の予算規模に近づくような、その分が完全に落とすことができればいいんですけれども、残念ながらまだそれを引きずっていて十分に抑えられていない。それと同時に、ご指摘がありましたとおり、来年度予算については防衛費が相当、予算総額を膨らませる要因になっております。
 そういう状況でございますが、先程来申し上げておりますとおり、トラス政権のことを持ち出すまでもなく、財政の信認というもの、これはもう極めて重要でございますので、これからもしっかりと財政健全化に向けて努力をしていきたいと、ここは努力を続けていくということでございます。

問)建設国債のところですけれども、先ほど質問があって、建設国債、過去にはだんだん用途を広げてきたんだと。そもそも特例国債、赤字国債ではないじゃないかという話をされていましたけれども、ただ、建設国債で防衛費を賄ってこなかったのは、これは建設国債は国民の財産になるという趣旨があって、そこで安易に防衛費なんかに使わないようにという知恵があったと思うんですけれども、今回、建設国債を艦船という戦力ですよね、武器に使うというのは非常に大きな、財務当局としても変化だと思うんですけれども、これは先ほども質問でありましたけれども、戦前の教訓があってそういうことをしないというふうにもなってきましたし、有識者会合でもそれが、先程もあったとおり指摘もされているわけで、建設国債で武器を造るというのは非常に重いと思うんですけれども、その重みというか、たががやはりここも外れていると思うんですが、そこは非常に危険なところに踏み出してしまったということにはならないんでしょうか。

答)決してたがが外れたとは思っていませんし、危険なところに踏み出さないように、今後ともしっかりと必要なもの、しかもこれはきちんとした防衛力整備計画というのがあるわけですから、その範囲内で、特に私どもとしては、効率性そして実現性、そういうものをしっかり踏まえて、決して何かそこからゆるゆるになっていくというようなことがないようにしっかりと心得てやってまいりたいと思います。
 そして自衛隊艦船にまで建設公債の発行対象にするのかということについて申し上げますと、自衛隊の艦船につきましては、護衛艦、掃海艇、潜水艦など平時から警戒監視や災害対応など様々な任務に当たっておりまして、長期的な保有、使用を前提とした資産としての側面も有しているわけであります。
 実際に艦船の運用実態を見てみましても、耐用年数は、他省庁において、その建造費が公債発行対象経費として分類されている船舶と遜色がないということで、運用上も耐用年数を超えて使用されているところであります。このような艦船の有する性質に着目すれば、負担の公平性の観点からも、他省庁の船舶と同様に、将来世代に負担を求めることが十分に許容され得る資産であると考えて、今回の対応を整理したところでございます。
 いずれにいたしましても、建設公債をこの自衛隊艦船の発行対象にするということにしても、これによって歯止めが利かなくなるということは、これは許されないことだと、そう思っておりますので、その辺はしっかりと精査をしながら、査定をしながらやってまいりたいと、こういうふうに思っています。

問)今回、予備費を前年度に続いてまた5兆円で積み上げたということなんですけれども、この点に関しての財政規律の緩みを招いていると捉えられかねないとも思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

答)令和5年度予算におきましては、コロナ・物価予備費、これを4兆円、それからウクライナ情勢経済緊急対応予備費を1兆円計上しております。
 これは、令和5年度の経済見通し、この実質成長率が今年の年央時点よりも上方に見込まれる中、ウィズコロナの進展とともに、年々新型コロナ対応を主たる目的とした使用は減少していると見受けられること、しかし一方で、足元の物価高騰が国民生活や事業活動に与える影響は依然として大きく、先行きについても当面、物価は上昇していくものと見込まれていること、また、世界的な金融引き締め等が続く中、引き続き経済の下振れリスクに備える必要があることなどを踏まえまして、コロナ・物価予備費とウクライナ情勢経済緊急対応予備費、合わせて令和4年度当初予算と同じ総額5兆円の対応余力を確保することとしたものであります。
 その上で、よくご指摘をいただくのは、財政民主主義の問題と財政規律の問題でありますけれども、今回計上する予備費につきましては、令和5年度予算の一部として国会でご審議をいただくものであること、予備費の支出については、憲法、財政法の規定に従って、事後に国会の承諾を得る必要があることから、財政民主主義に反するものではないと、そのように考えております。
 今後とも予備費の使用に当たりましては、憲法、財政法の規定に従って適切に使用を判断していくとともに、国会や国民に対して説明責任を果たしていくために丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

問)自動車安全特会への繰戻しの件です。60億円が決定しておりますけれども、被害者の救済支援の事業費ですけれども、これが約200億円に対して、賦課金が約100億円、これが自動車ユーザーの新たな負担になるわけですが、それに対しての返済が60億円、この受け止めについて1つ教えてください。

答)再々ご指摘いただいて、お答えをさせていただいております。
 財政事情が許せば、早期にお返ししなければならない性格のものであると思いますが、今それがそのようにできない状況にあるということは、大変申し訳ないことであると思っております。しかし、そういう中におきましても、大臣合意に基づいて、確実に誠意を持ってお返しをしていきたいと、そういうふうに思っております。
 今もご指摘がございましたけれども、令和5年度予算におきましては、被害者支援事業や事故防止事業が安定的・継続的に実施されますように60億円、これは対前年度と比べますとプラス6億円でございますが、その繰戻しを行うことといたしました。
 そして先般、成立をいたしました令和4年度第2次補正予算におきましても12億円の繰戻しを行ったところでありまして、今後も大臣合意に基づいて、一般会計からの繰戻しについて、真摯に国土交通省と協議の上、着実に対応してまいりたいと思っております。
 受け止めということのご質問について言えば、大変申し訳ないことであるけれども、確実に誠意を持って対応していきたいということであります。

問)今お話にもありました大臣間合意についてなんですけれども、以前はゼロ円返済でもやむなしというような大臣間合意であったと思います。現在これから2023年度から始まる鈴木大臣の大臣間合意では、令和9年まで54億円というベースラインが引かれておりますけれども、これは一歩前進というふうに見るべきでしょうか。

答)今結ばれております大臣合意、これは令和3年の12月に結んだわけでありますが、そこにおきましては、令和4年度当初予算において、一般会計から自動車安全特別会計に54億円の繰戻しを行うとともに、令和5年度以降の一般会計からの繰戻しについて、令和4年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続的に取り組むことということで合意がなされているわけでありまして、この合意をしっかり守っていくということで、私としては一歩前進といいますか、毎年継続して行われる1つの基盤、約束ができたということなんだと思っています。

問)先程来の歳出改革なんですけれども、今回は2,100億円何とか捻出したということだと思うんですけど、これを積み重ねていく必要があると思います。5年後は1兆円超になると思いますが、これはかなり厳しい水準に見えるんですけれども、その辺りの相当な努力とか、ほかの政府や与党内の理解を得る必要があるのか、その辺りの認識を伺えますか。あと社会保障にも手をつける必要等がないのか、その辺りの認識をお願いします。

答)まず後の方のご質問から答えますと、何か社会保障給付費を削減する、そしてそれを防衛費の方に回すということは考えておりません。以前からも社会保障関係費と非社会保障関係費というのを切り分けて考えているところでございます。
 それから最初のご質問は、そうした歳出改革といってもそんなに易しいものではないのではないかというお話でございますが、確かにそのとおりだと思います。しっかりと歳出改革に取り組んでいかなければならないと、そういう思いの中でいろいろな工夫をするということで、先程来申し上げましたとおり、上振れ部分でありますとか、あるいは税外収入でありますとか、そういうもので当該の年度の防衛費に充てるとともに、それを余る部分については防衛力強化資金という、一般会計の中にありますけれども、区分をして、1つのお財布みたいなものですが、そこにため込んでいって、今後のものに使っていくと、こういうような工夫もしていきたいと思っています。

問)最後に、日銀のイールドカーブ・コントロールの変更の点なんですけれども、あの会見で黒田総裁自身がイールドカーブに歪みがあるということを言っていて、それが企業金融に悪い影響を与えないように是正するんだという趣旨の話をしているんですが、イールドカーブの歪みというのは国債の円滑な消化という意味では財務省にとっても極めて重大な話で、その歪みを日銀総裁が今認めている状態で、前にここでも一度お聞きしたんですけれども、国債マーケットが壊れているんじゃないかということをお聞きしたんですが、その点今の状況をどう捉えているのか。それと総裁は利上げじゃないということを盛んにおっしゃっていて、マーケットの認識とかなりずれていて、そこが政府・日銀として、もちろんこれは日銀の政策ですけれども、政府・日銀として、これは出口なのか出口じゃないのかもはっきりしないような状態なんですけれども、その点大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

答)まず、後段の方からお話をさせていただきますと、その前提として、金融政策は日銀の独立性を尊重して、日銀にお任せをするというそのスタンス、それを越えての発言ではございませんけれども、私の記憶では、あのときの黒田総裁のご発言はむしろこの金融緩和を、要するに、市場がうまく機能していないというようなことに触れられて、そしてその中で金融緩和を継続するための環境整備をするというような趣旨を話されていたと理解をしております。
 従いまして、黒田総裁の発言に私が付け加えるということはないわけでありますが、従前の金融政策というものが継続をされているのではないかなと、こういうふうに理解をしたところでございます。
 それからイールドカーブの歪みというのは、恐らく10年債のところで抑えておりますので、そこが急激に下がっているというその歪みをおっしゃったんだと、こういうふうに理解をしております。

(以上)