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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和4年12月20日(火曜日))

【質疑応答】

問)政府・日銀が2013年1月に公表した共同声明に関して、岸田政権が共同声明を改定する方針を固めたとの報道がありました。事実関係についてお伺いします。関連して、日銀総裁の人事が春に満期を迎えますが、新しい総裁のもとで共同声明の在り方について議論する可能性はあるのか、お伺いします。

答)まず事実関係から申し上げますと、報道については承知しておりますが、そのような方針を固めた事実はございません。
 新しい総裁のもとでの議論についてということですが、現時点においてコメントする段階ではないと、そういうふうに思います。
 政府としては、共同声明に沿って、物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向けて、引き続き、日銀と連携しながら取り組んでまいりたいと思っています。
 日銀には、引き続き、政府との連携のもと、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて努力されることを期待をいたしております。

問)先程、日銀とのアコードについて、現時点で決まった方針とか、そういうのはないということをおっしゃっていましたけれども、方針を固めたとかですね。政権も当時安倍政権だったわけで、黒田さんが入ってきて、総裁も代わられて、アコードを結んだということがあって、今回岸田政権に代わっていますし、今後日銀総裁の任期も春で切れるという段階で、新しい日銀総裁になったときにそういったものが改定される可能性というのは当然あると考えるべきなのか、もしくはそのまま手をつけないで継続するということもあり得るんでしょうか。

答)日銀総裁が、次どなたになるか、まだ決まってないわけですし、したがって今の段階でコメントすることは、タイミング的にふさわしくないんだと、そういうふうに思っております。
 しかし、日銀におかれては、日銀の独立性のもとで金融政策をしっかりしていただかなければならないわけでありますが、そうした面において、政府と協調もしていかなくちゃいけない、政府としても日銀と協調してやっていきたいと、こう思っています。

問)新しい総裁になればアコードが変わるということも当然あり得ると考えていいんでしょうか。可能性としてです。

答)今の段階では、そのことについてはコメントいたしません。

問)もう1点、予算なんですけれども、これまで防衛費の43兆円及び3文書なり、今日も114兆円というのが出ていますけれども、防衛費を積み上げるに当たって、確かにスタンドオフ防衛能力5兆円とか、防衛装備品の維持整備に9兆円とか、そういったものを積み上げというふうにおっしゃっているのは分かるんですが、専門家から見てもあまりにもざっくりし過ぎていて甘い査定なんじゃないかと。財務省の査定が効いているのかという声があって、朝日新聞のインタビューでしたけれども、香田さんという元自衛艦隊司令官の方が砂糖に群がる蟻のようになっているんじゃないかと、防衛省は。加えて財務省は、以前は非常にいじわるだけれども、いい質問をいっぱいしたと、査定に際して。それはよい予算をつくる上で必要だったと。今の財務省にはしっかりせいと言いたいということもおっしゃっているんですけれども、財務省の今回の防衛費の43兆円という積み上げ、さらに114兆円と言われる来年度予算、財務省の査定は効いているんでしょうか。ほとんど効いていなくて、財務省が一種降伏しているようにも見えるんですけれども、いかがでしょうか。

答)防衛費の総額を決めるに当たっては、かなり両省間でも綿密な協議が行われたということであります。
 経緯については、繰り返しになりますけれども、新たな防衛力整備計画の規模については、防衛省における防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省自衛隊として、しっかり役割を果たせる内容と金額の積み上げを踏まえて、43兆円程度に決定されたわけでございます。
 財務省といたしましては、これまでも実効性、それから実現可能性、これを確保することが重要であると申し上げてまいりました。
 防衛省においても一定の理解を頂いたものと考えております。
 その上で、整備計画では、毎年度の予算編成におきまして、装備品の整備を含めて、各事業の進捗状況、実効性、それから実現可能性を精査して、必要に応じて、その見直しを柔軟に行うということも規定をされているわけでありますので、これに基づいて、毎年度の予算編成において防衛省としっかりと調整をして、特に私共が主張しております実効性、実現可能性というような観点から毎年度の予算、しっかり精査していきたいと思っています。

問)最後にもう1点だけ、先週の質問に答えていなかったと思うので、その点をもう1回聞きたいんですけれども、先週の会見で出たのは、与党税制改正大綱がまとまったときに出たのは、要するに防衛費をめぐって所得税とか法人税とか検討事項みたいにして書かれてはいますけれども、宮沢会長も来年また議論すると増税については言っているわけですよね。だからこそ、これは結局なし崩し的に国債になってしまうんじゃないかと。赤字国債なり、国債で調達する、借金で調達することになっちゃうんじゃないかという見方は根強くありまして、私もそう思うんですけれども、これは、大臣は増税がある程度担保されたと考えているんでしょうか。というのは宮沢会長は、来年議論すると言っているだけで、まだまだ先がある話で、全く担保されていないように思うんですけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。

答)年明けのしかるべきときに、税制調査会として、議論を再開するということで、そのタイミング等については、税制調査会にお任せをするわけでありますが、当然議論する中身は、先般の税制改正大綱に盛り込まれたことを議論すると、残された部分をということでございますので、今後なし崩し的に国債発行等を使って財源を埋めるということはないんだと、そういうふうに思っています。

問)自動車安全特会への繰戻しの件です。大臣間合意の中には、一般会計の財政事情、それから特別会計の収支、この2つがポイントになってくると思います。そうすると今の増税議論があったように非常に財政事情が逼迫しておりますので、繰戻しはかなり少なくなるかと思いますが、それに与える影響というのを教えてください。

答)先日16日の金曜日に決定されました与党の税制改正大綱におきましては、防衛力の抜本的な強化のため、歳出・歳入の両面で関係者の様々な努力や工夫を経て、防衛財源の安定確保に向けた具体的な道筋を示していただいたと考えております。
 その上で、今般の与党税制改正大綱とお尋ねの自動車安全特別会計の話、これは直接関係するものではないと考えております。
 繰戻しに継続的に取り組むことの重要性ということは、私も十分認識をしているところでございまして、そうした観点から申し上げますと、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しにつきましては、引き続き、財務省としては、財政事情が厳しい中におきましても、国土交通大臣との大臣間合意に基づいて、被害者保護にかかる事業が安定的・継続的に実施されますように、令和5年度予算編成を含め、国土交通省と真摯に協議をしながら、しっかりと一般会計からの繰戻しを着実に進めてまいりたいと、そういうふうに考えています。

問)今まさに大詰めを迎えている予算編成なんですけれども、報道で一般会計の総額で114兆3,000億円程度でありますとか、114兆円台前半であるとか出ています。まずそういった報道に関しての事実確認をお伺いしたいのと、いずれにしましても、過去最大規模というふうになろうかと思いますけれども、その点について、改めて財政の相当規模が膨らんでいることに関しての現時点での大臣のご見解をお伺いできればと思います。

答)来年度予算については、今、計数計算など最終段階でありますし、与党の政調におけます決定プロセスもこれからでありまして、今の段階でしっかり固まったものはないということでご理解を頂きたいと思います。
 それから、やはり財政規模が拡大しているということでございまして、これは、やはり必要なものについて積み上げていく、各省からの要求を各省の意見も聞きながらしっかり査定をさせていただく中で、最終的なそういう姿になったということでございます。
 私個人として言えば、早くコロナが収束をして、コロナ関係で増えたところの予算措置等が平時に戻る、コロナ発生前の平時の状況に移行すると、そうなればいいなと思っておりますが、結果としてこうなったということで、しかしこれは我々としては必要なものをしっかりということでございますので、そういう形の中で間もなく決定されると、こういうことだと思います。

問)一番最初の共同声明に関連した質問をさせていただきます。現在、コアCPIが3.6%と目標の2%を上回っている中、共同声明に書かれている目標の達成時期を「できるだけ早期に実現する」からもうちょっと中長期的な目標に切り替えることの妥当性についてはどのように考えていらっしゃるのかということが1点、もう1つ関連して、報道をきっかけに円が買われる場面もあって、共同声明の修正というのは円安による輸入物価の上昇を抑制する効果もあると思います。インフレが進む中、実勢に合っていない共同声明の修正の必要性について、妥当性と必要性について、2点お願いします。

答)妥当性ということにつながるかどうかでございますけれども、共同声明の効果というのは、今までやってきて、それはあるんだと思っております。
 政権交代以降、政府と日銀、お互いに連携しつつ、それぞれの責任におきまして、必要な施策を実施してまいりました。その結果、デフレではないという状況をつくり出すことができた。これは大きな成果であったと認識をしておりまして、そういう意味では妥当性はあるということ、その一端を示すことはできるんだと、こういうふうに思います。
 そして、今後のことにつきましては、先程のご質問にもありましたけれども、日銀総裁もどなたになるか分かりませんし、引き続き言えることは政府と日銀がこれからもよく連携をして、それぞれの与えられた責務を果たしていくということになるんだと思います。

(以上)