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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和4年12月13日(火曜日))

【質疑応答】

問)防衛費の財源についてですけれども、必要な税制措置のうち法人税に加えて復興所得税の仕組みを活用する案が浮上していまして、税制調査会でも議論しているかと思います。復興財源は減らさないとはいえ、被災地の反発は避けられないと思いますが、大臣のご所見をお伺いいたします。また、岸田首相は個人の所得税の負担を増やさないとの趣旨の発言をしておりました。所得税には手をつけないともとれる発言かとも思いますが、この整合性についてどのようにお考えでしょうか。

答)防衛費を整備していくということで、それを増額するための財源につきましては、引き続き、政府・与党で緊密に連携をして、歳出・歳入両面での具体的内容を年末に一体的に検討する方針でありまして、このうち、税制につきましては、先日の総理指示に沿いまして、与党税制調査会において検討が進められているところでございます。
 政府といたしましても、与党税制調査会での議論を踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。
 先程のご質問は、復興財源のこと、それから所得税のことでありまして、その整合性ということのご質問でありますが、今まさに決定プロセスに入って、具体的な内容が決まっているわけではございませんので、そのことについての私の考えは、現段階では控えさせていただきたいと思っております。その上で、政府としては、今般の防衛力強化にかかる歳出・歳入両面での財源確保策によって、復興のための財源を損なうようなことはないと、そのように考えています。

問)一部の報道で、防衛力整備に当たって、自衛隊の施設整備に建設国債を充てる方針を固めたという報道が出ておりますが、このことについての事実確認と、建設国債を実際充てるとなると、これまでの方針から転換するわけですが、そのことについての大臣の考えをお願いします。

答)そういう報道があるということは存じあげておりますが、自衛隊の施設等の整備などに要する経費を建設国債発行対象経費として整理するかどうかということもまさに今決定プロセスに入っているところでありまして、現時点で政府として具体的な方針は決まっておりません。

問)先日、高市経済安保担当相が、岸田総理が防衛費増額のための1兆円強を増税で賄う方針を表明したことについて、賃上げマインドを冷やす発言をこのタイミングで発信された総理の真意が理解できないとSNSで発信しました。取材に対しても、議論は来年末までに時間をかけて行うべきだなどとも述べています。閣内不一致との指摘もありますが、大臣の発言の受け止めについてよろしくお願いします。

答)そのような発言があったということは、報道等で私も存じ上げてございますが、このことにつきましては、昨日、官房長官の会見でも同様のお尋ねがございました。そのときに、官房長官からは、一連の総理の指示のことを申し上げた上で、そうしたような考えは、閣内でも共有されていると考えているというご発言もございました。私も官房長官と同じ思いでございます。

問)1点目、今の関連なんですけれども、1兆円増税、過去これだけの規模の増税をしたときに、選挙を経ないで決めたことはなかったと思うんですけれども、これだけ国民や企業に1兆円規模の増税というのは非常に重い政策選択でもありますし、国民負担としても非常に重いものだと思うんですが、これは国民に対する説明がなく、世論の審判も受けずに決めるということについてはどうお考えでしょうか。おかしいという批判が大きいと思うんですが。

答)例えば湾岸戦争のときとか、それから東日本大震災のときについては、必ずしもその直前の国政選挙でそうしたことを公約に掲げたりしてはいなかった、そういう例はあるんだと思います。
 しかしそれはそれとして、これだけの税制措置を国民の皆さんにお願いするわけでありますから、例えば、現下の厳しい安全保障環境の中で国民の命、それから日本の独立と主権を守ることの大切さ、こういうことも含めて十分にご理解をいただかなければならないんだと思います。そういうことを今後心がけていきたいと、こういうふうに思います。

問)今回の17兆円、43兆円のスキームなんですけれども、現行の防衛費25.9兆円あって、残りは17兆円ぐらいだと思うんですが、これについて財務省からすると、全部国債とかそういうことにならずに税制措置ということで一定程度財政再建をするんだという、そういうメッセージは出せたということだと思うんですけれども、一方で、歳出改革の部分とかそういったところにすごく重きが置かれていて、全体で見ると数千億から1兆円規模の歳出改革を毎年やらなきゃいけないというスキームになっていて、過去、例えば小泉政権とか安倍政権の頃に、社会保障費の自然増を数千億抑制するだけで相当厳しい状況に陥って、最後なかなか数字を達成できないということもあったんですけれども、これだけの1兆円規模の歳出改革というのをこのスキームに入れること自体、非常にずさんだと思いますし、これを見たときに、マーケットから見たときにきちんとそれができるのかと、担保できるのかという疑問が当然あると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

答)歳出・歳入両面で努力をしなければいけないと、こういうふうに思っております。歳出改革、そして決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の設立といった様々な努力、工夫を行わなければならないということで、そのことについては今のお話のとおり、なかなか大変な作業だということは思っております。
 しかし、やはり足らざるところを税制措置でお願いするということでありますから、その前提として、徹底した歳出改革が必要であると思います。
 令和5年度予算においては、骨太方針2022でありますとか2021の考え方に基づいて歳出全体を見直し、令和6年度以降も歳出改革を継続してまいりたいと、そういうふうに思っております。
 具体的な歳出削減の内容や規模につきましては、先日の総理指示を踏まえまして、歳出・歳入両面での財源確保の具体的な内容の検討を今行っている最中でございます。年末に向けてさらにしっかり詰めさせていただきたいと考えております。

問)最後に1点だけ、経済学者の中に国の経済を見るときにインフレ税という考え方があって、要するに増税しなくてもインフレが進行することによって、大きく家計部門から公的部門にお金が移ってしまうと。戦後直後それが起こったわけですけれども、今の物価高及び円安によって実質的にそのインフレ税が起こっているという指摘があって、2%の消費増税と同じ状態であるという指摘もあって、今どんどん国債をさらに発行していくという圧力がかかっている中で、こうやって防衛費43兆円とか言えば言うほど円が安くなっていってマーケットから信認を失って、結果的には国民からインフレ税を取るという悪循環につながっていると思うんですが、それについてはいかがでしょうか。

答)インフレ税という学説がおありになるということについて、私も十分にその中身、理解をしておりませんので、コメントはいたしません。

問)インフレ税についてのコメントはいいですけれども、こうやって歳出をどんどん拡大していって、与党からもそれが国債でいいという大合唱があって、それが違うんだったらお答えいただきたいんですけれども、それが結局円安につながって、国民にとって経済負担にとって非常に重い悪循環になっているという、そういう点についてはどうでしょうか。

答)国債の議論がございますが、私も前回の記者会見でもお答えをいたしましたけれども、これはあくまで一般論でありますけれども、防衛力を安定的に、これから将来にわたって整備していくに当たって、国債は安定的財源として位置づけるのは難しいのではないかと、そういうふうな立場を申し上げたところでございます。

問)今のところでなんですけれども、国債を防衛財源に充てるかどうかというところで、萩生田政調会長が台湾で2027年度、GDP比2%に達するまで、これは43兆円よりもちょっと広い枠で言っていらっしゃるのか分からないんですけれども、27年度までは国債というのも選択肢としてあり得るんだという趣旨のご発言をしていました。先日の国会閉幕時の総理の会見で、国債は未来の世代のためにとり得ないという発言もあったので、そこが我々というか、国民も含めてちょっと混乱している部分があるので、改めて国債の活用、今後5年間、それから先という形でご見解を伺えればと思うんですけれども。

答)お尋ねの点については、様々な意見が党内にあるということは承知をしておりますが、政府の立場で言いますと、防衛費の財源については、先日の総理指示に沿って、歳出・歳入両面の具体的内容について、年末に一体的に決定すべく、与党とも丁寧に相談しながら調整を進めていくということでございます。
 先程も申し上げましたけれども、あくまで一般論でありますけれども、防衛費は、恒常的に必要となる経費であることを踏まえますと、歳出・歳入の両面からの検討を進めて、必要な安定財源を確保していくこと、これが重要でありまして、基本的には、国債について、総理がこれまで一連の指示の中でおっしゃっておりました、「将来にわたり強化された防衛力を安定的に支えるためのしっかりとした財源措置」として位置づけることは困難なのではないかと、こういうふうに考えております。
 ただ、今まさに政府・税調で決定プロセスに入っているところでございます。私も今朝ほど税調の正副会合に出席をして、冒頭、こうした防衛費の財源確保についての議論のお願いのご挨拶をしてきたところであります。まさにこれから様々な知恵を絞り、工夫を重ねながら、こうした財源確保をやっていくということでありますから、今の段階でどういう結論が出るのかは予断を持って申し上げることはできない、税調でのしっかりとした議論を見守っていきたいと、こういうふうに思っております。ただ、一般論として申し上げれば先程のとおりでございます。

問)先程の質問の関連として、萩生田政調会長が国債の60年の償還ルールを見直すべきだという発言も出たと思いますが、このことについての大臣の受け止めをお願いします。

答)国会でも60年という数字は一体どこから来たんだというようなことがございました。これを先延ばせばいいじゃないかと、こういうことでございました。60年というのは、道路とか橋の大体の耐用年数ですね。これがそれぐらいじゃないかという目安で決められたという話も伺ったことがございます。
 そういうことですけれども、そうした償還期間を延ばすということになりますと、国債に対する信用ということもまた影響してくるんだと思います。こういうことがもたらす様々な影響ということも併せ考えていかなければならないことではないかと、そういう検討が必要なのではないかと思っております。

問)復興特別所得税のことで、この税金の認識についてお伺いしたいんですけれども、この復興特別所得税を導入するときに震災被災地を皆、国民で広く助けようということで国民の善意に支えられてきた部分があると思うんですけれども、これが、目的外使用がどうなのかというところが、今まだ検討中だとは思うんですけれども、この税金が果たしてきた役割というのは大臣どのように認識されていますでしょうか。

答)私も岩手県の出身でございますから、復興を進めるために財源を確保していただいたということについては本当に感謝をしておりますし、被災地の皆さんは、総じてみんなそういう思いを持っているんだと、こういうふうに思います。
 そういう中で、様々なことが新聞にも出ております。報道されている記事は見ておりますけれども、官房長官が述べておりますように、復興のための財源を損なうようなことはないというふうに考えていると、こういうことであります。
 どういうような認識を持っているかということで言えば、復興に向けて大変重要な財源であると、そういう認識を持っておりますし、官房長官の発言にありますように、政府として、復興財源を損なうようなことは考えていないと、こういうことであります。

(以上)