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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和4年11月8日(火曜日))

【冒頭発言】

令和4年度第2次補正予算の概算につきまして、本日持ち回り閣議で決定をいたしましたので、その概要につきまして申し上げます。
 今回の補正予算は、先般10月28日に閣議決定されました「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」等を実行するためのものであります。
 一般会計の経済対策関係経費としては、約29.1兆円を計上しており、特別会計の金額約0.5兆円を合わせると、今般の経済対策に関係する補正予算額は約29.6兆円となります。
 また、その他の所要の補正を行っております。
 本日の閣議決定を踏まえまして、今後、速やかに補正予算の提出に向けて、作業を進めてまいりたいと思っております。

【質疑応答】

問)今回の補正予算案では歳入の大半を赤字国債に頼っています。財政の悪化に歯止めがかからない状況ですが、大臣のご所見をお聞かせください。また、経済対策の目玉である電気・ガス・ガソリンの負担軽減策は高級車のガソリン代や豪邸に住む人の光熱費も等しく支援されます。価格メカニズムや脱炭素と逆行するとの指摘もあります。多額の財政出動をすることの必要性を改めてお聞かせください。

答)まず最初に、今回の補正予算が財政状況との関係でどうかということでございますが、経済財政運営に当たりましては、経済あっての財政という方針に沿って経済再生と財政健全化の両立を図っていくこと、これは必要なことであり、重要だと考えております。その際、国民の命、そして暮らしを守るため、危機に必要な財政出動をする、これは躊躇なくしなければならないと思っております。
 このような考え方で、これまでの新型コロナや物価高騰等に対しまして、前例のない規模の補正予算等により対応するとともに、今般の総合経済対策におきましても、足元の物価高への対応と日本経済の再生に全力で当たり、持続的な経済成長の実現を図ることとしております。
 一方で、こうした対応によりまして、財政状況はより一層厳しさを増しているということは事実であります。財政は国の信頼の礎であり、新型コロナへの対応という例外からの脱却、平時への移行、こういうものを図りながら歳出・歳入両面の改革の取組を続けて責任ある経済財政運営を進めることが重要であると考えております。
 そして、2つ目の今回の対策の目玉になります、電気・ガス・ガソリンの軽減負担、こうしたものが価格メカニズムや脱炭素とも逆行し、痛み止めの政策に多額の財政出動をすることの必要性というご指摘でございましたが、これにつきましては、今回の経済対策では、エネルギー価格の高騰などが国民生活や経済活動に悪影響を及ぼすことがないように、電気・ガス・燃料油価格に対する激変緩和対策を講ずることとしております。
 これらの激変緩和措置は、電力・ガスなどの高騰による家計への影響が特に大きい低所得者の方々に、大きな支援になるというふうに考えております。それに加えまして9月の追加策におきましては、住民税非課税世帯の方々に焦点を当てた給付でありますとか、低所得者支援も含めた地方創生臨時交付金の増額の措置をするなどいたしまして、メリハリの効いたきめ細やかな対応を行っているところであります。
 他方で、激変緩和措置は、現状において、エネルギー価格や国民生活への影響等を考慮した適切なものであると考えておりますけれども、一方で、財政に鑑みれば、こうした巨額の措置を長続きさせるわけにはいかず、また、貿易赤字を通じました資源国への国富流出にも留意をする必要があると考えます。さらには脱炭素化への対応として、価格変動も契機とした省エネの促進等も必要でありまして、出口戦略をしっかりと考えることが重要であると思います。
 このため、今回の対策では電気・ガス料金につきましては、来年9月に補助額を縮減することとしまして、また、燃料油に関しましては、補助を段階的に縮減するということで、出口についても考えているところでございます。

問)本日の分科会の方で公表されましたJST、大学ファンドの運用収益についてお伺いしたいんですけれども、4月-9月の運用収益はマイナス3.67%という形で出だしにもかかわらず、短期な話ですけれども、マイナスでスタートというふうになりましたけれども、これについて受け止めをお願いします。

答)財政制度等審議会の財政投融資分科会におきまして、本年9月末時点の大学ファンドの運用状況、1,800億円以上の損失が生じているということがそこで明らかになったわけでございます。
 大学ファンドについては、世界最高水準の研究大学を形成して、我が国の大学の国際競争力の強化等を図るため、政府出資金と財政融資資金を時限的に活用しつつ、その運用益によりまして大学への支援を行うこととされ、本年3月からその運用が始まったということでございます。
 その上で、財務省としては、本運用が長期的な運用であることを踏まえまして、短期的な運用損益に一喜一憂はいたしませんけれども、大学ファンドの財務の健全性を確保することは重要でありまして、引き続きその運用状況を注視していく所存でございます。
 長期にわたる運用が必要でありますので、その中で所要のそうした益が出るように、そのように期待をしているところでございます。

問)今回の補正予算案の各省の要求の中身を見ると、既に実施している事業の延長・拡充だったり、23年の当初予算の概算要求で上がっているような事業も見られるんですけれども、政府が目指している日本経済を一段高い成長へ乗せるという、こういった狙いにつながるのか、ちょっと見えにくい点もあると思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

答)まず補正予算では、その時々の社会経済情勢等を踏まえまして、緊要性の高い政策課題に対応するために必要な経費等を措置してきたと考えております。
 具体的にどの予算を指して当初予算からの付け替えということを指摘されているのか、にわかには分かりませんけれども、今般の補正予算におきましても、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策に基づきまして、世界経済の減速リスクを十分に視野に入れつつ、足元の物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応して、新しい資本主義の加速により日本経済の再生を図るために緊急性の高い必要な施策を盛り込むこととしておりまして、当初予算からの付け替えとのご指摘は必ずしも当たらないのではないかというふうに考えております。

問)ちょっと話題変わりまして、SMBC日興証券の相場操縦事件で三井住友フィナンシャルグループとSMBC日興証券が金融庁に業務改善計画を提出しました。金融庁が求めた経営責任の明確化について、SMBC日興証券は近藤社長は半年間の無報酬、再建のメドが立った時点で辞任することを表明しました。改善計画書の内容と近藤社長の人事の処遇についての評価、ご所見をお聞かせください。

答)まずこの事件については大手証券会社におきまして不公正な取引、それからグループ内銀行との顧客情報の不適切な授受が行われていたことは大変遺憾なことであると、そういうふうに改めて申し上げます。
 金融庁といたしましては、SMBC日興証券に対する業務改善命令におきまして、相場操縦事案を踏まえた経営責任の明確化を求めてきたところでありますが、所感ということでありますけれども、その具体的な対応については、当社において主体的に判断されるべき事項でありますので、私から所感といいますか、評価を述べることは控えたいと思います。
 いずれにいたしましても、今般のSMBC日興証券等によります人事処分でありますとか、業務改善計画は、今後の経営改善に向けた出発点であるというふうに考えます。
 金融庁としては、SMBC日興証券等において経営陣が強い指導力を発揮して、実効性のある経営管理態勢の構築、そして業務改善が着実に実施されていくか、その点は今後しっかりとフォローアップをしてチェックをしていきたいと思っています。

問)ちょっと話題変わりまして、今週G20の財務相・保健相会合が開かれますが、鈴木大臣、出席される予定があるのかということと、来週G20サミットも開かれますが、同行されるのか、また同行されるんでしたらサミットでどのような主張するのか、また期待することというのを教えてください。

答)今後の私の日程につきましては、11月15・16日でありますが、国会開会中でもございますし、また実際その会合でどういうセッションが行われるかということも含めて、総合的に適切に考え、判断してまいりたいというふうに思っているところでございます。
 ご指摘の首脳会議におきましては、岸田総理が出席されるということを聞いております。

(以上)