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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和4年8月30日(火曜日))

【冒頭発言】

本日の閣議におきまして、官房長官から、来年のG7財務大臣・中央銀行総裁会議を新潟県新潟市で開催するという発言がありました。
 新潟市は、これまでのG7やG20の関係閣僚会合をはじめ、多くの国際会議の開催経験があるわけであります。それとともに江戸時代には、北前船による東西日本の交流、明治期には国際交流の拠点となった歴史文化豊かな都市であります。そうしたことから、私としてもG7の財務大臣・中央銀行総裁等をお迎えする地としてふさわしい都市だと考えております。
 会議の成功に向けまして、開催地の自治体はもちろん、関係機関とも密に連携しながら準備に向けて全力を尽くしてまいりたいと思っております。

【質疑応答】

問)2023年度予算の概算要求に関して2点伺います。31日で概算要求が締め切られます。既に要求を公表した省庁もありますが、1点目はこれまで明らかになっている概算要求について大臣のご所感を伺います。もう1点は、今回事項要求が多くて予算が肥大化しやすいと考えますが、財政健全化をどう保つのか、予算編成に向けた姿勢を改めて伺いたいと思います。

答)今ご質問にございましたとおりに、令和5年度の概算要求につきましては、8月31日水曜日に締め切りをいたしまして、その後、各省庁の提出内容を財務省において取りまとめる、そういう作業に入ることになっております。
 総額等につきましてのお尋ねがございましたが、まさに31日締め切ってから、そうした各省庁の提出内容の取りまとめの作業をこれから行うということですので、今時点でのコメントは控えたいと思います。
 そして、令和5年度予算においては、新型コロナや物価高騰といった足元の喫緊の課題に引き続き機動的に対応しつつ、「骨太2022」や「新しい資本主義実行計画」等を踏まえまして、我が国が直面する内外の重要課題への取組を本格化させるため、予算を大胆に重点化していきたいと考えます。
 具体的には、人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DX、こうしたものへの重点投資の推進とともに、こども家庭庁が発足いたしますので、子ども政策の充実を図り、全世代型社会保障を構築していきたいと思います。さらに安全保障環境が一層厳しさを増していく中で、防衛力を抜本的に強化するということも重要な点であります。
 そして財政規律の話でありますけれども、こうしたようなことに重点投資をするわけでありますけれども、同時に我が国が直面している様々な課題に対応していく基盤として、健全な財政が不可欠であると考えます。日本の財政が依然として厳しい状況にある中で、引き続き責任ある経済財政運営を進めることが重要であると考えます。
 重要課題が山積する中で来年度の予算編成、これは大変厳しい編成になるということを今から覚悟しておりますけれども、経済・財政一体改革を着実に推進いたしまして、歳出の中身を精査するとともに、必要な財源も確保するなど各省と議論して質の高い予算をつくり上げてまいりたいと考えています。

問)2点お伺いします。1問目がジャクソンホールでのFRB議長の発言に端を発した株価、為替などの市場の反応ですとか、あと国内への影響というのをどのようにご覧になっていますでしょうか。

答)アメリカで開催されましたジャクソンホール会議において、8月26日にパウエルFRB議長によって講演が行われたということを私も承知をしております。
 株価の日々の動向でございますが、ご質問にありますとおり議長の発言を受けて株式市場などが大きく変動したということでありますけれども、こうした動きにつきましては、経済状況や企業の活動など様々な要因によりまして市場において決まるものであると、そういうふうに基本的に考えております。
 引き続きまして、米国の金融政策の動向、市場の動向、こういったものを注視をしていきたいと思います。そして、それを踏まえて経済財政運営に万全を期していきたいと考えます。

問)もう1問が一部報道で報じられているものなんですけれども、金融庁が8月末にまとめる金融行政方針について金融教育を国家戦略として推進するよう提言すると、そういった旨が報じられております。この検討状況と背景について伺えますでしょうか。

答)金融行政方針は、明日公表いたします。したがいまして、今時点で具体的なコメントはいたしませんけれども、基本的に個人が自らのライフプランに合った適切な金融商品・サービスを選択して安定的な資産形成を行うためには、国民の金融リテラシー向上に向けた取組を推進するとともに、家計のニーズに沿った金融商品や適切なアドバイスが提供され、国民が安心してこれらを利用できることが重要であると考えます。
 このために、学生や社会人を含む幅広い世代を対象に、資産形成を含む金融経済教育の機会の提供に取り組むほか、金融機関による顧客本位の業務運営に向けた取組を一層促していく、こういうことが必要であるというふうに考えているところでございます。

問)年末の予算編成で焦点になっております防衛費、防衛の強化に関してなんですけれども、これも報道の話で恐縮なんですけれども、官邸の方で有識者会議をつくって財源や防衛力の強化といったものを検討していくといったようなことも報じられているんですけれども、まずその点についての検討状況を教えていただきたいのと、やはり防衛の強化に関しては1年、2年の話じゃなくて後年度負担、今後についても大きく財政にも影響していくことで、検討状況についてそういった幅広い意見が、議論が国民の目に見える形で進んでいく、通常の財務省としての査定とともに国民に分かるような形で議論していくというプロセスが例年以上に必要なのかどうか、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。

答)今ご指摘をいただきました、防衛費の増額や財源を議論する有識者会議を新設するということについての報道ですけれども、これは承知しております。ただ、今まだ結論が出ているわけではなくて、政府部内における検討中であるということでありますので、検討状況についてはまだ変わり得るところがございますので逐一のコメントは今の段階では控えたいと思います。
 ただ、今申し上げたとおり国民的な議論をしっかり積み上げて、国民の理解と納得を得ていくということは極めて重要なことだと思いますので、そういうことは、この有識者会議というのがどういうような形になるのかどうかはともかくとして、そういうことが大事であるということをしっかりと胸に置きながらこれから議論を進めていくべきであると、そういうふうに考えます。

問)先週、金融庁が24日に公表した2ちゃんねるを創設したひろゆき氏との対談動画についてなんですけれども、ネット上で民事訴訟に敗れた後も賠償金を支払っていないというようなことから、ひろゆき氏との対談動画、起用について不適切ではないかというような声が高まっているんですけれども、これについての受け止めをお伺いできますでしょうか。併せて、こちらに起用された狙いと、こういった批判を受けて今後この動画を削除されるなど、何かご対応を考えているところがありましたらお伺いできますでしょうか。

答)金融庁としては、これまでも安定的な資産形成、あるいは金融リテラシーの必要性について、広く一般の方々に関心を持っていただくために対談動画の公表を含めた様々な取組を実施してまいりました。
 今回の対談動画につきましても、こうした取組の一環として、知名度が高く若年層を中心に人気があるひろゆき氏に出演いただいたものと聞いております。ひろゆき氏に対する報酬は、お支払いはしておりません。
 ひろゆき氏との対談動画については、ネット上で同氏の損害賠償に関連し、一部批判の声があることは承知をしております。しかし、これは今般の広報活動とは関係のない民事訴訟に関する事柄ですので、直ちに問題があるとは考えておりません。このため対談動画を削除する予定はございません。
 一般論として申し上げますと、金融庁の広報活動については、その効果だけではなくて様々なご意見があれば、それを真摯に受け止めながら改善すべき点は改善をしていくということが重要だと思っておりますので、今後ともそういうことをしっかりと胸に置きながら、よりよいこうした広報活動ができるように不断の努力をしてまいりたいと思っております。

問)関連してなんですけれども、実際にYouTubeで公開された後、動画の視聴回数もかなり伸びていて、NISAの普及ですとか、そういった部分ではいろいろな方に動画を見てもらっていると思うんですが、こういった人選については大臣ご自身は適切であったというふうにお考えということでいいんでしょうか。

答)現場にお任せしております。

問)スリランカの債務問題についてお伺いします。経済危機に陥っているスリランカ救済をめぐり、日本を含む全債権国からなる会議体を新たに構築する構想が浮上しているということが先週ロイターの報道で明らかになりましたが、こうしたスリランカ債権国の会議体参加についての財務省においての検討状況についてお伺いします。

答)日本政府として、現下のスリランカの厳しい経済社会状況を憂慮しております。現在、同国政府が行っているIMFとの支援プログラムにかかる協議をさらに加速させることが重要なのではないかと考えております。
 同国の債務をめぐる問題につきましては、やはり中国・インドを含む全ての公的二国間債権者が一堂に会して議論することが重要であると認識しております。これについて、個別国との具体的なやりとりを回答することはいたしませんけれども、日本としても他の債権国や公的機関と積極的に協力をしていきたいと思っております。今のところの日本の立場というのは今申し上げたようなところでございます。

問)先程のジャクソンホールの質問に関連して、パウエル議長の発言によって円安ドル高が進んで139円ちょうどというような安値を昨日時点でつけています。日銀の黒田総裁は金利を少し上げたぐらいでは円安が止まるとは考えていないというような趣旨を以前の会議で、金融決定会合のところでお話しになっていらっしゃいますが、財務大臣として金融政策が為替に与える影響というのをいま一度どう考えていらっしゃるのかをお聞かせください。

答)先程申し上げましたとおり、いろいろな為替の動きというのはその時々の様々な状況に応じて変わる、基本的にはファンダメンタルズに沿って決まっていくと思っております。
 そして日銀の金融政策についてですが、これは基本的に日本銀行の独立性、そういうものを尊重するというのが財務省の立場でございます。日本銀行において、全体を見ながら適切に金融政策が行われていくと思っております。

問)先程のG7の財務大臣・中央銀行総裁会議について伺います。新潟市での会議の開催ということになりますと本州日本海側では財務大臣会合は初ということになると思っておりますが、それを踏まえて新潟市を選定した理由と新潟市で開催する意義について改めてお考えをお聞かせください。また、地元では会合開催による経済効果に期待する声もあります。会合に参加する人数はどのくらいの規模感が想定されているか、今お分かりの範囲でお答えいただけますでしょうか。

答)財務大臣・中央銀行総裁会議の開催地につきましては、閣僚会合の誘致に名乗りを上げてこられた自治体の中から会場、それから宿泊、警備など様々な観点を踏まえて、総合的に検討をして政府として決定に至ったところでございます。
 先程もお話しいたしましたが、新潟は多くの国際会議の開催経験もあるということでノウハウもお持ちであると思います。そして歴史文化豊かな都市でもあるということから、私としてもG7の財務大臣・中央銀行総裁会合に参加される方々をお迎えする地としてはふさわしい都市であると考えております。
 そして来年のことで、これから中身についていろいろと検討がされていくわけでございますが、参加の想定される人数ということについてはこれからしっかりと把握をしていきたいと思います。

(以上)