このページの本文へ移動

鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和4年6月10日(金曜日))

【質疑応答】

問)先日、岸田政権の新しい資本主義の実行計画が閣議決定されました。その中で資産所得倍増プランの策定についての記載があります。個人金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるための方策だということですけれども、そもそも個人の金融資産が投資に向かわない理由は何だと大臣は考えておられますか。

答)日本の家計金融資産、その大半が現預金であるということはよく言われております。そしてアメリカ等との比較で、株式や投資信託などのリスク性資産の保有割合は低くなっております。その理由というお尋ねでありますが、これは市場・経済情勢の影響、家計のリスク回避傾向が強いことなど、様々な要因が考えられまして、一概に申し上げることはなかなか難しいと思いますが、リスク性資産の保有に積極的と見られますアメリカでも、かつては家計の株式や投資信託の保有比率は日本と同程度にとどまっていたところであります。1985年、アメリカでは家計の株式・投資信託保有率は20.0%、同じ年に日本は18.3%でしたから、同じ程度であったわけでありますが、その後、差がついておりますのは家計の資産形成を支援する様々な政策的な対応がアメリカにおいてはとられた、そういうことを通じて現在のような形になっているんだと考えます。ですから我が国におきましても、家計金融資産を貯蓄から投資へシフトさせていくため、家計の幅広い層が将来のライフプランを見据えて、少額ずつでも継続的にかつ長期的に投資をしていく、そのための環境を整え、家計を後押ししていくことが肝要ではないかと、そういうふうに考えます。それではどのような政策的な対応をするかということですが、金融庁といたしましては閣議決定された新しい資本主義実行計画等を踏まえながら、どのような施策を講じていくべきか、幅広い観点から検討をしてまいりたいと思っています。

問)最近、食料品や日用品の値上げが続いていますけれども、大臣自身、最近、食料品などを買ったときに以前と比べて価格が上がったと感じるものはあったかどうか、感覚や実感をお聞かせいただけますか。

答)実際買い物はしていないんですが、新聞や、それから朝の出勤前にちょっと時間があるときにいろいろテレビの番組を見ますけれども、そこで足元の物価高について相当触れられていて、そして街の声や主婦の声なども拾っておられるということを通じて、それは実感をします。

問)為替についてお伺いします。昨日は一時1ドル134円まで、約20年4カ月ぶりの水準まで円が下落しましたけれども、為替介入の可能性についてお聞かせください。

答)まず為替につきましては、為替の水準等について、今のご質問のところも含めて、私が不用意な発言をすると影響を与えることになりますのでコメントはしないというのが従来からの立場でございます。政府としては為替市場の動向を見ておりますが、やはり為替の安定ということが一番重要、かつまた急速な変動は好ましくないということでありますので、これからも為替市場の動向でありますとか日本経済への影響を緊張感を持って注視をしているところでございます。そしてこれもたびたびお話ししておりますが、G7等で合意された考え方に基づきまして政府として適切に対応していきたいと思っております。

問)先程の物価の質問に関連するんですけれども、日銀総裁が許容度みたいな話をして批判を受けたところはあるんですが、先程物価が高いということを実感されているという話もあって、ただ日本はなかなか、消費者が物価が高いのを聞いていなかったということもあってなかなか、物価が上がって賃上げという流れにならなかったという問題意識もあっての許容度という発言だったと思うんですけれども、政府は物価高対策なんかをとっているんですが、日本の家計の物価に対するマインドというのはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

答)物価高の影響については足元のウクライナ情勢等に伴う原油をはじめとした原材料価格などの高騰、これがやはりマインドの悪化でありますとか、それから実質購買力の低下、こういうものを通じて民間消費を下押しするなど、景気の下振れリスクには十分注意する必要があると今考えております。ですから、そのような中で足元の物価高騰等が経済社会活動の回復の妨げにならないように先般総合緊急対策を策定したということでございまして、盛り込まれた施策を迅速に実行する、そしてコロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものにしていきたいと考えています。

(以上)