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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要(令和4年4月21日(木曜日))

【冒頭発言】

本日は国際通貨金融委員会(IMFC)の会議からスタートいたしまして、ウクライナ・ラウンドテーブルに出席したほか、ウクライナ、米国、インドネシアの財務大臣、それからゲオルギエヴァIMF専務理事やマルパス世銀総裁とバイの会談をいたしました。IMFCにおいては、ロシアの侵略によって世界経済が直面する多くの困難や、その中でIMFが果たすべき役割について議論を行い、会議後には議長声明が採択されました。議長声明では、国連のロシアに対する非難決議を想起するとともに、ウクライナに対するロシアの戦争が甚大な人道的影響をもたらし、世界経済に有害な影響を及ぼすことを認識しています。ウクライナ・ラウンドテーブルにおいては困難に直面するウクライナのために、国際社会が結束することを改めて確認し、日本としてウクライナに対する世銀との協調融資1億ドルを3億ドルに増額することを表明いたしました。
 また、ウクライナのマルチェンコ財務大臣と個別に面会し、日本の追加的支援とウクライナへの変わらぬ連帯について直接お伝えし、先方からは謝意が示されたところであります。
 米国のイエレン財務長官との面会では、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難すること、そして日米がG7等と緊密に連携しながら、引き続きロシアに対する制裁を着実に実施していくことを確認しました。この中で日本の直近の対応として暗号資産による制裁回避防止のための外為法改正と、ロシアの最恵国待遇を撤回するための関税暫定措置法改正が与野党の賛同を得て成立したことをお伝えいたしました。さらにイエレン財務長官とは金融市場の動向、特に最近のドル円相場の動きについても議論をいたしました。そしてこれまでのG7やG20における為替に関する合意を維持しつつ、為替の問題に関し日米の通貨当局間で緊密な意思疎通を図っていくことを確認いたしました。
 また、G20議長を務めるインドネシアのスリ・ムルヤニ財務大臣とも個別に面会し、ロシアへの対応に加えて国際保健、債務、気候変動といった足元の主要課題について引き続き協力をしていくことを確認いたしました。

【質疑応答】

問)イエレン財務長官との会談の場で為替についても意見交換した、議論したということでしたけれども、もう少しその内容、意思疎通を図ることを確認したということですけれども、さらにもう少し具体的に伺えるようでしたらお願いします。

答)先方の発言をそのままここでご紹介するわけにはまいりませんけれども、私の方から直近の円安がやはり急激であるということ、それを数字をもってお示しをいたしました。その上でお互い確認いたしましたことはこれまでG20、あるいは特にG7でいろいろな3項目にわたる、昨日もちょっとご紹介いたしましたけれども、そういう基本的な考えがありますので、その基本的な考えに沿って今後も対応していくと、そして日米通貨当局間で連携もしていきましょうと、そういうようなことでありました。

問)イエレン財務長官とのこととインドネシアの財務相との対話について質問させていただきます。イエレン財務長官とは円安について大臣がおっしゃったということだったんですが、大臣の方から今の動きについての懸念など、そういったことを伝えたとかということはあるのでしょうか。あと、ロシアの制裁については着実な実施に加えて追加的な制裁も含めた何か意見交換というのをしたのでしょうか。もう1つがインドネシアのスリ財務相との会談なんですけれども、ここでは何か、今回G20の議長国でありますので、インドネシアが、今後の会議の運営について、ロシアへの対応などについては何か意見交換や日本から要請とかをしたことがあったんでしょうか。

答)まずイエレン長官との間では、為替の話も私の方からしたわけでありますが、これは別に懸念を伝えたというよりも、お互いの今の国の経済状況についていろいろ話をしましたので、そういう中で、私の方から最近の日本の経済指標の1つでありますドル円相場について言及をしたということで、別に懸念とかそういうことではなくて、そういう両国間の今の経済状況についてのやりとりの中でお話を私の方からしたということでございます。
 それから、ロシアの追加制裁については、これはやはり今後の状況の推移、それから今行っている制裁の効果を勘案しなければならないんだと思います。ウクライナの情勢も大変刻々と変わっておりますし、現地の状況もいろいろ、報道戦と言うんでしょうか、そういうのもあったりするようで、確たるところも見極めなければなりません。そういうような今後の推移、それから制裁の効果、これは当然抜け穴があるとかないとかそういうことも含まれるんだと思いますが、そういうことをしっかりと勘案しつつ、いずれにしても大切なことは、G7をはじめとする国際社会と足並みをそろえてやっていくということでありますので、何か日本だけが新たなことをやるとか、外国のことは分かりませんが、基本はG7をはじめとする国際社会と連携してやるということでございます。
 それから、インドネシアのスリ大臣でありますけれども、G20の議長を務められたわけでありまして、その上でロシアへの対応でありますとか国際保健での資金メカニズムの進展、「共通枠組」での、これは債務問題ですね、進展、そしてトランジション・ファイナンス、気候変動でありますけれども、この推進等について引き続き対応していきたいということでありますので、恐らく次回のG20においてもこうしたことは継続して議論をされるのではないかと思います。

問)イエレン長官との会談についてお伺いします。足元の為替が大きく動いている場合、為替介入をする場合、アメリカと協調というのが欠かせないわけですけれども、イエレン長官とのご会談の中ではそうした介入に関しての意見交換もされたのかどうか、またそれに対して先方からは理解とかどうといったご反応があったのかどうか、あれば教えていただけますでしょうか。

答)そもそも為替の動向につきましては、私の発言が何か影響を与えてはいけないということでコメントしないということですから、相場についてもコメントしませんから、介入とか何とかについてもそれはコメントいたしません。実際に話し合われたことは、先程申し上げたように、今までのG20、特にG7の為替についての考え方があるわけですから、それに基づいて対応をしていくということであります。我が国政府といたしましても、かねてより急激な変動は好ましくないと言っていましたけれども、実際急激な変動をしているわけでございますので、緊張感を持ってしっかりとその動向を見ていかなければいけないと思います。

問)長官からは何か反応といいますか。

答)長官の話は、相手の発言はいたしません。

問)大臣、就任以来初の外遊ということで重要な日程の2日間を消化されましたけれども、その所感と、あと今回の成果を踏まえて今後の決意をお聞かせいただければと思います。

答)今までG20は2月にもありましたし、さらにさかのぼれば昨年10月の衆議院の投票日ですか、いずれも、選挙のときはもちろんですし、2月のときはいろいろ国会の状況もございました。それで2度、参加しなかったということでありまして、初めての外遊がG20の会合になったということであります。実際に参加してみて、G20の中において日本の貢献というのは大変大きいなということを改めて感じました。これは例えば国際保健の問題、それから気候変動の問題、それから途上国の債務の問題、こういうのは日本がイニシアチブをとって様々提案をし、その1つには例えば枠組みをつくって、それでやっていこうというような、そういうことをやっているという日本の貢献が大きいなということが1つ。それと同時に、そうであるからこそ日本に対する期待感というものもG20の中では大きいということを感じたところです。G20、我々としても大切にしていかなければならないと思いますので、そうした期待に応えられるように、これからも様々な課題についてしっかりと貢献をしていく必要があるなというのが感想です。
 今後も、こういうG7とかG20というのは継続して続いていくものですから、次なるこうした機会におきましてもしっかりとした対応をしていきたいなと思います。

(以上)