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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要(令和3年9月1日(水曜日))

【冒頭発言】

先程行われた新しい日本銀行券の印刷開始式において、2024年度上期目途の発行開始に向けて新しい一万円札の製造を開始させていただいたところです。印刷された現物を確認させていただきましたけれども、新しい日本銀行券、一万円ですけれども、3Dのホログラムを使ったり、高精細なすき入れの模様といった世界最先端の偽造防止技術を搭載、駆使をしております。加えて額面の数字、「10000」という数字を大きくさせていただいたり、また視覚障害等の方々が、触ったら一万円か五千円か千円かわかるように、そういった意味での識別マークもわかりやすくする等のユニバーサルデザインも採用させていただいて、今の時代にふさわしいそういったデザインになったものだと自負をしているところです。いずれにしても新しい日本銀行券が、今年11月に発行を開始いたします五百円貨幣とともに日本の通貨制度の安定と信頼、そういったものに一層貢献していく、そういったものになっていくということを考えております。

【質疑応答】

問)大臣のご挨拶にもありましたけれども、渋沢栄一にゆかりのあるこの地で渋沢栄一の一万円札の印刷が開始されたこと、そしてそのスイッチを押されたこと、改めてなんですけれども、受け止めというか、今の気持ちをお聞かせください。

答)渋沢栄一という人は、「論語と算盤」等いろいろ結構、私の場合、実業界からこの業界に来たので、ほかの方とは少し違うかもしれませんけれども、この人はやっぱり実業、資本主義等という点においては明治初期において日本にいろいろな意味での基礎、そういったものをつくっていった方としては一番だと思っています。商工会議所も去年、渋沢栄一を一生懸命やったんですけれども、皆さんの協力もなかったものですからあまり広まりませんでした。今年、NHKの大河ドラマで出て、一万円札ということになって一挙に渋沢栄一、この人のやってきた業績なりが改めてクローズアップされるようになったのだと思っていますので、少なくともこの新券の発行において、渋沢栄一という実業界の父とも言われている人を採用したのはよかったかなと、それはそう思っています。

問)大臣のご挨拶にもありましたが、一万円札の流通量というのが年々増えているというのが意外だったんですけれども、財務省の調査などによりますと流通は増えているけれども、タンス預金が増加していることが要因だと考えられるということなんですね。低金利とかいろいろあると思いますが、投資や消費に資金が向いていないということにもなりますけれども、タンス預金増加問題について、お考えがあれば教えてください。

答)タンス預金の増加と新しいお札がどんな関係があるかという資料は、そんなものはない。しかし、デジタル化とかキャッシュレス化という話になっていますが、やっぱりその国によって事情が違うと思います。日本の場合は何といっても信頼できるお札というものが、値打ちがあると思います。私は外国に住んでいましたから、新しい100ドル札や20ポンド札、そういった新しいお札は、みんなこうして信用されない。20ドル札にしてくれ、100ドル札は受け取らない、20ドル札5枚くださいという風なことを言われるほど、新券というものに対する信頼はあまり他の国にはなくて、流通している汚いお金の方が、お札の方が信頼がある。これは海外に行った人ならみんなそういった経験があると思いますけれども、そのところ、日本の場合は新券でいくと、偽造されているとまず100%思わない、みんな。そういった意味では新しいお札の方が受けるというのは事実。これは国によって事情が違いますから。偽造が少ないことがものすごく大きな理由の1つだと思っていますけれども、そういった意味で今新しいお札が出てきて、そういった中で偽造が少ない中でもさらに偽造ができにくいものになってきていることはいいことだと思っています。今タンス預金の話が出ていましたけれども、確かに1,000兆円を超える、日本の個人金融資産というのは約2,000兆円弱あるんですけれども、そのうちの1,000兆円を超える額は現預金です。現金を銀行に預けて預金で1万円を稼ごうと思ったら、今、普通預金の金利が0.001%だから、幾らあれば1万円になるんだね。10億円要るんだよね。0.001%だから。10億円預金しないと1万円にならない。うなずいているけれども、それも違う。分離課税が20%かかるから、12億円ないと1万円にならない。12億も持っている人いないだろう、ここに。でも、それでも現預金なんですよ。世界中、現預金の比率が個人金融資産の半分なんていう国はないです。この国だけ。どうしてって、わからんね。12億円でたった1万円だったら、もっとほかの株や債券等ほかにいろいろあるので、そういったものでもやったらどうと、投資に回されたらどうですかと。貯金より投資にということを言っても、全然そういったふうはないですなということがずっと続いているので、急に新しいお札が出たからなんていうふうなことはちょっと考えにくいね、と思います。

問)今日実際に製品確認もされてみて、新しいデザインの一万円札をご覧になって、実際に物を見てどうお感じになられますか。

答)そのデザインを知っていたか、はい、知っていました。

問)知っていたかというか、実際実物をご覧になってみていかがでしたか。

答)ホログラムなんか、へぇ、こんなものがお札になって、世界中にないだろうなと思いながら見ていました。

(以上)