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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和3年6月8日(火曜日))

【質疑応答】

問)先週末に開かれたG7財務相会合についてお伺いします。共同声明で法人税の最低税率やデジタル課税など、様々な国際課税をめぐる新ルールが一定の水準が示されたんですけれども、目安を盛り込むかどうかについては様々な考え方があると思いますけれども、今回こうした成果に至った理由とG20やOECDでの今後の協議に与える影響をお聞かせください。また最低税率の導入が世界で事業活動をしている日本企業に与える影響についてもあわせてお伺いできれば幸いです。

答)8年前の5月のG7、これはイギリスのバッキンガムシャーで行われたんですけれども、そのときにこの話は日本から提案をして、ほとんどの国にとって大きな問題とはなっていましたけれども、全体でやらないとできない話なので、ドイツのショイブレという今議長をしておられますかね、あの方以外は反応は極めて厳しいものでした。課税権というものに介入する話ですから簡単な話じゃないんですけれども、マーケットを提供している市場国に対して課税権を配分するという新たなルール、第1の柱というのについて、適用対象というものを大規模で利益が高い多国籍企業に限りますというふうなことを決めたり、低課税国に対して最低税率による課税を確保するルールという第2の柱でこれを15%以上にするということなどが合意されたということは歴史的なことでしょうな。それはつくづくそう思いますけれども、何でこれが合意できたかといった背景は課税、法人税課税の低さを競う、そういった競争に耐えられなくなってきていることになったんだと思うんですけれども、一番大きかったのはアメリカも今回のコロナの影響もあったと思いますが、大幅に税収が減る等の背景もありましたし、傍ら景気対策等に歳出が要求されるという状況にもありましたので、こういうものをやらないといけないというモメンタムみたいなものが大きく動いたというのが合意形成に、少なくともG7における合意形成につながったと思っているんですけれどもね。いずれにしても方向性が示されたということはG20でもそういった可能性が上がってきますので、その機運を高めるという意味では大きな効果があったんだと思っています。これがどれくらい日本企業に影響するか、これはわからないですね。今から誰もわかっている人いないと思うけれども、なぜわからないかといえば、これから企業の行動が変わりますから。最低税率で移した国に置いておいても意味がないからというので本社を移すなんてことも出てくるでしょうし、いろいろな形で企業の行動がどういう具合に変化するかというのはわかりませんので、今の日本の企業がどれくらい影響するかと言われてもちょっと、企業行動によって変わってきますから何とも言えません。

問)今の第2の柱の15%以上で今回合意した、G7で合意されたことは歴史的なことだというふうにおっしゃいましたが、今後OECDやG20でも議論される中で15%より低い税率のアイルランドですとか国もありますが、今後さらに広いところでの合意に向けた課題というのはどのようなところにあるとお考えでしょうか。

答)この15%に至るまでの経緯というのは今言われたようにアイルランドが12.5%ですかね、しかしそのほかもっと安いところ、バミューダだ、ケイマンだ、いろいろなところがありますので、そういったものは全体で今からOECD約40カ国を含む140カ国ぐらいでやることになりますので、そういった意味ではG7のこの合意というのは非常に大きな、市場占有率がでかいですから、この7カ国が。だからそういった意味では力強いメッセージであるとは思いますけれども、OECDとか非OECDとかという国なんていうのを含みますと約140カ国になる、そういった意味ではBEPS、ベース・イロージョン・プロフィット・シフティングの略ですけれども、このBEPSの包摂的な枠組みというものを通じてこれから合意形成をやっていくのだと思いますけれども、これはなかなか、いろいろ小さな国等、これで少なからず利益を得ていたという国もあるはずですから、そういったところに対していろいろなルールは時間をかけてやっていく必要があると思いますね。

問)国家公務員の宿舎のことについてお伺いします。今般の財政審でもちょっと話題になったんですけれども、国家公務員の宿舎が東京都23区では今4,000戸ぐらい足りないんだそうですね。また、築40年とか50年とかたっているような建物も5,000とか1万戸とか、そのぐらいまだ残っているんだそうです。これの建替えなのか、あるいは更新なのかわからないですけれども、そういうのが必要なんじゃないかという意見が有識者からも出ているんですけれども、当然財源も必要でしょうし、国民の目線というのもありますでしょうし、この問題について麻生大臣のご見解があればお願いします。

答)これは昔から言われている話なので、どれが正解なのかわからないですけれども、必要ないんじゃないかという話がある一方、宿舎というものが東京都内にあるがために極めて狭い、小さい、環境は極めて厳しいですな。そういったようなところからテレワークで出社しなくてもいいと、出社率5割とか6割とかというような話になってくると、都心の宿舎は必要ないんじゃないかという意見もあるでしょうし、だったら今のも建て直してもっと広くて環境のいいものに変えろという意見もあるだろうし、いろいろあるんだと思いますけれども、何とも言えません。

(以上)