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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和3年6月1日(火曜日))

【質疑応答】

問)今週末、6月4日から5日にロンドンで予定されているG7の財務大臣会合についてお尋ねします。11日に始まる予定の首脳会合に向けて今回議論を深めるべきテーマについて大臣のお考えをお聞かせください。また、国際課税の議論でG20では7月の合意目標を掲げておりますが、達成に向けて今回のG7会合で目指す成果についてどのようにお考えでしょうか。

答)G7の議長はイギリスのリシ・スナクという人なんですが、この人と先週も電話で会談していますけれども、主要議題を公表していませんから、したがって私の方から予断を持って言うような話じゃないということだと思いますけれども、この間の話というのは中央銀行総裁を入れた上でのウェブ会議のときですけれども、グリーンで包摂的な世界経済の回復とか、雇用の保護とか、ぜい弱国というか、経済基盤の弱い国に対しての支援とかといったのは議論をされていますから、そういったことが主要議題になっていくのであろうということは言えるかとは思います。BEPS等については、2021年の半ばまでにG20において合意に向ける、機運を高めるという話で去年からこの話になって、アメリカも大統領が代わり、財務長官も代わっておりますので、合意に向けて問題になっていた第1の柱についても、いわゆる課税対象の範囲、企業数とかそういった話ですし、第2の柱の方の最低税率の水準等、論点が2つある、いずれも数年前に比べればその間が狭まってきていますから、そういったものの調整というのが最後必要になってくると思いますけれども、それが主要議題になってくれば、かなり煮詰まっているとは思います。それが主要議題に挙がってくるかどうか、あとは最後の詰めのところだけの話になるとは思いますので、そういうことになれば私共としてはその議論に積極的に参加していかないといけないと思っています。

問)先程報道で今回のG7の期間においてアメリカのイエレン財務相との会談を行うというものがありました。実際にこういった会談が予定されていらっしゃるのかと、会談になったらそれこそ国際課税を含めて様々な議論が交わされるかと思いますが、どういったことを話したいのかということについてお聞かせください。

答)この種のG7みたいな会合のときにはバイの会談というのは多く増えてきています。だから今回もバイの会談というのをやるんだとは思いますけれども、ジャネット・イエレンという人とどこでやるか、まだ決まっていませんからわかりません。その他の財務大臣ともやるでしょうから調整している最中だと思います。

問)先程公表された法人企業統計につきましてお尋ねします。製造業の経常利益は前年同期から大きく伸びる一方、コロナの影響で宿泊や飲食といった対面サービス業はかなり減益という結果となりました。この結果についての大臣の受止めと対面サービス業への支援のあり方について大臣のご所感をお伺いしたいと思います。

答)売上高では減収になっていますけれども、前年同期比ではそうだけれども前期比では数字が上がってきていると思います。言われるように飲食とか宿泊とか運輸、そういったものは弱さが見られていることは確かだとは思いますけれども、輸送用機械を見てみると、随分数字が上がっています。全体としては、輸送用の機械等を見れば、それは間違いなくトラックといったようなものが伸びてくるということを意味していますから、前年同期比は増益ということになります。設備投資は不動産とか運輸業での投資抑制ということの影響がありますので、その分は少し弱っているとは思いますけれども、さっき言った機械受注やら何やら増えてきていますから、前年同期比・前期比ともに減少になったとはいえ、そこそこの数字になってきているかなと思っていますので、役所の言葉を借りれば一部に弱さが見られるものの全体としてはという、あの表現になっていくんだと思っています。これからどうするのかという話、これまでの予算やコロナ予備費で対応してきていますので、そういった支援策に加えて臨時交付金の事業者支援分というのがありますので、そういったもので特に宿泊とかそういったものに対しての支援策というのは講じてきています。また、先日も政府の金融機関の無利子・無担保の部分は例年に比べて、借り手が1.5倍ぐらいということになっていますから、まだ引き続き需要があると。5割増しぐらいですから需要があるという前提に立ってこれを延長させてもらうということにしていますので、資金繰り支援というのはそういった意味では万全を期してまいりたいとは思っています。いずれにしてもワクチンがだんだん普及していくというか、注射を打たれた方が増えてくるとともに、イギリスを見てもどこを見てもワクチンの結果、罹患者数は激減していますから、そういった意味では効果はいずれ上がってくるだろうなと思っていますので、ずっとこのまま今の状況が変わらず続いていくというような感じで思っているわけではありません。

問)今朝、大臣が参加されていたTPPの関係閣僚会議で、議題として英国のTPP11加入要請への対応が議論されたということですが、英国の加盟の意義について大臣のお考えをお伺いしたいということが1点。

答)イギリスの、今のリシの前の前のハモンドという人、外務大臣から財務大臣に代わった人ですが、ブレグジットという話が出ていたので、もう2年以上前ですけれども、そのときにEUを離れるんだったらTPPに入ったらどうだと声をかけたら、全然笑わず真剣に考えていますよと、そう答えたんで、こっちは冗談のつもりで言ったのが真剣なんだと思って、それを考えるとイギリスが抜けた後のEUのGDPの総数とTPPにイギリスが入った後の総数と同じぐらいになるんじゃないか。だからイギリスというのはバランサーとしての感性というのはなかなかのものがありますので、イギリスがそうやって入ってくるというんですけれども、条件はきちっと今の我々の条件と同じようなものができるというのであれば入ってくるということに関して大いに結構なことなんじゃないのかなとは思います。

問)関連して週末にもしイエレン米財務長官と会談をする場合、TPP、アメリカも離脱したままですけれども、それについて協議する可能性があるのかということと、TPP参加に関心を示している中国の参加に関する大臣のお考えももしあればお伺いさせてください。

答)今まだイギリスが始まった先にアメリカもさっさとやろうという話をしているわけ。どうだろうね、そういう雰囲気になるかどうか、ちょっと予断を持って申し上げるわけにはいかないですね、それは。

問)繰り返しになってしまうかもしれないんですけれども、仮にイエレン財務長官と会談する場合に関連してなんですけれども、日本の国際最低課税についてのスタンスについて改めてお伺いしたいんですけれども。

答)イエレンとの話について国際最低課税というのはピラー2の話をしているんだね。ピラー2の話というのはさっき言ったとおりですけれども、少なくとも今アメリカとして国内の法人税課税を21%から28%にしようとしているんだと思います。そうすると国際課税がどこで落ち着くかによって、あまり低いところで収まるとアメリカの中の法人税上げの話がなかなか議会で難しいということになりかねないと思いますから、そこらの数字をどれくらいにするかというのはアメリカにとっても極めて深刻な話なので、今年中に決まればいいんだからということで今回の6月のロンドンではなかなか数字のところまでは行き着かないだろうなと僕は思っていますよ。思っていますけれども、どれくらいになるかというのは予測の範囲を、捕らぬ狸の皮算用みたいな話をしても話にならないので、そういったところでは何とも言えませんけれども、少なくとも最低税率の水準をある程度上げたいという話で、どれくらいにしたいか、どれくらいにできるか、何とも予想の範疇を超えません。

(以上)