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麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(令和3年4月7日(水曜日))

【冒頭発言】

昨夜G7、本日G20の財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されております。低所得国の支援、国際課税、また気候変動などの議論を行わせていただきました。日本からは私と黒田総裁が出席しております。
 私の方からは低所得国支援のための包括的な具体策を支持する旨を申し上げております。具体的にはSDR、スペシャル・ドローイング・ライツの新規配分を支持、IMFにおいて透明性・説明責任の確保のための手当が行われることを歓迎しますと申し上げております。債務問題については債務の支払猶予イニシアティブ、いわゆるDSSIの延長を歓迎すると同時に、中国の国家開発銀行を含めて全ての関係する債権者が共通の枠組に基づく債務措置について透明かつ完全に参加をしてもらうことが必要、またIDAにつきましては本年12月までの増資合意を含めましてG20が主導的役割を果たすべきであることを申し上げております。
 国際課税、いわゆるBEPSにつきましては本年半ば、7月ぐらいになると思いますけれども、本年半ばに向けて合意が進展をしておりますということを歓迎すると同時に、よく言われる第1の柱につきましては対象とする企業の数を限定する必要がある。また、各国の一方的な措置を凍結するとか廃止するとかというのも合意に不可欠という要素なんだということを申し上げております。イエレン、アメリカの財務長官が発言をされたとおり、グローバル・ミニマム課税、つまり法人税に関する最低税率課税の話ですね、この合意は法人税の引下げ競争の歯止めをかける必要があるという観点からも重要等申し上げております。
 気候変動につきましては、主要排出国を含むあらゆる主体が脱炭素化に向けて取り組むことが必要ということを言われております。そのためにグリーンとブラウンという、グリーンのものと、グリーンのものではない、例えば天然ガスとかそういったグリーンでないもの、そういう中間のものとネット・ゼロに向けた道筋を支援していくという包摂的なアプローチが重要だと。このアプローチというものを我々として後押しするために、その中間的な支援、トランジション・ファイナンスというものを促進していくべき等を申し上げております。
 本日の会議の成果につきましてはお手元に配らせていただきました、仮訳ですけれども、このコミュニケの分とポイントみたいなものを2枚紙にしてありますから、これを見ていただくとわかると思いますが、G20の行動計画の更新として取りまとめられております。私としてはSDRの新規配分とか、DSSIの延長とか、IDAの増資の前倒しなど、低所得国向きの支援のための包摂的な具体案を示せることができたと、今度のG20で。また、デジタル課税、デジタル課税というのはBEPSのことですが、デジタル課税につきましては本年半ばまでの合意へのコミットメントを改めてG20で示せたということは大きな成果だと考えています。また、今回の為替のコミュニケの文言を一部明確化するために見直しをしておりますということを一言申し上げておきます。これはG20のこれまでの考え方を変えたわけではありません。具体的には、為替レートというものは経済のファンダメンタルズ、基本的なことを反映させるべきものであり、また為替レートというものの柔軟性は、経済の調整というものを円滑化し得るという点を明確にこの文章に示しておると思っております。また、行き過ぎた変動とか、無秩序な動きというものは経済に対して悪影響を与える、あるいは通貨の競争的な切下げ等を回避するといった点に関する文言は全く変更しておりません。これらにつきまして、コミュニケ等の詳細と併せて後程、財務官から説明をさせます。

【質疑応答】

問)麻生大臣にお尋ねいたします。コミュニケの4パラグラフ目のところに我々は保護主義と戦うとのコミットメントを想起し、とありますけれども、国際課税の話でもバイデン政権になって改めて国際協調的な動きが出てきたというふうに見受けられます。改めて保護主義の件に関して、あるいは国際課税の件に関して、この動きをどう見ていらっしゃるか改めてお伺いさせてください。

大臣)いわゆるデジタル課税という話ですけれども、グローバル・ミニマム課税の合意というのは今、例えばイギリスが法人税を20%から19%に下げたんでしたっけね、3~4年前。アメリカが35%から21%に法人税を引き下げたというのが歴史ですけれども、引下げ競争をやっていくのはやめた方がいいという話を申し上げておりましたのは、今回この呼びかけを受けて極めて活発な議論が行われることになった。また、とにかくよく言われるGAFAと言われる、あの巨大なものに対して少なくともいろいろな各国で物を売って、その物が売れるまでの間、道路を使ったり港湾を使ったり、いろいろなものを使ったことに対する税金は一切払っていませんから、そういったものに対してちゃんとそれを、使われた側のところとしてはしかるべき、公共財というものを使っているんだから払うものは払ってもらおうという話を申し上げてから今日まで約8年かかりましたけれども、今年半ばまでの期限で合意に至るべく議論をずっとやらせていただいて、昨年できる予定だったんですけれども、コロナのおかげでこれが今年まで延ばされていますので、こういったものが仮にも次のG20でほぼ合意できる可能性ができてきたというので、2013年に黒田総裁と2人でバッキンガムシャーで行われたG7の財務相・中央銀行総裁会議でこの話を日本から提案をして以来、ようここまで来たなという感じがありますけれども、機運が高まってきておりますので、今のご質問ですけれども、そういったものに対する期待が高まりつつあるというのはいいことなので、是非これを進めていかねばならんと。あと数カ月ですけれども、きちんとたどり着きたいものだと思っています。

問)2点ありまして、1点目はデジタル課税の対象企業、ピラー1の対象企業の数を絞る必要があると先程おっしゃられた、その狙いをもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

大臣)どれくらいのところまでやるかというのはいろいろ今からまたさらに議論が深まるところだと思っていますけれども、アメリカが対象はある程度の規模の企業に絞るべき、例えばよく出てくるGAFAはじめ、そういったようなものに絞るべきだという意見が、これは一番アメリカがあの意味で払う人が増えるということだけれども、払うのは企業が払うのであって、アメリカ政府としては税金が入るんだからね。少なくとも、今まで払っていない企業が払うわけだから。そういった意味においては影響がある、いいにつけ、悪いにつけ、影響が出るのはアメリカ等ですけれども、どの辺までにするかということについてはアメリカが、それを絞るべきだという話をアメリカが言っているわけなので、そういった意味ではいろいろ、しばらくするとまたさらに広げるべきだとかいろいろな意見が出てくるでしょうけれども、まずはみんなが認めるところからスタートして、そこからだという、第一歩としてはこういった形のものかなという感じはしますけれどもね。

問)2点目、為替について今回明確化をされたというふうに先程おっしゃられましたけれども、このタイミングで今回コミュニケの文言をあえて為替の部分を変えられた狙いについて教えていただけますでしょうか。

大臣)先程言いましたように、見直しということになっていますけれども、従来から考え方というのはG7である程度合意していたものがありますけれども、きちんと紙に書いて明確化しようやということにしたのであって、変更じゃありませんからね。従来からそういう合意のもとでみんな動いておるわけですから。議論の内容とか、これについてはちょっと、これ以上するとちょっとマーケットにえらい影響が出かねませんから、そういった意味では不測の事態を与えるということも考えますと一切口外しないということになっていますので、これ以上のコメントは控えさせていただきますけれども、為替というのは変更したわけではありません。従来からの話をより明確にさせていただいた、紙に書いてということだとご理解いただければと思います。

(以上)