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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年7月8日(火曜日))

【質疑応答】

問)まずアメリカの関税政策についてお伺いします。トランプ大統領はアメリカ時間の7日、SNSに関税をめぐる日本への書簡を投稿し、日本からの輸入品に対して8月1日から25%の関税を課すと明らかにしました。また投稿した書簡によると報復措置をとれば関税率をさらに引き上げる一方、貿易市場をアメリカに開放して関税と非関税政策、貿易障壁を撤廃すれば書簡の内容の調整を検討すると記されています。今回の書簡を受けて政府としてどのように対応されるのかお聞かせください。

答)まず米国政府は相互関税、正確に言いますと上乗せ分の適用について4月9日に90日間の停止、したがって7月9日まででありますが、7月7日にそれを8月1日からとするという旨の書簡を公表され、我が国も受領したところであります。6月の日米首脳会談、また赤澤大臣の度重なる訪米及び閣僚級協議などを通じて真摯かつ誠実な議論を精力的に続けてきたところでありますが、現時点で日米双方が折り合えない点が残っているものと承知をしております。日本政府として安易な妥協を避け、求めるべきものは求め、守るべきものは守る、厳しい協議を続けてきた中で、先程申し上げた米国の書簡のとおり、実質上8月1日まで関税は据え置きの状況になったものと承知をしております。先程開催されました米国の関税措置に対する総合対策本部において、総理より、第1として引き続き日米間の協議を継続し、国益を守りつつ、日米双方の利益となるような合意の可能性を精力的に探ること、2点目として一連の関税措置を含む米国政府の動向や各国の政府対応を見極めるとともに我が国への影響を十分に分析すること、さらに、今後とも米国による一連の関税措置が我が国の国内産業や雇用に与える影響の緩和に万全を期すことの指示がなされたところであり、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいきたいと考えています。

問)来週7月17日から18日に南アフリカで開かれるG20財務大臣・中央銀行総裁会議で日本としてどのような議論を期待されていますか。また加藤大臣自らご出席されるご意向でしょうか。

答)まず私自身の出席については、国内外の諸情勢を総合的に考慮した上でこれから判断していきたいと考えており、現時点でまだ決定をしたというものではございません。その上で、来週南アフリカで開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会議においては、現時点で議長国である南アフリカから具体的なアジェンダが公表されているわけではありませんが、世界経済の状況、国際金融の諸課題などについて議論がなされるものと考えております。

問)アメリカの関税に関して、8月1日から25%を実際かけられた場合、日本経済に大きな影響を及ぼすと思いますが、基幹産業である自動車への25%の関税は、撤廃もしくは引下げされるかについては見通しが立っていないと思います。国内の産業・雇用を守るために財政当局としてどのような対策が必要になるか、既に緊急対応パッケージを実施されていますが、一段と踏み込んだ対策が必要になるのかどうか伺えないでしょうか。

答)今後さらに協議が進められるものと承知しております。書簡にも書いてありますが、アメリカ側の対応も変わっていくものと認識をしております。先程申し上げましたが、総理から一連の関税措置が我が国の国内産業や雇用に与える影響の緩和に万全を期すこととの指示がありました。これまでも今お話があったパッケージでお示しをさせていただいた、特に資金繰りに対する支援などについて万全を期す必要があると考えております。また、今後の動向についても、その影響を関係省庁ともよく連携をしながら、財務省としても、これまでも財務局を通じて、地域における経済への影響、あるいは金融庁を通じて、私の所管で言えばですが、金融機関等々を介した様々な影響の分析、これらを引き続き行っていくと同時に、必要な措置について、また関係省庁間でよく連携をとりながら、まさに総理がおっしゃる万全の措置、支援に対して万全を期していきたいと考えております。

問)関税交渉の関連でベッセント長官との為替協議に関しては引き続き緊密に協議していく、そういう理解でいいのかという点。先程G20の件について言及がございましたが、諸情勢を踏まえて代理の方を立てる可能性はあるのかについてお願いします。

答)ベッセント長官とは2回にわたって協議を重ねてまいりました。そうした中で為替に対する基本的な考え方についても理解を深めさせていただいたと思っております。そのときにも申し上げましたが、今後は、幅広く日米間における財務大臣として取り組むべき課題について、引き続き緊密に連携していくということであり、当面の間、私がベッセント長官と為替に関して何か具体的な協議を行うということは想定していないところです。2点目については、まだ行くとも行かないとも決めていないということでありますから、今の段階で代理についての言及は控えたいと思います。

問)関税についてですが、トランプ大統領は書簡の中でも貿易赤字について懸念を示されていましたが、このことについての受け止めを1点お伺いしたいのと、それに対する対応策について、日本として例えば貿易赤字の構造を見直す提案をする等検討していることがあれば併せてお伺いします。

答)書簡の中で、確かに我が国の貿易赤字の問題に言及がされたものと承知をしております。また、まさにそうしたものが書簡の中において、我が国の経済、そして国家安全保障に対する大きな脅威であると述べられているものと承知をしております。この間のやりとりでも、そうしたことを踏まえて赤澤大臣と先方との間でこれまでも議論を重ねてきたものと考えていますし、我々としては総理がおっしゃっているようにそれぞれの国、双方にとって利益のあるような合意、これをどうやって導き出すのかということで、この間、度重なる交渉をし、そしてこれからもそうした姿勢で交渉していくものと承知をしています。

問)そうなると日本が最大の投資国であるという説明を引き続き粘り強くしていくということでしょうか。

答)最大の投資国であるということと同時に、今申し上げたアメリカに対する投資も含めて日米間でどういう形でウィンウィンの関係をつくっていくか、双方に利益のある関係をつくっていくのか、そうした点に立って我々としては協議を進めていくということになると思います。

問)参院選が約2週間後に迫っているということで大臣もご自身の地元の岡山県も含めまして日々遊説されているかと思います。有権者の方とも直接お話しする機会もあるかと思いますけれども、国民からの期待ですとか今回の選挙の最大の争点、どのように受け止められていらっしゃるかお聞かせください。

答)私も地元含めていろいろなところでお話せていただいたり、あるいは有権者の方ともお話をさせていただいているところでございます。やはり足元の物価上昇に対する懸念、そしてこれに対してどう対応していくのかという声がある一方で、足元だけではなく、これから先、特に私の選挙区について言えば中山間地域等が多いわけであります。こうした地域をどう持続していくのか、そこでの暮らしを守っていくのか、こういった観点からも大変強い問題意識が示されているものと承知をしていますので、当然足元だけではなく、これから先行きに対してどう対応していくのか、また、地域だけではなく我が国経済も含めてどう再生させていくのか、こういったものに対して私自身としてはしっかり発信をしていこうと思っています。

問)今のご回答に関連して、世論調査等を見ておりますと給付金よりも消費減税を求める声が多くなっております。これまで消費減税に関しては様々課題もありますが、なぜこのように国民からは消費減税を求める声があると分析されているかについてお願いします。

答)政府としては、消費税については軽減税率を含めて引き下げることは適当でないということはこれまで申し上げてきたところだと思います。その上で、世論調査の聞き方によっても随分答えが変わっているものと思います。では、その代わりに赤字国債を発行するということをどう考えるのか、そうした要素が入る場合と入らない場合等によって違うと思いますけれども、そうした背景の中でやっぱり我々として受け止めなければいけないのは、皆さんから頂いている税金というものが、本当に国民の皆さんの暮らしや生活に役立っていることに向いているのかについて強い思いがそこにはあると考えており、どういったものに使われているのかということをしっかり説明する責任と、そういう形でそうした税金をこれからも支出をしていくという姿勢が求められているものと考えています。

(以上)