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参考1:職務上宿舎への入居が認められる公務員の類型と各類型に該当する戸数の根拠

国家公務員宿舎については、真に公務のために必要な宿舎に限定するとの考え方の下、削減計画で示されたように、宿舎に入居することが認められる職員の類型を以下の5類型に限定し、これらの各類型に基づいて各府省が精査を実施し、必要戸数を算定している。


1.職務上宿舎への入居が認められる公務員の類型の意義

国家公務員宿舎に入居が認められる公務員の類型は、以下の5類型とする。

  1. 離島、山間へき地に勤務する職員
      自然保護官事務所職員やダム管理所職員等、離島や山間へき地に勤務する職員であり、通勤可能な範囲に自宅を所有していないことがほとんどである。このため、これらの職員に対して、国が宿舎を提供することは、国の事務・事業の円滑な運営にとって必要である(これらの職員に対して提供される宿舎は、国家公務員宿舎法第12条に基づく無料宿舎)。

  2. 頻度高く転居を伴う転勤等をしなくてはならない職員
      国は公平で均一な行政サービスを全国で提供する必要があり、そのため、国家公務員の勤務地は全国に広く点在している。加えて、不正や癒着の防止、適材適所の人材配置、職務に熟達した能力の高い職員の育成のため、国家公務員は一定の地域に限定されることなく異動を行う必要がある。その異動サイクルは比較的短期間であり、これに伴い、転居を伴う転勤も高い頻度で行われることとなる。こうした全国規模での異動を円滑に実施するため、これらの職員に対して宿舎を提供することが必要である。

  3. 居住場所が官署の近接地に制限されている職員
      国家公務員の中には、危機管理要員、刑務官、一部の自衛官等、その職務の要請から、居住場所を官署の近接地に制限されている職員がいる。これらの職員は、テロ、災害、暴動等の発生時に迅速に官署に駆けつけ、適切に対処することが求められているため、その居住場所が官署の近接地に限定されている。このように、居住場所の選択を制限し、官署の近接地に居住することを強制している以上、これらの職員に対し宿舎を提供する必要がある(これらの職員に対して提供される宿舎は、国家公務員宿舎法第12条に基づく無料宿舎)。

  4. 災害、テロ、経済危機、武力攻撃等を含め、政府の迅速な対応が求められる事件・事故等が発生した際、各府省が定める業務継続計画(BCP)等に基づき緊急参集する必要がある職員
      類型3に含まれる職員のほかに、各府省は、災害対策基本法に基づく防災基本計画(平成24年9月6日中央防災会議決定)や国民保護法に基づく「国民の保護に関する基本指針」(平成17年3月25日閣議決定)等により、業務継続計画(BCP)等を定め、緊急事態等が発生した場合、これに基づき各職員が緊急に参集する体制を全国において整えている。こうした職員(以下「緊急参集要員」という。)は、災害等によって、たとえ交通インフラや通信手段が遮断された場合であっても、迅速に登庁することが求められていることから、国は、これらの職員に対し、職場に一定程度近接した宿舎を提供することが必要である。

  5. 国会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝における勤務を強いられる本府省職員
      我が国の中央省庁における業務は、国会議員の様々な活動(与野党における党内での政策議論を含む。)に組み込まれて行う業務が多く、国会議員の活動と中央省庁の活動は密接不可分である。また、国会対応、法案作成及び予算等の業務については、その作業量が膨大であることから、職員の勤務は、往々にして深夜にまで及ぶことが多い。特に国会対応等国会活動と密接に関係する業務については、深夜だけではなく早朝においても作業が発生することが多々見受けられる。こうした中、国が、これらの職員に対して、職場に一定程度近接した宿舎を提供することについては、その事務・事業の円滑な運営を行う上で、一定の必要性が認められる。
      なお、「国会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝における勤務を強いられる」という要件は、各府省において厳格に適用することとし、職務の内容、勤務実態等を勘案し、職場に一定程度近接した場所に居住する必要性が認められない者は除外する必要がある。

 

2.各類型に該当する戸数の根拠

(1)必要戸数の根拠

各府省における各類型に該当する必要戸数の検討に当たっては、平成23年11月18日に行われた閣僚懇談会において、財務大臣から各閣僚に対して協力要請を行い、上記5類型に基づいて各府省が精査を実施し、財務省において集計を行った。
その際、自宅や民間賃貸住宅に居住している者もいる中で、国の事務・事業の円滑な運営等のために、最低限必要な宿舎戸数を用意するとの考え方で絞り込みを行った。
具体的には、各類型に該当する職員であっても、現在、宿舎に入居せずに職務を遂行している者がいることも考慮して、現在の入居戸数を最低限必要な戸数の算定の根拠とした。例えば、4の緊急参集要員は、削減計画策定時の各府省の報告(23年10月現在)によれば、全国で23.4万人であったが、そのうち実際の宿舎入居戸数である8.3万戸を現状の緊急参集体制を維持する観点から最低限必要な戸数として算定した。

(参考)4の類型の必要戸数8.3万戸に対応する職員のうち、その大半は、防衛省職員(約5万戸)、地方整備局等の国土交通省職員(約1.5万戸)である。

(2)各類型間の重複の排除

また、必要戸数の算定の際、一人の職員が複数の類型に該当する場合がある。例えば、4の類型に該当する職員(緊急参集要員)が、同時に、5の類型(国会対応等に従事する本府省職員)に該当する場合もある。このような場合、必要戸数の算定に当たっては、当該職員を4緊急参集要員として必要戸数に算定し、5国会対応等に従事する職員としては算定しないことにより、類型間の重複を排除している。他の類型間においても、同様の整理を行い、必要戸数の重複を排除した算定を行った。

 

宿舎に入居することが認められる職員の類型と必要戸数

宿舎に入居することが認められる職員の類型と必要戸数
区分
必要戸数
(万戸)
1    離島、山間へき地に勤務する職員
(例:自然保護官事務所職員、ダム管理所職員)
約 0.2
2    頻度高く転居を伴う転勤等をしなくてはならない職員
(例:司法関係職員、国税職員)
約 5.2
3    居住場所が官署の近接地に制限されている職員
(例:刑務官、自衛官)
約 1.3
4    災害、テロ、経済危機、武力攻撃等を含め、政府の迅速な対応が求められる事件・事故等が発生した際、各省庁が定める業務継続計画(BCP)等に基づき緊急参集する必要がある職員
約 8.3
5    国会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝における勤務を強いられる本府省職員
約 1.2
合計
約16.3
(注) それぞれの区分には、国から移行した独立行政法人の職員(例:試験研究機関の職員)及びその必要戸数(0.4万戸)が含まれる。